インディアナポリス研究会コルツ部

インディアンス同好会

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2023

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前口上  はいっ、始まりました、まさかの新企画「インディアンス同好会」どえっす。

 「インディアンス同好会」といっても、「クリーブランド・インディアンス」の同好会では全然無く、「インディアナポリス・インディアンス」の同好会でやんす。まあ、そんな事している暇があったら、5年以上放置している「ペーサーズ局」を何とかしろつうツッコミもあろうが、なんとなく「楽天TV」に入る気がしないんだよねえ。

 まっ、そんな楽天TV批判はともかくとして、「インディアンス同好会」である。インディアナポリスのプロスポーツチームというと、私がグダグダ書いているペーサーズ、コルツの他にWNBAのフィーバーがあるが、その他に、所謂マイナーリーグ所属のチームがある。そのマイナーリーグ所属のチームのひとつ、インディアナポリス・インディアンスについて、色々書いていこうというのが、この新企画「インディアンス同好会」なのであーる。

 まず、あらかじめ、はっきり断っておくが、私はインディアナポリス・インディアンスのファンでは全然無い。つか、何も知らん。

 では、そんな人間が何故に、こんな企画を始めたかというと、まあ折角「インディアナポリス研究会」を名乗っているのだから、コルツやペーサーズ以外のプロスポーツチームについても触れておきたいという気持ちもあるが、何より「マイナリーグがどんなもんか」というのを知りたい気持ちの方が大きい。

 アメリカのベースボールのマイナーリーグというと、日本のスポーツファンなら、その存在ぐらいは誰でも知っていると思うが、実際のところ、それがどんな調子で運営されいるのか、開催されているのか、興行されているのか、知っている人は少ないと思う。私も全然知らない。それに関する著作も、私の知る限り、大昔私の紹介した「綱島理友のアメリカン・ベースボール徹底攻略ブック」ぐらいである。

 日本人の多くは、私も含めて、マイナーリーグの存在は知っていても、その実情は知らないと思う。「ハンバーガーばっか食ってる」とか、「移動が超きつい」とか、断片的な情報はあっても、全体像を知る機会はないと思う。

 という訳で、私がインディアンスについて色々勉強していく過程を皆々様に報告して、日本におけるマイナーリーグ情報をいささかでも厚くしたいというのが、この新企画「インディアンス同好会」なのであ〜〜る。って、そんな情報、誰も求めてねーよとか言わないでね。重々承知しております。ホントは僕が知りたいだけなんです。

 っつても、情報源は「インディアンス公式サイト」と先に挙げた「綱島理友のアメリカン・ベースボール徹底攻略ブック」の二つしかない。あと、せいぜいウィキペディア。
 「インディスター電子版」も、今ちょいと覗いてみたが、シーズンオフという事もあってか、インディアンス情報は全然無い。そんなコーナーも無い。当たり前の話であるが、フージャーズやアイリッシュ、ブルドッグスに負けとる。

 という訳で、現地公式サイトが、ほぼ唯一の情報源なのであるが、今ちらりと覗いてみると、来季のスケジュールが発表されていた。

 で、そこで初めて知ったのであるが、マイナーリーグの日程は基本的に火曜日から日曜日までの6連戦なのである。そのへんは日本のプロ野球と同じなのであるが、その6連戦は同一チームとの6連戦なのである。日本のプロ野球は3連戦+3連戦の6連戦なので、そこは大きく異なる。コロナ影響下にあった昨季のパ・リーグと同じである。

 で、多少の例外はあるが、ホームとビジターが交互の日程が組まれている。今週がホームなら、来週はビジター、再来週はホーム、みたいな感じである。

 で、ここで分かるのは、「マイナーリーグは移動が大変」と日本では決まり文句のように云われるけれど、10時間15時間のバス移動でも、週に1回なら、そこまで苦痛ではないだろう、って事である。そんくらい我慢せーよ。日本のお父さんは40年間毎日満員電車を我慢してんだから、それに比べりゃ、はるかに楽でしょう。半年間、週に一回、15時間バス移動、当然座れる寝れる訳だし、そんな苦行のように語るなっつの。

 てな感じで、日本に流布するマイナーリーグ伝説を検証看破弾劾しようというのが、このコーナーの主旨では、更々なくて、現地公式サイト頼みで、インディアンスやマイナーリーグのあれこれをダラダラ書いていくのが、このコーナーの態度であります。これ、日本に需要まったく無いな。

 調子が乗ってきたら、「コルツ部」や「ペーサーズ局」のように、「選手紹介」「歴史」等々、コーナー分けをしようと考えているが、当分は、コーナー分けもせず、こんな調子でダラダラ書いていきたいと思います。インディアンスはパイレーツ傘下なので、筒香が落っこって来るかもね。かつては、桑田や岩村が落っこってきたしね。

 とりあえず、第1回目は、こんな感じで、稿を終えたいのであるが、この「インディアンス」って名称、ダイジョーブ?。クリーブランドの方は名称変更するみたいだし。マイナーリーグはお目こぼしか。つか、「インディアナ州」とか「インディアナポリス」はどーすんの。それとも、この「インディアン」は、インド系アメリカ人に由来するもので、ネイティブ・アメリカンとは関係ないの?。てか、「インディ」って、本来、サンスクリット由来の由緒正しき言葉なのに、なんで差別語になってんの。言葉に罪は無い。

 しかし、記念すべき第1回目がオフシーズンというね。

                                       2021/12/15(水)
球場とリーグ  いや〜、ようやっと寒さ、つうか冷たさが和らいできましたね〜。一時は命の危機を感じたよ。死ぬかと思ったよ。いや、死なない。それは大袈裟。アラスカやアイスランドの住人に怒られてしまう。

 さて、インディアンス第2回である。第2回は球場とリーグについてあれこれ書いてみたいと思う。よく考えたら、ルーカス・オイル・スタジアムについても、ケンブリッジ・フィールドハウス(いつのまにか、名前変わってた!!!。)についても、書いた事は無かったのであるが、いきなりヴィクトリー・フィールドについて書く事になってしまった。

 球場名は、「ヴィクトリー・フィールド」。直訳すると、「大勝利球場」。このくらい臆面もなく名付けたいものである。日本、つうか巨人も「長嶋茂雄球場」とか「V9スタジアム」とか命名すべきであろう。

