インディアナポリス研究会コルツ部

コラム

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<1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/…>
 
 DTの
ドラフトについて
 どうも、お久しぶりです。って、誰に挨拶してんだか。ここのところ仕事が忙しくて全く書けませんでした。忙しい、というか自分の人生でも1,2位を争うぐらい、がむしゃらにやらねばならない時に来ているので、なかなか、こっちの方まで手が回りませんでした。これからも、週一、ないしは10日に1度くらいの書き込みになると思います。ご了承ください。って、誰にお願いしてんだか。
 
 正直に言って、こんなサイトなんか運営している場合ではないんだけど、「追い込まれている時こそ、ギャグのひとつでもかませ」というのは私の人生訓のひとつなので、先に書いたペースぐらいでは書き込んでいきたいと思います。
 実際、仕事以外のことで頭脳を使うというのは、普通に考えられているより重要な事だと思う。単純にリフレッシュもするし。ただ、これからはNFLよりはNBAの記事の方が多くなると思いますが。

 純個人的なことを書いてしまったけれど、数年後に読み返してみたいという気持ちもあって、ちょいと書いてみました。不快な思いをした方、ごめんなさい。って、誰に謝っているんだか。

 しかし最近良く思うのだが、この手のホームページとかブログの管理人というのは、大げさに言えば、人類の歴史始まって以来の、前代未聞の立場だと思う。似たような例が思い浮かばない。

 今年一番のニュースはカーネル・サンダース(別名:バース)の人形が見つかった事だと思う。どこかのニュース番組で速報扱いで伝えていたが、確かにそれだけの価値がある話柄だと思う。

 さて本題であるが、DTのドラフトは難しい。というのも、DTというポジションは、他のポジションに比べ、敵のOLや味方のDLの力量に成績が左右されやすい、とか言うようなことを書こうと思っていたのであるが、調べてみると、ドラフト上位の選手は、他のポジション同様、それなりの活躍をしているので、DTのドラフトはそんなに難しくない様な気がしてきたので、この項、これで終わりにします。最低の書き込みだな、こりゃ。

 そうそう、昨年のドラフトで私が太鼓判を押したふたりのDL、グレン・ドーシーとクリス・ロング、彼らは数字的には伸び悩んだものの、両者共にチーム状態がチーム状態なので、環境が変われば数字も残すと思う。

                                           2009/3/12
 数字の読み方   NFLの記事を書くのは2ヶ月ぶりかあ〜。ネタそのものはいろいろあるんだが、いかんせん時間が。

 本題にはいろ前に時事ネタを何発か。時事ネタっつてもちょっと遅いけど。

 出てきたな、マジック・ジョンソン。マイケル・ジャクソンのお別れ会に。ステイプルス・センター代表つうならコービーだけで充分だろうが、やっぱり出てきたな、マジック・ジョンソン。さすがミスター・セレモニーだけのことはある。

 お台場のガンダム、これは見たい。世の中には種々様々な建築物があるだろうが、これほど馬鹿げたものは他にないと思う。ディズニーランドを凌ぐと見た。等身大ガンダムって。この調子で、等身大コアファイター、等身大ガンキャノン、等身大ガンタンク、等身大ザク、等身大ドム、等身大ズゴック、等身大アッザム・リーダー、等身大グラブロ、等身大ビグロ、等身大ビグザム、等身大ホワイトベース、等身大ムサイ、そうして最終的には等身大ア・バオア・クーを建造して欲しいものである。等身大ゼダンの門でもいいけど。その前に、まずハロか。等身大(これはある。)、つうかリアル・ハロ。りあるきっずはダメ。

 銃殺されちゃったな、マクネア。しかし銃殺されすぎじゃねえのか、NFLプレイヤー。私は10年以上NBAを見ているけれど、銃殺された選手なんて記憶に無いぞ。強いて挙げれば、ジョーダンの父親が挙げられるだろうが、彼の場合は特殊なケースだろう。あと、ペニー・ハーダウェイが子供の頃、拳銃で殺されかけたというのがあるくらいか。
 プレイヤーの絶対数が違うので、一概には比較できないけれど、銃殺され率、高すぎじゃないだろうか、NFLプレイヤー。MLBでも、銃殺された選手というのはパッとは思いつかない。銃社会という言葉だけでは解決できないと思う。別のファクターもあると思う。どういう環境で生きているんだ、NFLプレイヤーは。そういえば、うちのハリソンも拳銃事件に巻き込まれていたし。

