インディアナポリス研究会コルツ部

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私とMADDEN
カバージンクス
 もはや語り尽くされた話柄であるが、さっき風呂に入っていた時ちょいと思い出して、いろいろ考えていたら面白くなってきたので記念にちょいと書き込んでみます。

 まずは基本資料として2001年以降のMADDENのカバープレイヤーとその現況、そして参考資料としてNBAライブのカバープレイヤーを書き連ねてみます。

年度  MADDENカバープレイヤー  現況               NBAライブカバープレイヤー
2001  エディ・ジョージ         2004引退              ケビン・ガーネット
2002  ダンテ・カルペッパー      所属チーム未定          マイケル・ジョーダン
2003  マーシャル・フォーク      2005事実上引退          ジェイソン・キッド
2004  マイケル・ヴィック        事実上引退             ビンス・カーター
2005   レイ・ルイス           健在                  カリメロ・アンソニー
2006   ドノバン・マクナブ       一応健在               ドエイン・ウェイド
2007   ショーン・アレキサンダー   所属チーム未定          トレイシー・マクレイディー
2008   ヴィンス・ヤング        一応健在               ギルバート・アリーナス

 NBAライブのカバープレイヤーに現況を加えなかったのは、ジョーダンを除けば、全員当然現役バリバリだからである。あらためて書き連ねてみると凄味すら感ずる程である。バスケットボールとフットボールというスポーツの特性に違いはあるものの、あまりにも差がありすぎる。なにしろMADDENカバープレイヤーで現時点でNFLに在籍しているのは全8名中わずかに3名である。その3名の中でも、マグナブは今季中の解雇も十分有り得る話だし、ヤングだって2,3年後はどうなっているか分からない。まあ安泰なのはレイ・ルイスぐらいのものであろう。つくづく悪運の強い男である。

 しかしこうやってあらためて見てみると、もはやカバーJINXどころかカバーCURSEと言ってさえよいくらいである。なにしろ不調ぐらいならならまだマシな方で、下手すりゃ、というかほとんど引退なのだから。まじでシャレになんないっつの。エディやマーシャル・フォーク、ショーン・アレキサンダーの急激な衰えをあの時点で予想しえたものがどれだけいただろう。2008年現在、カルペッパーやヴィックがチームどころかNFLにもいないことを想像しえたものがどれだけいただろう。まことにおそろしい。これで近い将来、エイドリアン・ピーターソンが起用されるのなら、EAは逆に狙っているとしか思えない。ちなみにMADDENの姉妹品にNFLヘッドコーチというのがあるが、これにもきっちり退任直前のビル・カウアーが起用されている。

 うちのフリーニーやサンダースも狙われているだろうが、きっちり断って欲しいものである。お願いしますよポリアンさん。NEはおそらくチームとしてきっちり断っていると思う。ちなみにマニングさんはライバル会社のゲームに起用されているので、狙われることはまず無い。ちなみにそのゲームはその数年後NFLから使用権を剥奪されている、というかEAが独占した。ある意味、逆カバージンクスである。さすがマニングさん、こういうところでも、きっちり勝負弱さを発揮している。でもそのゲームそのものは結構面白いらしいが。たしかXBOX版は日本でも発売されていたように思う。買っときゃよかったか。

 もはや引き受け手はいないだろう。そうして今季はブレット・ファーブ。どう解釈すべきか。逆に復帰するのか。

                     インディでスーパー2012やるんだってよ。2008/5/22

 ちなみに今年のNFLヘッドコーチのカバーは我らがダンジーさんである。プチダンジー情報より。
                                                2008/7/10

 どうも、ラグビーの試合のパントですら、見ると心の痛むインディアナポリス研究会会長某です。精神科行こうかな。

 さて、毎年恒例となっている(なってはいない。)MADDENカバージンクスであるが、今年もおおよその結果が出たので、ここにまとめてみたいと思う。引退済みの選手はもちろん除きます。