 場所は、っつても日本在住の方々にはピンと来ないであろうが、インディアナポリス市のほぼ中心である。インディアナポリス駅とかインディアナ州議会議事堂とかインディアナ会議センターとかのすぐ近く、つかお隣さんである。ルーカス・オイル・スタジアムの北西300メートルぐらい、ケンブリッジ・フィールドハウスの西500メートルぐらいに位置している。
 ルーカス・オイル・スタジアムとケンブリッジ・フィールドハウスで三角形、魔のトライアングルを形成しているとも云える。そのトライアングルの中で生活するには、どのくらいの家賃なり住宅価格なりがするのかは、まったく以って不明であるが、スポーツファン、私のようなスポーツファンにとっては、至福のトライアングル、すなわち魔のトライアングルであろう。人生の全てを失う。

 つう訳で、大勝利球場は、立地条件的には、完全にメジャー面である。少なくとも、コルツやペーサーズと同格である。ちなみに、インディアナ州で最も有名なスポーツ施設であろうインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、当然ながら、もうちっと郊外にある。ルーカス・オイル・スタジアムから北西6キロぐらいに位置している。駅前にカーレース場作られてもねえ。

 で、大勝利球場に話を戻すと、上述したとおり、立地条件的にはメジャー面しているが、キャパシティは、当然の事ながらトリプルAクラス、1万5千人前後である。
 もっとも、収容人数は1万5千人程度ながらも、佇まいは、写真で見る限り、なかなかに立派である。内野には二階席もあるし、外壁にはスター選手(いんのか?)の垂れ幕なんかも掲げられている。ハッキリ言って、日本の地方球場よりは断然上だし、一昔前の日本のプロ野球の球場、広島市民球場とかナゴヤ球場とか大阪球場とか藤井寺球場とか、より上だし、神宮球場とか横浜スタジアムと比べても、上かもしれん。川崎球場は……、何も語るまい。

 今はいないが、一昔前の外国人選手に、日本の球場に不満を漏らして、帰国してしまったりするのもいたが、こういうのを見ると、それもやむを得ないと思う。上記の日本の球場、つか一昔前の日本の全ての球場は、下手すっと、アメリカのマイナーリーグどころか、ちょいと大規模なハイスクールの球場にも負けてしまうであろう。カレッジのフットボール場とは……、何も語るまい。

 で、入場料であるが、これは座席や年齢、買い方等々により色々あるのであるが、大人一般は、ボックスシートで18ドル、外野芝生席で12ドルである。ボックスシートの年間予約席は775ドルである。ホームは年間72試合なので、1試合10ドルぐらい。全試合観戦すると、半額くらいになる。もっとも、全試合観戦つうのは、相当の○○○○であろうが。

 日本円にして、1試合2000円弱、この値付けが高いと見るか安いと見るかは、意見の分かれるところではあろう。最近はとんとご無沙汰になったので、最近のは不明であるが、30年くらい前の日本のプロ野球だと、1番貧乏な指定席がそれくらいだったと思う。あれっ、自由席だったかな。外野自由席はもうちっと安かったと思う。バックネット裏は5000円弱ぐらいじゃなかったかな。いや、3800円ぐらいだったかな。日本のプロ野球よりは、お安く、そうして、日本のプロ野球よりレベルが……、それは語るまい。

 でも、徒歩や自転車で10分15分のところに、こういう球場があったら、足繁く通っちゃうなあ。懐具合が暖かければ、それこそ年間予約席を買っちゃうかも。3月4月の寒い時期はご免だが、夏場、ビールとホットドッグ、あるいはヤキソバで野球観戦は最高だろーなー。ちなみに、私は、球場は最上階で見るのが好きなのだ。夜景とゲームが混然一体となる感じが、たまらなく好きなのである。神宮球場の傘踊り(昔のちゃんとした(?)ビニール傘の奴)も捨てがたいが、なりより後楽園球場のカクテル光線は最高だった。幻想的だった。夢見心地とは、こういうものであろう。

 話を、ヴィクトリー・フィールドに戻すと、外野芝生席は、何故か「TOYOTA LAWN」と名付けられている。トヨタ園芸が管理してんの?。トヨタ傘下の。

 球場の話はこれくらいにして、次はインディアンスの所属するリーグについてである。

 インディアンスは、トリプルAイーストというリーグに所属し、ディヴィジョンはミッドウェストとなる。まあ、その名の通りである。実際、ミッドウェスト・ディヴィジョンに所属するチームは、インディアナ州周辺の、そこらの都市のチームである。徐々に紹介していきたいと思う。

 NCAAに限らず、この手のリーグやディヴィジョンの統合再編は進んでいて、野球のマイナーリーグも例外では無いらしい。現状、インディアンスの所属するリーグ・ディヴィジョンはミッドウェスト・ディヴィジョンという、何の変哲もない名称であるが、かつて、というか、つい最近、2年前、2020年まで、インディアンスの所属していたリーグの名称はインターナショナル・リーグであった。このへんの、リーグ名の変遷も、いかにもアメリカらしく、色々あるのであるが、とりあえず、今回は割愛する。時宜をみて、勉強紹介したいと思う。

 「インターナショナル・リーグ」という名称に訝しがる向きもあろう。ニューヨーク州やマイアミ州、あるいはワシントン州やアリゾナ州あたりだったら、まあ、インターナショナル・リーグも無くは無いであろう。ところが、インディアナ州は四方をアメリカに囲まれている。外国臭皆無の土地である。何がインターナショナルなのだろう。と思って調べてみたら、このインターナショナル・リーグというのは、元々は、ニューヨーク州とカナダのオンタリオ州のチームが中心となって設立されたリーグであり、それ故に、インターナショナル・リーグという名称なのである。

 つう訳で、カナダのチームも多数所属していたのであるが、一時期は何と、キューバのチーム、ハバナ・シュガーキングスも所属していたらしい。つか、してた。

 いや、どうやってゲームしてたの。キューバまで行ってたの。舟、飛行機?。アメリカのチームが、年に数回キューバに行くのはともかくとして、キューバのチーム、シュガーキングスがアメリカに来るのは大変だったろう。シーズンの半分、アメリカに来なければいけないのだから。どうゆう日程、組んでいたんだろ。一月くらいにまとめてビジターにしていたのかしら。まさしく、ロード、トリップ、ツアーだね。ベースボールツアー。

 んな感じかな。

 でも、只今、アメリカの野球界は、皆さんご存じの通り、絶賛労使交渉中で、ストライキつうかロックアウトつうか、業務停止中というか契約凍結というか、そういう状態である。マイナーリーグはどーなるんやろ。

