インディアナポリス研究会コルツ部

歴史

2018シーズン

TOPページへ

コルツ部TOPへ

1/2/3/4/5

2018年
4月
ドラフト概観  オッス、オラ悟空。お得意の訳の分からない書き出しで2018シーズンを開始してみました。
 
 例年だと、これらドラフト関連の記事はシーズン掉尾を飾る記事としていたのであるが、10周年という訳でもないけれど、今季から、シーズン冒頭の記事としたいと思う。そちらの方が公式スケジュールと符合しているようであるし。って、2017シーズン最後の記事にも書いた事だけど。

 さて、今ドラフト最大の注目はQB四天王とも、五人衆とも、おそ松くんとも云われるQB勢であるので、今季のドラフト記事はコルツ関連を後回しにして、彼等QB勢についての私見を述べてみたい。

 で、まずは、


 (1) ジョシュ・ローゼン UCLA

 各スカウティングレポートに共通しているのは、とにかく、そのスローイング・メカニックの良さ、つうか素晴らしさである。メカニックが素晴らしいので、コントロールは安定し、長短左右様々なパスが投げられる。リリースポイントも高い。そのメカニックの素晴らしさという点においては、ペイトン・マニング以来どころか、ダン・マリーノ以来という評価である。

 んで、それを支えるポケット内のフットワークも、当然ながら、高評価。んで、それらを活かすプレスナップリードも素晴らしいらし。

 しかしながら、機動力は皆無に等しい。つか、走る必要は無いのであろう。

 という訳で、本当にクラシカルなポケットパサー、純正ポケットパサーといった評価が、このジョシュ・ローゼンである。そういった意味では、マット・ライアン以来、あるいはペイトン・マニング以来のポケットパサーと見て良いと思う。

 欠点は、その性格である。とにかく評判が悪い。とりわけ、プロフットボール・ウィークリーのドラフトガイドでは酷評である。チーム内外から尊敬されていない、したがってリーダーシップもない、故に、五つ星リクルートの割には目立った結果を残せなかった。所謂、勝者のメンタリティが無いという訳である。

 まあ、PFW誌は伝統的に、QBに限らず、選手の内面、リーダーシップやフットボールIQといった精神面を重視する傾向があるので、とりわけ精神面の重視されるQBというポジションにおいては手厳しくなるのであろう。

 もっとも、精神面の危うさ、幼児性に関しては、各スカウティングレポート共通で、程度の差こそあれ、皆一様に指摘している。面白いのは、アスロン・スポーツのドラフトガイドの表現で、「a beat-of-a-different-drum type of guy, which will be a turn-off to some old-school coaches.」とある。ディファレントの意味がよく取れないが、意訳すると、「おかしなドラムを叩きたがる奴」といったところであろうか。んで、「オールドスクールのコーチに目の敵にされがち」だそうである。ターン・オフは直訳すると「見向きもされない」かな。まあ、辞書は引いていないので、もしかしたら全然違うのかもしれないけれど。外国語は辞書を引かない主義なのだ。

 英語の意味はともかくとして、とにかくそういう人間らしい。まあ、要するに、アメリカのQB至上主義が生んだ徒花といったところか。アメリカの映画やテレビドラマなどによく出てくる、ステレオタイプないじめっ子のQBを想像すると、当たらずも遠からずなのだと思う。そうして、ナードの主人公を苛めているのだ。

 もっとも、この手の性格は、QBなら皆大抵多かれ少なかれ持っているもので、それこそ、ジョニー・ユナイタス以来、ジョー・ネイマス、エルウェイ、ファーブ、ペイトン・マニング、アーロン・ロジャース等々、皆一様にそういう一面はあった。まあ、もちろん完全無欠な品行方正タイプもいるだろうけど。この手の性格をどう見るかは、コーチによって意見の分かれるところだと思う。私は、中間派かな。実力があれば、大目に見る、といったところか。

 この手の性格が災いしたQBの例としては、ジミー・クラウセンやジョニー・マンジールなどが挙げられるであろうが、彼らの場合は、性格的な問題ももちろんあろうが、どっちかというと、単純に実力不足といった感もある。
 あとまあ、マット・ライナートも、性格的な側面が災いして活躍できなかったという記事を読んだような記憶があるが、もしかしたら、間違っているかもしれない。

