インディアナポリス研究会

中年の主張

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1点と
2ミニッツ
 シーズンも佳境の現在、こんな呑気なコラムを書いているのも如何と思うが、ちょっと思いついちゃったので、備忘録っぽく書いてみたい。

 なお、当コラムのタイトルが「初老の呻き」に変更されているが、ものの本によると、私の年齢が中年ではなく初老である事を知ったので、慌てて変更した次第である。

 さて、本論に入るが、フットボールを見ていると、よく実況席で、「これはあまり見ない点数ですね。」などと言ったりしている。例えば、9点、15点、17点、21点、24点、27点、28点辺りはよく見る数字であるが、16点や25点、26点、29点などはあまり見かけぬ数字である。そこで、フットボールに於いて、存在不可能な数字はあるのか、ちょっと考えてみた。それらの数字は、見かけないではなく、有り得ない数字ではないのかと思ったのである。

 まずは、0点。これは当然ある。NFLでも年に数試合は完封勝ちがある。

 次は1点。これは有り得ない。フットボールにおける最低加点としては、TD後のエクストラ・ポイントのキックによる1点というのがあるが、これは勿論タッチダウン後という規定があるので、1点のみを独立して取ることは出来ない。

 次は2点。これはセイフティによる2点があるので、当然可能である。そうして、2点が可能という事は、偶数得点は全て可能という事になる。

 次は3点。これはFGによる3点があるので、当然可能である。そうして、3点以降の奇数は全て「2のN乗+3」という形で表せるので、3点以降の奇数も全て可能という事になる。

 以上の考察から、フットボールの得点は1点以外は全て可能という事になる。1点以外だったら、極端な話、5億点でも、6兆3471億9302点でも可能という事になる。まあ勿論、フットボールには時間制限があるので、時間による上限というのがあるだろうが。

 でも、1以外は全て可能なものというのも、スポーツというカテゴリーを越えても、なかなか珍しいと思う。ちょっと思いつかない。1だけ不可能な数字の集合というのも、なかなか珍しいのではないだろうか。

 こんなことを考えても、フットボールへの理解が深まるとは思えないが、こういうことを考えていると、思わぬ形でゲームの構造が明らかになる時がある。

 例えば、上に私は、「フットボールには時間制限があるので、時間による上限というのがあるだろうが。」と書いたが、では、フットボールにおける最高得点というのは何点ぐらいだろうと考えてみる。

 まずは最も簡単最短時間で得点する方法としてはキックオフ・リターン・タッチダウンやQBやRBによる一発タッチダウンが考えられるが、それらだと次は相手の攻撃になってしまう。つう訳で、最も簡単な得点法は、おそらくディフェンスによるファンブルリカバーやインターセプトリターンタッチダウンである。そこから更に2点コンバージョンを決めて、次のキックオフでは、キッカーが確実にエンドラインに蹴りこみ、タッチバックにする。そうして敵の最初の攻撃で、またリターンタッチダウンを奪うという無限ループが、おそらくフットボールにおける最多得点方法になると思う。もちろん、敵はそれを避ける為に、最初の攻撃でいきなりパントしたり、QBが投げ捨てたりするかもしれないが、それらも全部ブロックやインターセプトでリターンタッチダウンしてしまう。

 これら一連のプレイに5秒から10秒くらい時間を消費するだろうが、仮に10秒として計算すると、10秒で8点なので、1分で48点、60分で2880点。このへんがフットボールにおける最高得点という事になる。まあ勿論、実現はなかなか難しいだろうが、NFLのチームが4歳児チームと対決すれば近い数字は叩き出せるかもしれない。

 ここで面白いのは、フットボールで最高得点をたたき出すためには、所謂オフェンスチームの力はまったく必要ないという点である。凶悪ディフェンスチームと確実にタッチバックできるキッカーがいれば、十分可能という点である。まあ、2ポイント・コンバージョンの為にオフェンスチームは必要になるが、これは別にキックによる1点でも良いので、深く考慮しない。