 さて本題である。オフシーズンのスポーツファンの楽しみといえば、いろいろあるだろうが、そのひとつに先シーズンのスタッツをいろいろとひねくり回すというのがあるだろう。数字というのは人を騙すのに最も便利な道具であるが、それでもやっぱりつらつら眺めていると、いろいろなものが見えてくるものである。

 たとえば昨季のコルツのオフェンスの成績。例年コルツのオフェンス成績というのは、、ラン攻撃以外の各カテゴリーにおいて上位を独占するのであるが、昨季は軒並み低い。低い、っつても5位前後ではあるけれど。そのなかで、唯一リーグトップの成績を収めているのが3rdダウン成功率である。おそらく、これはここ数年ずっと1位だった筈である。ニュー・イングランドのオフェンスが猛威を振るった2007年シーズンですら、そのNEをおさえてコルツ、つうかマニングがトップである。

 一方で昨季のコルツのディフェンス、昨季はなかなか頑張った印象があり、実際、喪失ヤーデージもリーグ11位となかなか奮闘しているように、一見、見えるのであるが、実は違う。3rdダウン被成功率はKCと並んでリーグ31位の最下位である。0−16のDETよりも下なのである。ちなみにこのデトロイトはオフェンス・ディフェンスどのカテゴリーにおいても30位前後の数字が並んでおり、さすがに0−16の凄味を見せている。たまたま負けたのではなく、やはり実力で負けたのである。このDETの影に隠れているが、KCの成績も結構ひどい。

 閑話休題。コルツの話に戻すと、ヤーデージだけを比較すれば、獲得ヤーデージがリーグ15位のオフェンスより、リーグ11位のディフェンスの方がコルツを引っ張ったように見えるが、3rdダウン成功率を見れば、やっぱりコルツはオフェンスのチーム、マニングのチームである事が一目瞭然である。やっぱりコルツはオフェンスで勝ってきたチームなのである。

 ちなみに私はチームの攻撃力守備力の目安はヤーデージではなく3rdダウン成功率にあると考えている。ヤーデージでそのチームのオフェンス力・ディフェンス力を測ると、大きな過ちを犯すと考えている。昨季のこの両カテゴリーを比較すると次のようになる。

順位    獲得ヤーデージ   3rdダウン成功率
 1       NO           IND
 2       DEN          NO
 3       HOU          DEN
 4       ARI           SD
 5       NE           GB
 6       ATL           ATL
 7       NYG          NE
 8       GB            NYG
 9       PHI            DAL
 10      CAR           HOU

 あれ、あんま差が無いな。けっこう如実に差が出るシーズンもあるのだが、昨季はあまり無かったみたい。獲得ヤーデージよりも3rdダウン成功率で並べた方が、攻撃力がありそうな順目で並ぶと言いたかったのであるが、昨季はあまり差が無かったみたい。HOUが大きく落ち、INDとSDが大きく上昇しているのが目立つぐらいである。

 いろいろな意味で暑くなってきたので、続きは次回で。しかしDENは3rdダウン成功率で3位につけるQBをあんな形で放出しちゃって良かったのだろうか。災難としか言いようがない。

                                     2009/7/16

 信じられないくらいグダグダな感じで終わってしまった前回の続きである。

 前回オフェンスについて触れたので、今回はディフェンス編である。と思ってディフェンスの記録集を見たのであるが、ディフェンス成績の1位と2位のほとんどをPITとBALの両チームが独占していて、特筆すべきようなことは何も無い。AFC決勝にこの両チームが進出し、事実上のスーパーボウルといわれたのも納得する数字である。

 ちなみにちょっと面白いのはこの両チームに続く形でディフェンスの各カテゴリーの3位前後の数字を独占しているのがPHIということである。PHIはどのカテゴリーにおいても1位はないのであるが、ほとんど2位、3位、4位である。PHIのNFC決勝進出は多分に勢い的なものだと私は考えていたが、数字的な裏付けがあったのである。

 先ごろガンで惜しくも他界したジム・ジョンソンは確かな仕事をしていたのである。ダンジーやディック・ルボウに比べ他チームのファンに知られる事の少ない(いや、知られているか。)のDCであるが、彼もまたひとりの優れたディフェンス・マスターだったのである。謹んでご冥福をお祈りしたい。

