インディアナポリス研究会コルツ部

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2021年
4月
ドラフト展望  さてドラフトである。っつても、NFLのドラフトではなく、プロ野球のドラフトの話がしばらく続くので、プロ野球に興味のない人はスッ飛ばして下さい。

 最近、某遵法精神皆無動画サイトで1990年前後のドラフト関係のテレビ番組を面白く見た。

 1989年の、所謂「史上最高のドラフト」であるが、当時のニュースステーションで久米宏が、「いや〜、巨人は元木と大森の両方、取れちゃう可能性があるんですか〜。羨ましいですね〜。」って、例の独特の笑顔で語っていた。まさかの両方ハズレとは。この年のドラフトで外すのは結構痛い。まあ、吉岡と柏田が微妙なアタリか。巨人では活躍しなかったけど。

 この年のドラフトは、所謂「野茂ドラフト」でもあるけれど、今からもう一度やるならば、野茂、古田、佐々木が第1グループ、前田、佐々岡、潮崎、小宮山、石井が第2グループ、西村、吉岡、岩本あたりが第3グループといったところか。与田、新庄、パンチ佐藤は評価の難しいところであろう。あと、野茂のメジャー行きとか前田の怪我は考慮無しね。

 私がNFLドラフト式に全体1位を持っているとしたら、古田かなぁ。もう二度と出てこない選手だろうし、なんだかんだ言って90年代最高のプレイヤーは古田だったと思う。ちなみに50年代最高は川上で、60年代最高は長嶋、70年代最高は王、80年代最高は原、の予定であったが、結果は落合、90年代は清原、になる予定が古田で、00年代は松井、になる予定がメジャーに行っちゃった。

 あと、この年のドラフトで面白いというか不思議なのはパンチ佐藤で、パンチの実力はともかくとして、当時、藤井が台頭してきたオリックスが何故に同じ左の外野手を指名、それも1位で指名したのだろう。キャラクターはともかく、全く似たようなタイプの選手だし、しかもスケール的には藤井の方が上であろう。藤井の刺激剤に1位を使うとは考えにくいし、まさか門田の後釜と考えていたのであろうか。まあ、オリックスは、それから2年後、同じ左の外野手で史上空前の大当たりを引くのであるから、そんな事は些末な問題か。

 その1991年のドラフトでチヤホヤされていたのは、懐かしの若田部。水をごくごく飲んでいたけれど、その年の4位に、この年最高の当たりがあるとは、この時点では、無論誰も知る由は無い。

 その前年、1990年は所謂「小池ドラフト」。当時のテレビ番組は、こぞって小池を特集していたが、この年最高の当たりが、まさか、その小池の控え投手だったとは、当の本人も気づかなかったであろう。

 ちなみに、この年ドラフトされた大学生は1968年生まれになるのだが、好投手が非常に多い世代・学年である。前年ドラフトされている野茂・潮崎に加えて、この年の小池・高津・長谷川・岡林・佐野・野村、そのほかの年で杉山・川尻・成本・田畑・木田・内藤(?)等々がいる。ちなみに、バッターは金本・矢野・山崎・飯田・土橋・W緒方・中島といったあたり。
 しかも、面白い事に、彼等が高校卒業時は、KK、すなわち桑田・清原の翌年という事もあってか、不作といわれていた世代だったりもする。

 で、その年の高校生ナンバー1ピッチャーとして評価されていたのが、誰あろう、近藤真一である。まあ、初登板でノーヒットノーランの離れ業を達成してしまうのだから、この世代は野茂世代ではなく、やはり近藤世代というべきであろう。
 近藤がノーヒットノーランをしていた頃、野茂はフォークを習得中、金本は大学目指して浪人中。まさしく、雄飛の前の雌伏の時であった。

 ○○世代という名称を定着させたのは、松坂世代であるが、実際のところは、特別優れた世代ではないと思う。平均よりやや上か、厳密に集計したら、平均よりやや下かもしれない。おおきく例年並みの世代だと思う。

