インディアナポリス研究会コルツ部

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 私と
フットボールの
面白さ
 今、オリンピックで柔道をやっている。この競技やレスリングなどを見ていると、プロレスなるものがこの世に誕生した理由がよく分かる。

 折角のオリンピック期間なので、ちょいと私のオリンピック観をば。NFLと全然関係ないわけでもないと思うので。

 私がもっとも熱心にオリンピックを見たのはロスアンゼルス大会(もち’84)で、次のソウル大会では次のソウル大会ではすでに厭きていた。
 どうしてなのかなあ〜、とつらつら考えてみるに、結局のところその各々のスポーツがよく分からないということなのだと思う。ルールや簡単な戦術戦略は2試合も見ればおおよそ分るけれども、それ以外の部分、そのチームないしプレイヤーの技術や調子、気分といったものまでは、1回見たぐらいではさっぱり分らない。結局、勝ち負けしか見るところがなくなってしまう。昔、日本テレビがスーパーボウルだけ生放送していたけれどもさっぱり盛り上がらなかったのと事情はよく似ていると思う。スーパーボウルを堪能するためには、その前のプレイオフ、更にはレギュラーシーズンを見ておかなければならないのである。スポーツは継続観戦してはじめて、その面白さを堪能できるものである。その辺は、同じ娯楽でありながらも、映画やサーカスとは事情が異なる。落語や舞台などとは近いかもしれない。

 一般に個人スポーツよりチームスポーツの方が人気が高いのも同じ理由によるものだろう。選手は遅かれ早かれ引退するが、チームは引退しない。消滅や合併、移転がある以上、半永久的とまでは云わぬが、人間である一選手よりは息が長い。その長い分だけ、より面白く楽しめる。

 私も個人スポーツには余り興味がわかないのであるが、その理由は上に書いたものの他にもうひとつある。それは当然といえば当然なのであるが、個人スポーツはチームスポーツに比べはるかに単純だからである。もちろん個人スポーツも技術や戦術などそれなりに複雑であろうが、それらは、当然といえば当然であるが、チームスポーツの比ではない。チームスポーツではそれらは倍増累乗される。一人の優秀なプレイヤーが他の凡庸なプレイヤーに足を引っ張られたり、優秀なプレイヤーのみで構成されたチームが凡庸なプレイヤー達のチームプレイの前に敗れ去ったりする。一般にチームスポーツが個人スポーツに比べ番狂わせアップセットの多いのははっきりこの理由による。
 この複雑さを楽しむのがチームスポーツのひとつの醍醐味だろう。また、たいていの個人スポーツにリレーやダブルス、団体が必ずあるのもはっきりこの理由からだろう。マラソンより駅伝の方が盛り上がるのもはっきりこの理由からである。勘の良い人ならもう既に気付いていると思うが、その駅伝の複雑さもフットボールや野球には遠く及ばない。後者はそのチーム構成がより複雑になっているからだ。話はちょっと逸れるが、卓球のダブルスもこうした理由から生まれたものであろうが、あれは無意味だと思う。あの小さなテーブルでふたりで交互に打ち合うのは、複雑になっているといえばなっているだろうが、あまり意味の無い事だと思う。ひとつのボールをふたりで打つぐらいすればまだ変わるだろう。
 また、ビーチバレーやフットサルのようにプレイヤーの数を少なくしてより単純にしたものもあるけれど、これは面白くするためというよりも、より参加しやすくするため開催しやすくするための措置だろう。野球に対するソフトボールの位置付けに似ている。

 またまた話は逸れるが、格闘技で誰々最強みたいな議論がよくあるが、私に言わせれば所詮一対一じゃないかというのがある。フットボールやバスケットボールに於いては優れたプレイヤーは大概ダブルチームトリプルチームを喰らう。格闘技でもガンガンハンディキャップマッチをやらせるべきだろう。5対5、3対3の団体戦も有りである。勿論それは現行のような勝ち抜き戦ではなく、競技場に一度に5人3人を上げる、真の意味での、団体戦である。