 う〜む、こんなとこかなあ。なんか他にいろいろと書くこともあった気がするのだが。普段に増してグダグダな記事になってしまった。

 このオフシーズンには、4th and ギャンブルの事やら、ランオフェンスの事やら、3−4と4−3の事やら、マット・ライアンの事やら、いろいろ書こうと計画していたのであるが、まったく書けないままにサマーキャンプに突入してしまった(まあ、私がキャンプする訳ではないけれど。)。これが、暑さのせいなのか、それともパソコンの前にいることの多い仕事に就いたせいなのかはよく分からないが、また思い立ったらそのうち書きます。シーズン中の方がテンションが揚がって、書きやすくなるのは確かなので。

                                        2009/8/4
 
 ランとパス  70年代後半のラブコメ風のタイトルでありますが、ラブもコメディも出てきません。 ヘイトとトラジィしか出てきません。

 例によって例の如くのショーモナイ書き出しはともかく、今回は「ランとパス」の話である。サマーキャンプもたけなわのこの時期に、こんな原理的な話で申し訳ないのであるが、そもそもこの話柄は昨年から用意していたものなので、いい加減もうそろそろ書いてしまわないと、私の頭の中で腐乱してしまうので、この辺で文章にします。

 ポリアン一派の私は、ラン攻撃とパス攻撃を比べれば、もちろんパス攻撃派なのであるが、今回のこの論考は、ランとパスのどちらの攻撃が優れているかを決めるというよりは、ランとパスそれぞれの特徴をより明確にするといった内容になると思います。

 とはいうものの、この論考の発端は、「何故にパス攻撃の方がラン攻撃より優れるか。」であるので、まず議論の第1歩目はパスの方がランより優れる理由から始めたい。

 「パス攻撃の方がラン攻撃より優れる」という議論の、唯一にして、おそらく一切の根拠は、「人間はボールより速く動く事が出来ない。」である。裏を返せば、「ボールは必ず人間より速く移動する。」である。これが、フットボールのみならず、多くの球技において、「パスを回す」が最も基本的でオーソドックスな戦術になっている、おそらく唯一にして一切の根拠である。

 ボールのスピードは、おそらく最も速いであろう野球の時速150kmぐらいから、おそらく最も遅いであろうバスケットボールの時速80km(別に計測している訳ではないので、あくまで目分量です。)ぐらいまで、いろいろあるだろうが、いずれにしても人間よりは早く移動できるであろう。人間の場合は、最も足の速い人が最もスピードに乗っている時で、せいぜい時速40kmぐらいであろう。それより遅く移動するボールというのはちょっと考えられない。それより遅いボールを投げるなり蹴るなりする方が、はるかに難しいだろう。もちろん、特別距離が短ければ話は別である。時速40km以下で、ボールを10m以上移動させるのは、なかなか難しいと思う。不可能ではないだろうが、相当に微妙な手加減が必要になる。

 という訳で、ボールは、一定以上の距離では、必ず人間より速く移動するのであるから、ランよりパスの方が必ず有利ということになる。

 では何故、それでもラン攻撃というのがあるのかといえば、それは勿論、ランよりパスの方がはるかに不確実だからである。単純にボールを持って走るだけのラン攻撃に比べ、パスの投げ手が確実に投げ、それを受け手が確実に捕球しなければならないパスの方が、はるかに不確実なプレイであるのは自明であろう。私はフットボールでキャッチボールをした経験は無いが、野球のキャッチボールで30メートルほどの距離を100球連続で成功させるのは、プロならともかく、素人ではまず不可能だと断言できる。それなりの経験者でもなかなか難しいのではないだろうか。まず100球連続で相手の捕れる範囲にボールを投げる事がなかなかの難事業であるし、また100球連続でボールを捕るという事も、これまた難事業である。胸に投げられたボールも意外に落としてしまうものである。ましてフットボールは楕円である。野球のボールよりその難易度は増すのではないだろうか。未経験者なので、あくまで予想だけど。
 一方で、野球のボールだろうがフットボールだろうが、ボールを持って30メートルの距離を移動するのに失敗する人間は、まずいない。