 2002 ダンテ・カルペッパー
 何週目かは知らんが(調べる気ゼロ。)、デトロイトと契約、Week10より5試合連続スターター、Week15(@IND!)よりケガにより離脱、0−16にささやかながら貢献、不名誉の殿堂入りをする。2009年1月9日現在、一応ライオンズのロースターには居るようである(調べてないけど。)。

 2004 マイケル・ヴィック
 まあ、事実上引退しているようなもんだけど。正式に引退宣言したという話は聞いていないので一応。シーズン中、オークランドが契約するとかしないとかいう話をちらっと聞いたが、その後どうなったのでしょうか。でも、シーズン終盤のジャマーカス・ラッセルの様子を見ると、その必要もなさそうである。RBとして契約するという手は有るが。OAKでは有り得ないだろうが(有り得る?)。いずれにせよ、今年もしばらく裁判所で過ごす時間が長くなる事だけは間違いあるまい。あれっ、判決出てたっけ。アトランタ市民はEAスポーツに足を向けて寝れないこともまた事実である。

 2005 レイ・ルイス
 健在。50歳までLBしてそうだ。

 2006 ドノバン・マクナブ
 第何週だったかは忘れたが(調べる気ゼロ。)、ゲーム中にサイドラインに引っ込められ、はやスターター降格かと騒がれたが、後任予定のケビン・コーブのあまりのしょうもなさ、というかあまりの普通っぽさ加減に、翌週にはあっさりスターター復帰。それどころかプレイオフまで転がり込み、初戦も突破、2009年1月9日現在、スーパーも射程距離に入っている。レイ・ルイス同様、なかなかの悪運の持ち主である。
 話は換わるが、AFCからシーズン8勝のSD、NFCからシーズン9勝のこのPHIないしARIがスーパーに出ちゃったら、両チーム合わせて17勝(昨季のNEは16勝。)のスーパーボウルになってしまう。別にいいけど。The Fewest Win Bowl か。調べてないけど。

 2007  ショーン・アレキサンダー
 何週目かは知らんが(調べる気ゼロ。)、ワシントンと契約、Week7から出場(スターターは無し。)するも、古巣@SEAの直前にあっさりカット。その理由はL・ベッツが復帰したから、という元MVPに対してはあまりにも哀しい理由であった。三十路を過ぎたRBの悲哀を感じさせる話ではある。T・バーバーは引退して正解だったかも。
 来季は未定。

 2008 ヴィンス・ヤング
 MADDENカバージンクス業界(どんな業界だ。)今季最大の衝撃であろう。コリンズのおっさんにスターター獲られた。開幕週だか第2週だかに怪我をして、何週目だかに復帰するも、スターターの座は与えられず。連勝を守り通したコリンズのおっさんからスターターを奪えず。確かに、心の病を抱えているとはいえケリー・コリンズは実力者ではある。単純にクォーターバッキングだけを比較すれば、コリンズのおっさんの方がまだまだ上であろう。しかし全体3位、そして昨年は10勝を挙げている3年目のQBが、元ドラフト1巡全体5位とはいえ、引退間近のおっさんにスターター獲られちゃいかんだろう。これからどうすんだ。いやマジで。

 2009 ブレット・ファーブ
 MADDENカバージンクス業界史上(どんな史上だ。)最大の難物が今季のこのブレット・ファーブであろう。カバーに採用された時点では引退していたものの(契約時点では引退してなかったのだろうけど。)、MADDEN発売と共に(ここはちょっとウソ。)メラメラとやる気が燃え出し、勢い余って現役復帰宣言、ジェッツに移籍、C・ぺニントンを追い出し、チームをあわやプレイオフというところまで導くも、そのプレイオフが見えたところで突然原因不明の失速(ケガをしていたという説も有り。)、チームがプレイオフを逃す大きな要因となる。NYJのHCマンジーニはそのとばっちりを受けて解雇、でもすぐブラウンズのHCに就任。ファーブ本人は、さすがに今度は引退だろうと言われている。
 さて、これをどう見るか。評者によって意見の分かれるところではある。良いシーズンを送ったのか、悪いシーズンを送ったのか。昨季4勝のジェッツをあわやプレイオフというところまで導いたのだから、良いシーズンだという説もある。一方で、そもそも今年のジェッツはぺニントンがいたら、ドルフィンズの躍進もなく、楽勝でプレイオフに行けたという説もあり、そういった意味では、悪いシーズンだったとも云える。難しいところではある。
 ただひとつ確実にいえるのは、シーズン前の大事な時に面倒な仕事の増えたGBフロント陣にとっては、完全無欠のMADDENカバージンクスだったという事だ。プレイオフにもいけなかったし。もしかしたら最大の被害者は、何かにつけて現役のファーブと比較されたアーロン・ロジャースだったかもしれない。