 オリンピックのつまらなさに戻ろう。個人スポーツは上に書いたような理由からつまらないのであるが、オリンピックのチームスポーツは別の理由のつまらなさがある。それは国別対抗戦の弊害である。私はスポーツチームには熟成が必要だと考えている。メンバーをある程度固定し、あうんの呼吸とまでは行かなくとも、チームとしての意志や意向を統一させる。それにはどうしても一定の時間が必要である。オリンピックチームに限らず、所謂ナショナルチームにはどうしてもこれが出来ない。2,3ヶ月前にメンバー決定、1ヶ月ほど合宿して本番、これだと真の意味でのチームプレイは不可能である。最低限のチームプレイしか出来ない。共産圏のチームや一部のチームを除いて、ナショナルチームとは大抵このような、寄せ集めと言っては言い過ぎだろうが、にわか仕込み、作りたてのチームである。チームらしくなってきた頃には大概大会は終わっている。これがオリンピックに限らず国別対抗戦のチームスポーツのつまらなさと言うか、いまいち感の理由であろう。個々のプレイヤーが優秀であるが故に、そのいまいち感がより目立ってしまう。実際、チームとしては、今の日本代表野球チームより阪神や西武のほうが強いだろうし、アメリカ代表バスケットボールより今年のボストン・セルティックスの方が強いだろう。
 スポーツというものはレベルは低くても低いなり面白いものであるが(ボクシングなどはタイトルマッチよりも4回戦のほうが面白いぐらいである。)、このナショナルチームのいまいち感ちぐはぐ感というものは、どうしても興を殺ぐ。惜しいなあと思ってしまう。どうしてもエキシビションマッチ臭がしてしまうのである。オールスター戦っぽくなってしまうのである。サッカーのW杯よりヨーロッパチャンピオンズリーグの方が盛り上がるのも同様の理由からだろう。

 それならば、ナショナルチームで世界リーグみたいなものをやれば良いという意見もあるだろうが(もはやオリンピックではない。)、それは現実と言うものを知らぬ者の意見である。日本のプロ野球チームを大リーグに編入しろなどという意見も同様であるが、彼らは現実を知らない。地球には時差というものがある。我々NFLファンなら皆骨身に沁みているであろうが、外国のチームを応援するのは非常に難儀な事である。情報が遠いと言う事もあるだろうが、それより何より時差である。どんなに好きなチームの試合でも平日の深夜3時に試合を見るのは完全にバカヤロウである。仮に阪神が大リーグに編入されたとしても、そのシアトルでの試合の日本に於ける視聴率は1%にも届かないだろう。最近、アメリカのプロスポーツは外国で試合をしたがるが結局は失敗に終わると思う。スポーツは本質的にドメスティックなものなのである。

 スポーツは本質的にドメスティックなものなのであるという事に関して、もうひとつ。オリンピックの金メダリストを世界的なスーパースターのようにマスコミは扱うが、そんなことは決してない。どんなに優秀な選手であっても、結局のところ国内どまりである。国内外に知られたゴールドメダリストと言えばせいぜいカール・ルイスぐらいだろうか。それもギリギリである。中国の金メダリストの名を3人いえる日本人などほとんどいない。
 これはオリンピックに限らず、あらゆるスポーツに於いても同様であるが、スポーツ選手の世界的なスーパースターなどと言うのは有り得ない。どんなに強烈なプレイヤーでも国境を越える事はない。スポーツは本質的にドメスティックなものなのである。たったひとり唯一の例外がマイケル・ジョーダンである。強いて挙げればモハメド・アリが付け加えられるか。ペレやマラドーナはアメリカでの知名度に欠けるし、タイガー・ウッズは子供のヒーローではない。マイケル・ジョーダンが如何に尋常ならざるプレイヤーだったかと言う事である。しかも彼のスポーツ、バスケットボールは本国アメリカでも決してNO1スポーツではない。しかもシカゴ・ブルズはアメリカでも無名だったチームである。それがいまや世界一有名なプロスポーツチームである。というより、世界の津々浦々に知られたほとんど唯一のプロスポーツチームである。まったくもって前代未聞のプレイヤーである。