 また、ローゼンの欠点としては、この性格面のほかに、「線が細いのでケガしやすいのではないか」「肩はそれほど強くない」といった指摘もあるが、これらはそんなに問題にならないと思う。

 前者のけがの不安に関しては、こればっかりは何とも言えないと思う。線が細かろうが太かろうが、ケガする奴はケガするし、ケガしない奴はケガしないからだ。例えば、マット・ライアンも同じような不安があったが、結果的にはケガしていないし、同じ不安を指摘されていたサム・ブラッドフォードはケガがち、また、その不安の無かったラックはケガしている。線の細さとケガは、結局のところ、因果関係は無いと思う。ロバート・グリフィンのケガはプレイスタイルに依るものであろう。

 後者の「肩の強さ」に関しては、こちらはまるで問題にならない。「弱い」のは困るが、「強くない」はクォーターバッキングに何の支障もない。


 (2) サム・ダーノルド USC

 まず、あらかじめ断っておくと、こちらは性格面の問題は無い。赤シャツ2年生でキャプテンに選挙されているぐらいである。

 で、肝心の運動能力や技術面であるが、こちらは何と云うか、メカニックやコントロール、機動力、体格、フットボールIQ等々が万遍なく「良」といった感じのプレイヤーである。全項目において「優良」もないけど「可」もない、みたいな感じのQBである。オール4選手とでも言おうか。

 まあ、バランスが良いと云えば、それまでであるが、一方で、何が特徴なのかというと、私にはよく分からない。おそ松くんグループの(何だ、そりゃ。)メイソン・ルドルフやカイル・ラウレッタと比べて、何が違うのか、私にはよく分からない。USCだから、ちやほやされているという風にも見えなくはない。一昨年のウェンツの逆パターンか。

 しかし、何故にUSCのQBが、ドラフトの度に毎回ちやほやされるのか、私にはよく分からない。カーソン・パーマー、マット・ライナート、マーク・サンチェス、マット・バークリー、コービー・ケスラー、古くは、トッド・マリノビッチ、ロブ・ジョンソン、みな微妙な成績である。パーマーが、まあまあ成功したとも云えるが、大成功とまでは言えないであろう。私の知らない特別な理由があるのであろうか。

 また、ダーノルドの欠点として挙げられているのが、赤シャツ2年生という事で、先発経験が2年間しかない。確か、パーセルズがQBのドラフト条件の一つに先発3年以上というのがあったと思うが、それには外れている。カレッジでの先発2年以下とNFLでの実績に関しては、いかんせんサンプルが少ないので、統計学的には何とも言えないが、理論的には不安は付きまとうのであろう。先に挙げたPFWのドラフトガイドでも、この点は酷評である。

 この経験の少なさが要因か否かは分からぬが、メカニックやボールセキュリティ等々、技術面の細かいところで課題があるらしい。


 (3) ベイカー・メイフィールド オクラホマ大学

 上のダーノルドを、私は「オール4選手」と紹介したが、こちらはただ一点を除いて「オール5プレイヤー」である。メカニック、機動力、リーダーシップ、フットボールIQ等々、皆どれも素晴らしいらしい。ただし、背が低い。6−0、である。

 まあ、ドリュー・ブリーズやラッセル・ウィルソンの成功があるので、背の低さは一概に否定できないが、私は否定派である。背が低いと、プレイブックにどうしても制限が生まれてしまうので、私はそれを嫌っている。QBにはすべてのプレイが出来て欲しい。

 ただ、この一点を除けば、逆に言えば、もし身長が6−4であったら、全体1位間違いなしとも言われている選手なので、判断の難しいところではある。

 ちなみに、わたくし個人的には、この身長のほかに、もう一つ不安点がある。それは、「成績が良すぎる」である。4年間丸々素晴らしいのであるが、とりわけここ2シーズンは、2016が「パス成功率:70.8%、40TDs、8INTs」、2017は「パス成功率:70.5%、43TDs、6INTs」である。

