インディアナポリス研究会コルツ部

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2015シーズン

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2015年
8月
シーズン展望  ある年代にとって、藤子不二雄といえば「オバケのQ太郎」であって「ドラえもん」では絶対無いように、ある年代にとっては、鳥山明といえば「Dr.スランプ」であって「ドラゴンボール」では絶対無い。

 最近、とある筋から「Dr.スランプ」全巻(愛蔵版)を入手した。子供の頃、最も好きだったマンガといっても過言では無い作品であるが、全巻通読するのは実に当時以来、30数年振りである。

 この年になって、改めて読み返すと気付くことは多い。
 まずは何といっても、今更改めて私が言うまでもない事であるが、絵の上手さである。とりわけ、表紙や扉のイラストは本当に素晴らしい。それまでの漫画家は一体何だったのか、それ以後も含めて、一体何だったのかという出来栄えである。
 この手のイラストもさることながら、当然本文(?)も素晴らしい。線そのものが正確無比なのは勿論の事、何といっても目を引くのは、その自由自在なカメラアングルである。タテヨコナナメ遠景近景なんでもござれである。このテクニックは、自作の「ドラゴンボール」の、とりわけ格闘シーンでいかんなく発揮されるが、「Dr.スランプ」の時点ですでに完成されている。このなんて事の無い話のマンガの最大最高の武器であろう。

 また、これは読み直して気が付いたことであるが、意外にSFネタあるいはSFオチの話が多い。そもそも、主人公が発明家であるし、当時、1980年前後はSFギャグというのが、マンガ業界の一つのトレンドであったので、その流れに乗っていただけなのであるが、今読むと結構意外な印象を受ける。ちょっと面白かった筋をいくつか紹介してみよう。

 1.千兵衛が、時間を止める機械を発明し、それを使って夢中になってイタズラを繰り返していると、自分だけ時間が進んでしまい、爺さんになってしまうというオチ。

 2.千兵衛さんが非生命体透視メガネ、要するに女の裸が見放題のメガネを発明し、摘さんの親父と一緒に夢中になって女の裸を見まくる。すると、女の裸が集中している場所を発見し、当然のようにそこに近づくと、そこは銭湯だったというオチ。

 3.ピースケが空中に浮遊する飴玉状の小さな球体を見つける。それはあちこち移動し、触ろうとしてもバリアのようなものがあって触れない。そうして、時間が経つとちょっとずつ小さくなっていく。で、村中が大騒ぎになるのであるが、それは透明人間のなめていた飴玉だったというオチ。

 どうだろう、なかなか傑作ではないだろうか。しかも、藤子・F・不二雄の諸短編のような、いかにも元ネタのありそうな話ではない(あるのかもしれんけど、)。特に、3つ目のの話は、マンガでこそ、その面白さの表現できる話だと思う。残り二つもだけど。意外に理屈っぽい鳥山明の面目躍如といったところであろう。

 また、面白いところでは、夢オチならぬ逆夢オチの話もある。

 ターボ君が、宇宙人の救命手術の副作用で、超能力と優れた知性を得てしまう。それで、乳児にしてすでに喋ったり飛んだり(これは乳児と関係ない。)物体浮遊させたり(これも乳児と関係ない。)出来るようになるのだが、それらをペンギン村の住人は「これは夢だから」で受け入れてしまう。まさしく、逆夢オチである。

 また、改めて読み返してみて、思ったのは、これは子供の頃は全然感じなかったのであるが、みどりさん、特に結婚後のみどりさんが非常にチャーミングであるという点である。まあ、キャラクターとしては非常にベタなキャラクターであるけれども、それも鳥山明のペンにかかると非常にチャーミングな女性に変身してしまう。これぞ画力のなせる業であろう。まさしく、画格が違うである。

 そうして、この画力こそ、同じくなんてことない話である「ドラゴンボール」を世界的ヒット作にした、おそらく唯一の理由であろう。

 さて、鳥山明についてだらだら書いてきたけれども、鳥山明について言及した時、何といっても書かずにいられないのは、その笑顔である。私は鳥山明とつのだじろうの笑顔が大好きなのであるが(むろん、本人の、ではなく登場人物の、である。念のため、)、鳥山明の笑顔の方がより本質的であろう。この笑顔などは、鳥山明の全作品中最高であるのみならず、「Dr.スランプ」の、そうして鳥山マンガの象徴ともいってよい笑顔であると思う。








