インディアナポリス研究会コルツ部

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<1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/…>
 
J.Addai
我々はこのシーンを
一生忘れない。
 で、アダイちゃんである。アダモちゃんではない。昨季のプレイオフ、裏のMVPアダイちゃんである。
 ちなみに表のMVPは申すまでもなくヴィナティエリ、ヴィナ様である。最も価値あるプレイ most valuable play はベシアのBAL戦のインターセプトである。

 閑話休題。さてそのアダイちゃんであるが、ドラフトレビュー誌で初めてその顔と名前を見た時は上項のウゴー同様、おいおいこんなもろテロリストみたいな名前と面構えの男で大丈夫かいな、と私は訝しんだものであるが、シーズンに入ると上項のウゴー同様大物前任者に匹敵あるいは凌ぐ活躍をするようになった。
 というのは上項でも触れたとおりであるが、さらに付け加えると、両者は共にルーキーイヤーにけっこう活躍しながら同期の同ポジションにそれぞれR・ブッシュとJ・トーマスという超大物がいたためにあまり目立たなかった、マスコミに取り上げられなかったという点でも似ている。この手のプレイヤーは他にペッパーズの時のフリーニーとか、ペイス、ジョーンズの時のグレンとか、あとポジションは異なるがモスの時のマニングとか、あとニュアンスはそれぞれ異なるがジョンソンの時のハリソンとか、テイラーの時のサンダースとかコルツには結構多い。例外はエッジぐらいか。まっ、こういうことは他のチームでも同様なのだろうけど。ファンの贔屓目という事で許して下さい。

 閑話休題。’06のドラフト時のコルツの需要であるエッジの後任という条件をR・ブッシュを除けば唯一満たす男としてD1でピックされたのがこのアダイであるが、結果的にはアダイコルツ双方にとって大正解だった。実際コルツ以外ではD2ないしD3クラスのプレイヤーだったろう。そういう点は今年のゴンザレスに似る。両者共にコルツ印の刻まれた男なのである。ゴンズはまだ結果を出していないけれども。

 シーズンに入ると、ドラフト時の評価であるそのVersatileを遺憾なく発揮、コルツのスーパー制覇に大きく貢献した。

 前任者との比較では、パワーやクイックネス、カットバック、デイライト能力といったランナーとしての基本的な能力や技術はさすがに全体2位の前任者に劣るが、定評のあった自慢のパスキャッチ能力に於いては前任者にひけを取らない。同期のR・ブッシュとくらべてもこの点だけは遜色ない。けっこう難しい球もあっさりキャッチする。あんまりあっさりしすぎていて目立たないくらいである。

 そういった点はM・フォーク、E・ジェームスと続くパスキャッチのうまいコルツのRBという系譜に彼もまたはっきり連なる。その前のE・ディッカーソンもたしか上手かった筈。どこかで読んだと記憶する。

 そうして前任者との比較に於いてはっきり上回っているのが、そのファンブルの極端な少なさである。私の記憶する唯一のファンブルはスーパーでのそれだけである。この点だけは大事なところで意外にファンブルの多かった前任者およびD・ローズとはっきり異なる。

 てっとりばやく言ってしまえば、いかにもLSU出身らしい質実剛健なプレイヤーということになる。さしずめエッジはいかにも The U 出身らしい派手なプレイヤーといったところか。しかしエッジやR・ブッシュとの比較といいそのファンブルの少なさといい”地味”は彼を評するひとつのキーワードかもしれない。私生活は派手なのかもしれないけれど。

 まあ、そんなことよりなによりアダイといえば、あの運命のNE戦でNEを突き破るタッチダウンを決めた男として、たとえこれからどんなキャリアを積んだとしても、コルツファンおよびインディアナ州民に未来永劫語り継がれる男になるであろう。というか、なった。

 フルネームは Joseph Addai。

                             2007/11/12

 2012年のオフ、マニング放出にともなうチーム改変期という事で、多くのプレイヤーがコルツを去ることになったのであるが、その一人がこのアダイちゃんである。

 プレイスタイルについては、あちこちの戦評で散々触れているので、今更書き加える事は無いのであるが、上のルーキーイヤーの記事をザッと読んで見ると、最も大事な点について触れていないので、ここに付け加えておく。

 それは、申す迄もなく、ブリッツピックの上手さ、更には、並みのパスラッシャーなら1on1で押さえ込む事すら可能なパスプロの上手さである。はっきり言って、ことパスプロに関しうる限り、平均的なLTより上である。事実、ここ数年、コルツで最もパスプロの上手かったのは、ウーゴーでも、チャーリーでもなく、このジェセフ・アダイ様だった。

 そのパスプロに比して、ラン能力そのものは平均的であり、デイライト能力がパないとか、ブロッカーを使うのが上手いとか、えげつないカットを切れるとか、そういうのは一切無い。すなわち一発の無いランナーであった事だけははっきりしている。

 一方で、上の記事にもあるように、レシーブ能力やボールセキュリティといったものは平均点以上で、そういった意味でも、前任のエッジさん以上に、まさしくマニングの為のRBといった選手だった。ポリアンのピックした選手の中では、おそらくフリーニー以上のヒット、最高のヒットだったと思う。

 そういった次第なので、ポジション的には純粋にランニング・バックと言うよりは、むしろブロッキング・バック、あるいはオフェンス・ラインバッカーといった方が分かりやすいようなプレイスタイルではある。

 そのような、ある意味、前代未聞、少なくとも現在のNFLでは、コルツにしかないポジションであったので、再就職するとしたらペイトリオッツしかないのではないかと私は考えていた。アダイを使いこなせるQBは、現状、マニングとベリチックしかいない。

 とか思っていたら、本当にパッツと契約したので、驚いたというか、「やはり、そう来たか。」と思った次第である。

 もっとも、実際にフィールド上でこのアダイを使うのはベリチックではなくブレイディなので、どうなるかは全く以って不明である。一見同んなじようなタイプに見えるが、パトリック・パスやケビン・フォークとはちょっとタイプが違う。
 まあ、当のアダイそのものも、三十路であるし怪我がちでもあるので、開幕ロースターに残れるか自体も全く以って不明であるが。

 しかしまあ、こういうアダイのようなRBを2006年の段階で作り上げていたニック・セイバンという男には、今更ながら恐れ入る。ドラフト当初、また、上の記事からも分かるように、当時の私はこのアダイというプレイヤーの真価はまるで分かっていなかった。ドラフト時は、単なるバーサタイルなプレイヤーぐらいにしか思っていなかった。最近になって、ようやくこのプレイヤーの恐ろしさを知った訳であるが、そういう選手を2006年の段階で作り上げていたセイバンという男の炯眼には恐れ入る。