 話は少し逸れるが、以上のような理由から、野球というゲームにおいては、上手い奴ほどボールを投げないという法則が成立する。例えば、セカンドゴロも普通はボールを一塁に投げてアウトにするが、より確実にアウトにしたければ、間に合うのであれば、自ら一塁まで走った方がより確実である。転ぶかもしれないけど。ピッチャーゴロなども同様であろう。また、より顕著なのは外野手である。頭の良いプレイヤーほど、ボールを投げず直接内野手に手渡す、もしくは、なるべく内野手に近づいてから投げるものである。外野手から内野手への送球は、内野手から内野手への送球に比べ、当然距離が長くなる。距離が長ければ長い分だけ、ミスをする可能性は高まる。ミスをする可能性が高まれば、その分、ランナーが先の塁へ進める可能性が高まる。捕ったボールをすぐ投げ返しちゃうのは、もちろんシチュエーションにもよるが、頭の悪い選手の特徴である。もしくは、チームのレベルの特徴である。少年野球では、「捕ったボールをすぐ投げ返せ。」とする指導が多いが、あれは日本の少年野球指導の数多い間違いのひとつである。

 話をフットボールに戻す。ランの方がパスより確実という話であるが、その確実性は、実際のゲームに於いては更に増す。なぜなら、実際のゲームには、野球と違って、ディフェンダーがいるからである。パス攻撃をディフェンスする場合、投げ手を邪魔する、受け手を邪魔する、ボールを邪魔する、の3つの方法があるが、ラン攻撃をディフェンスする場合には、走り手の邪魔をする、のひとつしかない。それもボールを掻き出す(クリッピングと言う名称だっけ。)ぐらいのささやかな抵抗しかない。進まれる距離に差はあるものの、勿論マイナスもあるが、ファンブルロストしないかぎり、ラン攻撃自体は必ず成立する。ラン・インコプリートは無いのである。

 この確実性こそ、長い間、フットボール界において、ラン信仰を支えていたものだろう。確かに、ランはパスより確実である。しかし、逆に考えれば、パスの確実性を上げれば、上記の「人間はボールより早く移動できない」という法則がある以上、パスはランより優れた攻撃になるのではなかろうか、つうか、なる、というのがこの論考である。

 パスの確実性を上げる方法は大きく分けて二つある。ひとつは戦術的に上げる方法であり、もうひとつは、申す迄もなく、練習である。
 戦術的に上げる、というか、上げた、最も有名な方法は、言う迄も無く、WCO、すなわちウェスト・コースト・オフェンスである。当然の事ながら、パスは、短ければ短いほど、確実性が上がる。ならば、その短いパスを多用してオフェンスを進めようというのが、すなわちWCOである。そのほか、戦術的にパスの確実性、もしくは生産性を上げる方法は、いろいろあるだろうし、これからもますます増えていく事だろう。

 そして、もうひとつの練習によってパスの確実性を上げる、これは説明の必要はあるまい。ただ、そのパス練習の時間をラン練習の時間に割いても、オフェンスの生産性という点では同じではないかという議論はあるかもしれない。しかし、これは私は間違っていると思う。オフェンスに同じ練習時間を割くのなら、それは練習内容にもよるだろうが、パス練習に割いたほうが良い。なぜなら、どこかでも書いたが、「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められるが、パーフェクトなパス守備はパーフェクトなパス攻撃を止められない。」からである。でもって、これが次回の議題になる。今日はこの辺でお開きって事で、お願いします。

 で、お開きにする前に、これに関連した話柄をひとつ付け加えさせてください。それは、サッカーやバスケットボールにおいては、このフットボールにおけるランパス議論が何故生まれないかという事についてである。

 それはおそらく、バスケットボールやサッカーにおけるラン、すなわちドリブルが、フットボールにおけるランほどに確実ではないからであろう。バスケットボールやサッカーのドリブルは、フットボールのランに比べると、はるかに人間の手を離れている時間が長い。バスケットボールのドリブルはともかく、サッカーのドリブルなどは、ほとんど自分に対するパスみたいなものである。バスケットボールのドリブルにしたって、フットボールのランに比べれば、はるかに不安定である。
 従って、これらのゲームでは、ドリブルとパスの確実性の差が、フットボールのランとパスほどには開いていないため、フットボールよりもはるかにパス重視、あるいはパスに対する抵抗が無いのであろう。むしろ、逆にパスの優位性の方が目立つと言うべきかもしれない。

                                           2010/8/12

 さて、プレシーズンゲームもめでたく開幕し、我がコルツも初戦を敗戦という結果で迎えた訳であるが、試合の映像を全く見ていないので、感想は全くありません。しかし、ボックス・スコアを見ると、パット・アングラーが何故か2サックを記録しておる。って、あいつパスラッシュ要員?