 とくにパス成功率が2年連続70%超えには、私は若干の不安を感じる。パス成功率が60%を切ると、それはそれで不安であるが、逆に70%を超えても、私は不安を感じる。70%超えは、QBのスキルももちろん優れているのであろうが、それよりはチームのオフェンススキームが優れているからではないか、プレイデザインやコールが素晴らしかったからではないかと、私は勘ぐってしまう。また、「すぐにセイフティバルブに投げたがる」とか。

 フットボールというのは、そのゲームの性質上、どうしても無理して投げなければならない場面がある。で、無理して投げると、パス成功率はなかなか70%は越えない。そういう意味で、このメイフィールドの好成績には私は若干の不安を感じる。

 ちなみに、本人は大のパッカーズ&ファーブファンだそうである。ちっこいファーブというのが、イメージ的には一番しっくりくるのかもしれない。


 (4) ジョシュ・アレン ワイオミング大

 素晴らしい体格と肩の持ち主、しかし、それだけ。上述したベイカー・メイフィールドが持っていないものはすべて持っているが、メイフィールドが持っているものは何も持っていないというような選手。メイフィールの裏返しプレイヤー。

 正直言って、何故にこんなに高評価なのか、私は理解に苦しむ。PFWなどは、「メディアによって過大評価もいいとこの選手」と手厳しい。したがって、PFWでは3巡クラスに予想されている。

 他紙はさすがに1巡評価であるが、それでも評価は厳しい。「良いコーチが付けば、優れたQBになれるかもしれない」というような評価もある。そんなことを言ったら、体格と良いコーチがいれば、誰でも良いQBになれてしまう。だったら、QBに困るチームがこんなに多い訳がない。

 極めつけは、リンディ誌の比較対象プレイヤーで、ジェイク・ロッカー。これが全てを物語っていると思う。ちなみに、ジョシュ・ローゼンの比較対象はダン・マリーノ、ダーノルドはジョー・モンタナ、メイフィールドはジェフ・ガルシアである。

 私がGMだったら絶対指名はしない。スルーして失敗しても、後悔しないであろう。偶発的な事故と解釈する。


 (5) ラマ―・ジャクソン ルイビル大

 一口で云ってしまえば、劣化版マイケル・ヴィック。ちなみに、リンディ誌の比較対象選手は、意表をついてフラン・ターケントン。ベタにヴィックだとつまらないので、多少変化させてみたようである。

 もっとも、劣化版ヴィックといっても、そこはやはりヴィックはヴィックなので、決して悪い選手ではないと思う。「足がある」というのは、敵ディフェンスにとって、やっぱり嫌なものである。ここに挙げた五人衆の中では、意外に最も堅実なピックかもしれない。それなりの生産性は期待できると思う。もっとも、「王朝を作れるQB」、あるいは「最終的な答え」かと問われれば、大きな疑問符は付くが。

 意外に最も問題となるのは、その耐久性かと思われる。グリフィン三世と見るかキャム・ニュートンと見るかで、評価は分かれるであろう。

 ちなみに、私がGMだったら、状況次第でフラフラっと指名してしまうかもしれない。あとは野となれ花となれ。


 以上が、今季上位指名が予想されているQB五人衆である。6人目としてはメイソン・ルドルフやカイル・ラウレッタなどが挙げられているが、こちらの紹介は割愛する。ちなみに、ガチ・オールド・スクールのPFW誌はラウレッタ推しであるとだけは書き記しておこう。

 どう、絶妙に微妙でしょう。それぞれ一長一短があるというよりは、それぞれ大きな爆弾を抱えているというような状況である。「あとは、お好きな爆弾をお選びください」、みたいな状況である。どんな爆死がお好み?。

 コルツのトレードダウンに応じてくれた(?)ジェッツ関係者およびジェッツファンには大変申し訳ないけれど、正直、トレードアップしてまで欲しい選手はいない。強いて挙げれば、私はポリアン門下生なので、ローゼンかなあ。怖いけど。
 ちなみに、それ以降をランク付けすると、メイフィールド、ジャクソン、ダーノルド、アレンといった感じ。メイフィールド、ジャクソンは状況次第で指名、ダーノルドとアレンはスルーかなあ。つか、彼等4人つか5人を指名するくらいなら、ルドルフやラウレッタで一発勝負してみたい気がする。外したら、退職必至だけど。