 自身がマイアミのHC時代には、このアダイのグレードアップ版であるロニー・ブラウンを指名しているし。もっとも、セイバン自身がアラバマ大に栄転してしまった為に、ブラウンは謂わばハシゴを外された格好になって、キャリアを棒に振ってしまう事になるのだけれど。パーセルズ直系のスパラーノではブラウンを使いこなせなかった。

 つう訳で、私はここ最近ニック・セイバンという男の恐ろしさを身に沁みて感じているわけである。ウェス・ウェルカーを見つけてきたのもセイバンだった訳であるし。もっとも、このウェルカーは、自分以外で使いこなせるのはベリチックぐらいだと思って、アラバマ大栄転時に、ベリチックに預けた訳であるが。まあ、スパラーノではウェルカーは使いこなせなかったであろう。

 今季、コルツには、そのアダイに変わってという訳ではないが、セイバン門下生のジョシュ・チャップマンが入団している。そういった意味では、私は楽しみにしている。

 なんだか、アダイの話から外れてしまったが、アダイ、頑張れ、もう一花咲かせろ、いや、咲かせちゃ駄目だ。あぶないあぶない、あやうくパッツを応援するところだった。

                2012/7/11(水) 前回の記事と似たような数字
J.Saturday
ちっちゃなったなあ。
 HOFゲーム負けちゃった。ワシントンのためのゲームだし。まあ当然か。

 さていよいよ大トリ、毎日が土曜日男ジェフ・サタディの登場である。
 上にもちろっと書いたが、これにてスタータークラスの紹介はほぼ終了、このアクティブコルツの項もひと段落つけることにする。まあほかにもプレイヤーはマイケル・コーとかダンテ・ヒューズとかマット・ジョルダーノとかMr.落球ことケントン・キースとか2年目3年目の選手を中心にいろいろいるが、彼らは追々ということで。とりあえずここでひと段落つけます。

 サタディといえば、まずなによりマニング第一の乾分である。

 そんな冗談はともかく、強力インディディフェンスの核として、評者によってはもはや現役ナンバー1センターの称号をも与えられている彼であるが、さすがに現役ナンバー1はちと褒めすぎであろうと思われる。じゃあナンバー1は誰だと問われても困るのであるが、ちょっと前の現役ナンバー1センター、ケビン・マワエ、彼の全盛期に比べればテクニック、機動力、パワー、どれをとっても数ランク落ちる。さしづめ暫定1位といったところか。ウェイン同様、強いチームにいることにより評価を上積みされている選手であろう。

 とはいっても、現役有数のセンターである事に変わりはなく、コルツオフェンス陣の中では、そのノーハドルオフェンスの司令塔として、マニングの次に重要なプレイヤーである。ケガされたら困るという点でも、マニングと並んで双璧だろう。上述したディームやユーゴーのように彼らに近い能力を持った選手がコルツのロースターにいないから困るというのではなく、彼らと同じことを習得しているプレイヤーがNFLそのものにいないから困るのである。困る質が違う。もっともマニングがこけた時点でコルツは自動的に捨てシーズンになるのでその時はその時なのであるが。でもサタディが抜けた時は、その時は困る。本当に困る。それはそれで見てみたい気もするが。

 そのプレイスタイルは朴訥剛毅である。愚直といってもよい。マワエのように派手にLBを討ち取るというよりは、目の前のDTを確実に押し出すといった感じである。ポジションは全然違うがそういうところはエミット・スミスに似てなくも無い。
 プレイヤーとしてのハイライトシーンは、申す迄も無く、’06シーズン・カンファレンスチャンピオンシップ・NE戦でのJ・アダイの決勝タッチダウンシーンであろう。その時このアダイの走路をこじ開けたのが、ほかならぬこのジェフ・サタディ様である。そういえば、ファンブルリカバー・タッチダウンも決めていた。

  ちなみにこれが’05だか’06だかの時のプロボウルの記念写真の撮影シーン。→
 他の4人がすべてドラフト1位だった事を考えると感慨深いものがある。
 もともとは’98のBALのルーキーFA(マニングと同期!)、しかしその6月にウェイブされ、翌年’99の1月にコルツと契約した選手である。
 そのほとんどをドラ1で構成するコルツオフェンス陣の中では数少ないそれ以外である。コイツとリリージャ、ディームだけ。スロットまで1位ですからな、コルツオフェンス陣は。ユーゴーは2位ちゃあ2位だけど、実質的には1位。RGに予定されているポラックは2位であるが、その年最初の指名。

 周知の通り、今ドラフトでコルツはセンターを3名指名したのであるが、ポラックやジャスティスのプレイを見てはいないが、どう考えても、このサタディに取って代わるとは思えん、それも向こう5年。どう考えているのであろうか、ポリアンさんは。

 画像を求めて検索すると、いろいろなサタディが出てくる。ボランティア活動もけっこう熱心みたい。 Miracle Ride fundraiser for Riley Hospital for Children とかいうのがあるが、これは何。その他にもいろいろやっているみたい。the People's Burn Foundation of Indiana とか Kids' Voice of Indiana とか Sharon Bassett Foundation とか。そして、そういう活動が表彰されているみたい。

 フルネームは Jeffrey Bryant Saturday 。冒頭、毎日が土曜日男と書いたが、それはNFLプレイヤーにとっては毎日が臨戦態勢という意味である。

                              2008/8/4 暑い。

 上のアダイの記事で、「アダイのパッツ移籍は予想できた。」と私は書いたが、一方、このサタディのパッカーズ移籍には意表を付かれた。というのも、サタディはこのまま、ディーム同様、引退だと私は思っていたからである。

 コルツファンなら皆承知の通り、はっきり言って、プレイヤーとしてのサタディは数年前に終わっていた。同じセンターでも、マワエやバークのように、もともと身体能力や体格に秀でたタイプであるならば、35歳を過ぎても、まだまだ一線級のプレイは可能であるが、それらの平凡であるサタディは、はっきり言って、終わっていた。パスプロもランブロックもメロメロだった。

 そういうサタディを何故に使っていたのかと云えば、それは勿論、マニングの面倒くさいノーハドル&オーディブルに付き合うためである。それに付き合えるセンターがサタディしかいなかったのである。

 数年前、その力の衰えたサタディ後釜にと、コルツは、ポラックやリチャード等々、何人かの若手を試してみたが、結局は誰もモノにはならなかった。時間の無くなってきているマニングからすれば、今更若手を育てている場合じゃないというのもあったろうし、若手サイドとしても、遅かれ早かれ引退してしまうマニングに、そうそう付き合ってらんないというのもあったろう。