 とまあ、そんな戯言はさておき、前回の続きである。

 前回はパスの生産性とランの確実性という、両者それぞれの特徴について説明し、「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められるが、パーフェクトなパス守備はパーフェクトなパス攻撃を止められない。」という課題を提出して、稿を閉じたわけであるが、今回はその課題の説明となる。

 まずは、その課題の1行目「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められる。」についてから。

 これは、単純に数字上の問題からである。それに尽きるといっても良い。
 オフェンス側がひとりづつ敵ディフェンダーをブロックすると、ボールキャリアーと通常はブロックに参加しないQB(なかにはファーブやロスリスバーガーのようなブロックに参加する強者もいるが、)を除いた9人が9人をブロックできる。すると、ブロックされないプレイヤーが、ディフェンス側には2人残ることになる。この2人で1人のボールキャリアーを止めに行くことになるため、その2人が2人ともタックルミスをしない限り、ランは止まる。もちろん、ここではパーフェクトなラン守備が議論の前提になっているのであるから、必ずランは止まる事になる。

 もっとも、「ランは必ず止まる」と言っても、実際のゲームでは何ヤード進んで止まるかがランの成功不成功の分かれ目になるのであるから、「ランが必ず止まる」事自体には意味が無いかもしれない。
 また、その何ヤード進んだら成功かという事についても、実際のゲームでは、それこそ半ヤード進めば成功の場合から、どうしても10ヤード以上進んで欲しい場面まで、それこそシチュエーションによって様々であろうが、今回の議論はごく基礎的な一般論であるため、3回コールしてファーストダウンを更新できる4ヤードと更新できない3ヤードをひとつの目安と考えたい。すなわち4ヤード進めばオフェンス側の成功、3ヤードで止めればディフェンス側の成功とみなす。厳密に言えば3.3333…ヤードだけど、それだと表記がめんどくさいので3ヤードを目安にさせてください。

 では、2名の数的優位のあるディフェンス側がランを3ヤード以内に必ず止められるかというと、90パーセントに近い確率でランが来ると分かっていれば、私はこれは確実に止められると思う。この点に関しては、私に科学的根拠は何も無いのであるが、経験的な根拠はふたつある。一つ目はエイドリアン・ピーターソンである。

 ピーターソンのルーキーシーズン、私は彼のリーディングラッシャー(2000ヤードだったかもしれない。)は難しいと予想した。理由は怪我をするからと見ていたからである。結果的にピーターソンはリーディングラッシャーは獲れなかったのであるが、その理由は違っていた。ピーターソンは、2試合欠場したものの、大きな怪我は無かった。14試合出場でおよそ1300ヤードのラッシングにとどまった。前半戦は一試合100ヤード以上連発だったもの、シーズン最後の4ゲームはいずれも100ヤード未満、1キャリーあたりの平均も3ヤード台に落ちてしまった。何故か。理由は簡単である。敵チームがミネソタ戦はピーターソンのランを止める事だけに徹してきたからである。それこそ8メンフロントどころか、11メンフロントでピーターソンを止めに来た。そして結果的に止まった。この時、私はランは、ランだけを止めようと思えば、必ず止まると言う事を思い知ったのである。

 二つ目の理由はラグビーである。ラグビーは謂わばフォワードパスとブロックの無いアメリカン・フットボール(つうか、ラグビーにフォワードパスとブロックを付け加えたものがアメリカン・フットボールなんだけど、)、すなわちランしかないアメリカン・フットボールである訳だが、このゲームは、レベルが高くなればなるほど、まずトライ(アメリカン・フットボールにおけるタッチダウン)は生まれない。攻撃はことごとく完封されてしまう。そこで、どうやって得点するかというと、タッチキックなりパントなりでペナルティキック・ドロップキック圏内に入り、そこで反則等を奪ってペナルティキック・ドロップキックで得点すると言う、すなわちキックのみでゴールに近づき、キックのみでゴールを奪うという形だけになる。まあ、ラグビー・フットボールなのだから、それが当然といえば当然なのかもしれないが、ラグビーの華であるトライが見られないというのは寂しい限りである。そして、これがランだけではオフェンスは進まないと私が思い知った理由の二つ目である。もちろん、ラグビーではブロックが禁止されているが、その分はラテラルパスを使う事で、その効果は相殺されていると考えてよいだろう。