 つうわけで、えらく長くなってしまったが、私はあんまりオリンピックには興味が無い。積極的に観る気はしない。しかしそんな私でも積極的に見る競技がある。というか競技群がある。それはオリンピックでもなければまず絶対TV放映されないようなマイナー競技群である。弓矢を背負って山の中を走り回るような(たぶん、あったと思う、たぶん。)そういう競技群である。私はこういう競技群を観戦する事こそオリンピックを観る醍醐味だと思うのであるが、どうだろう。ところが最近、こういう競技、ほとんど放送されない。日本がらみの試合ばっかり、それも各局で再放送までしていやがる。まあ当然ちゃあ当然なのだろうけど。それにしても残念至極である。一昔前までは結構放送していたのだけどなあ。放送ルールが変わったのかしら。一昔前まではマイナー競技の放送が義務化されていたのかもしれない。今回はおとつい観たカヌーぐらいである。これはこれで凄かった、誰も話題にしないけど。こういう訳の分らん競技を(ちなみにそのカヌーは自然の、ではなく人工の渓流で競技していた。)、ビール片手にツッコミまくるのがオリンピック観戦の醍醐味だと思うのだけどなあ〜。ちなみに前回はバイクのクロスカントリーみたいのが凄かった。各局、この手のスポーツをガンガン放送しろ、日本の試合なんてどうでもいいから。あっ、CSとかでやってんのか。

 もはや「フットボールの面白さ」とは何の関係もない事をながながながながと書き連ねてしまったが、見る人が見ればわかるように、一応「フットボールの面白さ」と裏ではつながってます。つうことで次回は必ず「私とフットボールの面白さ」書きます。今回はとりあえずここで筆を擱かせてください。筆じゃなくてキーボードだけど。

 今週の名言
 16歳で体重30Kgしかないような女の子はオリンピック出る前に病院行け。by SI.COM

                 やべっ、平井理央が可愛く見えてきた。薄幸そうで。2008/8/16



 そのスットコドッコイな運営振りから各地で非難されている中国オリンピック委員会であるが、そんなに非難する事もないんじゃねえのとも私は思う。大いに笑わせてもらったし。口パクや民族偽装もすごいが、応援マニュアルって。応援なんか、好きにやらせりゃいいと思うが。

 しかしつくづく思うのは、一体中国は何をそんなにオリンピック開催を力んでんだかという事である。オリンピックなんてサラッと開催すりゃあいいのである。その程度のものである。オリンピックを開催しようが金メダルを百万個獲ろうが国の威信など高まることは絶対無い。実際そんな国、今までひとつもない。外国から尊敬されるとはそういうことではない筈である。それでなくたって中国人は元来スポーツ的なもの、人と争う事や体を動かす事が大嫌いな民族であるのに。ここにきて何をそんなに入れ込んでいるのだろう。百年に一度とか言っちゃて。まあ、もっともこれはあくまで日本の報道を通した中国のオリンピックであって、実際は違うのかもしれないけれど。外国事情のリポートには天才を要する。
 ちなみにオリンピックの主催はあくまで北京市であって中国ではない。

 ただまあ、とりあえずひとつだけいえるのは、中国人の漢字はやっぱり上手いという事である。簡体字であってもやっぱり上手い。美しい。

 もひとつオリンピック関連。それは日本のオリンピック報道についてである。どうして日本選手の活躍する試合しか放送しないのであろうか。まあ自国の選手にしか興味が無いと言われてしまえばそれまでかもしれないが、自国のチームを応援するにしたって、敵である外国チームの情報は必要だと思うのであるが、どうだろう。例えば、野球を例に挙げても、ライバルとなるであろうアメリカやキューバ、韓国の試合は一切放送されない。うかうかすると報道もされない。アメリカ対韓国の試合なんぞは結構劇的なものであったのだから、一試合まるまる放送しても良さそうなものである。アメリカ対キューバなども一スポーツファンとして興味津々である。ところがそういった試合、すなわち外国チーム同士の試合は一切放送されない。代わりに日本人選手のメダル獲得の試合の再放送や感動秘話ばかり放送しておる。敵チームの実力や調子を知っている方がより楽しく観戦応援できると思うのであるが、どうであろう。試合の分析や予想はスポーツ観戦の大きな楽しみだと思う。日本の姿しか目に映っていないのか。女子中学生の恋愛じゃあるまいし。