                                        2022/3/2(水)
開幕戦  いや〜、佐々木朗希が完全試合を達成しましたね〜。佐々木に関しては、その前の登板も数試合観ていて、「二回り目になると、球威が落ちる。」、ア〜ンド「セットポジションだと、球威が落ちる。」と思っていたので、抑えにした方が良いんじゃないかな〜とか思っていたら、完全試合しちゃいました。完全なら、セットいらんよね。「二回り目」の方は、例の13連続奪三振が、一回り目の3番バッターからなので、その課題も残っているみたい。でも、パーフェクト。おみそれしました。

 この試合では、この完全試合に加えて、19奪三振と13連続奪三振の、3つの大記録が達成された訳であるが、それぞれ3つも独立してスゴイのであるが、それが同一試合で達成されたという点に非常に価値があると思う。

 一般に完全試合とかノーヒットノーランというのは、どっちかというと、ピッチャーが絶好調というよりは、むしろ調子に不安を感じて、慎重にピッチングをしたら、あれよあれよでノーヒットノーランや完全試合、というパターンが多い。

 有名なのは、プロではないけれど、松坂の夏の甲子園決勝でのノーヒットノーランであろう。まあ、3連投なので、調子以前の問題で、松坂は疲労困憊である。ただ、相手は京都成章という事で、松坂は多少ナメてたようである。「まあ、テキトーにやっても、勝てる。」ぐらいであったろう。ところが、相手の1番バッターが第1打席に痛烈な3塁ライナーだか3塁ゴロを打たれて、目が覚めたみたい。高校入学以来、速球を右バッターに引っ張られるなんていうのは、ほとんど記憶になかったそうである。で、「こりゃ、ちゃんとやらんと、やられる。」と反省して、慎重にピッチングしたら、あれよあれよでノーヒットノーランである。

 また、石井一久のノーヒットノーランも、確かケガ明けで、相手が絶好調のベイスターズ・マシンガン打線、しかも首位攻防戦という事で、慎重にいったら、ノーヒットノーラン。

 また、槇原の完全試合も奪三振は7なので、全盛期の槇原に比べると、おとなしめのピッチングである。

 また、ワールドシリーズ唯一の完全試合も奪三振は8。しかも、ラーセンはノーワインドアップで投げてたりする。

 という訳で、完全試合やノーヒットノーランの奪三振数は、案外伸びないものなのである。金田の完全試合時も、奪三振は10。

 一方、奪三振の記録の方は、これは当然絶好調時であし、年齢的にも総じて若い。ただ、三振を奪いに行くというのは、当然、速球はストライクゾーンで勝負する事になるし、変化球はストライクからボールになるものが多いので、案外、失点したり敗戦したりしている。野田の19奪三振も1失点でチームは負けているし、有名な伊藤智仁のアレも、サヨナラホームランで1失点敗戦投手である。ちなみに、このゲーム、同じくルーキーの巨人の門奈が一世一代のピッチングをしているのであるが、あまり言及する人がいないので、ここで私が触れておこう。

 門奈問題はともかくとして、奪三振記録のゲームというのは、意外に失点敗戦のゲームも多い。まあ、さすがに大量失点はない、というか大量失点したら、途中交代だしね。勿論、完封試合もあるけどさ。

 そういった観点から見ると、完全試合と奪三振記録を同一試合で達成したというのは、恐るべき大偉業なのである。しかも、13連続奪三振付きである。

 この3つの記録、完全試合と19奪三振と13連続奪三振の中で、最も価値の高いのは13連続奪三振である。これは断言する。

 だいたい、連続奪三振記録というのは、5ぐらいでも、結構珍しい。私の観戦ペース、年間100試合をダラダラと見るくらいのペースで、シーズン1回あるかないかぐらいである。厳密に調査すれば、もうちっとあんだろうけど、5連続でも、それなりの記録である。キャリア10年のピッチャーでも、やった事が無い人は多いと思う。

 連続奪三振と云うと、江夏や江川のアレが有名であるが、あれはオールスターである。勝負は度外視だし、バッターもピッチャーも三振かホームランかというスタイルなので、三振記録、ホームラン記録は狙いやすい。それでも、9連続である。もっとも、実際は15だけど。

 一方で、レギュラーシーズンのゲームは、勝負どころか生活が懸かっている。バッターも、みんながみんなホームランバッターではない。ホームランを捨てているバッターさえいる。それなのに、13連続奪三振って。

 そもそも、それ以前の記録が梶本と土橋の9である。それ以後の多くのピッチャー、金田も杉浦も尾崎も江夏も山口も江川も野茂も松坂もダルビッシュも、誰も超えられなかった訳である。メジャーリーグですら、10である。この記録が如何にズバ抜けているかが判ろうというものである。球道くんですら、11連続(違ったかな?)だからね。この記録がいかに現実離れしているかが判ろうというものである。藤村甲子園や剛球仮面は知らん。自分で調べてちょ。

 この13連続奪三振は当分破れない記録になるのではないだろうか。って、言ってたら、佐々木本人が次の試合で破ったりしてな。

 という訳で、完全試合、19奪三振、13連続奪三振の三つが一度に達成されたという意味で、このゲームというのは、ひとりのピッチャーが相手打線を完全に封じ込めた最高位のゲームなのではないだろうか。ちょっと、対抗馬が思い浮かばない。江夏や堀内のノーヒットノーランは、自分で打ったという意味であるから、抑え込んだ度合いでいえば、これがダントツだろう。

 で、調べてみたら、外木場の完全試合は16奪三振。これが次点か。もっとも、その外木場も、他ふたつ(!!!)のノーヒットノーランでは、奪三振は3と2である。

 その次だと、足立の17奪三振2安打無四死球完封と杉内の14奪三振無安打1四死球完封ぐらいか。

 また、高校野球の地方予選だと似たようなゲームはあるだろうが、それは参考にならない。強豪校と部員も揃わないような学校とのゲームだろうしね。

 そういった意味では、プロでこういったゲームが達成されたというのは、佐々木の名誉だとも云えるが、オリックスの不名誉だとも云える。しかも、前年のリーグ優勝チームだしね。屈辱以外の何物でもない。でも、最近のゆとり世代にそういう感情は無いのかな。素直に佐々木を讃えていたりしてな。