 実際、ラグビーを見ていると、何故アメリカン・フットボールにブロックとフォーワードパスというルールが加わったのかは、本当に心の底から良く分かる。遠い昔(っつても100年くらい前だけど、)、アメリカ人たちも今のラグビーみたいなフットボールをしていたのであろう。しかし、そのゲームがあまりに得点シーンの無い、タッチダウンのない、単なるキック合戦に終始しているのに業を煮やし、よりランを進めやすくするために、ブロックを認め、攻撃権という考え方を導入し、、それでもなかなか得点できないので、1回だけという条件付きでフォワードパスを認めたのだと思う。

 ちなみに、今のラグビーも、得点配分やスクラムの扱い等々のルール、更にそれに付随して戦略までもががどんどんアメリカン・フットボールに近づいていっている。さすがにフォワードパスを認めることは無いだろうけど。

 もっとも、ラグビーについては、詳しくも無ければ、深く考えた訳でもないので、細かく突っ込まれても困るのであるが、とにかく「ランは必ず止まる」という自論の経験的理由のひとつではある。

 しかしながら、「ランは必ず止まる」といっても、実際のゲームでは勿論、4ヤード以上のランはじゃんじゃん出ている訳である。それは何故かと問われれば、一つ目はまず、ボールキャリアー、およびブロッカーの個人的能力という事になろう。

 ボールキャリアーが、スピンターンやスティッフアームなどで、タックラーを二人以上かわせれば、そのままロングゲインになるし、同様に、ブロッカーが複数のディフェンダーをブロックできれば、それもそのままロングゲインの要因になろう。しかし、ここはあくまで一般論の話なので、そのような特殊な個人技は計算にいれない。勿論、実際のゲームにおいては、そういった個々の個人能力はゲームプランやプレイブックの大きな要素になるのではあるが、ここはあくまで一般論の話である。個々のプレイヤーの能力は同等という事が議論の前提である。

 4ヤード以上のランを許す二つ目の要因としては、タックルミスやアサインメントミス等のディフェンス側の何らかのミスが考えられるが、これは「パーフェクトなランディフェンス」という前提に反するので、論外である。

 そのほか三つ目の要因として、パスを予想しているところでのランというものも考えられるが、これも当然ここでの議論は「ランを予想している」というのが「パーフェクトなランディフェンス」の前提になっているので、同じく論外である。

 また四つ目の要因として、ディフェンスのプレイヤーが審判にぶつかってしまう等々の、所謂アクシデント、偶然というものも考えられるだろうが、さすがに、こういった偶然的要素までは計算に入れられないので、これも論外である。

 以上が「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められる。」という自論の理由の全てである。次は「パーフェクトなパス守備はパーフェクトなパス攻撃を止められない。」の説明に入りたいところであるが、あまりに暑いので(クーラーは効いているけど、やる気が出ない。)、次回つう事でひとつ。

                                             2010/8/17

 ふと気が付いたら、何故かジェームズ・ポージーがペイサーになっていた。ポージーは個人的には大好きな選手なので、それはそれで大歓迎なのであるが、しかし、それでいいのか。それでなくてもSF過多なのに。軸はダレン・コリソンなのだろうけど、そんなにSFばっかり集めちゃって良いのだろうか。ポージーはトレード要員なのか。ハンスブローも、体格的にはともかく、プレイスタイル的にはSFだろうし。まあ、PFに固定する心算なのだろうけど。マーフィーも処分できたし。しっかしSFだらけだな。SFはジューヌ・ヴェルヌだけで十分なんじゃ。

 とまあ、唐突なNBA話はともかくとして、「ランとパス」の第3回である。しかし3週目になると、いい加減、書いている方も何を書いているのか分からなくなってくる。暑さもあるし。読んでいる方はもっと分からないだろうが、お付き合い下さい。こういう著者の自慰行為を眺めるのも読書の愉しみのひとつです。