 また、今回の五人衆は、似たようなタイプが5人、ではなく、それぞれタイプの異なるのが5人なので、指名するGMやHCのQB観フットボール観が色濃く出ると思う。そういった意味では、結果が楽しみではある。でもまあ、1巡下位でスチーラーズやペイトリオッツがしれっと当たりを引くような気がするなあ。強いものはずっと強く、弱いものはずっと弱い、それが今のNFLなのである。なんちって。

 あとまあ、今回、これらQB関連のドラフト記事を書いていて思ったのは、「コーチャブル」って概念である。「コーチャブル」というと、普通、つか完全に「コーチャブルな選手」という感じで、プレイヤーに付ける形容詞なのであるが、反対にコーチャブルなコーチ、すなわちコーチできるコーチというのが、とりわけQBというポジションでは重要だなという事である。

 HCやOC、QBコーチがQBというポジションの職能を理解していないと、どんなに優秀なQBを獲得しても宝の持ち腐れになってしまう。ここ数年のパガーノ一派に付き合わされて、私はしみじみそう思った。今年エントリーされるQBには「コーチャブル」なコーチが付いてほしいと切に願います。

 それと、もうひとつ思ったのは「QB獲得法」である。私はポリアン門下生なので、NFLはドラフトでチーム作りすべきだという考え方の持ち主だけれども、ことQBに関しては、あんまりドラフトに拘るのも考え物かなと最近思うようになってきた。偶然性に左右されがちだからである。

 優秀なQBは、そもそもなかなかいないし、いたところで自力ではどうにもならない場合も多い。2012年のラックなんかは良い、あるいは悪い例である。QBを渇望するチームが多い中、その年の全体一位はまさかのコルツ(どーも、すみません。)。ここまで極端でなくとも、狙っていたQBを目の前でかっさわれる事例も多いであろう。まあ、ウェンツをみすみすスルーしたブラウンズの事例もあるけれど。

 で、仮に首尾よくQBをドラフトで獲得したとしても、目論見通り活躍するとは限らない。

 そういった、諸々のリスクを考えると、ある程度実績のあるベテランQBをFAで獲得する方が得策、あるいはリーズナブルなのかなあとも最近思うようになってきた。こちらは、とりあえず金さえ積めば獲得できるわけだし。それでも、「イヤったら、イヤ。」とか言われちゃえば、それまでだけど。

 まあ、勿論、実績あるQBが市場に現れる事は非常に少ないけれども、その出現性はドラフトと大差ないような気もする。計算した訳では無いが。

 また、最近は、トレーニング方法コンディショニング方法の進歩で選手寿命も延びているので、30才前後のQBを獲得して、10年くらい頑張ってもらえれば、それで十分元は取れると思う。ドラフトで上位指名して3年でポイ捨てを繰り返すよりは合理的だと思う。

 ここ10年くらいを考えてみても、ブリーズやアレックス・スミスなど、おおむね成功しているし、30歳前後での獲得ではないけれど、ファーブやマニングなども十分成功と考えて良いであろう。

 そういう風に考えると、今オフのQB獲得合戦の真の勝者はカズンズの獲得に成功したミネソタかなとも思う。まあ、分からんけどな。QB問題の闇は深い。イジメ問題よりも深い。貴乃花問題よりも深い。でも森友学園問題よりは深くない。と、さりげなく時事ネタをぶち込む社会派のボク。

 以上でドラフト記事第一発目は終わりにしたいと思う。次回はコルツ関連かな。

                       2018/4/5(木) 大谷、打ったなあ。

 んで、今回はコルツ編である。

 コルツの指名予想選手として、まずイの一番に上がるのが、


 ブラッドリー・チャッブ ノースカロライナ・ステイト大 DE

 である。このクラスになると、各スカウティングレポートはおおよそ一致しているのであるが、パスラッシュ良し、ランストップ良し、パスカバー良し、更にはマンカバーまで出来る、なんていう万能ディフェンスエンドである。無論、体格・運動能力、テクニックとも申し分なし。また、あんまり報告もないので、よく分からないが、つーか、無いから、おそらく性格面も問題ないのであろう。