 野手よりも投手の世代であるが、その松坂に続くのは、和田・杉内・館山・藤川・永川・久保田・木佐貫・W久保といったあたり、バッターは村田・小谷野・東出・森本・梵ぐらい。ピッチャーはともかく、バッターの小粒感は否めない。
 その投手にしても、先に挙げた1968年組と比べてどうかというと、いい勝負、あるいは1968年組の判定勝ちといったところか。

 あと、やっぱり、名球会がいないというのは痛い。一昔前に比べると、ピッチャーはともかくバッターの名球会入りのハードルはグッと下がっている。試合数が増加したからである。したがって、という訳でもないが、どの学年でも、一人くらいは名球会入りがいる。

 例えば、1972年組は、比較的地味な世代だけど、稲葉・和田の二人が名球会入りしており、谷が1928安打、西口が182勝している。

 また、松坂より後輩の1988年組では、早くも坂本が2000本安打を達成している。

 所詮は、金田の私的懇親会に過ぎない名球会を選手評価の唯一の指標とするのはどうかと思われるが、ひとつの基準にはなると思う。

 ちなみに、バッターに好選手が多いのはここ30年くらいだと、やはり1973年組という事になるだろう。イチロー・小笠原・松中・中村、この4名の存在で他を圧している。

 投打のバランスという意味では、上原・川上・清水・高橋・松井稼頭央・福浦・井端らのいる1975年組かと思う。

 じゃあ、歴代最高はというと、古田・山本昌らのいる昭和40年会や田淵・山本・星野・有藤らのいる1946年組も捨てがたいが、白眉は、なんと云っても、日本プロ野球史上、人気面における最大の功労者・長嶋と、同じく実力面における最大の功労者・野村を擁する1935年組で決まりであろう。まあ、王・張本のいる1940年組も捨てがたいけどね。

 もっとも、この手の世代別比較論というのは、どこまでいっても印象頼みで、厳密に統計を取ったら、どの世代も数字的にはさほど差が無いのかもしれない。ただ、いずれにしても、松坂世代と称して、彼らの世代を特別視するのは間違っていると思う。

 意地悪な言い方をすれば、松坂だけが飛び抜けていた世代だとも云える。例のPL学園にしても、特別優れた世代ではなかったと言われているし、更に特別意地悪な言い方をすれば、疲労困憊の松坂にノーヒットノーランを喫してしまうようなチームが決勝に進出できた世代だとも云える。松坂をはるかにしのぐ怪物だった江川が、結局、甲子園で優勝できなかったのとは対照的である。

 また、同じ春夏連覇という意味では、立浪・野村・片岡・橋本、それに優勝メンバーといえるかは微妙ではあるが、宮本のいたPL学園と比較しても、横浜高校は結局プロで活躍したのは松坂のみである。まあ、名球会入りが2名いるチームと云うのも、最初で最後かもしれないが。

 幼稚なフレーズやレトリックで安直な記事を大量生産するマスコミにも問題はあるが、それを喜ぶ読者にも問題はある。それが、スポーツや芸能みたいな、ぶっちゃけドーデモヨイ、生活に直結しない事なら、それはそれで構わないが、政治や経済といった我々の生活に直結する事でも、同様の事をしている。その最悪の事例は、先の戦争であろう。耳触りの良い事ばかり聴いていると、心は腐るよ。

 さて、NFLのドラフトである。例年通り、ポジションごとに見ていくか。


 【QB】

 リヴァース引退時点で、強烈なニーズとなり、1巡21位でQB指名というモックも増えたのであるが、ウェンツ獲得で、あっさり終息。さすがに、1巡は無い。まあ、3巡を使ったって事だけどねえ。

 余程の事のない限り、QB指名は無いであろう。よっぽど面白いのが残っていれば、話は別だが、ウェンツ、イーソン体制で今季は戦うと思われる。


 【RB】

 エースはテイラーで万全であるが、2番手RBがニーズだと思っていたら、マーロン・マックと1年2億円という、どうとでも解釈できる内容で契約。まあ、普通に考えれば、2番手RBの契約であるが、「いつでも首キレる契約」でもある。キャンプで他のRBと競わせるプランも無くはないのかもしれない。とすると、1巡21位はともかく、2巡54位での指名も無くはないであろう。