 事情はソフトボール、サッカー、バレーボール、柔道、みな同様である。みんなどうやって観戦応援してんだろ。野球より巨人、巨人より巨人の勝利という奴か。
 ちなみに男子バスケットボールの因縁の対決ギリシャ対USAはBSで深夜4時半過ぎからこっそり放送されてました。もっとも、その因縁となった埼玉での世界選手権のTBSによる放送、これはおそらく日本スポーツ報道史上最低のものであろう。亀田問題と違って、ほとんど誰にも批判されなかったけど。まあ、そんなものか、スポーツなんて。

 さていよいよ本題、というか余話になってしまったが「私とフットボールの面白さ」である。

 勘のいい人ならもう既に気付いていると思うが、フットボールの面白さとはここまで書いてきたオリンピックのつまらなさのちょうど裏返しである。
 フットボールの面白さというと、そのパワーやスピード、戦略や戦術、等々、巷間いろいろ語られているけれども、私にとってフットボールの面白さとは何より、その参加する人数の多さ多様性である。レギュラークラスだけで1チーム30人くらいいて、本格的にプレイする場合はコーチ陣やスタッフの数も非常に多い。ビデオを操作するだけのスタッフまでいる。

 そうした参加人数の多さという中でも特筆すべきは、ワンプレイに参加する人数の多さだと思う。フットボールに於いてはフィールド上にいるプレイヤーすべてがそのワンプレイに必ず参加する。このようなスポーツは、私の知る限り、他にない。
 ラグビーはフットボールより多い15人でプレイするが、そのワンプレイに参加するのは、スクラム時が最も多いだろうが、両チーム9名づつの計18名である。バックス陣は、突っ立っているだけといえば言葉は悪いが、基本的には参加していない、体は動かしていない。
 サッカーにおいてはせいぜい両チーム5名づつぐらいが最多であろう。セットプレイ時はもっと増えるが緊急時を除きすべてのプレイヤーが参加するわけではない。少なくともキーパーは参加しない。バスケットボールに於いても同様でボールの周りにいる3名づつ計6名ぐらいである。プリンストンオフェンスのようなものを採用すればほぼ全員だろうが、毎回ではない。バスケットボールにおいて最も多用されるオフェンスはアイソレーションでありツーメンゲームである。
 野球に至ってはもっと少なく、基本的にはバッテリーとバッターの3名のみである。外野手などは1試合で10回参加すれば多いほうである。オフェンス時は、ランナーになれば少し増えるが、基本的には9回に1回である。

 ワンプレイに必ず両チームのプレイヤー全員参加するスポーツはフットボールだけのように思われる。しかも22名と、その数そのものも多い。

 更にもうひとつ付け加えると、フットボールは単に参加人数が多いのみならず、そのポジションが非常に個性的である。単純にオフェンスディフェンスでは全然違うし、そのオフェンスもOL、QB、RB、WR、TEとポジションによって求められる運動が全然違う。ディフェンス陣の動きは割りに近いだろうが、それでもDLとCBでは随分違う。パンターやキッカーなんていう特殊すぎるポジションもある。あとLSとH。
 このようなスポーツは他にはない。サッカーやバスケットボールではポジションが違えど、求められる動きにそんなに差は無い。キーパーがちょっと特殊であるぐらいか。バスケットボールのFとGも違うといえば違うが、OLとQBほどではない。野球はそれぞれ個性的であるが、フットボールに比べれば数は少ない。投手、捕手、野手、打者、走者の5種類ぐらいである。
 同じようなポジションでも、例えば野球に於けるサードとファースト、サッカーにおけるセンターバックとサイドバックのように、それぞれ求められる動きはみな微妙に異なるのだから、結局は参加人数とポジション数は同じだという意見もあろうが、まあ確かにそういってしまえばこの論議はおしまいだろうが、大まかに分けたポジションが最も多いのはフットボールである事に変わりは無い。センターバックからサイドバックへの転向よりLTからQBへの転向の方が難しいのは自明だろう。