 という事情から、渋々とまでは言わぬが、力の衰えたサタディがマニングのセンターを務めてきた訳であるが、そのマニング放出にともない、サタディがカットされたのは、当然至極のトランザクションである。

 という訳で、サタディは、そのまま引退して、選手会の相談役みたいな仕事に専従するのかなあと思っていたら、パッカーズとまさかの契約である。これには私は驚いた。サタディがパッカーズと契約した事には驚かないが、パッカーズがサタディと契約した事には驚いた。

 まさか、スターターとして使うんじゃないだろうなあ。っていうか、使うしかないだろうしなあ。バックアップに置いて、コーチ見習い的な扱いをするのだろうか。
 
 各プレビュー誌を見ると、スターター扱いみたいである。パッカーズのチーム事情はよく分からんが、引退間近の選手にスターターを与える必要性があるのだろうか。センターがいないのなら、ドラフトなりFAなりで、若手、あるいはロジャースと年齢的に近い選手をいくらでも選べた筈だが。何故に、サタディ。謎なロースタームーブではある。

 マニング式のノーハドル&オーディブルを伝授させる心算なのだろうか。でも、あんなのは、ほとんど各QB固有のものであるから、マニングのやり方を今更学んでも、あまり役に立たないように思うが。基本的なノーハドル&オーディブルなら、当然ロジャースは知っているだろうし。謎なロースタームーブである。フィールド上以外の理由としか考えられない。どんなことになるんやろ。

                              2012/7/18(水) 暑い。

 いや〜、スゴかったですね〜、最後のスライダー。私もン十年生きてきて、いろんなスライダー、伊藤智仁のスライダー、グレンキーのスライダー、斎藤明雄のスライダー等々、いろんなスライダーを見てきたけれども、明らかにベストのスライダーだった。
 左バッターはともかく、右バッターがあれを一打席で打てっていうのは、どだい無理な話だわ。ツーストライク目のストレートも、大概スゴイ球だったしね。

 と、あえて、主語を伏せて書いてみたが、無論、第5回WBCの大谷vsトラウトの話である。

 現地の放送で、「ドリーム・シナリオ」「ドリーム・マッチアップ」等々、表現されていたけれども、まさしく「夢の対決」だったと思う。
 日本vsメキシコのゲームが危うい展開だったので、この「大谷vsトラウト」は、「夢」のまま、終わってしまうのかなと思っていたら、最後の最後に見事実現しましたな。しかも、「空振り三振」という、ものすごく分かり易い「決着」。これが、「レフト線ツーベース」とか「三塁ファールフライ」とか「ライトのファインプレイ」みたいな微妙な「決着」でなかったのも、「目出度し目出度し」であったろう。

 でもまあ、本当に「夢の対決」でしたね。

 メジャーリーグに限らず、昨今のアメリカ・プロスポーツ界は、移籍も激しく、インターリーグまであるので、なかなか「夢の対決」は実現しないというか、実現し過ぎで「夢」にならないのであるが(オールスターが盛り上がらない理由の一つ)、その中で残された数少ない、もしかしたら唯一の「夢の対決」が、この「大谷vsトラウト」だったと思う。

 アメリカのプロスポーツ界で、これ以前の「夢の対決」となると、バードとマジックのNCAA決勝まで遡らないといけないかもしれない。
 
 また、ジョーダンvsバード、ジョーダンvsマジック、ジョーダンvsバークリー、ジョーダンvsドレクスラー(?)などもあるにはあったが、「夢」という感じでは無かったし、なによりジョーダンの場合、真の意味でのライバルはいなかったので、「夢の対決」にはならなかったと思う。

 かえって、オラジュワンvsユーイングの方が「夢の対決」っぽくはあった。実力も伯仲していたしね。

 また、ライバリーという意味では、コルツファンにはお馴染み「マニングvsブレイディ」があるにはあるけれど、これは「夢」というには、あまりに対戦が多過ぎたしね。この「対戦が多過ぎる」といのが、このライバリーの一大特徴ではあるのであるが。

 QB対決という意味では、「モンタナvsマリーノ」の方が「夢の対決」であったろうが、こちらは「夢」のまま終わってしまったしね。

 もっとも、フットボールの場合は、「QB対決」といっても、直接マッチアップする訳ではないので、「バッターvsピッチャー」と比較すると、「対決感」ははるかに薄い。

 フットボールにおける「直接対決」となると、「LTvsDE」とか「WRvsCB」とかになるのだろうけど、「ゲームの中心」じゃないからなあ。

 そういう訳で、今回の「夢の対決」はアメリカスポーツ史的に見ても、非常にレアなケースだったと思う。

 また、私はスポーツにナショナリズムを持ち込むことは大嫌いなので、こういう事はあまり言いたくないのであるが、両者が「日本」と「アメリカ」という、現在はともかく、20世紀後半の世界の文化をリードし、20世紀前半では大戦争をした関係であったというのも、物語性に拍車をかけたと思う。

 これが「韓国vsドイツ」とか「カンボジアvsエジプト」とか「チリvsスウェーデン」とか「イランvsアンゴラ」とかだったら、いまいち盛り上がりに欠けたであろう(当事国の皆さん、ゴメンナサイ。)。

 「日本vsアメリカ」以外だったら、「アメリカvsソ連」とか「アメリカvsキューバ」とか「インドvsイギリス」とかじゃないと、こういう盛り上がりは無かったであろう。あと「ロシアvsウクライナ」とかね。おっと、これは不謹慎。

 また、「日本vs韓国」とか「パキスタンvsパングラディッシュ」だと、あくまで局地的だしね。「アメリカvs中国」も、今後はともかく、現時点では、「因縁」って程は無いから、国別対抗で盛り上がるのは、「日本vsアメリカ」が究極のカードかもしれん。「イギリスvsフランス」とか「フランスvsドイツ」でも、ちと弱い。「ドイツvsポーランド」あるいは「ドイツvsイスラエル」、おっと、これは不謹慎不謹慎。あと、「イングランドvsアイルランド」、いや、これは不謹慎じゃないか。
 「日本vsアメリカ」だと、「有色人種vs白人」という図式もあるしね。

 また、この「夢の対決」の特徴としては、こういう「国際性」のほかに、「同一チームの投打の主役対決」という、移籍の激しい現今のプロスポーツ界でも、なかなかに珍しい「対決」が実現したという点もある。

 全盛期を過ぎているならともかく、全盛期に投打の主役が激突するというのは、当然ながら、なかなかに珍しい。日本のプロ野球で云えば、「稲尾vs中西」とか「杉浦vs野村」とか「江夏vs田淵」とか「村田vs落合」みたいな図式である。日本のプロ野球では、おそらく前例はないと思う。パッと思いつかない。「江夏vs田淵」、「村田vs落合」は、全盛期を過ぎてからなら、実現してるけど。あとは、ニュアンスはかなり異なるが、「桑田vs清原」ぐらいか。