 さて、前回は「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められる。」についての解説だったが、今回は、その一文に続く「パーフェクトなパス守備はパーフェクトなパス攻撃を止められない。」についての解説である。

 「パーフェクトなラン守備はパーフェクトなラン攻撃を止められる。」についての論理的根拠は数的優位であったが、数的優位であったら、同じ事はパスディフェンスについても云える。レシーバー、パスラッシャーにそれぞれひとりづつ就け、余った一人はパスラッシュなりパスカバーなりに割く事ができる。数的優位という意味においては、パスディフェンスもランディフェンスも同様である。

 しかしながら、この数的優位というのは、パスディフェンスに関しては、ほとんど意味を成さない。なぜなら、手のひら一つ分、ボール一つ分、隙間が空けば、そこにパスを通す事は、平均的なプレイヤーでも、十分可能だからである。つまり、この稿の第1回目の冒頭に書いた「ボールは必ず人間より速く移動する。」という原理が、ここで生きてくるのである。

 この点に関しては、同一局面に常に同人数が配置されるアメリカン・フットボールより、局面により配置される人数が流動的なサッカーで説明した方が分かり易い。サッカーにおいては、例えば8人で守っているところに2人で攻めていって、キラーパス一本(表現が古いな。)で得点する事は十分に可能である。8対2みたいなシチュエーションで得点するのは、なかなか難しいかもしれないが、6対3ぐらいでパスをまわして得点するというのは、サッカーではよくあるシーンである。これはすなわち、人間はボールより速く動くことが出来ないからである。もちろん1000人ぐらいでペナルティエリアを埋めちゃえば、どんなにパスを回しても得点はほぼ不可能だろうが、そんなのはルール違反なので、鼻から論外である。

 一方で、8人で守っているところに1人で攻めていって得点するというのは、先のラン攻撃における数的優位の原理から、まず不可能である。まあ中にはマラドーナやペレのように9人で守っているところに1人で攻めていって得点しちゃう強者もいるにはいるが、それは非常に稀な例外である。実際、サッカーの百年以上の長い歴史の中で、ペレとマラドーナの2人しかいないのである。しかもサッカーは全世界的に普及しているスポーツである。その総プレイヤー数はアメリカン・フットボールの比ではない。その中でたった2人である。ドリブルで数的優位を覆すというのが、如何に難しいかというのが良く分かる。

 その数的優位を覆すという点に関しては、 ボールを蹴って進むサッカーのドリブルに比べて、ボールを抱えて走るアメリカン・フットボールのランの方が、はるかに容易いだろうが、難しい事には変わりないだろう。現役のプレイヤーでそれが可能の選手としては、エイドリアン・ピーターソンとクリス・ジョンソンぐらいしか思い出せない。彼らも、まだ若いこの時期だから、それが可能なのであって、キャリアを通して、それが可能かというとなかなか難しいだろう。キャリアを通して、それが可能だったのはバリー・サンダースぐらいだろう。サンダースの恐ろしいのは、キャリアを通しての一試合平均ヤーデージが100ヤード近い(正確には99.8)という点である。他の大物プレイヤーでも軒並み80ヤード台である。もちろん、サンダースの場合は、力が落ちる前に辞めたという理由もあるだろうが。

 いずれにしても、ランで数的優位を覆すのには超人的な能力が必要という事である。一方、パスで数的優位を覆すのは、そんなに難しい事ではない。というか、日常茶飯事である。なぜなら、ボールは人間より速く動くからである。マンマークにせよゾーンで守るにせよ、完全にパスコースを封鎖するというのは事実上不可能である。時間が経過すればするほど、必ずどこかが空いてしまう。そして、空いてしまえば、一定以上の力を持ったパサーとレシーバーなら、必ずパスを通せる。パスラッシュが、パスディフェンスにおいては最も有効な手段であるというのは、この時間を短くして、パスコースの空く可能性を低めるからである。