 という訳で、傷らしい傷の無い万能ディフェンスエンドなのであるが、一方で、爆発的なスピードとか圧倒的な運動能力といったものも無さそうなので、言葉は悪いが劣化版ジュリアス・ペッパーズという気がしないでもない。もしかしたら、本当にジュリアス・ペッパーズなのかもしれないけれど。

 「毎年8サックはしてくれるが、20サックするシーズンは無い」みたいな選手のようにも映る。「チームに欠かせない選手ではあるけれど、チームを勝利に導くような選手ではない」ように映る。REよりはLEがナチュラルポジションというような気もする。まあ、かつてほどREとLEに差別は無いけれども。

 とあるスカウティングレポートは「ノー・リスク・ピック」と評価していたが、おそらくバスト率は相当低いように思う。問題は上限をどこに置くかであろう。プロボウルクラスと見るか、オールプロクラスと見るか、はたまたホールオブフェイマーと見るか、その辺が判断の見極めとなるような選手だと思う。

 今のコルツに必要なのは、無論、プレイメイカーなので、ここをどう見るかが判断の分かれ目であろう。


 次は、


 クェントン・ネルソン ノートルダム大 OG

 「ランブロックは鬼、パスプロテクトは悪魔」とも云われる、ダサい表現なのであまり使いたくないのであるが、無双レベルのオフェンシブガードである。ガードのくせに、全OL中、つーか、もしかしたら全選手中、ダントツぶっちぎり一位の評価を受けている選手である。って、さすがに、それは大袈裟か。

 ちなみに、同僚のLTであるマイク・マッキギリンキーも1巡下位での指名が予想されている。LTより先に指名されるOGといえば、スティーブ・ハッチンソンが有名であるが、そのハッチンソン以来、あるいはザック・マーティン以来の超大物ガードであろう。つーか、マイク・ムンチェクの再来という声まである。まあ、ジョナサン・クーパーという豪快なバストもあるけれど。

 ザック・マーティンの再来、あるいはムンチェクの再来とも云われるだけあって、ランブロックは縦横無尽、パスプロは被サックゼロ、どころか被ヒットすらゼロだそうである。しかも、ノートルダムなので、「敵がしょぼい」という論法は通用しない。

 先に書いたチャッブがプロボウル級とするならば、こちらはオールプロ間違いなしという評価である。

 ただまあ、コルツファン的に問題なのは、よはり、そのガードというポジションであろう。昨季のイーグルスは無論の事、数年前のナイナーズやカウボーイズ等々、オフェンスラインで敵ディフェンスを圧倒するというのは、フットボールのオフェンスにおいて、最も簡明かつ効果的な戦略であろうが、唯一の欠点というか、NFL的致命的欠陥は、「金がかかりすぎる」であろう。

 単純計算でQBやRBの5倍、レシーバー陣の2倍ほど、コストがかかってしまう。結果的に、その凶悪オフェンスラインを維持できる期間が短い。しかも、今のコルツのOL陣は、LTに1巡22位、LGに2巡59位、Cに1巡18位と、結果の割には、結構高順位を使っている。これで、更にガードに1巡6位となると、数年後には頭を抱えること必定である。

 凶悪オフェンスラインというのは一つの夢ではあるけれど、痛し痒し、ではある。


 以上2名が、コルツの1巡6位で指名が予想されている選手である。まあ、両方消えているというシナリオは考えにくいし、また、同じく両方残っているというシナリオも考えにくいので、残っている方のどちらかを指名というのが順当な線であろう。