 また、この快挙はアメリカでも報じられていて、「日本には、大谷よりすごいピッチャーがいる。」てな具合である。「でも、打てないけどな。」というお決まりのフレーズ付き。

 その佐々木のピッチングより、アメリカ人が待ちに待っていたマイナーリーグ開幕、キターーーーーー。いや、誰も待ってねーーーー。

 で、その開幕戦は、現地4月5日に開催され、オマハ・ストームチェーサーズに1−4で敗戦。

 んで、翌日の開幕2戦目は雨天中止。で、そのゲームは翌日に振り替えとなり、翌日はいきなりダブルヘッダー。このへんは、「マイナーは過酷」という奴か。でも、そのダブルヘッダーは2試合ともに7イニングス制。これは、元々そういう制度なのか。コロナの影響なのか、時短ブームの影響なのかはよく分からん。

 んで、その第1試合を5−3で勝利して、インディアンス今季初勝利。その後、第1週のオマハとの6試合は4勝2敗で乗り切り、第7戦のセント・ポウル戦も勝ち、現在インターナショナル・リーグ・ウエスト首位〜〜〜。パチパチパチパチ。って、「インターナショナル・リーグ」に戻ってんぞ、「トリプルAイースト」じゃなかったんかい。しかも「ウエスト」になってるし。ついていけんな、アメリカのリーグ再編事情には。

 選手もぼちぼち紹介していきたいのであるが、一発目は、何といっても、このひと、オニール・クルーズであろう。MLBのプロスペクトの一人で、ごくごく一部では期待されている選手みたい。

 特筆すべきは、なんといっても、その身長。6−7。で、ポジションは、ピッチャー、ではなく、なんとショートストップ。

 第6戦ではレフトを守ったりもしていたけど、あくまで本職はショートみたい。6−7のショートって。ショートじゃねーーー。

 大型ショートというと、カル・リプケン.Jrあたりが走りで、その後、ジーターとかガルシアパーラ、アレックス・ロドリゲスといった感じであろう。
 日本だと、大昔だと、広岡、豊田がいるが、その後は、大橋とか宇野とか池山とか、最近だと坂本とか、それなりにいるけれど、彼等、アメリカ人だと、せいぜい6−4、日本人だと180cm前後、6−7、すなわち2メートルじゃあない。今調べたら、ガルシアパーラは6−0。大型じゃないか。

 長身だからショートが出来ないという訳では無いけれど、普通に考えたら、ゴロを捕球するには、地面に近ければ近いほど、すなわち身長が低い方が有利だと思う。
 つかまあ、ショートを守れる運動能力があって、6−7の身長があるのなら、センターを守らせた方が良いと思う。フライやライナーを捕るのには、当然、身長が高い方が有利なのだから。

 つか、バスケットボールやった方が良くね。

 まあ、いずれにしても楽しみな選手ではある。メジャーに昇格したら、筒香の試合で、もしかしたら日本でも見れるかもしれない。ものすごいマニアックなファンになってまうが。

 てなこと書いていたら、インディアンスが継投でノーヒットノーランしちゃった。マジか。

                            クラフトコーラにドハマリ中。2022/4/14(水)
キャム・アルドレッド  過日、っつても結構前だけど、パイレーツの日本でのテレビ放送を何とはなしに見ていたら、キャム・アルドレッドという前(?)インディアンズの選手が登板していた。

 「おっ。」と思いながら見ていたのであるが、典型的な左の軟投派。でも、結構面白そうなタイプなので、理想的、というか希望的観測的にはジェイミー・モイヤー。日本だと、山本昌とか石川とか、そういうタイプである。さすがに星野ではなさそう。見るとは無しに見ていたので、よく分からないが、シンカーとかスクリューみたいなボールがあったら活躍できそうなタイプではある。

 って、思ってたら、その1イニングでインディアンスに強制送還(流行語)。残念。でも、その貴重な1イニングをインディアンスファン(?)の私は堪能(?)出来た訳である。神に感謝せねば。無神論者だけど。

 日本に来ても、面白そうかなとは思った。ミンチーとか、そんな感じかな。ハマれば15勝ぐらいしそう。でも、まだ25才だし、日本行きを考える年齢でもないか。ダリル・メイではない。

 話はちょっと変わるが、もし競技を問わずプロスポーツマンになりたいのなら(って、そんな人いるか。)、お薦めは左ピッチャーである。それこそ、右利きでも、左投げを習得して、目指すべきであろう。なぜなら、「需要」に対して「供給」が極端に少ないポジションだからである。年がら年中、左ピッチャーに不足しているスポーツ、それが野球といってもよいくらいである。

 私も長らく日本のプロ野球を見ているけれど、先発ローテーションにオールスタークラスの左を二枚揃えているチームはなかなかない。V9の巨人でも、左は高橋一三だけだし、全盛期の西武も工藤のみである。
 ン十年のプロ野球観戦歴で、オールスタークラスの左の先発を二枚揃えていたのは、大野・川口のカープと山本昌・今中のドラゴンズ、杉内、和田のホークスくらいだと思う。他には、パッとは思いつかない。それも、それぞれ5年くらいだから、決して長い期間ではない。

 先発ローテーションに2枚とは云わなくとも、先発で1枚、ブルペンに2枚くらいは、左は必要だけど、それすら、まかなえないチームもある。左だから、と多少下駄を履かしているチームも多い。

 昔、ヤクルト時代の野村監督が、石井一久がドラフトされた時、「左で140km/h以上を投げられるだけで、1位指名する価値がある。」みたいな事を言っていたけれど、まったくその通りだと思う。繰り返すが、年がら年中、左ピッチャーに不足しているスポーツ、それが野球である。
 当時、西武の森監督が、「左だからといって、力の無い投手を投げさせるわけにはいかない。」なんて発言していたが、これは、球界の慢性的な左不足事情の逆からの証左であろう。

 左打ちと違って、左投げは簡単に転向できないしね。そういった意味でも、需要と供給のバランスが最も崩れている、つか、常に供給不足のポジションが左ピッチャーなのである。つまり、最も門戸が広いという訳である。

 しかも、ひとたび左ピッチャーとして成功すれば、案外というか、やっぱりというか、息が長いのも左ピッチャーの特徴である。先に挙げたモイヤーや山本昌、石川も息が長かったし、そのほか工藤、下柳も息が長かった。何より、通算最多勝の金田も左だし、通算最多セーブの岩瀬も左である。ちなみに、通算最多本塁打と通算最多安打も左ではある。