 一方、マック・サイドから見れば、今オフのFA市場はコロナ不況で冷え切っているので、「とりあえず1年契約」にして貰ったと云えなくもない。とすると、コルツ・サイド的にはマックを純粋な2番手RBと考えているのかもしれない。とすると、3日目はともかく、1巡2巡での指名はないと思われる。

 まあ、マックの処遇はともかく、2番手RBはニーズなので、どっかで指名しても良いと思う。昨年は、「ブロッカーをうまく使える奴」という明確過ぎる選考基準があったが、2番手RBなので、それもない。スピード派パワー派テクニック派、なんでも良い。なんなら、テイラーと同タイプでもよい。という訳で、今季は、昨季と違って、RBを私はあんまり渉猟していない。どんとこい、である。

 「2番手RBなら、ハインズがいるではないか。」という声が今聞こえたが、ハインズは、私の見るところ、2番手RBというよりはスキャットバック枠である。2番手RB、すなわち、「テイラー休ませ要員」とは考えていない。

 とはいうものの、こっちはこっちで何気にニーズだったりもする。ネルソン、レオナルド、テイラー、これからコルツは大物との契約更改が必至である。ここ数年と違って、キャップヒットも余裕がなくなってくるであろう。となると、さすがにハインズとの契約延長は難しくなると思われる。ハインズも、何気に数字を残してるので、ルーキー契約終了後はサヨウナラだと思う。つかまあ、スキャットバックに、そんなに大金は使えん。

 あとまあ、スキャットバックとしてのハインズにも、私は多少不満がある。アジリティ、クイックネスともに、ちと足りないと思う。

 という訳で、純粋なニーズという意味以外でも、グレードアップという意味も含めて、1巡はともかく、2巡以降でのスキャットバック指名は無くはないと思う。個人的には、要求している。で、上手く指名出来たら、ハインズの今季のベースサラリーも何気に高いので、どっかのタイミングで、ハインズ・カットもあるかと思う。

 では、肝心のスキャットバックのプロスペクトはというと、正直分からん。スキャットバックは、今時上位で指名するチームは無いので、スカウティングレポートに乏しい。バラード、頼んだ。


 【WR】

 問題のポジションである。私個人的には、ニーズだと考えているが、首脳陣はニーズだと思っていない節がある。事足りていると見ている節がある。
 というのも、今オフ、サミー・ワトキンスとかケニー・ゴラディとか面白そうなWRがFA市場に出品されていたにもかかわらず、首脳陣は全然興味を示していなかったからである。ピットマンに手応え感じてるのか。キャンベルに未練があるのか。ハリスが化けるのか。ヒルトンは若返るのか。分からん。

 つー訳で、1巡2巡でのWR指名は無さそうである。今年、エントリーしているWRで、私が最も欲しいのは、無論、あのマーヴィン・ハリソンに比せられるデヴォンタ・スミスである。コルツファン的に放っておけない。線の細さを不安視する向きもあるが、そんなの関係ない。そんなのカンケーネー。マーヴィン・ハリソンの再来を無視できるかっつの。

 でも、獲れない。だって、21位まで残っていないから。下手すっと、10位以内で消える。ジャマ―・チェイスより先に指名される。コルツ首脳陣が、凄まじいトレードアップをして、デヴォンタ・スミスを獲りにいったら、泣いて喜ぶ。バラードに体捧げちゃう。

 スミス以外はというと、あんま目ぼしいのがいないんだよなあ。今季のWRの上位指名候補は、全体的にスロットタイプが多く、コルツ、つうか私の求めるエースタイプは少ない。つか、いない。
 ちなみに、もし1巡2巡でバラードがWRを指名するのなら、多分コイツ。セイジ・サラット。好きそうなタイプ。か、ラシャード・ベイトマン。まあ、ベイトマンとピットマンのWマンでもいいけどね。