 さて、2010は誰がカバーになるのだろうか。私はいくら積まれてもやらない。はした金で、人生、棒に振れんわ。

 でも、カバージンクスについて書くのは面白い、超面白い。来季からは歴史の項に移そう。


                     寒い、超寒い、ジレットスタジアムのように寒い。2009/1/10
 私とQB   のっけからネガティブな話柄ですまないが、私の嫌いなQBは3種類あって、1)左利き 2)スクランブル得意 3)ちびっこ のみっつである。わっマイケル・ヴィック、全部当てはまっている。嫌いというとちょっと違うかもしれないが、この手のタイプはちと厳しいというQBである。ではその理由をそれぞれ開陳しよう。

 1)左利き
 左利きQBの成功例はNFLの歴史にも何人かいるであろうが、私は基本的に好きにはなれない。理由はひとつだけであって、レシーバー陣が戸惑うからである。フットボール経験の無い私が言うの何ではあるが、左と右ではボールの回転が逆になるので、レシーバーはその分だけ獲りにくいのではないかと思う。もちろん3年4年とながらくコンビを組めば話は別であろうが、このサラリーキャップ制度下でそのようなコンビは今NFLで10組あるかどうかである。たいていは、ケガもあろうが、どちらかがいなくなってしまう。ましてレシーバー陣とQBが5年近くほとんど不動などというチームは皆無に等しい。我がコルツはそれに最も近いチームだろう。
 1番手、2番手レシーバーはともかく入れ替わりの激しい3番手以降には左利きQBは不利なのではないかと思う。プロなんだからすぐに合わせろという説もあるだろうが、プロだからこそ微妙なタッチが合わせづらいのではないかと私は思う。

 こういった状況下にある以上、左利きQBはあまりお勧めできない。マット・ライナートの順位が落ちたのは、ひとつにはこの理由があったからだと思う。

 また、OLの並びが逆になるという説もあるが、その辺は私にはよく分からない。未だ考察中である。OLの並びは相手DLに合わせるものだから、QBの利き手は関係ないと思うのであろうが、どうだろう。REに優秀なパスラッシャーを置くのは、確かにQBのブラインドサイドという理由もあるだろうが、それ以上に大きいのはTEがセットしないからだと思う。ランは基本的にTEのセットする方、すなわちLEのいる方に行くから、LEにはある程度ランストップ能力を求めるのだと思う。結果的に純正パスラッシャーはREという事なのだと思う。

 2)スクランブル得意
 私はスクランブルあるいはQBドローといった戦術そのものを否定しない。むしろ非常に有効な強力な戦術だと思う。しかしながら、この戦術の最大の欠陥はQBが怪我しやすい、あるいは怪我が蓄積しやすいといった点にあろう。マクネアやマクナブ、ヴィックといったスクランブルを好むQBが5年もスターターを張ると、いきなり体がボロボロ、ほとんど試合に出れなくなるというのははっきりこれが原因である。
 NFLのQBは10年近くスターターを張る事が、チーム戦略的にも、興行的にも、望まれる。ここが2,3年スターターを張ればよいカレッジとの決定的な違いである。カレッジでスクランブルが常用的に使われながら、NFLで使われない理由はこれのみである。QBを2,3年ごとに使い捨てるという戦略もなくは無いが、かえって非経済的だろう、チーム戦略的にも、興行的にも。