 逆にオフェンスチームの力のみで最高得点は可能かというと、これは不可能になる。それどころか勝利すら危うくなる。全てのシリーズでタッチダウンを取っても、返しのドライブで必ずタッチダウンを取られてしまうからである。

 これが他のスポーツ、例えばバスケットボールだったら、ボールを奪って4点プレイを決めまくる、サッカーだったら、ボールを奪ってロングシュートを決めまくるになり、ボールを奪うという点ではディフェンスの力が必要になるだろうが、ゴールを決めるに関してはオフェンスの力なので、こういう事にはならない。

 オフェンスがディフェンス的であり、ディフェンスがオフェンス的であるというフットボールの特徴は、こういう形でも良く現れていると思う。最高得点の考察から言っても、ゲームを作るのがオフェンスの役割、ゲームを壊すのがディフェンスの役割という事になる。そのへんは他のゲームとの決定的な違いである。QBが、4番打者ではなく、ピッチャーやキャッチャーに比せられるのも、そういう理由からであろう。ひと昔前の日本では、同じ投球だからといって、ピッチャーとQBを同列に見ていたが、これは本質から離れた愚考である。

 野球の話が出たので、最高得点法を考えてみる。野球に関しては、アウトを取られぬ限り、永久に攻撃を続けられるのだから、最高得点は当然「無限」という事になる。これはこれで間違いは無いのであるが、ひとつ落とし穴がある。なぜなら、野球というスポーツは、アウトを取られぬ限り、ゲームが進行しない、ゲームセット、すなわち、ゲームが成立しないからである。という訳で、より正確に表現すれば、無限に更新可能という事になろう。まあ、無限でも良いのだろうけど。

 このアウトにならない限り、ゲームが成立しないというのは、野球というゲームの最大の特徴かと思われる。他のゲームが、サッカーにせよ、フットボールにせよ、バスケットボールにせよ、勝ちチームの全てのプレイヤーが幸せな気分でゲーム終了する事が、現実的にはほとんど不可能にせよ、理論的には可能であるが、こと野球に関する限り、いかなる大勝でも、コールドゲームの規定次第では、最低24回は不幸な気分を味わなければ、勝利が確定しないのである。

 吉良高校の南海権左ではないけれど、ずう〜っとヒットを打たれまくって、攻撃側の体力が尽きて、試合放棄による不戦勝も有り得なくは無いのである。まあ、無いけどね。三振命令がでるだろうから、いやしかし、そこは敬遠を使えば、根性だけで勝てなくも無い。3日ぐらい粘れば、全員倒れるんじゃねえか。

 まあ、それはともかくとして、このアウトにならなければゲームセットしないというのは、野球というゲームの一大特徴かと思われる。逆に言えば、どんなに弱いチームも、最低25回は幸せな気分を味わえるという事になる。この辺が、他のスポーツに先駆けて、プロ化の成功した隠れた要因かもしれない。どんなに弱いチームのファンでも、最低24回は喜べるのだから、チケットを勝っても損は無いだろう。
 
 昔、野村監督が港東ムースの監督をしていた頃、自軍の選手が三振し、それを沙知代が例によって例の如く、ガミガミ罵声を与えていたが、それを見た野村がボソッと「そんなに叱らんでもええやないか。野球は誰かがアウトにならなければ終わらんスポーツやでえ。」とこぼしたのを、私は思い出した。

 1点の話題はこれくらいにして、次は2ミニッツの話題。

 フットボールでは終盤になると、敵のタイムアウトの数次第でニーダウンするが、はっきりいって私は、あれはどのタイミングでするのか、良く分かっていない。そこで考察してみた。

 その考察の前提として、まず1stダウンの段階では、時計は動いていないとする。攻撃権の移動等の理由で時計は止まっているものとする。すなわち、センターがスナップした段階で時計は動くものとする。
 また、ニーダウンからタイムアウトまでにも1秒ぐらいは時間は経過するだろうが、それらは考慮しない。
 これらは計算を分かりやすくする為の措置である。1stダウン時での時計の動きに関しては、タイムアウトをひとつ増やすという操作をして欲しい。