 王と張本はともかくとして、日本プロ野球史上最高の先発投手とリリーフ投手がともに左であるのは決して偶然ではないと思う。また、先発としてリリーフとして、ともに偉大な記録を残した、すなわち206勝&193セーブの江夏も、やっぱり左である。また、通算300勝以上の6人のうち、2人は左である。

 左ピッチャーの息の長さについては、諸説あり、先に挙げた希少性もそのひとつであろうが、案外言われていないのは、バッティングの構造である。

 以前にどっかで書いたと思うが、バッティングというのは、右バッターでも左バッターでも、基本的に右ピッチャーを打つために、そのメカニックが作られている。

 最近は、あまり言われなくなったが、一昔前は、所謂「左キラー」というバッターがいた。西岡とか小川とか、である。今回の事例、古すぎてスマン。プロ野球は、80年代90年代の人間なもので。

 で、そういう所謂「左キラー」は、左を得意にしているバッターではなく、むしろ、左しか打てないバッターなのである。要するに、ドアスイングなので、右ピッチャーが打てないのである。

 逆に「右キラー」がいないのは当たり前の話で、左バッターは大概右ピッチャーは打てるものである、というか、右ピッチャーが打てなければ、話にならない。バッティングというのは、基本的に右ピッチャーを打つために、そのメカニックが作られているからである。

 それ故、左バッターは、程度問題ではあるが、ドアスイングでも打てる。ちょうど「左キラー」が左ピッチャーを打つように、である。

 その最たる例が、何より王だろう。右ピッチャーの投げる所謂「外甘」を、泳ぎ気味に、ドアスイング気味に、叩いて、ホームランにしてしまうのが、王のバッティングの基本である。勿論、それだけが、王のホームラン技術の全てでは無いけれど、この基本を幹に、枝葉を増やしていったのが、王のバッティングだと云えると思う。

 バリー・ボンズの台頭以降、左バッターで、この打ち方をする人は少なくなり、皆、ボンズみたいな、あるいは松井みたいなバッティングをするようになっているけれども、この王のように、あるいはイチローのように、ある程度、泳ぎ気味、ドアスイング気味に打つのも、有りだと思う。篠塚、クロマティ、バース、オマリー、一昔前の左バッターの定番の打ち方だった。まあまあ、門田みたいのもいるけどね。

 一方、右バッターが、王やイチローのように、すなわち、泳ぎ気味ドアスイング気味に打ったら、まず打てない。てか、そんなバッター見た事ない。野村あたりは、比較的前さばきで打つタイプだったと思うが、それでも泳がないし、ドアスイングでもない。

 強いて挙げれば、さすがに、そのバッティングをリアルタイムで見た事は無いけれど、中西が泳ぎ気味、前さばきで打つタイプだったと、読んだ事がある。そう云えば、原も、そういうタイプだった。ともに手首を痛める結果になったけれど。右が、前さばきで打とうとすると、どうしても、手首を痛めてしまうのかもしれない。

 落合は極端かもしれないけれど、右バッターは、詰まり気味、インサイドアウトがバッティングの基本、というか鉄則であろう。

 で、このインサイドアウトの極みといっていい落合が、たまに左ピッチャーのど真ん中のストレートを空振りしていたのは、無論、これが理由である。左ピッチャーのど真ん中のストレートを得意にしているバッターは、すなわち「左キラー」に終わってしまう。

 また、所謂「金属打ち」で苦労するバッターに右バッターが多いのも、同じく、これが理由である。中島とか丹波とか(知ってるかな〜)。

 一方、左バッターで「金属打ち」を苦にしない、克服できるバッターが多いのも、同じく、これが理由である。松中も、入団当初は所謂「金属打ち」に苦しんだらしいが、見事に克服した。しかも、松中は「高卒→社会人」。すなわち、木のバットで打った事が無い、プロに入って、初めて木のバットで打つ事になる選手である。良く克服したと思う。

 また、松中の場合は、先に挙げた王が直属の上司だった事も大きかったと思う。もしこれが、右バッター出身のコーチ、「詰まり気味、インサイドアウトがバッティングの基本」のコーチだったら、また違ったキャリアを送っていたかもしれない。平成の三冠王は誕生しなかったかもしれない。

 ちなみに、清宮なんかは、それこそ松中あたりがコーチしたら良いと思う。バッティングのメカニック的に合っていると思う。どうだろうか。まあ、最近は、王の時代に比べて、ピッチングの構造も変わってきているから、「泳ぎ気味ドアスイング気味」は難しいのかもしれないが。でも、右ピッチャーが多いという数値的事実は変わっていないと思うのだけどなあ。

 閑話休題。

 こういうバッティングの構造という意味からも、左ピッチャーは有利だと思う。よく左バッターは右に比べて2分から3分くらい有利だなんて言われていて、実際その通りだと思うけれども、左ピッチャーも防御率にして0.5ぐらい有利なのではないだろうか。このへんも、左ピッチャーが長命な理由、また、左の軟投派の通用する理由のひとつだと思う。

 キャリアの前半は速球派で、中盤から軟投派に転向して、成功したピッチャーとしては、江夏や工藤、下柳などが挙げれれるが、彼等がほとんど左なのも、これが理由だろう。金田や鈴木も、このパターンである。

 一方、右ピッチャーだと、パッと思いつくのは山田ぐらいであるが、山田は下手投げなので、またちょっと事情が異なる。村田は、キャリア最終盤まで速球派だったし。「キャリアの前半は速球派で、中盤から軟投派に転向して、成功したピッチャー」で右というのは、あんまりいないような気がする。鈴木孝政とかか。これからだと、田中あたりが、それの候補かな。まあでも、田中も速球派という程、速球派では無かったしね。あくまで、武器はスライダーのピッチャーだったよね。また、ダルビッシュも、勿論、球は速過ぎるぐらい速かったが、若い頃から、変化球派だったよね。

 で、インディアンスの話に戻す。

 一部アンチ筒香ファン(って、それ、ファンって云えるの。)の間で、オニール・クルーズ待望論が出ているが、今現在、オニール・クルーズは、ホームラン7本、打率2割2分0厘。これで上がれるのか。3A観戦歴2ヶ月の私には、よく分からん。何が基準なのか、誰が決めるのか、さっぱり分からん。少なくとも、スタッツ的には失格だと思う。分からんが。