 3)ちびっこ
 これは今更説明するまでもあるまい。OLに匹敵する身長が無ければ、その分だけバックステップを踏まねばならなくなる。ジェフ・ガルシアなどは常にひとりバックステップ祭りである。彼にあと5インチ、せめて3インチの身長があればNFL史に残るWCOの使い手として大スターになっていただろう。


 以上がこれらのQBをお勧めできない私の理由であるが、QB関連としてもうひとつ、QBと強肩についても、ついでに書いておきたい。

 私はQBの肩は弱いのは困るが強肩である必要は無いと考えている。30ヤード、40ヤードがきっちり投げられれば、それで十分である。60ヤードも70ヤードも投げる必要は無い。そもそもそんな距離を投げなければならない状況など5年に1度あるかないか、というかキャリアを通して1度あるかないかである。しかもそれはほとんどやけっぱちで、勝敗の行方を握るものではない。単なる宝くじである。仕事ではない。
 肩が強ければ、その分だけ力をコントロールに割けられるという意見もあろうが、それは違うと思う。強肩かつノーコンはそれこそ掃いて捨てるほどいる。私の思うに、肩を強くすることは出来ても、コントロールを良くする事は出来ない。制球力は天性のものである。練習しても身に付かない者は身に付かない。世間一般の意見とは逆かもしれないが、野球やフットボール、その他のスポーツを見る限り、そうである。反対に肩は筋トレ等によりある程度は強くなる。遠くまで投げられるようになる。

 また私の見るところ、所謂ディープへのパスであるが、これはどちらかというとレシーバーの仕事であって、QBの仕事ではない、責ではない。QBがどれだけ正確にディープに放ろうとレシーバーが相手ディフェンスを振り切れてなければパスは成功しない。また逆にQBのパスがどれだけいい加減でもレシーバーが優秀ならばディープへのパスはもぎ取る事ができる。相手DBへのパスをインターセプトという奴である。R・モスの得意なプレイである。
 そうして勿論、ディープに放るだけの時間を稼ぐパスプロ、これも重要、非常に重要。

 ディープへのパスはレシーバーとラインメンの仕事である。一方で、3rd and 5 のクリア、これは何処かで詳述したが、はっきりQBのみの仕事である。私はこの能力こそQBでもっとも重要な能力だと考える。

 次回はQB論の実践編ということで「私とマニングとブレイディ」をお送りします。時期は未定だけど。おもいっきし未定だけど。

                                      2008/7/10

 「私とマニングとブレイディ」に行く前に、QB論の補足。若手QBとレシービングTEの関係について。

 若手、とりわけ有望新人QBを育てるのに、優秀なレシービングTEは必須みたいな論調をよく見かけるが、私はこの見解に半分賛成だが半分反対である。

 若手に限らず、一般のQBにとっても優秀なレシービングTEは確かに有り難い存在である。DBとマッチアップすれば体格でミスマッチを生み出し、LBとマッチアップすればスピードでミスマッチを作る。QBにとってこれほど有り難いターゲットは他にないだろう。若手QBは安心して彼に放り込み、オフェンスを進ませ、自信を深めてゆく。それゆえ、若手QBの育成に優秀なレシービングTEは必須である。確かにこの論理は正しい。しかしながら陥穽がある。
 オフェンスはそれなりに進んでいるので、一見すると、それはそれで良いように思われる。しかしながら、TEの作るミスマッチに投げ込んでいるためQBに真の意味での制球力は無い。しかも優秀なレシービングTEはチームに一人しかいないため、どうしてもそこにパスは集中し、ディフェンス側は非常に守り易い。結果的にどこかでドライブは止まる。

 優秀なレシービングTEは非常に安全なターゲットであると同時に非常に安易なターゲットでもある。したがって若手QBがここにばかり放り込んでいると、どうしても細かい、本当の意味でのコントロールが身に付かなくなる。その面白い例は昨季のイーライ・マニングである。