 話はちょっと逸れるが、マンツーマンとゾーンについて、ここで軽く触れておきたい。
 かつて、誰だったは忘れたがJリーガー(古いな、表現が。2)が、「あらゆるディフェンスの基本はマンツーマンである。」と述べていたが、これは蓋し名言である。確かに、「あらゆるディフェンスの基本はマンツーマンである。」。ただし現実にはなかなかそうはいかない。11人のプレイヤー全てが身体能力的経験的に敵の11人のプレイヤーを圧倒的に上回っていれば、それこそ大人と子供ぐらい差があれば、話は別であるが、実際は当然、攻守両プレイヤーの能力はおおよそ同等である。というか、同等でなければ観客を呼べるマッチメイク、プロのゲームにはならない。
 そして、身体能力的経験的に同等であれば、当然ボールを持っている側、攻めている側が有利になる。主導権が握れるからである。将棋の先手番みたいなものである。野球において、ピッチャーが主導権を握っているというのも同じ理由である。そこで、野球の場合は、ボールを握っている方が失点する側攻められる側、すなわち守る側であり、ボールを握っていない方が得点する側、すなわち攻める側というユニークな特徴が生まれる。

 野球の特徴はともかく、マンツーマンで守っている場合、主導権をオフェンス側に握られている以上、必ず最終的にはやられてしまう。ジリ貧になってしまう。そこで生まれたのがゾーンディフェンスである。この守り方だと、レシーバーを追いかけない分だけ、いくらかディフェンス側の、特に体力的な負担が減る。もちろんレシーバーを常時フリーにしている以上、完封する事は不可能になる。100%守る事を諦める代わりに、70%確実に守るというのが、ゾーンディフェンスの基本的な考え方になる。
 もちろん、実際のゲームにおいてはこのゾーンとマンツーマンを複雑に絡み合わせて守るわけであるが。

 話をパスオフェンスに戻すと、以上のような理由から、パス攻撃というのは、オフェンス側が正確にプレイできれば必ず成立するという事、すなわち「パーフェクトなパス守備はパーフェクトなパス攻撃を止められない。」となる。しかも一回の攻撃で進める距離がランの場合、平均して4ヤード前後であるのに対し、パスの場合、成功すれば10ヤード前後が見込める。すなわち2倍である。そしてランの場合、ショートはともかく、ロングゲインに関しては、ほとんど個人の能力、それも特別なプレイヤーの個人能力頼みであるのに対し、パスの場合、平均的なプレイヤーでも20ヤード、30ヤードのパスは十分可能である。練習するとしたら、当然パスオフェンスに多くの時間を割くべきではないだろうか。そして、結局のところ、チームの最終成績もこのパスオフェンス能力どおりに並ぶのではないだろうか。この十年間を見ても、スーパー進出チームは、冬にプレイオフがあるにもかかわらず、ほとんどがパスオフェンスに長けたチームである。優秀なQBを有するチームである。ボルチモア、タンパベイ、シカゴあたりが例外だが、タンパベイとシカゴはカバー2、それも強力なカバー2のチームなので、パスオフェンスはともかくパスディフェンスで勝ち上がったと云えるだろう。なかなか難しい事だけど。ボルチモアは非常に特殊な、それこそ10年に1度の例外と云うべきだろう。あれだけのディフェンスは奇跡に近い。ロスリスバーガーのピッツバーグは、どう見るかは難しいところだろう。

 細かいところはともかく、おおよそにおいては、パスオフェンスの出来不出来が、そのままフットボールの出来不出来につながるという事は、以上のような理由から間違い無い事だと思う。だからこそ、クォーターバックが、このスポーツの中心にいるのだと思う。ランニングバックではない。すなわちラン攻撃ではない。実際、いつどの時代に於いても、たいがい優秀なQBは優秀なチームに直結するが、優秀なRBはそのまま優秀なチームに直結しない。エイドリアン・ピーターソンがいても、スーパーボウル・コンテンダーになれなかったミネソタが、ファーブが来た途端、いきなりスーパーボウル・コンテンダーになったのが、最近の良い例だろう。クリス・ジョンソン擁するテネシーも結局はQB次第である。

 以上、3週にわたって長々とランに対するパス優位を説いてきたけれども、勿論、実際のゲームでは、ランとパスを巧みに組み合わせなければ、オフェンスは進まないのだけどね、ちゃんちゃん。

 ただまあ、ランのみでオフェンスを進めるのと、パスのみで進めるのを比べれば、今まで述べてきた理由から、パスのみの方がオフェンスは進むだろう。

                                            2010/8/25

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