 アンチ筒香ファンもう一人の待望、筒香と同じ一塁手のメイソン・マーティンは、今現在、ホームラン11本、打率2割4分0厘。これで上がれるのか。3A観戦歴2ヶ月の私には、よく分からん。何が基準なのか、誰が決めるのか、さっぱり分からん。少なくとも、スタッツ的には失格だと思う。分からんが。

 でも、公式サイトのハイライト映像はオニール・クルーズ一色、つか一択。他にスターいないんかい。これも分からん。

 で、そのハイライト映像を、この2ヶ月間つらつら見てきたのであるが、なんつーか、日本人として、あんま、こういう事は云いたくないけど、やっぱレベル高いよね、日本のプロ野球より、3Aの方が。

 よく「日本のプロ野球チームをメジャーリーグに参戦させたら、面白い。」みたいな事を言う人がいるけれど、メジャーリーグに参戦したら、ジャイアンツでもホークスでも100敗しちゃうと思う。日本人にとって、衝撃的な結果になると思う。カルフォルニア州のどこかあたりを本拠地にして、移動等の野球以外の負担を抜きにしても、である。3Aでも、5割そこそこじゃないかな。日本代表チームをメジャーリーグに参戦させて、ようやっと優勝争いに絡めるかどうかだと思う。それでも厳しいか。

 大昔、故大橋巨泉が「日本のプロ野球は2Aレベル」と発言していて、当時「日本のプロ野球は4Aレベル」と思っていた私はイラッとしていたのであるが、天国にいるか地獄にいるか分からないけど(多分、地獄だろうけど、)、大橋巨泉さん、僕が間違ってました、日本のプロ野球は2Aレベルです。3Aのゲームを見ていると、日本に来たら活躍しそうなのが、先のアルドレッドも含めて、ゴロゴロしてる。

 「じゃあ、レベルって何なのか」って問われると、その答えは色々あるけれど、この場合は簡単である。単純に、運動能力が、3Aより日本のプロ野球の方が低い。
 ピッチャーの投球は無論の事、バットスピードとか、野手の送球とか、走者のスピードとか、そういった諸々の運動能力、とりわけスピードとかアジリティとかクイックネスが大きく劣ってる。あるいは、決定的に劣ってる。

 「日本人内野手はメジャーで通用しない」といわれているけれど、私はそれを技術とか天然芝とかが理由だと思ってた。でも、それは間違ってた。単純に「遅い」のである。動きや送球が。

 ファーストやセカンドはともかく、ショートやサードはちょっと怖い。日本人の私が監督でも、日本人のショートやサードは恐い。宮本や小坂クラスでも、所謂「ショート前ヒット」があると思う。ゲッツ―崩れも多かろう。

 まして、松井や中島なんて論外である。「中島はルーキーリーグレベル」って、言われてたけれど、むべなるかなである。エラーしないとか、守備範囲がどうこうとか、それ以前の問題である。

 あんまこういうことは言いたくないけれど、「人種的限界」かなと思う。それが証拠に、メジャーリーグの150年近くの歴史で、その間、ただの一人も日系人、というかアジア系アメリカ人のスーパースター、殿堂入り級選手はいない。少なくとも、私の知る選手はいない。
 イタリア系、ドイツ系、ヒスパニック系、スラブ系、そうして、もちろんアフリカ系のスーパースターは、私でもパッと思いつく。勿論、厳密に調べたら間違ってかもしれないけど、少なくとも、そのファミリーネームから推測される人種や民族に、ほとんどスーパースターはいる。

 でも、日系やアジア系はいない。中国系や韓国系はともかく、日系は、野球好きが多そうにもかかわらず、である。レギュラークラスや、オールスター1,2回程度はいる。でも、スーパースターはいない。NFLやNBAでも同様である。勿論、イチローとか大谷とか姚明とかはいる。でも、彼等は、所謂「アメリカ人」ではない。

 しかも、大谷の場合は、「二刀流」という極めて特殊なポジションにおける「スーパースター」であって、仮に「打者だけ」「投手だけ」なら、少なくとも現時点では、まだ「スーパースター候補」にすぎない。
 姚明は、もともとセンターというバスケットボールにおいては、常に人材不足、しかも、近年では、その常時人材不足が故に、そのポジション自体が絶滅危惧種という特殊なポジションなので、こちらもちょっと事情が異なるだろう。

 で、残るはイチローであるが、ほとんど全ての日本人を敵に回すような感じで気が引けるが、正直言って、イチローは典型的な「スタッツだけプレイヤー」「オーバーレイテッド・プレイヤー」だと思う。詳細は、長くなるので省くが、イチローがテッド・ウィリアムスやウィリー・メイズと同等のスーパースターかというと、それは違うと思う。仮に私に殿堂投票権があったら、イチローには投票しないと思う。少なくとも、躊躇はする。
 イチローについては、折りを見て、書きたいと思う。おそらく、日本人の中で最もイチローに厳しい評価をしているのは私であろう。ちなみに、私がGMだったら、絶対いらない選手である。自軍にいたら、トレードを画策する選手である。イチローなんて、つまらぬ野球選手にて候。

 あと、アジア系のプレイヤーというと、ジェレミー・リンあたりが思い浮かぶが、勿論スーパースターではない。

 アジア系アメリカ人からスーパースターが出てこないっていうのは、結局、「人種的限界」なのかなと思う。

 まあ、勿論、エクスタインみたいなショートもいるから、将来的に日系アジア系のメジャーリーグ内野手が誕生する可能性も無くは無いけれど、細い細い道だと思う。

 ちなみに、エクスタインは、ありとあらゆる野球選手の中で、私が最も好きな選手である。つか、ありとあらゆるスポーツマンの中で、かもしれん。

 もっとも、エクスタインというのは、かなり特殊な選手なので、なかなか同じような選手は出てこないかもしれない。

 そう云えば、エクスタインは、かつて、こんな事を言っていた。「僕に、イチローのようなバットコントロールは無い。イチローのような足も無い。イチローのような肩も無い。だけど、僕は、イチローよりも、ピッチャーに多くのボールを投げさせられる事ができる。」。

 という訳で、日本のプロ野球選手がメジャーリーガーになりたいのなら、エクスタインを目指す、じゃなくて、とりあえず3Aを経験した方が良いと思う。アメリカの選手たちと同じく、3Aで結果を残してから、メジャーリーグに上がるべきだと思う。日本のプロ野球から直メジャーリーグは、この20年間の死屍累々からも分かるように、大変危険だと思う。あのトラウトだって、一回足踏みしているのだから。