 メジャーリーグでも、前例は無いんじゃないかなあ。「ランディ・ジョンソンvsケン・グリフィーjr.」はあったかもしれん。ジュニアがケガしてたかもしれんけど。

 この「対決」の難しさは、まず「同じチームにリーグトップレベルのバッターとピッチャーが在籍している」という条件をクリアしなければならない。まず、これが難しい。金田とか長嶋や王、あるいはマダックスやプーホルズだと、この条件がクリアできない。

 その条件をクリアして、なおかつ全盛期に対決というと、この「大谷vsトラウト」のみじゃないのかなあ。

 コルツ絡みだと、一応「フリーニー様vsマニング」は実現している。お互い、全盛期は過ぎてたけど。

 でもまあ、本当に大谷は「今まで見た事の無い」選手だよね。「今まで見た事の無い」というのは、すっかり手垢にまみれたフレーズだけど、大谷の場合は、正真正銘、文字通り、字義通り、「今まで見た事の無い」選手である。
 前日、サヨナラの口火を切るツーベースヒットを放った、その選手が、その翌日リリーフのマウンドに上がって、リーグ最高のバッターから三振を奪っているんだからねえ。文字通り、こんな選手「今まで見た事が無い」。今後はともかくとしてね。

 一方、トラウトの方はというと、こちらは勿論「今まで見た事の無い」選手では全然無く、現時点ではベストの選手のひとりかもしれないけれど、オールタイムだと、今後もっと頑張らないと厳しいところではあろう。

 実際、メジャーリーグのオールタイムベストの外野手3人はというと、そのうち2枠は、ベーブ・ルースとウィリー・メイズで決まり。残り1枠を強烈なメンツで争っている。ディマジオにテッド・ウィリアムズ、ミッキー・マントル、ハンク・アーロン、ケン・グリフィーJr.、そうして薬の問題が無ければ、バリー・ボンズ等々である。イチローなんかは、余裕で落選である。エントリーすら出来ない。

 トラウトはエントリーされるためにはもうひと頑張り必要であろう。つかまあ、薬の問題が無ければ、3人目はバリー・ボンズで決まりだったかもしれんけどね。

 もっとも、史上最高の野球選手はというと、こちらは、現時点で大谷が引退したとしても、大谷で決まりだろう。異論の余地がない、というか、議論にすらならない。何しろ、似たような事をした選手が皆無なのであるから。ギリギリ、ベーブ・ルース(!!!)。

 とまあ、ここまで、私には珍しく、「夢の対決」を絶賛してきたけれども、恒例の悪口、イチャモンをひとつ。「興醒めな事、言ってんじゃねー。」「オメーはカイ・シデンか、この野郎ー。」という声も聞こえなくもないが、図太い私はイチャモンを付けちゃうのである。

 それは9回裏アメリカの攻撃である。あそこ、ノーアウト・ランナー一塁の段階で、送っても良かったんとちゃう。ワンアウト・ランナー2塁の形でトラウトを迎えた方が、大谷も日本も嫌だったと思う。

 勿論、ベッツが逆転サヨナラ・ツーランホームランを打ったかもしれないのだから、これは完全な結果論だけど、ワンアウト・ランナー2塁の状況の方が、日本にも大谷にもプレッシャーを掛けられたと思う。

 それが出来なかった、あるいは、そういう選択肢が無かったというのが、ここ10年、あるいは、ここ20年、ホームラン野球をやってきたアメリカが、大きいとは言わないけれど、そこそこの代償を支払わされたのが、あの場面だったとも云えると思う。私だけかな。

 あのゲッツーの段階で、ゲーム的には終了していたと思う。あれで、大谷は押せ押せになったし、トラウトは受け身になった。勝負前に、心理的には、ほぼ決着はついていたとも云える。

 まあ、もっとも、あそこでツーアウト・ランナー無しの状況になったからこそ、「夢の対決」をフラットに楽しめたとも云えるし、ビューティフル・エンディング、大団円のシーンを迎える事が出来たとも云えるのではあるが。

 ちなみに、私が監督だったら、そんなビューティフル・エンディングなんか度外視して、世界中の野球ファンの意向、つーか希望をガン無視して、送ったけどな。ドッチラケ采配。コラコラ。

 あと、日本vsメキシコでの、メキシコ・バッテリーの配球にも疑問を感じた。あんなベタな配球じゃあ、吉田や村上に打たれちゃうよね。テレビ観戦している私にすら、バレバレなんだもん。そりゃ、吉田や村上は打つよ。狙い打ちだよ。
 大谷・中村のバッテリーが対トラウトの3−2の場面で、ストレート、スプリット、スライダー、どれも有り得るという状況を作ったのとは、対照的だった。

 ちなみに、私は、WBCは、過去の大会も含めて、この2試合しか見ていないので、厳しくツッコまないよーに。

 あと、大谷は背番号に対するこだわりは無いのかな。大谷なら、誰の背番号でも引っぺがせるのに。それとも、川上リスペクト。

 あと、吉井は、ロッテの新監督なのに、WBCチームのコーチなんかやっていいのか。ロッテより日本か。千葉より日本か。

 でもまあ、これで、最後に残された「夢の対決」は「大谷vs大谷」だけであろうなあ〜。

 つー訳で、大成功を収めた第5回WBCなのであるが、あの大谷vsトラウトの「問答無用の説得力」によって、「WBC否定派」の旗色は、かなり悪くなっている模様である。

 ちなみに、私は、WBCは否定派でも肯定派でもない。そもそもスポーツ大会なんていうのは、主催者とプレイヤーがやりたきゃやればいいだけの話で、外野がとやかく言う事では無いと思っている。国体みたいに、公費が投入されていれば、話は別だろうが、私的な大会の開催の是非など、主催者の自由である。
 あと、オリンピックは、お金の動きが素人の私には全然分からんので、論評を差し控えます。

 「WBC否定派」の大きな論拠のひとつに「選手のケガ」があるけれど、これはバカな話、バカげた理屈だと思う。

 「選手のケガ」が怖いのだったら、メジャーリーグのレギュラーシーズンやワールドシリーズも同様に否定されるべきだし、スーパーボウルや高校野球だって、否定されるべきだろう。実際、この理屈で「高校野球」を否定しているバカはいるしね。