 つか、ホントに欲しいのは「レシーバーを見る目」である。それこそ、ドラフト1巡で指名したい。1巡でトレードしたい。


 【TE】

 本来、21位というと、TEのナンバー1プロスペクトを指名するのには絶好の順位なのであるが、今季は出来ない。何故なら、今年のTEのナンバー1プロスペクトは10位以内、下手すっと5位以内で指名されちゃうから。

 そのTEのナンバー1プロスペクトは、云わずと知れたカイル・ピッツである。今ドラフトにエントリーしている全選手中、最高のタレントといわれている。唯一のフリークとも云われている。そんな選手、21位まで残っている訳がない。

 もっとも、ピッツが如何程の選手でも、私は何度か書いているが、10位内でTEを指名するのは反対である。凄まじいトレードアップをして、こっちを獲りにいったら、スミスとは別の意味で泣く。複雑な涙を流す。

 一方、ピッツの次のTEはというと、ジャック・ドイルの再来とかイーブロンの再来とか、コルツファン的には耳を塞ぎたくなるような選手、ソンナノキキタクネー選手ばっかなので、1巡2巡でTEの指名はないかと思う。少なくとも、私的には無い。今季も、アリー=コックス頼みか〜。う〜む。3日目で当たりを引きたい。


 【OL】

 カスタンゾが引退しちゃったので、がっつりニーズであり、実際、1巡21位でLT指名のモックは多い。私の予想も50%ぐらいでLTである。残り40%がトレードダウン、後述するが、残り10%はエッジラッシャーだと思う。

 で、肝心の指名する選手であるが、正直、誰でもいい。この辺の順位で指名するLTにハズレは少ないので、誰を指名しても良いと思う。それこそ、マスコミのモック通りで良いと思う。

 ただ、私個人的には、かつても何回か書いているけれど、一昔前ほどエッジラッシャー対LTという構図は無くなり、パスラッシュ対パスプロは、DL対OL、あるいはフロント7対OL+バックス陣という、謂わばユニット全体の戦いになってきているので、LTにかつてほどタレントは求めなくなってきていると思う。

 そこで、1巡21位ではLTを指名せず、2巡54位での指名もアリだと思う。その場合の標的はリーム・アイケンバーグあたり。ノートルダム出身という事で、ネルソンに苛め、もとい可愛がられるであろう。

 また、3番手4番手評価のLTではなく、1番手評価のRT、あるいはランブロック型の選手を指名して、RTにし、ブレイディン・スミスをLTに転向という手もあると思う。左右のバランスは、そちらの方が良くなると思う。

 ちなみに、ネルソンをLTに転向という案もあるらしいが、それは私は反対。キャップマネジメント的にはそちらの方が正しいのだが、ネルソンはLGで使ってナンボの選手だと思う。

 あと、昨シーズン終盤痛感した控えラインマン問題であるが、FAで色々物色したので、ドラフトでの指名はないと思われる。あっても3日目に1名ぐらいであろう。


 ちと長くなってきたので、ディフェンス編は次回。でも、次回も野球ネタがあるのだった。だった。

                        やる事が多過ぎる。2021/4/25(日)

 はいっ、ディフェンス編である。


 【エッジラッシャー】

 ニーズちゃあニーズであるし、ニーズじゃないちゃあニーズでない、もはや好きだか嫌いだかよく分からない古女房、おっとフェミニストを敵に回してしまった、老いた配偶者のようになっているポジションである。毎年、この時期恒例の呪文みたいにもなっとる。

 まあ、今の、つうか、この10年間、コルツの欲しがっているのはエッジラッシャーちゅうか、正確に云えばプレミアパスラッシャーである。要するに、シーズン15サックする奴である。

 で、そうゆう奴は通常、トップ5候補になってしまうので、1巡21位では到底届かない。ここ10年くらいで、コルツがそういう選手に最も近づいたのはブラントリー・チャッブ、いや、それは言うまい。