 1) まずは、敵側のタイムアウトが丸々3つ残っていた場合

 これは何秒残っていようが、とりあえずニーダウンは出来ない。4thダウン時でも時計が動いていないからである。残り時間5秒くらいだったら、パントでボールを蹴り出す、あるいはQBなりRBなりが逃げまくって時間を消費するという手もあるだろうが、20秒くらい残っていたら、とりあえずは1stダウンを目指さねばならない。

 2) タイムアウトが2つの場合

 残り40秒未満なら、ニーダウン。40秒以上ならば、1stダウン目指す。残り45秒ぐらいだったら、4thダウン時に、パントでボールを蹴り出す、あるいはQBなりRBなりがボールを持って逃げまくり、時間を消費するという手もあるだろうが、60秒くらい残っていたら、とりあえずは1stダウンを目指さねばならない。

 3) タイムアウトが1つの場合

  同じく80秒未満なら、ニーダウン。80秒以上ならば、1stダウン目指す。

 4) タイムアウトが0の場合

  同じく120秒未満なら、ニーダウン。120秒以上ならば、1stダウン目指す。この120秒というのが、おそらく2ミニッツ、1ミニッツでも3ミニッツでもなく、2ミニッツの根拠なのであろう。

 たぶん、これで計算は間違っていないと思われるが、もし間違っていたら、各自修正してください。

 まあ勿論、実際のゲームでは、フィールドポジションや得点差等々で、様々な選択肢がありえるだろうが、とりあえずは、これが基本となる。

                                寒くなってきた。2012/11/25(日)

 この記事で、私は「フットボールにおいて、1点はありえない。」と書いてしまったが、掲示板の「まだまだ初心者」さんからのタレコミ情報によると、なんと1点という可能性があるそうである。毎度の事ですが、ウソを書いて済みませんでした。

 その1点というのは、エクストラ・ポイント時のセイフティだそうである。エクストラ・ポイント時にセイフティされると1得点になるそうである。まあ、もちろん、エクストラ・ポイント時のセイフティというのは、普通に考えれば、エンドゾーン(自軍のエンドゾーンなので、90ヤード近く後ろという事になる!)まで、ボールが行くという事はほとんど無いと思われるので、まず無いだろうが、可能性は全く無いという訳では無いという事にはなる。少なくとも、理論的には可能である。

 しかも、それは何故か1点、2点ではなく、何故か1点なのだそうである。また、仮に、そのエンドゾーンまでいったボールを敵側がキープした場合、タッチダウンで2点という事になるのだろうか。リターンは認めていないのに、そこは認めているのだろうか。不思議。
 エクストラ・ポイントに関しては、キックでもパスでもランでも、失敗した時点で、プレイ終了かと思い込んでいました。完全に私の早とちりです。よく調べないで書いて、スンマセン。

 でも、水島新司が知ったら喜びそうなルールだなあ。

 しかし、今回のこの一件は、インターネットの力をまざまざと思い知りました。こんなしょーもない記事でも、書いてみるもんですなあ。ここで書かなければ、まず一生知ることの無い知識でした。使う事もまずないだろうけど。「まだまだ初心者」さん、ゴメンナサイ。

 つー訳で、タレコミ情報、中募集です。あんまり、がんがんタレコマれても、新宿警察署みたいに処理できなくなるので、中募集くらいで許してください。

 「まだまだ初心者」さん、ほんとうに有り難うございました。

                         ウソを書いて、すんません。2012/11/25(日)