 仮に、両方残っていたら、悩むなあ。私がGMだったら、チャッブかなあ。んで、ネルソンがオールプロ常連になって、激しく後悔というパターン。

 さて、これは考えにくいシナリオであるが、両方消えていたら、どうするかであるが、その時指名が有力視されているのが、こちら、


 ミンカ―・フィッツパトリック アラバマ大 DB

 ポジションがDBとなっている事からわかるように、CB、Sともにいける口だそうである。ゾーン、マンカバーともに、そつなくこなし、タックル良しハンド良し、体格的性格的にも申し分なし、という、これまたケチをつけることのないプレイヤーだそうである。強いて欠点を挙げるとすれば、CBとしては、ややスピード不足だそうである。パトリック・ピーターソンの再来、あるいはジェイレン・ラムジーの再来とも云われ、オールプロ間違いなしだそうである。

 今のコルツのDB陣は、Sはともかく、CB陣はスカスカなので、ニーズには合う。また、フッカーと組ませて、凶悪セイフティコンビも夢のある話ではある。

 唯一の懸案材料はアラバマ大という点か。扱いづらいからなあ、アラバマ出身は。

 あとまあ、セイフティコンビに1巡6位と1巡15位を使ってどうする、という根本的疑問もあるにはあるが。


 以上3名がコルツの指名が有力視されているプレイヤーであり、おそらく99%の確率で、この3名のうち誰かであろうが、1巡6位まではまず絶対残っていないプレイヤーであるけれども、今ドラフトの目玉なので、ここに紹介しておきたい。


 セキオン・バークリー ペン・ステイト大 RB

 基本的にはオープンランナーであるが、インサイドもそれ相応に走れる。しかし、何と言っても目玉は、そのオープンランであるらしい。スピード、クイックネス、バランス、デイライト能力等々、どれも素晴らしく、おまけにハンドも良い。んで、リターナーも出来るそうである。

 と、こう書くと、レジー・ブッシュの再来という感じになるが、体格的にはブッシュを上回るので、むしろ、トムリンソンの再来と言う方が適当らしい。そのブッシュやトムリンソンも、あるいはエイドリアン・ピーターソンも叶わなかった全体一位指名が予想されているRBである。ちなみに、全体一位で指名されると、1995年のキジャナ・カーター以来となる。さらに、ちなみに、その前は、1986年の、あのボー・ジャクソンである。

 さすがに全体6位で残っていることは有り得ないので、心配する必要はないが、トレードダウン前の全体3位だったら、残っている可能性も十分ある。

 この時は悩むなあ。私がGMだったら、迷いに迷ってチャッブ、あるいはネルソンかなあ。何度も書いているように、私はRBは上位で指名したくないので、その信念に従ってスルーする。

 でも、クリス・バラードは指名しそうだな。ここまでのバラードの動きを見ていると、どうもベタっぽい。野球は巨人、相撲は千代の富士、ドカベンなら山田を好きになってしまうタイプと見た。とすると、普通に、考えなしに、バークリーに行ってしまうだろう。


 以上4名の他、考えられる選択肢としては、トレードダウンもある、つうか大いにあり得るけれど、それを考えだしたら切りがないので、ここでは考慮しない。

 そのほか、1巡6位では微妙だけれど、私の視野に入った選手を何人か紹介したい。


 マーカス・ダペンポート テキサス大学サンアントニオ校 DE

 今ドラフト最大の謎。扱いに難渋するプレイヤーである。まず、デカい。6−6、260パウンドある。むしろ、ちょっと細いぐらいの印象を受けるが、その身長の割に体重が軽い事を嫌われて(高卒時198パウンド)、テキサス大学サンアントニオ校なんていう聞いた事もない大学(カンファレンスUSA所属)に行く羽目になったらしい。んで、それから、「見たら、食う」式で体重を260パウンドまで増やして、エントリーを勝ち取ったらしい。

 上位指名が予想されるくらいであるから、運動能力は抜群らしい。ただ、技術的には不満もあるらしい。あと、多少のパワー不足も懸念されている。しかもカンファレスUSA。

 さてどう見るか。難題でしょう。

 私は、不気味な匂いをビンビン感じる。一昨年のウェンツ、あるいはポジション的には数年前のブルース・アーヴィンに似た匂いである。

 チャッブのところで、ジュリアス・ペッパーズの名を出したけれども、もしかしたら、こちらこそ、真のジュリアス・ペッパーズかもしれない。まあ、バスト臭もハンパ無いけど。