 という訳で、例年ならば、1巡21位ではお話にならないのであるが、今年はちょっと例年と違って、エッジラッシャーのトッププロスペクトに1巡21位でも届きそうな気配である。グレゴリー・ルソーやキウティ・ペイ―、ジェイソン・オウェー、ジェーラン・フィリップスといったトッププロスペクトが20位くらいまで落っこてくるというモックも多く、実際、コルツが彼等を指名するというモックも割に見かける。

 落っこってくるという事は、それだけプレミアでないとも云えるが、コンバット越前風に「せっかくだから」指名しておくのも悪くはあるまい。スコーンと外しても不満はない。

 ちなみに、これも毎年恒例の呪文のように、私の追っかける高速軽量パスラッシャーは、もはや絶滅危惧種。ほとんど見かけない。これだけ失敗続きだとね。仕方ないか。


 【DT】

 バックナー様もいるし、スチュアートとも、そこそこの契約を結んでいるので、ニーズじゃないちゃあニーズではないが、面白そうなのがいたら、1巡で指名しても良いとは思う。ローテーション出来るから、何人いても困らないしね。

 つか、私がコルツファンになって15年以上経過しているが、1巡でDTを指名したのは未だ一度もない。ここらで指名しても悪くはあるまい。

 では、誰かというと、分からない。どんなタイプが良いのかも、分からない。


 【LB】

 ウォーカーが抜けたとはいえ、レオナルド様とオコリーキがいるので、ニーズではない。スターターが3人必要という説も無くは無いが、最近は、コルツに限らず、4−2−5が基本なので、上位で3人目のスターターを指名する火急性は低いであろう。とはいえ、デプスは薄いので、3日目での指名はあるかもしれない。

 1巡2巡で指名するようだったら、レオナルドのリリースも視野に入っているという事になろう。難しいとこだけどね。


 【DB】

 現状コルツは、CBとSをあんまり区分けしていないようなので、DBでまとめます。

 全然ニーズではないけれど、ここの所コルツは、毎年結構な順位でDBを、あたかもスポーツマンのプロテインのように補給しているので、もしかしたら、1巡2巡での指名もあるかもしれないと思ってはいる。カレブ・フェアリーとかトレヴォン・モーリグとかジェヴォン・ホーランドとか、面白そうではある。

 まあでも、指名は無いか。ローズとカリー、両者とも再契約したし、デプスはうじゃうじゃしてるし。誰かが上位で指名されたなら、誰かが整理されるかもね。

 あと、アサンテ・サミュエルJr.は要らない、絶対に。コルツファンとしての尊厳にかかわる。コイツを指名したら、バラードの正気を疑う。


 【スペシャルチーマー】

 無い無い。異常にキャラの濃い奴がいない限り、指名は無い。


 てな感じであるが、読者の方々はお気づきかもしれないが、例年に比べると、ドラフトに向かう私のテンションは低い。過去最低かもしれない。

 今年のコルツに強烈なニーズが無いってのもあるが、あとなんか、各ドラフトガイド誌を見た限り、今年は全体的に小粒感が強い。まあ、そういう年に限って、超大物がいたりするのだけど、現時点で水面上に挙がっている選手は、ちょっと小粒な印象ではある。TEのピッツが全選手中最高のタレントといわれているのは、その証左であろう。TEがベストと言われたドラフトはちょっと記憶にない。

 私の知る限り、ドラフト時、最も評価の高かったTEはケレン・ウィンスローJr.であるが、そのウィンスローでもベストのタレントとは云われていなかったように記憶する。フィッツジェラルドか故ショーン・テイラーだったと思う。