 こうした参加人数の多さ多様性が何をもたらすかと言うと、それは当然、複雑さである。一般に娯楽は複雑になればなるほど面白くなる。チェスより将棋、将棋より囲碁の方が複雑であり、その分だけ面白くなる。子どもが鬼ごっこよりテレビゲームを好むのもその複雑さゆえだろう。ドンジャラと麻雀はその特殊な例である。

 この複雑さこそフットボールの面白さの根源であり、スポーツ大国アメリカにおいてアルティメットスポーツ、アッパースポーツになりえた原因であると思われる。少なくとも、私にとってはそうである。複雑になればなるほど分析予想の楽しみが増す。

 このように書くとスポーツにランクがあるように思われるが、少なくとも観るスポーツとしてはスポーツにはランクがあると私は考えている。卓球と野球を観比べて、卓球の方が面白いと思う人は稀であろうし、アメリカでサッカーがからっきしなのも当然であろう。オリンピックなどは、きつい言い方かもしれないが、つまらないスポーツを一同に集めて開催し、人の目に触れる機会を与えるためのものと言う気がしないでもない。

 勿論ここでいうランク付けとはあくまで観るスポーツとしてのランク付けであり、やるスポーツとしてのランク付けではない。というか、やっていてつまらないスポーツなど存在価値は無いだろう。それは単なる訓練、トレーニングである。スポーツをやる上での面白さとは、よく分らないが、一番の理由は当人の向き不向きではないだろうか。マイケル・ジョーダンがフットボールをしなかったのは、何といっても、その「俺が、俺が」の性格からだろう。M・ジョーダンにとってはやっていて最もイライラするスポーツであるに違いあるまい。私の目からしても、やるスポーツとしてはサッカーやバスケットボールの方がフットボールより上だと思う。NFLを見ていても、誰とは云わぬが多くのプレイヤーに確かにやらされている感はある。確かにある。

                                       2008/8/18


 あんまり長らく書き込まないのも何なので、ちょいと書き込んで見ます。前項でちょろっと触れたサッカーとの比較です。
 まあ、はっきり言って、なかなかのサッカー批判になってしまうと思うので、サッカーファンの人からは非難囂々だろうけど、思い切って書いちゃいます。サッカーファンの方は我慢して読んで下さい。って、こんなへたれサイト、誰も読んでないか。

 その前に用語の統一。普段このサイトでは所謂アメリカン・フットボールの事を”フットボール”と表記してきたけれども、さすがにこの項では分りづらくなると思うので、アメリカン・フットボールの事は”アメフト”、アソシエーション・フットボールの事は”サッカー”と表記する事にします。でまあ一応使うかどうか分らないけれども、”フットボール”という言葉が出てきた際には、それはアメフト,サッカー,ラグビーといったスポーツを表す一般的な意味での言葉であると解してください。ゴールデンレトリバー,柴犬に対する”イヌ”と同じ用法です。いわゆる類概念という奴ですな。

 で、ここからいよいよ本題に入るのであるが、言いづらいことは始めに言ってしまった方が良いと思うので、いきなり書いちゃいます。私の思うに、野球はサッカーの10倍面白く、アメフトは野球の10倍面白い。つまり、アメフトはサッカーの100倍面白い。言っちゃった。サッカーをより面白くより面白くと改良してきたのがアメフトであるから、これは当然なのであるが。