 さて、話は変わって、「順位予想」である。

 昨年のプロ野球は、多くの解説者たちが最下位予想したヤクルト・オリックスの両チームが、それぞれリーグ優勝して、解説者陣は大恥かいた。まあ、3位4位予想のチームが優勝するのはともかく、最下位予想のチームが優勝したら減俸ものだろう。マジメにやれって話である。でなきゃ、無能か。同じような事を、例えば、投資信託会社の投資担当者がしでかしたら、減俸どころか免職である。

 解説者陣の給料問題はともかくとして、プロ野球の優勝予想の難しさについて、ちょっと考えてみたい。

 この手の予想の外れた場合、よく言い訳に使われるのが、「ケガ人」であり、私も同じく思っていたけれど、よくよく考えてみると、ケガ人がペナントレースの行方を左右したケースはパッと思いつかない。強いて挙げれば、1994年の古田の怪我ぐらいか(今回、例えがいちいち古くて、ゴメン。再度謝る。)。

 そもそも、最下位予想のチームが両リーグともに優勝した昨季にしたって、ケガ人は質的にも量的にも少ない。千賀と山川くらいか。それにしたって、シーズン全休ではない。セ・リーグだと、菅野ぐらいで、やっぱりシーズン全休ではない。

 そのほか、過去を振り返ってみても、「あの選手のあの怪我がなあ」っていうシーズンは、パッと思いつかない。NFLだと2008年のブレイディとか2011年のマニングとかが、パッと思いつくが、日本のプロ野球では、私の知る限り、無いと思う。

 というのも、野球の場合、どんなスーパースターでも出場機会が限られるからである。どんなスーパーエースでも、先発なら年間25試合程度、クローザーなら50試合位程度。また、どんなバッターでも、基本的にというか、絶対的に9人一回り、すなわち9度に1回しか打席は無い。麻雀の連チャンみたいなものは無い。冷酷なまでに平等である。機械のように、9度に1回である。

 これが、例えば、フットボールだと、QBだったら、オフェンスの半分に関わる。バスケットボールだったら、それこそ始終スーパースターがボールを持ってもいい。実際、NBAの優勝チームは、一部の例外を除いて、大概リーグナンバー1プレイヤーのいるチームである。ステファン・カリーについては、意見が分かれるかもしれんが。

 野球というのは、確かに個人色の強いスポーツではあるけれども、一方で、その個人の力の強弱がチームに影響を及ぼしにくい、非常に機会平等なスポーツだともいえる。意外にスーパースターの影響力の低いスポーツなのである。高校野球なんかは、いい例だよね。涙を飲んだスーパースターは、江川を始め、沢山いる。まあ、だからこそ、高校野球のピッチャーは連投必至になるんだけどさ。

 あと、こういう「ゲガ人の質」ではなく、「ケガ人の量」という問題もあると思うが、特定のチームだけにケガ人が偏るっていうのは、あんま無いじゃないかなあ。1シーズン単位で統計を取れば、各チーム、数学的には平等になると思う。実際、そういうチームは、過去ン十年のプロ野球観戦歴ではパッと思いつかない。優勝のかかった終盤で、主力にケガ人多発だとイタイかもしれんが。

 という訳で、「ケガ人」というのは、この手の言い訳筆頭だけど、実際は、あまり影響は無いと思う。

 で、この手の言い訳で二番目に挙げられるのは、これは日本プロ野球特有の現象だけど、所謂「外国人助っ人」である。確かに、これは読みづらい。

 ただし、今現在は2022年である。これだけインターネットが普及した昨今、外国人情報が皆無という事は無いだろう。ハイライト映像とスタッツぐらいは入手できる。まあ、さすがにキューバ直輸入みたいなのは、難しいかもしれんが。それも出来るのかな。

 そのハイライト映像とスタッツ、そうしてキャンプの姿で、プロの解説者だったら、おおよそ予想出来んじゃねーの。出来なきゃ、プロ失格だろう。
 90年代ぐらいまでのように、キャンプの姿だけだと、なかなか難しいものがあるかもしれないが、メジャーリーグ経験者、あるいは韓国や台湾のプロ野球経験者のスタッツやハイライト映像は、それなりに入手できるであろう。そこから、ある程度予想出来なかったら、プロの解説者とは云えない。

 例えば、かつての大洋の名外国人スカウト牛込さんは、「3Aでも、3〜4年安定して、高打率を残している選手は、日本で活躍する可能性が高い。」って言ってた。そういう視点を、プロの解説者なら持つべきだろう。給料貰ってんだからさ。ってか、それが出来なきゃ、日本の選手だって、良し悪しを解説出来まい。

 また、この牛込さんに限らず、ヤクルトなんかも常に外国人は成功しているし、星野も外国人を外した事がほとんど無い。以前、「ペタジーニかあ、あれ、俺も2,3年前から狙ってたんだよね。ぼやぼやしてたら、ヤクさんにとられちゃった。」なあんて、語ってたし。また、「今度スゴイ抑えがくるから。絶対巻き返すから。」って語っていたら、ギャラードが来た。おそらく、ピーター・オマリー人脈なのだうろけど。星野もまた、外国人を外さなかった。

 つう訳で、見える人には見えるものなのである。故に、「外国人助っ人」問題は、かつてはともかく、今では言い訳にならないと思う。単なる不勉強、あるいは怠慢である。

 つう訳で、「順位予想」を外す要因として、よく挙げられる「ケガ」と「外国人」は、確かに、それなりの要因ではあるだろうけど、私は、第3番目の要因があり、それが大きなものだと思っている。

 それは何かというと、「ピッチャーの成績の不安定さ」である。要するに、ピッチャーの成績が読みづらいというのが、「順位予想」の難しさ第3の要因だと思う。

 だいたい、ピッチャーで5年続けて、良い成績、あるいは安定した成績を残した者は、ほとんどいない。最近じゃあ、菅野、千賀くらいである。山本も活躍しているようだけど、二桁勝利は昨季が初めてである。抑えも、山崎が5年連続まで、松井が3年連続まで、である。中継ぎは、評価が難しいところがあるのであるが、パッと思いつくのは、宮西ぐらいである。

 その宮西は、10年連続で結果を残しているけれど、先発となれば、阪急の山田ぐらいまで遡らなければならない。山本昌も、10年連続ではないんだよね。連続二桁は3年が最長。工藤も5年が最長。石川も5年が最長。