 6位だったら、一発勝負して砕け散っても、私に不満はない。たたし、元の3位で指名となると、避けたい。この3位と6位での心理的格差は、自分でもよく分からないが、何となく3位で失敗は出来ないというのが、気分的にはある。でも、6位なら失敗しても良い。でも、バラードは山田好きだから勝負しないだろうなあ。トレードダウンして10位台での指名なら十分有りだと思う。


 ハロルド・ランドリー ボストン・カレッジ エッジラッシャー

 こちらは上記2名に比較すると、純然たるスピードパスラッシャー。体格的にもやや小さめなので、DEというよりは、むしろOLB向きという声もある。あと、2017年に足首のケガあり。

 どうしても、フリーニー様の幻影を追いがちなコルツファン的には捨てておけない選手ではある。まあ、6位で行っても不満はない。ダペンポートよりはバスト率も低そうだし。

 更によりフリーニー様度が高い選手としてはこちら。


 ジェフ・ホーランド オーバーン大 エッジラッシャー

 6−2、245パウンド、んで速い。でも40ヤードは4.78。評価は2巡から5巡まで分かれており、好みの割れるタイプではある。それほどクイックネスは無いとか、一年しか実績が無いとか、否定的見解も多いが、コルツファン的にはチョイ惹かれる選手ではある。SEC出身だから、数字も評価してよいと思う。14ゲームで10サックだけど。3巡ぐらいなら狙い目かな。

 んで、もう一人コルツファン的に見逃せないのが、


 アンソニー・ミラー メンフィス大 WR

 身長は5-11と低いけれども、動きが素早く、しなやかなレシーバーだそうである。ルートランニングも絶品で、故にハンドも良い。で、RACもある。ただし、メンフィス大のオフェンススキームの関係上、おおよそ4つのルートしか走れないというか、走った事が無いらしい。4つ上手く走れれば100コ上手く走れるのではないかという気もしないではないが、一応不安材料として指摘されている。上手い蕎麦屋はラーメンも上手いと思うが、どうだろう。

 とまあ、コルツファンなら一目瞭然なように、ポリアン臭のハンパ無い選手ではある。顔付きもどことなく何となくレジー・ウェインに似ているし。名前もミラーだし、って、それはポリアン臭とは関係ないか。

 比較対象選手としては、大概アントニオ・ブラウンが挙げられているので、そういう選手なのだろうけど、やはりコルツファン的にはレジー・ウェイン。

 この手のタイプは土壇場で人気が上がりそうなので、2巡36位できっちりゲットしておきたい。ちょっと前まで、WRは下位で十分とか言っていたけどな。

 でもまあ、このミラーが本当に2巡36位で指名されたら、完全にポリアンが実権握っとるな。事実上のオーナーと見た。金を払わないオーナー。NFLファン的には夢のような地位。

 あとまあ、コルツ的には全然関係ないのであるが、おもろいのがいたので一人紹介しておこう。


 コーディ・オコネル ワシントン・ステイト大学 OG

 とにかくデカい。6−9、365パウンド。で、評価も、ビッグ純同様、とにかくデカいだけ。「デカいものは良い」「デカいは正義」「デカいから勝つ」みたいな実も蓋もない書き方。なんつーか、人として評価されていない。ヒトの形をした巨大な炭素化合物みたいな評価である。

 で、笑ったのが、そのニックネーム、「CONTINENT」。大陸って。大きな人間を動植物に例える例は数多いけれども、地表に例えたのは初めて聞いた。アメリカではありがちなニックネームなのだろうか。逆にちっこいとアイランドとか言われるのか。


 まあ、こんな感じかな。そのほか、DTやらLBやらもニーズなので、紹介したい選手もいる事はいるが、それらは指名されたら触れたいと思います。さて、どうなりますことやら。現地26日午後8時(EDT)、日本時間27日午前9時をお楽しみに。

                        2018/4/25(水)

1/2/3/4/5