 では何故サッカーはそんなにつまらないのかという事をつらつら考えてみるに、まあそれは何より、巷間語られているように、何といってもあの点の入らなさに尽きるだろう。決定力不足は日本代表チームの特権ではなく、サッカーの一大特性なのである。
 スコアレスドローという言葉がある。私はこの言葉を見るたびにいつも思うのであるが、この所謂スコアレスドローの試合を観て、というか観せられて、一体何を楽しむのだろう。とりわけ会場まで赴いたファンである。半日つぶし、チケット代,交通費,弁当代などで5000円ほどが消え、挙句スコアレスドロー。一体サッカーファンはこれのどこを喜ぶというのだろう。例えばこれが野球だったら、たとえ応援するチームが負けたにせよ、自チームのホームランやファインプレー,奪三振でそれなりに盛り上がれる。まれに0−0の試合もあるけれども、それはそれで白熱した投手戦ということで、手に汗を握れる。野球というスポーツの何より優れているのはこの点、大勝しても最低24回アウト、すなわち酷い目に遭わねばならない、逆に言えば大敗しても最低24回は喜べるところがあるという点だろう。最低でも24回の痛みに耐えねばならないスポーツ、それが野球である。
 そのほかのスポーツでも事情はだいたい同じだと思う。どんなに悲惨な負け方をしても、ひとつふたつは喜ぶところがあると思う。完封が頻繁なスポーツなどそう多くはない。我がアメフトでも年に数試合、そういう所謂プアな試合があるだろうが、あくまで稀である。あればあったで、それはそれで面白かったりもする。

 ところがサッカーはそれが大半である。スコアレスドローでなくとも、どちらかが零封される試合、それはほとんどといってよい。応援するチームが完封された時、サッカーファンは何を楽しむのだろう。野球のアウトやヒットのように得点にからまぬものの喜べるシーンのあるスポーツではない。ドリブルやパスでそうそう喜んでられまい。
 フーリガンの生まれるのも無理からぬことと思う。フーリガンはその観客の生活環境や性格、すなわち観客自身に問題があるように論じられる事が多いけれども、私はこのサッカーという競技自体にその発生の原因があるように思われる。0−0や0−1の試合を観せられたら、そりゃ荒れるしかないって。勝ち負けにしか関心を持てないスポーツ、それは観るスポーツとしてははっきり劣っている。勝ち負けだけならジャンケンにもある。

 では何故、サッカーがつまらないのか、得点が入りにくいのかといえば、当たり前っちゃあ当たり前であるが、それは当然手が使えないからである。手を使えない以上、プレイはアバウトにならざるを得ず、どうしても偶然に支配される部分が多くなる。しかもフィールドプレイヤーは手が使えないのにもかかわらず、キーパーは手が使える。これでは点が入らなくて当然である。キーパーの廃止、それはサッカーを面白くする為の第一歩目である。
 また、サッカーにはサインプレー,フォーメーションプレーがほとんどないが、これも同様の理由に起因する。プレイを決めたところで、手を使えない以上、そのプレイを正確に実行する事はほとんど出来ない。決める意味がないのである。サインプレー,フォーメーションプレーがほとんどないという事はそれだけ作戦、戦略戦術が単純にならざる得ないという事である。わたしは単純より複雑を面白いと感じる。サッカーにサインプレー,フォーメーションプレーがほとんどないのは野球やアメフトと違って時間が止まらないからだという意見があるが、それは間違っている。サッカー同様時間の止まらないバスケットボールやハンドボールにはサインプレー,フォーメーションプレーがあるからである。バスケットボールに至っては、だらけである。

 こうした手を使えない事に起因するプレイのアバウトさ、偶然性の高さこそサッカーの面白さだという意見もあるが、私はやるスポーツとしてはともかく、少なくとも観るスポーツとしてはその意見には与しない。このサッカーがつまらないからこそ、手を使え、キーパーのないフットボール、ラグビー・フットボールが生まれたのだし、更にはこのラグビーを改良して(その理由については「私とランプレー」の項で詳述する予定です。)アメリカン・フットボールが生まれたと考えるからである。
 このサッカーに於けるアバウトさ偶然性の極みがPK戦だと思う。タイブレイクにはいろいろな方法があるだろうが、あれは完全にスポーツではない。完全なギャンブルである。廃止しないのが不思議でならない。あれで勝敗を決して良いのなら、試合などしないで始めからPK戦をやるべきだろう。