 という訳で、今年のドラフトは、どっかのタイミングでLTを指名したら、あとはBPAでいいんじゃないかな。と、昨季プレイオフ初戦敗退のくせに余裕のドラフト。

 つー訳で、今ドラフトの私の予想的希望はというと、

 来年は1巡2巡どちらかが無い訳であるし、1巡21位は今年の2巡+来年の1巡にトレードダウン。出来れば、今季負けそうなチームを狙い撃ちしたい。

 で、その2巡二つでアイケンバーグとジェーラン・フィリップスを指名して、あとはテキトー。

 正直、あまり研究しとらんので、よく分からん。指名してから、考察したいと思いまーす。そっちのが、楽かつ効率的ではある。厚みは失うけど。

 無論、出鱈目なトレードアップをして、デヴォンタ・スミスを指名したら、聖水のような涙を流す。


 さて、ここからは、前回お知らせしたとおり、野球の話になる。野球に興味関心の無い方は、ここで読むのをやめて、アマゾンでエロDVDでも物色してください。

 今、アメリカのプロスポーツ界(アマチュアも?)では2世選手が花盛りである。今ドラフトでも、パトリック・サーティンとかアサンテ・サミュエルのような懐かしい名前が散見する。そもそも、昨年、コルツがドラフトしたのもマイケル・ピットマン、2世選手である。

 他のスポーツに目を転じても、ブルージェイズの内野は全員2世選手だったりする。

 また、コービー・ブライアントやステファン・カリーのように、父親をはるかに凌ぐ選手や、バリー・ボンズやケン・グリフィーのように、父親自体もスターだったのに、それをも凌ぐ選手が現れてきたりしている。

 あと、忘れちゃいけない。パトリック・マホームズ。

 このように、父親と同じスポーツかはともかく、父親がプロスポーツ選手だったプロスポーツ選手は、今、アメリカには非常に多い。ぶっちゃけ、NBAだったら、2世選手だけでロースターを構成する事も出来そうな勢いである。そうして、ジュニアーズに改名。

 翻って、我が日本のプロ野球に目を転じてみると、2世選手はほぼ皆無である。まあ、一茂とかカツノリとかいるにはいるが、活躍どころか、親のコネ感は否めない。古くは、南海の堀井とか。

 他のスポーツに目を転じてみても、高木豊の息子たちとか、若貴兄弟、ハンマー投げの室伏親子ぐらいである。

 ほかにも、いろいろ探せば出てくるのだろうけれど、日本人だったら、少なくともスポーツの好きな日本人だったら、誰もが知っている2世選手はほとんどいない。活躍しているのも、上記の3者、つうか3組ぐらいである

 しかも、サッカーと相撲はともかく、ハンマー投げは、ハッキリ言って、身近なところに関係者がいない限り、普通に生きていたら、まず接する事のないスポーツである。事実上、日本における2世選手は、高木豊の息子たちと若貴兄弟ぐらいしかいないのではないだろうか。誰か、忘れていたらゴメンナサイ。

 ただ、いずれにしても、パッと思いつくような有名選手がいないという意味では、2世選手をめぐる状況は、日米では大きく異なるといってよいであろう。

 それは何故なのだろう。軽く考察してみたい。考察するポイントは2点ある。まず、「そもそも、両親、まあ、ほとんどの場合は父親であろうが、両親のどちらかがプロスポーツ選手の場合、その子がプロスポーツ選手になる確率は高まるのか。」と、「何故、そこに日米差が存在するのか。」の2点である。

 まずは、スポーツに限らず、2世モノを考える上でのド定番、遺伝である。

 一般的に、両親の特徴、すなわち体格、体力、運動能力、知性、性格等々は、その子に遺伝すると云われている。少なくとも、似たような人間が生まれる確率は高いと云われている。
 ただ、この問題に対する包括的な調査・研究は為されていない(多分)ので、実際のところは、私には正直良く分からない。親と似ていない子供なんて、結構よく見かけるし、何が遺伝し、何が遺伝しないのか、また、どれくらい遺伝するのかもよく分からない。

 また、2世モノで大事になってくるのは、親が努力して得た能力は子供に遺伝するのかという事である。練習して身に付けた体力とか技術は子供に受け継がれるのかという問題である。

 一般に、つうか現状の科学的には「獲得形質は遺伝しない」と結論付けられているけれども、ただ、そうなると、普通、スポーツマンの能力なんていうのは、ほとんど後天的に身に付けたもの、当人が「努力の成果」というものであろうから、遺伝はほとんど意味をなくしてしまう。多少、有利な位置にいる、ぐらいであろう。