 そもそも、ケガが怖いのだったら、あらゆるスポーツは禁止すべきだし、ボクシングなど、その最たるものであろう。

 「ケガを恐れて、ゲームに出場しない」というのは、「食中毒が怖いから、食事しない」というのと、全く同じ理屈である。本末転倒も甚だしい。
 もっとも、現代に生きる人間は食事をしなくとも、栄養剤等々で生きていく事は出来るのだから、「食中毒が怖いから、食事しない」の方が、「ケガを恐れて、ゲームに出場しない」より、まだ筋が通っている。

 「ゲームに出場するために、ケガを恐れているのに、そのためにゲームに出場しない。」、ある目的をその手段のために否定しているのである。

 「ケガを恐れて、ゲームに出場しない」なんてバカな話があるかと問う人もいるだろうが、佐々木とか若き日のストラスバーグとかは、その実例である。

 で、「ケガを恐れて、ゲームに出場せず」、後年、大輪の花を咲かせたかといえば、佐々木の今後はともかくとして、ストラスバーグに、結局、そんな未来は来なかった。まさしく、未だ来ず、である。しかも、結局、またケガしてるし。

 若き日のストラスバーグの夢みた事、ストラスバーグのファンが夢見た事は実現したのだろうか。史上最高の投手どころか、サイ・ヤング賞すら獲れていない。ワールドシリーズMVPが、現状のベストの記録である。

 一方で、リンスカムや岡林のように所謂「短命」で終わった選手もいるけれど、当時のジャイアンツファンやスワローズファンは、彼等の事を一生忘れないであろう。

 勿論、何でもかんでも短命で終わればいい訳では勿論ないし、ケガの予防は万全を尽くすべきだと思うけど、「ケガを恐れて、ゲームに出場しない」なんていうのは、先に述べたように、完全な本末転倒だと思う。

 この「ケガを極度に恐れる」というのは、ここ10年ここ20年くらいのプロスポーツ界の大きな潮流だけど、その元凶、その唯一の原因は、はっきり「代理人」である。選手がケガをして大損こくのは、唯一「代理人」だけだからである。

 プレイヤーは、そもそもケガを恐れていたら、スポーツなんてしていない。ケガをしても勝ちたいというのが、洋の東西を問わず、スポーツマンの本能である。例外を見た事がない。「将来的なケガ」と「目先の勝利」なら、「目先の勝利」を優先するのが、スポーツマンという人種だろう。というか、そういう人種でなければ、「プロ」にはなれまい。

 マイケル・ジョーダンの発した数多くの言葉の中で、私の最も好きなのは、「俺は、常に、このゲームを人生最後のゲームだと思ってプレイしている。」。

 一方、監督やオーナーにとっては、よっぽど特別な選手でない限り、それこそ大谷級の選手でない限り、特定の選手に執着はしない。代わりはいくらでもいるからである。同じ30億円を誰に支払うかだけの問題であろう。佐々木やストラスバーグ級でも、代わりはいる。

 で、一方、選手がケガをして、唯一困るのが「代理人」である。選手、つまりクライアントがケガをして、キャリエンドになってしまったら、それこそ無収入無報酬になってしまう(実際は、何らかの保険を掛けているのだろうけど、)。ぶっちゃけ、代理人にとってのベストのシナリオは、「この選手、スゴイぞスゴイぞ」とオーナーに思わせておいての、全試合欠場であろう。出場しなければ、ゲガどころか、成績悪化もない。

 まあまあ、そこまで極端なシナリオは無いけれど、それが代理人とってのベストのシナリオである事は間違いあるまい。プレイヤーやオーナーにとっては、「スポーツの喜び」という利益があるけれども、代理人には「金銭」という利益しかないのだから。まさしく、「小人、利に喩る」である。

 「人生に何の目的もない人間は、お金そのものを集める事に熱中する。」というか、それくらいしか、楽しみが無い。

 スポーツの好きな人は、一銭も貰わなくたって、否、それこそ大金を支払ったって、スポーツをやるし、見るだろう。

 これに関連してという訳でもないが、「WBC否定論者」の意見に「WBCには意味も価値もない。ただのエキシビジョンだ。」というものがあるけれど、WBCがエキシビジョンだったら、レギュラーシーズンだって、ワールドシリーズだって、スーパーボウルだって、高校野球だって、みなエキシビジョンだろう。

 だって、それらは皆、まさしく字義通り、「試合」であり「ゲーム」なのだから。「意味や価値のある戦い」といったら、それこそ「戦争」しかない。

 もっとも、勿論、最近の多くのスポーツに「意味と価値」が生まれているのは、申す迄も無く、そうしてやっぱり先述したとおり、「お金」である。それも、目も眩むような大金である。確かに、「お金」という観点から見れば、WBCには意味や価値は無いのかもしれない。WBCに参加している多くの選手の給料を支払っているのは、アメリカや日本、あるいは韓国や台湾のプロ野球チームのオーナー達である。給料の高い選手ほど、参加しにくい、あるいは派遣しにくいであろう。でも、それはスポーツの本質とは何の関係もない。

 人は楽しいからスポーツに興じるのであって、それは町内野球大会でもメジャーリーグでもスーパーボウルでも高校野球でも、本質的に同じい。

 スポーツの好きな人は、一銭も貰わなくたって、否、それこそ大金を支払ったって、スポーツをやるし、見るだろう。

 あっ、そうそう、「ケガ」の話が出たので、ついでに「大谷とケガ」について。

 大谷の二刀流是非論が盛んだった頃、二刀流否定論者の主張のひとつに、「二刀流はケガが多くなる」というものがあったけど、少なくとも、大谷に関する限り、これはデタラメでしたよね。

 大谷のケガは、ここまでトミー・ジョン手術と日本ハム時代のハムストリングス(ダジャレですよ。念のため。)ぐらいで、ケガが全く無いとは言えないけれど、多くもない。平均的なケガ歴といって良いと思う。キャリア10年では、むしろ少ない方かもしれない。まして、トミー・ジョン手術なんて、現在では、ピッチャーにとってデフォルトのケガと云って良いくらいだし。大ケガではあるが、ケガのうちには入らないとも云える。

 医学的な予想なんて、今回のコロナ騒動に顕著だけれども、専門家も含めて、まるでアテにならないものだから、この意見を糾弾するつもりはないけれど、でもまあ、ただの「有り合わせの反論」でしかなかったって事だよね。

 ちなみに、コロナ騒動における専門家の意見というのは、最近叩かれがちだけど、コロナ流行のごく初期段階では、専門家は正しい事を言っていたと思う。「コロナは恐れる病気ではない」とか「感染者の8割は発症しない」とか「マスクに有意な効果はない」とか。コロナを恐れたがっていた、マスクを着けたがっていたのは、非専門家、一般大衆、庶民だよね。彼等が、専門家の意見を捻じ曲げてしまった。そういう点も、というか、そういう点こそ、太平洋戦争によく似ている。