 面白いサッカー、美しいサッカーという言葉があるが、これは裏を返せば、大抵のサッカーが面白くなく美しくないという証左であろう。

 さてサッカーとアメフトとの比較になるが、サッカーの余計な部分、ぶよぶよした部分をすべて削ぎ落としたものがアメフトであると私は思っている。フットボールの本質的な部分、エッセンスのみを残したものが所謂アメリカン・フットボールであると私は考えている。サッカー関係者が常にNFLやNCAAフットボールの動向を注視しているのも当然のことのように思われる。
 では、そのフットボールの本質とは何かというと、それは出来るだけ、最も効率的に、ボールをゴールに近づけるということだと思う。サッカー然り、ラグビー然り、アメフト然りである。そうしてその本質を最もはっきりとした形で、明確に、目に見える形で表したものがアメリカン・フットボールである事に異論の余地はないだろう。なにしろフィールドの造形にはっきりと表れ、ルールの中にはっきりと組み込まれているのであるから。サッカーに興じる者はすべからくアメフトを解すべきである。

 一応念のため断っておくが、余計な部分、ぶよぶよした部分があるからつまらないと言っているのではない。余計な部分ぶよぶよした部分があるからこそ面白いともいえるからだ。
 もうひとつ念のため改めて断っておくが、私はアメフトの方がサッカーより100倍面白いと書いたが、それはあくまで観るスポーツとしてであって、やるスポーツとしてではない。私はやるスポーツに、向き不向きを除けば、優劣はほとんどないと考えている。やれば、どんなスポーツでもそれなりに面白いだろう。温泉卓球は大概盛り上がる。しかしだからといって、それを金を払ってまで観たいと思う者はほとんどおるまい。私が述べているのは、そういうことである。競歩だってやれば、どうかなあ〜。
 そもそも、やってつまらない運動などスポーツとはいえない。それらは訓練、トレーニングである。また、同じ運動でも、人によっては訓練になったりスポーツにもする。例えば、ランニングなどはサッカー選手野球選手にとっては単なるトレーニングであるが、陸上選手にとってはスポーツである。その運動を面白いと感じるか否かが、スポーツとトレーニングの分かれ目である。ボディ・ビルディングという微妙なのもあるが、あれはどちらかというと、スポーツというより芸術に近いだろう。まことに微妙だが。

 これでとりあえずこの項はひとまず閉じたいと思うが、ついでという訳でもないが 最後に日本サッカーについて私の見解を述べたいと思う。

 Jリーグ誕生以来、我が日本ではサッカー論日本サッカー論が喧しい。ここでその流れに乗って私も私見を述べたいと思う。
 日本サッカーに欠けているものについては、あちこちでで論じられ、もはや語り尽くされている感もあるが、まあ確かに技術体力経験などいろいろそれぞれ欠けているだろうが、私の思うに、日本サッカーに最も欠けているもの、それは幾何学的精神である。パスカルの云う、あの幾何学的精神である。

 では、その幾何学的精神とは何かというと、所謂幾何学の教科書にあるような求積問題証明問題をイメージしてもらっても良いが、もっと簡単に、単純な算術的真理を重視する心と考えてもらってよいと思う。例えば、ここに100Mを10秒で走る男と11秒で走る男がいるとする。11秒で走る男が10秒で走る男に100M走で勝つにはどうしたらよいか。答えは2秒早くスタートする、である。私の云う幾何学的精神とはこういうことである。こうした算術的真理を重視する精神が日本サッカーには大きく欠けているような気がしてならない。そうして上にも述べたように、非常にアバウトなスポーツであるサッカーにはこの幾何学的精神が非常に重要なのである。なにしろ分らない事だらけ、決まってない事だらけのスポーツなのであるから。

 サッカーを得意とするのはブラジルやイタリア,スペインといったラテン民族の国々に多い。そうしてラテン民族こそ世界で最も幾何学的精神に富んだ民族である。この一致は決して偶然ではあるまい。そうしてこれらの国々はバレーボールも盛んなんだよなあ〜。そうして私はやっぱりサッカー同様、バレーボールが好きになれない。つまらないスポーツだと思う。

                                          2008/8/27
 

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