 上の訂正記事を書いた後、「かつや」でロースカツ定食年末特別価格500円(店員流れ作業)を食べながら考えたのであるが、上の記事で「キックでもパスでもランでも、失敗した時点で、プレイ終了」と書いたが、ロング・スナップ失敗の場合は、当然その時点ではプレイ続行中、そこからランでもパスでも、極端な話、キックも出来るので、ボールが、例えば、雪や氷といった悪天候下などでは、コロコロ90ヤード近く転がって、反対側のエンドゾーンまで行く事もなくは無い。すると、セイフティの規定も当然必要になってくる。

 もっとも、何故、それが1点なのかという謎は残る。リターン・タッチダウンは認められていないにもかかわらず、である。リターンに関しては、ボール・ポッゼションの移行した次のプレイであり、セイフティはポッゼションの移行していない当該プレイという事になるのだろう。う〜む、深い。フットボールの世界は奥が深い。この言葉、この使い方でいいの。

 最初の記事を書いた時、二つ目の2ミニッツに関しては、「あんた、計算違うよ。」的なツッコミがあるかと内心ビクビクもし、期待もしていたのであるが、1点の方がツッコまれるとは。ぶっちゃけ、意外だった。まさしく計算外だった。

 それとも、このエクストラ・ポイント時のセイフティって結構有名なトリビアルールなの。知らないの俺だけ、みたいな結構恥ずかしい感じになってんの。人生、恥かいてナンボなので、別にいいけど。「恥の多い生涯を送ってきました。」で、いいんだろうけど。この言葉、この使い方でいいの。

                                    2012/11/25(日)

 上の記事で、「まだまだ初心者」さんは理論的には有り得るが現実的にはなかなか厳しいと述べておられ、私もその通りだと思っていた、この一点プレイ、現実に起きました。

 2013年、フィエスタボウル、オレゴン大学対カンザスST大学の一戦です。

 ただ、内容は私や「まだまだ初心者」さんが予想していたのとはちょっと違っていて、オレゴンのPATでキック、それをカンザスSTがブロック、そのボールをキープしたカンザスSTのプレイヤーが自陣エンドゾーンまで回り込んでリターンしようとし、そこでタックルされ、エクストラポイント時のセイフティという事で1点入りました、入っちゃいました。

 私や「まだまだ初心者」さんが予想していたのは、キックした側が90ヤード後方のエンドゾーンでセイフティになり1点を献上する、謂わば純正1点セイフティなので、キックした側に1点の入る1点セイフティとはちょっと違うが、エクストラポイント時の1点セイフティである事には変わりは無い。いや〜、現実に起こるんですね〜。びっくりしちゃった。しかも、こういう記事を書いた凡そ一ヵ月後とは、瓢箪から駒というか、犬も歩けば棒に当たるというか、藪蛇というか。使い方、全部間違ってるつっの。

 ただ、このプレイでいまいちよく分からないのは、ブロックしたカンザスSTのプレイヤーが何でボールをキープしに行き、あまつさえエンドゾーンに回りこんでまでリターンしようとしたかという事だ。NCAAはエクストラポイント時でもリターン出来んだっけ。それにしても、エンドゾーンまで回り込まなくても。

 いずれにしても、かなり珍しいプレイである事には変わりはなく、日本の実況席では審判協会の委員みたいな人が、「百年に一度のプレイだ。」とか「一生に一度、見られるか見られないかのプレイだ。」と言っていた。現地の解説者も、「非常に珍しいプレイなので、放送に立ち会えて嬉しい。」みたいな事を言っていたらしい。

 と、思って、今なんか調べていたら、2004年にテキサス大学対テキサス農工大学の一戦で同様の1点セイフティがあったらしい。さすがに、百年に一度は大袈裟だったって事か。今調べると、NFL以外では、エクストラポイント時のリターンは認められているので、こういう事も、無くは無いだろう。つか、あった訳だ。いずれにしても、珍しいプレイである事には変わりはない。いや〜、恐れ入りました。現実に起きた事にも驚いたが、何よりこのタイミングで起きた事に驚いた。書いてみるもんだ。いや、ホント。

                                  2013/1/5(土)

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