 また、日米差を考察する上では、そこに人種的な差異が存在するのかという問題も発生するが、一般的には、「白人や黒人はよく遺伝するが、黄色人種はあまり遺伝しない。」なんて言説は聞いた事は無いから、そこに差は無いのであろう。

 この問題に関しては、包括的な研究・調査は為されていないだろうし、また、それを為す時間とお金が、今後この世にあるとも思われない。まあ、勿論、思わぬ方法で解決されてしまう可能性も無くは無いが、現状は、正否どちらの断定も保留せざる得ない問題といってよかろう。

 ただまあ、我々人類は、3000年来だか4000年来だかは知らぬが、非常に永きに亘って、遺伝を信じてきたというには留めたい。所謂、血の信仰である。

 先に考察したたのが先天的な獲得物であるならば、次に考察するは後天的な獲得物、すなわちスポーツする環境、練習環境である。

 今時、そんな人はいないとは思うが、「スポーツの才能に恵まれながら、家が貧しくて、スポーツが出来なかった、集中出来なかった。」という人は、かつてはいたであろう。
 まあ、そこまでいかなくても、「野球が好きだけど、家が貧しくて、バットが買えない、グローブが買えない。だから、野球を諦めた。」というぐらいの人は今でもいるかもしれない。

 所謂貧富の問題である。そうして、この点に関する限り、これはハッキリ2世選手が有利である。一口にプロスポーツマンと言っても色々あるだろうが、所謂スター選手は、どう考えても、一般的な家庭より裕福である。庭にバッティングゲージのひとつもあろう。地下にトレーニングルームもあろう。バッティングセンターにだって、毎日通えるであろう。つか、自宅に設置されているかもしれない。

 そうして、この点に関する限り、日米において差は無い。まあ、勿論、アメリカのプロスポーツマンの方が、一般に日本のプロスポーツマンより裕福ではあろうが、子供に練習環境を整えるレベルの金銭的余裕は日米ともに差はあるまい。

 もっとも、この問題に関しては、むしろ貧しい方が有利だと主張する人もいる。所謂ハングリー精神である。まあ、確かに「裕福への渇望」、あるいは「貧しさからの脱出」みたいな動機からスポーツに専心したという人も少なからずいるであろう。野村とか張本とか、あるいはピッペンといった人たちである。
 一方では、長嶋とか王のように金銭的には貧しくない家庭に育ったスーパースターも多い。マイケル・ジョーダンも、黒人家庭の中では裕福な方だったと云われている。また、レインビアみたいに、「父親より収入の少ないプロスポーツマン」も、ごく少数ではあるが、いる。

 一口にハングリー精神といっても色々あるだろうが、私には金銭的な貧しさがプロスポーツマンになるための大きな動機、決定的な要因になるとは思われない。「裕福への渇望」はともかくとして、「貧しさからの脱出」がプロスポーツマンになるための大きな動機、決定的な要因になるとは思えない。「貧しさからの脱出」だけであったら、究極の水商売であろうプロスポーツマンよりは公務員やサラリーマンを目指すだろう。やっぱり、「貧しさ」がスポーツマンへの道を狭めていると云える。

 以上、2点の考察をまとめると、「2世選手は、後天的な家庭環境から、プロスポーツマンになるのに有利であり、そこに日米の差は無い。」という結論になり、日本に2世選手の少ない理由にならない。

 とすると、あと一つ考えられるのはコレ、すなわちコーチングという事になってしまう。メンタル面の指導、技術的指導、進路指導等々の所謂コーチングがアメリカに比べて劣っているという事になってしまう。

 でもまあ、そう仮定すると、有名プロスポーツマンの子供たち、一茂とか福嗣とか、桑田の息子とか貴乃花の息子とかが、まあ絵に描いたような金持ちのドラ息子に仕上がっているのも頷けてしまう。カツノリが例外的なのは野村がエライのか、沙知代がエライのか。