 彼は昨季の最終戦から著しい進歩を見せたといわれている。確かにその通りだろう。そうして私はその理由のひとつにフットワークの上達を挙げた。私はその理由のほかにショッキー不在およびバレスの怪我というのもあったとも思う。バレスはWRであるけれどもその体格から優秀なレシービングTEと同じ理由で常にミスマッチを作り出せるレシーバーである。ロスリスバーガーの大好きなターゲットでもあった。
 そのバレス、ショッキー共にイーライの大好きなターゲットである。彼らの健在時、素人目にも分るほどイーライは彼らにばかり投げ込んでいた。そこを狙われてインターセプトされても、それでもまだ投げていた。甘い甘いターゲットだったのだろう。ところが両者共に怪我をしショッキーは離脱、バレスも万全でない。結果的に彼ら以外のレシーバーにパスせざる得なくなり、当然、より微細なコントロールや駆け引きが求められた。ところが、やればやれるものなのである。彼は自信を深めたろう。イーライは言葉の正しい意味で成長したのだ。更にはレシーバーがバラける事となり、敵ディフェンス陣は的を絞りにくくなるという必然の副産物も生んだ。結果、ショッキーやバレスのいたときよりオフェンスはより進みやすくなった。

 スーパーボウルでの決勝ドライブ、そのキープレイがデビッド・タイリー(シラキュース!兄弟揃って。)とスティーブ・スミスのパスキャッチだったというのは象徴的である。タイリーのミラクルキャッチにに隠された感があるが、その後のサードダウンでのスミスへのパスも非常に素晴らしいプレイだったと思う。たしか10ヤードくらい残っていた筈である。パサー、レシーバーともに落ち着いた冷静なプレイだった。

 と同時に思い起こされるのはマイケル・ヴィックである。彼はいっつもアルジにばっかり投げていた。カイル・ボーラーとヒープにも同じことが言えるだろう。一方でカーソン・パーマーに優秀なレシービングTEはいない。さらにはブレイディ、彼には優秀なレシービングTEどころかオールプロ級のWRもいなかった。この環境がどれだけ彼の成長を促したろう。またうちのマニングさんもその若き日のフェイバリットはマービン・ハリソン。彼はオールプロ級どころかホール・オブ・フェイム級のレシーバーであるけれども、スピードや体格でミスマッチを作るタイプではない。タイミングとコントロールをQBに要求するタイプのレシーバーである。そういった意味では、まさしくQBを育てるレシーバーであろう。

 結論:優秀なレシービングTEは若手QBに安心を与えるが、成長は妨げる。QBはあくまでWRに投げてなんぼである。

 そういえばデビット・カーとアンドレ・ジョンソンにも同じことが言えるかもしれない。TEではないけれども、彼もまた体格とスピードでミスマッチを作るタイプのレシーバーである。ランディ・モスとカルペッパーも同じ、かなあ。ブリーズ、リバースとA・ゲイツとの関係についてはよく分からん。これは私の理論の例外かな。

                                       2008/7/12
 私と
マニングと
ブレイディ
  いや〜暑いですねえ。

 あとマニングさん、手術しちゃいました。膝だそうです。全治1ヶ月程度だそうです。このキャンプ直前の大事な時期に。手術するなら、シーズン終了後にパッパとしちゃえっての。ぐずぐずしてぎりぎりの段階で挙げ句手術ってのは、マニングらしいっちゃマニングらしいが。まあ開幕に間に合うよう、ぎりぎりまで待ったのだろうけど。
 しかしこれで、ハリソン、フリーニー、マニングと主力に手術が続きますなあ。まちがいなく、コルツ黄金期は黄昏てますなあ。

 というわけで「私とマニングとブレイディ」です。

 マニングとブレイディ、どっちが上か。ここ5年くらいNFL界を沸かした話題のひとつであるが、バンダージャットとビナチェリどっちが上かと違って、未だ結論は出ていない。ここはコルツファンとして一発、私も見解を明らかにしておかねばなるまい。