 とまあ、世間はこの数週間、大谷とWBCに沸いていた訳であるが、その喧騒をよそにという訳もないけれど、大江健三郎が死んだ。

 大江健三郎といって思い出すのは、高校の国語教科書に掲載されていたエッセイである。それは、三島由紀夫の死を揶揄するエッセイであったけれども、それはヒドイものであった。

 ちょうど同じ教科書に、サルトルの「占領下のパリ」が掲載されていたのであるが、こちらはしたたか感心した。

 以降、20世紀のフランス人で最も文章が優れているのはサルトルだと思っていたのであるが、ここ最近、つっても5年ほど前だけど、フーコーを読んで、認識を改めた。フーコーの方がサルトルより上手い。そりゃ、売れる訳だ。いや、売れた訳だ。

 内容そのものは、サルトルもフーコーもたいした事は無いと思うけれど、ディドロの系譜のフランスの典型的な文人であろう。巧みな文章で、その時代流行の思想を紹介、あるいは解説するタイプの文人、まさしく文人である。

 もっとも、私はサルトルにもフーコーにも、勿論大江健三郎にも何のシンパシーも無いのであるが(ディドロは、ちょっとあるかな。)、ここでちょいと思ったのは三島由紀夫の死である。というか、三島由紀夫が死ななかったら、である。

 三島が自刃したのは、1970年の事であるが、三島がもし自死しなかったら、何を書いていたのだろう。どんな発言をしたのだろう。

 今現在は2023年、三島が生きていたら御年98歳な訳であるが、さすがに2023年現在まで生きているとは考えにくいが、70年代80年代90年代ぐらいまでは、重篤な病を得ない限り、あるいは重大な事故を起こさぬ限り、そうして勿論自刃しない限り、普通に生きていても、全然おかしくなかった訳である。

 世の中がどんどん豊かになっていって、バブル景気、そうしてバブル崩壊、三島は何を語っただろう。

 かつての自分があれほど恋焦がれた世界的名声をマンガ家達が得ていく様子に、三島は何を思ったろう。

 大いに興味がある。

 つか多分、「朝まで生テレビ」、出てたよね。大島渚とコンビで。コンビ漫才で。

 下手すりゃ、野坂昭如とコンビを組んで、ビートたけしの番組に出ていた可能性すらある。「つまんねー小説書いてんじゃねー、コノヤロー。『からっ風野郎』、テレビ放映すんぞ、コノ大根。」って、ハリセンでビートたけしにツッコまれていた可能性すらある。そうして、ガッハッハと、お得意の哄笑を見せていた事だろう。

 「文豪・三島由紀夫が、そんなバカな事をするか。」って声も上がりそうだが、してたと思う。かなり高い蓋然性で。

  もともと三島は時代と遊ぶようなところがあったから(全共闘世代と遊んでたよね。)、80年代から90年代にかけてのテレビに出演しないという選択肢は無かったと思う。
 ちなみに、三島はビートルズの武道館コンサートに、雑誌の取材だろうけど、年甲斐もなく、鑑賞、つか参加している。

 まあ、こんな妄想は、死んだ子の年を数える、というか、まさしく死んだ三島の年を数えるようなものなのであるが。

 そんな事を想った大江健三郎の死なのであった。

 そうして、いよいよ本題のジェフ・サタディさんである。

 事の始末は2022シーズンの記事に詳しい、というか、あまり詳しくもなく、書いてあるが、2022シーズン第10週より、解任されたライクの後任として、まさかまさかの暫定ヘッドコーチ就任。

 このタイミング、そうして外部からの招聘なので、そのまま2023シーズンも、暫定ではなく、正式なヘッドコーチとして、指揮をとるのかと思いきや、新ヘッドコーチはスタイケン37歳。サタディさんは、そのままオサラバなのであった。

 ヘッドコーチや監督のシーズン途中での解任というのは、あらゆるプロスポーツ、いや、アマチュアスポーツを含めてまで、よくある事なので、それ自体は驚かないが、暫定ヘッドコーチを外部から招聘するというのは、極めて珍しい事例かと思う。ちょっと記憶にない。

 こういう場合は、内部、すなわち現政権から、内部昇格させて、暫定ヘッドコーチにして、とりあえず様子を見て、良ければ、そのまま正式にヘッドコーチ就任、ダメならば、改めて新ヘッドコーチを探すというのが、一般的かと思われる。

 それをいきなり、現政権とは縁も所縁もない外部から招聘、しかも元スター選手で、ヘッドコーチどころかコーチ経験すら無し。

 という事は、謂わば「三顧の礼」で迎えたのかと思いきや、暫定ヘッドコーチ時の8試合1勝7敗の結果を受けてか、シーズンオフには単なる新ヘッドコーチ候補の一人に成り下がり、挙句、サヨウナラ。

 はっきり言って、私には何が何やら分からない。完全な闇人事である。1勝7敗という結果なので、ヘッドコーチといしての才能に見切りをつけたという説も無くは無いが、サマーキャンプにも参加していないコーチが、2か月間で何が出来るのであろう。しかもフットボールという究極のチームスポーツで、である。

 一部では、ライクではそこそこ勝ってしまうので、ドラフト順位を上げるため、すなわちタンキングのためにサタディを招聘したという説もあるけれど、それはあまりにサタディに失礼であろう。しかも、サタディになったから、必ず負ける訳でもない訳だし。

 とにかく、あらゆる意味で謎人事なので、私には、これ以上コメントのしようがない。とにかく、「サタディさん、お疲れ様でした。」、としか言いようがない。

 つか、私がサタディだったら、怒るよ、激怒するよ。そういう激怒のない点も含めて、謎人事ではあった。なんか、裏があるのか。闇があるのか。別に知りたくはないが。

 また、こういう元スター選手が、コーチ経験無しに、監督に就任するというのは、日本のプロ野球界ではおなじみの光景であり、私はそれに否定的なのであるが、アメリカのプロスポーツ界では、非常に珍しいケースかと思う。

 パッと思いつくのは、かつての所属チームでは無いけれど、ラリー・バードくらいである。あと、案外忘れている人も多いが、マジック・ジョンソンも暫定ヘッドコーチみたいな事をレイカーズでしている。それくらいかなあ〜。

 とはいうものの、個人的にはサタディ・ヘッドコーチには結構期待していた。というか、2,3シーズンじっくり見てみたいと思っていた。
 サタディは好きな選手でもあったし、なにより、あのマニングを一喝できる男なので、この20年間、ダンジー以降は、どっちかつうと、ソフトなコーチが続いていたので、モーラ級とまでは云わないけれど(あの会見の映像は、いまだインターネット上に垂れ流されているのか?)、ハードなコーチも良いと思っていた。返す返すも残念である。