 まあ勿論、東尾の娘や吹石の娘みたいのもいる訳だから、みんながみんなドラ息子ではないだろうし、紳士淑女が多数派であろうが、日本のプロスポーツマンのコーチング能力、教育能力については疑問符を付けざる得ないであろう。

 もっとも、日本の野球界には悪名高き所謂「プロアマ協定」がある訳だけど、さすがにおおっぴらに指導すれば、物議も醸すだろうが、自宅でちょっとしたアドバイスを与えるくらいなら、誰も問題にはしまい。つかまあ、徹底指導をしても公にはなるまい。至る所で、カメラの回っている現代とはいえ。

 日本に野球が入ってきて100年以上が経過している。しかし、未だに日米のレベルの差は埋まらない。多くの人は、それを安易に体格や体力に起因させてしまうが、私の見るところ、最も差がある、そうしてその差の埋まらないのは、マネジメントやコーチング、戦術・戦略理論等々である。肉体的ではなく、精神的な部分の差が埋まっていないのである。いつまでたっても、隔絶している。

 私はアメリカのフットボールの教本を何冊か所有しているけれど、それらの開巻1ページ目には大概「フットボール選手はいかにあるべきか」が書かれている。

 そうして、そのあるべきフットボール選手になるために、精神的肉体的に如何なる訓練が必要かが説かれ、1週間のドリルが指示されている。
 そうして、次に、各ポジションごとの目的が説かれ、その目的の達成に必要なプレイが指示され、そうして、そのプレイを習得するための練習方法が考案されている。

 日本には、こうした謂わば体系的なスポーツの本はまずない。スポーツの本は数多あるけれど、その多くは現役時代の思い出話と印象主義的な技術論である。あとは、欧米での流行りの戦術やトレーニング方法の盲目的紹介である。
 体系的な教本を書いていたのは、強いて挙げれば、私の知る限り、大西鐵之佑ぐらいである。野村克也もそれに近い事を言っているが、これはブレイザーの受け売りであろう。「野球選手はいかにあるべきか」、それを問うている野球関係者が日本にいるか。

 欧米式のやり方が、何から何まで正しいとは云わないけれど、体系的に物事を理解するというのは日本人の最も苦手とするところであり、それがコーチングの乏しさ、ひいては2世選手の少なさにつながっているように思う。

 と、ここまで書いてきて、ふと思ったのであるが、アメリカで活躍している2世選手って黒人ばっかである。まあ、もともと白人の少ない世界ではあるけれど、にしても黒人ばっかりである。

 とすると、ここに挙げた3つの理由、あるいは仮設のうち、2番目「後天的な環境の違い」すなわち「貧富の差」がもっとも、つか唯一の理由になってしまう。プロスポーツマンとそれ以外の人々の貧富の差は、白人社会や日本人のそれより黒人社会の方が大きいであろう。しかも、これはあくまで憶測だけど、黒人の方が職業選択の幅が狭い。ならば、父親と同じプロスポーツマンの道を進もうとする子供が、白人や日本人より多くなり、それが2世選手の多さの決定的理由になってしまう。

 コーチングは関係ないのか。と反省したら、いたいた白人2世スポーツマン。しかも、チョー大事な人を忘れていた。しかも、偉大な父親をしのぐ実績を残した2世選手を。身近すぎて、かえって忘れていた。何を隠そう、つか、隠す必要も無いけど、ペイトン・マニングさんである。あと。イーライ君も。身近すぎて忘れてたわ。つか、アンドリュー・ラックさんもね。

 やっぱり、日米の差はコーチングでした。チャンチャン。

 で、ひとまず、この稿を終えるが、そういえば、ドラフトの記事なのに、今ドラフトの目玉トレヴァー・ローレンスさんについて書くの忘れてた。コルツは、上述の通り、QBはニーズじゃないので全然関心は無いのであるが、彼のスカウティングレポートに遍く書かれている「アンドリュー・ラック以来」という措辞が、コルツファンには悲しい。空しい。

 でもやっぱり、29日(日本時間30日)は楽しみ。

            NFLの事は書かないと書きながら、書いちゃった。2021/4/28(水)

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