 まずはじめに、これはどこかでも述べたと思うが、QBとしての基本的な技術や能力ははっきりマニングの方が上である。これは贔屓の引き倒しではないと思う。コントロール、肩の強さ、フットワーク、リード、その他諸々の細かい技術どれをとっても、確かにブレイディも素晴らしく、マニングに肉薄しているだろうが、これらははっきりマニングの方が上である。
 言い方を変えてみよう。たとえば仮にマニングが今のNEにブレイディが今のINDに入ったとする。すなわちスワッピングされたとする。その時、マニングは昨今のブレイディと似たような結果をNEにもたらすであろうが、ブレイディが昨今のマニングと似たような結果をINDにもたらすことは難しいと思う。プレイオフに出たり出なかったりが精一杯だろう。

 そもそも私の思うにこの両者を同じ土俵で比べること自体がナンセンスなのである。両者共にいい迷惑である。なぜなら両者はそれぞれのオーガニゼーションにおける立場がまるで異なるからだ。

 マニングは、申すまでも無く、コルツというオーガニゼーションの中心である。是非はともかく、只今のコルツはマニングのために作られたチームである。プレイメーカーどころかチームメーカーである。一選手の為にチームを作るという事の是非はここではしばらく措く。そういった意味ではマニングの比較対象はトムリンソンやマイケル・ヴィックであり、ブレイディではない。余談になるが、ヴィック中心のチーム作りはたいそう難しかったろうと思う。前代未聞の難事業だったろう。

 一方でNEであるが、ここはオーガニゼーションに中心を置かぬチーム作りをしている。強いて挙げればビリチェクであろうが、とりあえずブレイディはチームの中心ではない。あくまでニューイングランドというオーガニゼーションの一部位であるにすぎない。極端な言い方をすれば、いくらでも交換はきく。余談になるが、中心を置かないチーム作りとは、これはこれで画期的な方法だと思う。これこそまさにNEの打ち出した新戦術であろう。

 そういった事情を説明するという訳でもないが、マニングを象徴するプレイがプレイアクションであるのに対し、ブレイディを象徴するプレイはQBスニークである。私はこの選手ほどにQBスニークを多用される選手を他に知らない。QBスニークなどというプレイは普通ゴール前、そうしてどうしてもタッチダウンが欲しいシーンに限られるものであるが、ブレイディは残り1ヤード未満ならどの位置でもスニークである。さすがに最近は随分減ったが、2,3年前は何かっつうとスニークだったと記憶している。QBスニークはおそらくフットボールの全プレイ中最も確実なプレイであろうが、にしてもである。
 ちなみにマニングさんは 3rd and Goal 残り数インチでも、余裕のショットガンである。件のNE戦(’06シーズンプレイオフ、つまり優勝したシーズン。)ではほんっとに久しぶりにスニークした。あれで勝ったと思ったインディファンは少なくなかったと思う。

 さらにもうひとつ、このふたりを比較すべきではないと考える理由にQBとしてのタイプの違いがある。マニングさんが、いわずと知れた古典的なポケットパサーであるのに対し、ブレイディはあくまでWCOのQBである。この両者は非常に異なるQBのタイプであるため、非常に比較がしにくい。古典的な例はマリーノとモンタナであろう。この両タイプは求められる能力が正反対とまでは言わぬもののベクトルはかなり異なる。
 ポケット内での我慢強さが求められるポケットパサーに対し、WCOのQBに求められるのは見切りの早さである。この見切りの早さとは、クイックリリースのように投げようと思ってからの早さではなく、投げようと思うまでの早さのことを指す。昨季のファーブの活躍はひとつにはこれに徹した事であろう。そうして、この見切りの早さに関して、私の知る限り、ブレイディと肩を並べるものはいない。とにかくその見切りの早さは尋常ではない。スナップされる前から空くところが分っているのではないかと勘繰りたくなるほどである。まあ、分っているんだろうけど。4WR、5WRのセットからのショートパスはもはや芸術の域に達している。一見の価値がある。私は先にマニングはNEにいたならばブレイディとほぼ同様のことが出来ると書いたが、これはちょっと難しいかもしれない。まあでも、勉強家のマニングならやるかな。
 ちなみにマニングに出来てブレイディに出来そうに無いものはいろいろあるが、中でも際たるものはディープへのコントロールだろう。30ヤード以上のパスをレシーバーの手の平ひとつレベルでコントロールできるのは、私の知る限り、マニング様ただひとりである。もはや芸術の域に達している。一見の価値がある。これはどれだけ練習してもブレイディには厳しいだろう。モスを必要とする者としない者の違いである。