 史上初、「元コルツ」から「現コルツ」への移行もしたかったしね〜。

                       私はみんごる二段。2023/3/29(水)
J.Snow
お仕事中。
  本当はここでJ・サタディについて書いて、スタータークラスは一応網羅したので、この Active Colts の項を一段落つけようと思っていたのだけれど、よく考えたらジャスティン・スノウがいた。ロングスナッパーである。一応スタータークラスである。記録上はスターターではないみたいだけど。

 という訳で彼について何か書かねばならないのだけど、ってもロングスナッパーだしなあ〜。何を書けばよいのやら。

 ロングスナッパーの評価に、安定感があるとかないとかいうのがあるけれど、安定感のないLSなんて速攻クビだろうから、あんまり意味の無い批評だと思う。だいたいどのチームのLSも安定感はあるだろう。うちのジャスティン・スノウも安定感はあります。だからこそ8年間やってこれたのだし(なかなかの古株。)。つーか、一発のあるLSつうのも、よく分からんし。安定感はないが、一発のあるロングスナッパーって一体 by キートン山田。

 しかしまあ毎度のことながら、このロングスナッパーというのは本当に不思議なポジションだと思う。おそらく全プロスポーツ選手中もっともよく分からないポジションだと思う。その分らなさ具合という点ではプロ野球のバッティングピッチャーやブルペンキャッチャーを凌ぐ。しかも彼らと違ってこのLSは試合に出とるし。
 素人考えからすると、控えのセンターにでもやらしておけば良さそうな気もするが、全チームとも専門職を置いている。あんな運動は、そこそこの運動能力さえあれば、半年もトレーニングを積めば誰でも出来そうな気がするのだが、素人にはうかがい知れぬ特殊な才能とかが必要なのであろうか。つうか練習さえすれば私でも出来そうな気がする。本当に謎めいたポジションである。

 また一方、採用されるロングスナッパーの側からみても謎めいたポジションである。LSは入団の段階でLSとして入団してくる。これはソージのバックアップQBと同じく、というかそれ以上なのであるが、彼らロングスナッパーは人生の20代30代をLSとして過ごすことに何の疑問も不満も感じないのだろうか。ロングスナッパーを何年か務めてTEや他のポジションに転向したという話は私は聞いた事がない。ちなみにJ・スノウは大学時代はDEだったみたい。
 まあ確かに大好きなフットボール、それもNFLの試合を間近で10年から15年ちかく見られて、その間に普通のサラリーマンの生涯賃金を手にすることが出来る。しかも、よほどヘマをしない限り、クビはない。なおかつ一年の半分以上は休暇。大ケガの可能性というリスクもあるっちゃあるが、お役所のある種の仕事の如く、おいしい仕事っちゃおいしい仕事であろう。にしてもなあ〜。それでいいのか。

 128試合連続出場中。フルネームは Justin Snow 。

                                    2008/8/3

 先日、カブスのゲームを何気なく見ていたら、サマラージャが投げとった。ノートルダム時代、ブレイディ・クインの相棒だったアイツである。一部では、クインの数字はむしろこのサマラージャが作ったものではないかという説があったが、メジャーリーガーになっとったのね。メジャー通算20勝、今季はここまで8勝である。

 とまあ、トラバーユの話から入ってみたが、先日、NFLでも、恒例の開幕前のロースターカットが行われた。コルツにも悲喜こもごもがあった訳であるが、その中の一人に、このジャスティン・スノウがいる。開幕前にカットされちゃった。

 まあ、35歳という年齢もあるので、本人的には、そんなにショックでもないだろうし、もしかしたら、本人の方から「もう、いい加減辞めたい。」みたいな話もあったのかも知れぬ。「チーム体制も変わったし、良い頃合だろう。」って事である。半分引退みたいなもんだろう。本人的には、「けっこう頑張ったって感じぃ〜〜。」だろう。
 それでもキャンプに呼んだというのは、後任に一抹の不安があったので、その力を見定めてからにしてくれという、チーム側からの要請もあったのかも知れぬ。

 で、報道によると、今季のスノウの年棒はおよそ92万ドルで、それもカットの大きな要因のひとつになったらしい。って、随分貰っとるな。ロングスナッパーの相場はよー分からんが、キャリア的に考えて、スノウはトップクラスであろうが、随分貰えるんだな、ロングスナッパー。キャリア12年だから、なんだかんだで1000万ドルくらいは稼いでいるのか。私は、生まれ変わったら、ロングスナッパーになりたい。

 ロングスナップという技術に、そこまでの価値があるのかは、まったく分からん。まあ、そんな事を言い出したら、全てのプロスポーツに同様のことが言えるのであるが。ホームラン50本打つ事に5億円の価値があるのかとか議論し出したら、収拾がつかなくなるだろう。

 しかし、上の記事にも同じ事が書いてあるが、考えれば考えれるほど謎めいたポジションではある、ロングスナッパー。素人考えだと、あんな仕事は、OLなりTEなりの控えにでもやらせればよさそうであるが、専業なんだよなあ。特殊な技術なのかなあと思っていたら、昨シーズン、ジェイソン・アレンがあっさり代行していたし、その難しさがフットボール素人にはサッパリ分からん。ゲーム的な重要性という意味ならが、リターナーの方を専業にした方が良さそうであるが、こちらは兼業だし。100年以上のフットボールの歴史から生まれた必然なのであろうから、それなりに理由があるのだろうが、フットボール素人にはサッパリ理解できん。

 ロングスナップという職種はともかく、彼もまた00年代コルツ黄金期の、欠かせぬと言っては大袈裟かもしれないが、それを支えた一員であろう。次の仕事も頑張って下さい。一生遊んで暮らすだけの貯えはあるだろうが。く〜〜、羨ましい。私は、生まれ変わったら、ロングスナッパーになりたい。

 でも、次の仕事を見つけるに際し、ロングスナッパーという経歴、ロングスナップという技能は、履歴書的に有利なのだろうか。「えっ、君、ロングスナップ出来んの、そりゃ素晴らしい、じゃあ、採用決定、いつから会社来れる。」つう風にはならねえだろうな、やっぱし。ロングスナップと英検準一級なら、英検準一級だろうなやっぱし、履歴書的には。

クーラーをつけると寒い。クーラーを止めると暑い。 2012/9/2(日)
R.Diem
正装。
 今季で8年目、古株ぞろいのインディオフェンス陣の中でも、けっこうな古株である。もはや彼より古いのは、マニング、ハリソン、サタディぐらいしかいない。R・ウェイン1位の時の4位である。そのウェイン同様1年目中盤からスターター、そのコルツいちの巨体でひっそりとペイトン・マニングのブラインドサイドじゃない方を守り続けている男である。