 松坂やダルビッシュがアメリカに行かなかったらという説はあるけれど、あくまで仮説だし、同じタイミングで怪我したかもしれん。でも、今調べてみると、ダルビッシュは、メジャーも含めると、9年連続二桁勝利なんだね。惜しい。

 松坂やダルビッシュクラスでそれなのだから、その他のピッチャーは3年連続二桁勝利すら難しい。

 一方で、斎藤雅樹や田畑のように、突如二桁勝つピッチャーも現れる。

 事程左様に、ピッチャーの成績というのは、非常に読みづらい。昨季の田中が4勝で終わるなんて、誰も予想出来なかったろう。また、ここでは、その成績の指標に「勝ち星」を採用したけれども、この「勝ち星」自体がピッチャーの力だけでは、どうにもならないところがある。ピッチング内容が良くても、負ける時は負けるし。ピッチング内容が悪くても、勝てる時は勝てる。
 じゃあ、「防御率を採用しろ」って声が上がるだろうけど、「防御率」も案外、打線や守備に左右されるものなのである。得点が多ければ、それだけ楽に投げれるし、エラーは説明するまでも無いだろう。

 ただし、「得点が多い」「エラーが少ない」からといって、それがそのまま、ピッチャーの好成績につながるかというと、一概に云えないのが、ピッチャーの難しいところなのである。接戦の方が力を発揮するタイプもいるし、三振を奪いにいった方が力を発揮するタイプもいる。

 そのほか、ピッチャーの成績を左右するものとしては、先に挙げた外的なもののほかに、無論、内的なものもある。「新しい変化球を覚える」とか「キャッチャーが変わる」とか「ピッチングの組み立てを変える」とか「気持ちが変わる」とか「考え方が変わる」とか「球場が変わる」とか「マウンドが変わる」とか「ボールが変わる」とか、挙げ出したら切りがないほど、ピッチャーの成績が劇的に変化する要素が多種多様沢山あるのである。

 しかも、良かれと思ってやった事が裏目に出る事も多い。例えば、先に挙げた「新しい変化球を覚える」であるけれど、覚えたが故に成績が下降した事例も多い。まったく以って、「ピッチャーはガラス玉」なのである。この金田の言葉は、野球にとって、最も重要な言葉だと思う。まさしく金言である。

 ちょっとした事で、良くなったり悪くなったりする。しかも、周知のとおり、ケガの多いポジションでもある。しかも、このピッチャーというポジションが、野球というゲームで重要度の低いポジションならともかく、こちらも周知のとおり、最重要ポジション、勝敗の7割あるいは8割を握ると云われているポジションなのである。おそらく、あらゆるスポーツの中で、もっとも重要度の高いポジションであろう。

 この「ピッチャーというポジションの成績の不安定さ」というのが、プロ野球の「順位予想」の難しさの主因だと私は思う。

 よく、シーズン前に、ファンが、とりわけ90年代の阪神ファンが「誰々が○勝、誰々が○勝」とやってって、まとめたら150勝してしまうという笑い話があるけれども、これも「ピッチャーの成績」の不安定さを物語っているものと云えよう。シーズン前は、確かに○勝してしまう可能性は否定できないのである。ありそうな数字なのである。

 ちなみに、打者や野手、走者の成績は当然安定している。守備や走塁の成績に大きな変化がない事は説明するまでも無いであろう。まあ、せいぜい、守備がやっているうちに少しづつ上手くなるぐらいである。劇的に上手くなったり下手になったりはしない。また、「足にスランプは無い」である。

 また、打力も、そんなに大きく変わる事は無い。レギュラーを獲って最初の数年くらいは、ぐんぐん上昇していくかもしれないが、ある程度自分の成績が出来たら、あとは一定する。30本打つ人は、毎年のように30本前後打つだろうし、3割打つ人は、毎年のように3割前後打つであろう。で、15本の人は15本前後、2割5分の人は2割5分前後、変わらない。ケガや年齢的な理由で低下する事はあっても、成績はほぼ一定である。あとは打撃成績の変化する理由として、他に強いて挙げれば、「打順の変更」ぐらいだろうけど、それも劇的には変化しない。やや変化ぐらいである。

 例外的なのは、昨季の杉本ぐらいである。私は数年前から杉本は見ているのであるが、私の目には典型的な「永遠の4番候補」「永遠の未完の大器」ように映った。それこそ、腐るほど見てきたタイプである。
 ところが、昨季いきなりホームラン王。「ありゃりゃ、私の見立て違いかな。」と反省したら、今季はこのざま。これで、このまま消えてったら、「通算本塁打100本以下の本塁打王」になってしまう。多分唯一だと思う。1950年代以前はともかく、60年代以降では初めてだと思う。

 で、この「ピッチャーの成績の不安定さ」に関連してという訳では無いけれど、開幕2ヶ月、すなわち4月5月で、各チームの首脳陣が絶対しなければいけない事は、1にも2にも投手陣の整備である。

 先にも言ったように、ピッチャーの出来というのは一年更新である。やってみなけりゃ分からないものである。故に、開幕二ヶ月で、今季の投手陣の状態を見極め、先発、中継ぎ、抑えをきっちり確立するというのが、各チームの首脳陣必須の業務である。

 これが、ビシッと決まれば、二ヶ月終了時点で借金10ぐらいあっても、十分戦える。優勝戦線に喰い込める。まあ、さすがに借金10を大きく超えていると、仮に投手陣が整備されたとしても、なかなか厳しいだろうが、つーか、投手陣が整備できるようなら、この時点で借金10は越えていない。
 また、逆に貯金10ぐらいあったとしても、この時点で投手陣が整備できないのなら、その後は大きく不安である。この時点でトップでも、ズルズルいっていしまう公算が高い。私がファンなら、諦める。

 また、ここで謂う「投手陣の整備」というのは、防御率の良し悪しでは無くて、先発、中継ぎ、抑えがビシッと決まるという事である。先発が5枚ないし6枚、抑えが誰々、中継ぎは、勝ってる要員・負けてる要員・ワンポイントがビシッと決まるという事である。防御率の良し悪しではない。
 例えば、今年の阪神は、現時点でリーグ防御率トップだけど、抑えが決まっていないので、厳しいだろう。岩崎で行けると見てるのなら、話は別だけど。それとも、他に当てがあるのか。

 んな感じかな。

                                      2022/6/2(木)

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