 余談になるがビリチェクがパーセルズと袂を分かったのは、このWCOを採用するか否かの点だったと思う。ランに拘ったパーセルズとWCOに鞍替えしたビリチェク。ブレッドソーを切ったビリチェクとブレッドソーを拾ったパーセルズ。フットボールに対する根本的な考え方の違いである。パーセルズには意地もあったのかもしれない。意地でもWCOの軍門には降らぬという。

 閑話休題。マニングとブレイディを論じる際に話題になりやすいドラフト順位についても一言。確かにブレイディがドラフト史に残るスチールであった事を認めるのに私もやぶさかでないが、いちゃもんをつけさせて頂くと、一般にWCOのQBはドラフト時点での評価は低いのが普通である。モンタナをはじめ、ファーブ、八セルベックにこのブレイディとドラフト時点での評価はみな一様に低い。そうして突如颯爽とNFLに登場する点もよく似ている。スティーブ・ヤングはよく分からんが。理由はひとつにはWCOのQBに運動能力はさほど求められぬというのもあるだろうが、そもそもWCOという戦略がカレッジフットボールには向いていないというのもあると思う。
 カレッジの試合を一試合も見たことのない私が言うのも何であるが、成熟に時間の掛かるWCOは2,3年で結果を出さねばならないカレッジには不向きのシステムだと思う。選手個々の運動能力にものを言わせる如何にも対蹠的なシステムであるスプレッド系のオフェンスが大学では結果を出しやすいのとは如何にも対照的である。チャーリー・ワイスがカレッジでなかなか結果を出せないのはひとつにはこの理由があると思う。
 結果的にWCO向きのQBは大学で実績を残しにくくなる。これがドラフト時点での評価の低さの一因であると思われる。

 仰々しく始まった割には取り留めの無い論考になってしまったが、まあこんなもんかな。そうそう、ブレイディのプレッシャー耐性について。

 一般にブレイディはプレッシャーに強いといわれているが、私は決してそんなことは無いと思う。弱くは無いかもしれないが、決して強くはない。むしろ数少ないブレイディの弱点だと思う。プレッシャーを受けてあわくってインターセプト、こういうシーンはブレイディには意外と多いと思う。ブレイディのINTはたいていこのパターンである。

 一方、マニングにはこういうシーンはほとんど無い、というか皆無だと思う。プレッシャーを受けた時、セイフティバルブに放るべきか、投げ捨てるべきか、そのままサックされるべきか、それとも無茶投げすべきか、この辺の判断はマニングは本当に正確である。私の知る限り、間違えた事はない。フィルムラットの面目躍如である。正確すぎて駄目とも言えなくは無いが。昨季のスーパーボウルのイーライのように、時には出鱈目も必要なのが勝負事である。
 ちなみにマニングのINTのパターンは、何処かにも書いたが、アサイメントミス、レシーバーのルートランニングミス、リードミス、それらに加えて敵ディフェンダーによるマニングの予想を越えた動き、だいたいこれらのパターンである。技術的、あるいは性格的なミスではなく、たいがい知的なミスである。頭脳派にありがちっちゃあ、ありがちである。

 こんなところかなあ〜。
                                        2008/7/19
 

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