 サイレントアサシンとか言うほどの実力者ではないにせよ、決してアベレージプレイヤーでもない。典型的な中の上プレイヤーである。ランブロックは上々であるし、パスプロもまずまず、たまに漏らすのは御愛嬌といったところだろう。

 2,3年前に長期大型契約を結んでいた筈である。キャップヒット的には実を言うとリリースしたいところなのであるが、上のチャーリー以下後継者がてんで育っていないので、そうはいかないのが目下悩みの種である。実際、最近は怪我がちなのであるが、彼が引っ込むと途端にパスプロは崩壊する。全コルツプレイヤー中、マニングの次に、つまり事実上もっとも怪我されると困るのが、このディームさんとユーゴ君であろう。
 今ドラフト噂のセンター三人衆はOT出来んのか。それとも他に当てがあんのか、ムードさんよお。

 フルネームは Ryan Diem 。なんか面白いところあるのかなあ〜と思ってちょっと調べてみたが何も無し。マジメ君か。

 しかしRTって、ある意味両ガードよりも地味なポジションだな、派手なプルアウトもないし。ポイントオブアタックみたいのばっか。
                         2008/8/2

 過日、谷繁が2000本安打を達成したが、それはそれでお目出度い事なのであるが、現役25年で2000本安打というのも、果たして記録としてどうなのかという疑問は残る。まあまあ25年間現役をしたという事自体が偉業なのかもしれないが、平均すると年間100本打っていないというのもねえ。しかも谷繁の場合は、高卒1年目からそこそこゲームに出ていた訳であるし。

 まあ、もともと2000本安打、名球会なんていうのは金田が勝手に決めた指標であるから、どーでもよいと言えばどーでも良いのであるが、アメリカと違って、殿堂という制度がまったく機能していない日本プロ野球では、この名球会が選手を量る唯一の制度になってしまっているので、どうにかならんのかという気持ちもある。

 田淵や掛布のような昭和50年代を代表するスーパースターが名球会入りしていないし、ことヒットを打つという事に関してはイチロー以上ともいってよいような篠塚も名球会入りしていない。大卒・社会人上がりだった古田もギリギリ2000本を達成し名球会入りしているが、この古田もあやうく名球会入りを逃していたかもしれない。また、森や大橋、辻といった守備の名手も名球会入りしていない、というか出来ない。
 一方で、選手寿命が飛躍的に延びている現代では、谷繁のような打撃タイトルと無縁の選手でも名球会入りできてしまう。しかも、谷繁以上に「打てるキャッチャー」だった城島は名球会入り出来ず、である。昨年2000本安打を達成した宮本だって、バッターとしてではなくショートストップとして名球会入りすべき選手であったろう。

 まあ、例の緑のブレザーのセレモニーが名球会を殿堂より格上にしてしまったのであろうが、もう少し、選手を公平に評価する制度を作るべきであろう。2000本安打と200勝では、あまりにも画一的かつ単純に過ぎる評価基準である。そのためには、殿堂の地位や知名度をもっと上げるべきであろうが、日本人は殿堂の意味が全然分かっていないものなあ。所詮は借り物の制度という事か。そういえば、昭和名球会は平成生まれのプレイヤーにはどう対応するのだろう。もっとも、金田が死んじゃったら、名球会自体無くなってしまいそうではあるが。

 殿堂と云えば、前々から私は思っていたのであるが、何故に、水島新司は殿堂入りしていないのかという事である。こと野球の人気面に関して、水島新司は、長嶋と同等、あるいはそれ以上に貢献した人物であると私は思っているからだ。今現在50歳以下の野球が好きな人間で、水島野球マンガと無縁だった人は皆無といってよいくらいだろう。

 また、水島マンガは、その奥座敷に野村克也がいたことから、人気面のみならず実力面でも、日本の野球界に大きく貢献したと思う。50歳以下の人間は、良くも悪くも、知らず知らずの内に水島式野球観に冒されているのである。無論、功罪もある。
 配球というものが、殊更に重視されるのは、野村の影響もあろうが、水島マンガの影響も大きいだろう。また、「直球は攻めで、変化球は逃げだ」なんていう野球観は完全に藤村甲子園式野球観であり、その根源は、当時全盛を誇った魔球マンガ全否定の為のお題目である。もちろん、間違っている。「直球は攻めで、変化球は逃げだ」なんて考え方は野球には無い。あったとしても、特殊な野球観である。それが日本全国津々浦々に広まっているのは、水島新司の罪というよりは、その影響力の大きさを示すものであると思う。

 さて本題のディームであるが、ディームに関しては、はっきり云って、あまりシンパシーは無い。おそらく、マニング時代のコルツでもっとも思い入れの無いのが、このディームかもしれぬ。

 特に、スーパーボウル制覇以後、すなわちコールドウェル時代のコルツで最も私が不満を感じていたのは、このディームかもしれない。当時の記事で散々書いたが、そのパフォーマンスには大いに不満だった。引退が3年遅かったといっても良いくらいである。昨年あたりまで含めて、スコットがいてくれたら、リリージャがいてくれたらと思った事は数あれど、ディームがいてくれたらと思った事は一度も無い。実際、なんで、スコットやリリージャを放出してディームを残したのかは、後期ポリアン・コルツの大きな謎である。そこまで大袈裟じゃない。

 とまあ、何のシンパシーも無いディームに関して、何で今更記事を書いたのかというと、この選手名鑑の項目の整理の為である。もはや、現コルツでない人も大分混じっているので、そのお引越しの一環である。この記事を書く1シーズン前、すなわち2011シーズン限りで引退しとるし。

 で、今軽く、その後のディームに関してネットで調べてみたが、特別な情報もなし。幸せな老後を送っているそうである。

 でも、考えてみれば、マニング時代のコルツで一番上手くやった、悪い言葉で言えば、上手い汁を吸ったのは、このディームだったかもしれない。ドラフト4巡の平均的なRTで、スーパーボウルに2度出場1度優勝、伝説的プレイヤー、ペイトン・マニングの裏側、ではなく正面を守っていた、となれば、フットボーラー、一オフェンスライン・マンとしては、最高の経歴ではないだろうが。実力以上の経歴といってよいだろう。実力に見合う箔の付かない選手も多い中、彼は数少ない実力以上の箔を身に付けた選手といってよいのではないだろうか。金も儲かったしな。あとは気楽に地元の高校のHCでもやれば上々の人生といってよいだろう。

                             2013/5/23(木)

歌うたっとる。

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