 また、こんな笑顔も私は大好きである。















 あの逆Uの字の目と半月状の口は誰にも真似の出来ない鳥山明の奥義であろう。悟空とアラレとガッちゃんズが並んで笑っているイラストも最高なのであるが、これは各自探してちょ。

 とまあ、色々書いてきたが、鳥山明の全作品中私の最も好きなのは「ネコマジンZ」だったりする。チャンチャン。

 さて本題である。毎年恒例のシーズン展望であるが、ちょっと飽きつつあるので、ざっと済ますことにする。

 まずは、例によって例のごとくポジション別に、

 〈QB〉
 盤石。例えようもなく盤石。あってはならぬ事であるが、ラックがシーズン全休したとしても、ハッセルベックで7〜8勝は出来ると思う。そのくらい盤石。まあ、ラック全休の際は全敗した方が断然良いのだけどね。

 〈RB〉

 それなり。つかまあ、誰かに1000ヤード走ってもらう必要性は全然ないので、パスプロとレシーブをそつなくこなしてくれれば、それで良しというポジションである。あとまあ、ジョシュ・ロビンソンはプレシーズンを見た限りではちょっと面白そうかなとも思う。でも、主な任務はパスプロとレシーブ。あとゴアは、まあ、それなりにで。


 〈WR〉

 鬼ユニット。まあ一部では例の「グレイテストショー・オン・ザ・ターフ」との比較も出ているが、ここ10年のコルツというより、ここ10年のNFLでも最高の布陣かもしれない。ハリソン、ウェイン、ストークリーの揃い踏みした2004,5年辺りのコルツの方が、スターターの力量的には上かもしれないが、プレイスタイルの多様性や年齢層の幅、デプスの深さ等々を加味して総合的に判断すると、今年の方が上だと思う。ここ10年というか、もしかしたら、上記のラック、後述するTE勢も加えて、NFL史上最高のパッシングユニットかもしれない。マイク・マーツにOCを任せてみたいぐらいである。

 ジョンソン、ヒルトン、モンクリーフ、ドーセットの4WRで、Hバックにアレンをセットされたら、相手DCは嫌だろうなあ。私がDCなら見て見ぬふりをする。

 件の「the Legion of Boom」との対決は、コルツファンというより、一フットボールファンとして是非とも見て見たかったのであるが、今季はスケジューリングされていないのが、誠にもって残念至極である。スーパーボウルかあ。ふ〜。


 〈TE〉

 鬼ユニットという程でもないが、こちらも盤石。フリーナー、アレン、ドイル、スウープと隙のない布陣である。WR陣が豪華なので、1000ヤードに達する選手はいないだろうが、パフォーマンス的には文句無しであろう。


 〈OL〉

 世間的には、コルツオフェンス陣唯一の弱点みたいな言われ方をしているが、それは、あくまで豪華なQB・レシーバー陣に比しての事であって、そんなに悪くはないと私は思っている。プレビュー誌等々では軒並みC評価だけど、Cって事は無いと思う。Bの力は十分あるだろう。という訳で、とにかくメンツ固めろ(4年連続)。


 〈DL〉

 全ポジション中、最も顔ぶれの変わったポジション。そういう訳で、予想がしにくいのであるが、いずれにしてもカギを握るのは、ペリー、アンダーソンの両ルーキーコンビであろう。この両者がハジけてくれれば、なかなか面白いユニットになると思う。幸い、アンダーソンのおまけで獲ったペリーはここまでなかなか評判が良いようだし、あとは本体のアンダーソンがハジければ。

 とか書いていたら、開幕直前でチャップマン、ヒューズの両ベテランをまさかのカット。ルーキー二人に相当の手応えを感じているのだろう。本番が楽しみ(エロい意味では無い。)


 〈LB〉

 可否はともかくとして、加齢臭がハンパ無いユニット。こういう並びは実戦ではあまりないと思われるが、マシス、ジャクソン、フリーマン、コールと並んだら、加齢臭がハンパ無い。一番若いフリーマンも何気に29歳である。4年前の入団なので油断していたが、よく考えたらCFL上がりなので意外にオッサンだったのである。FA加入のネイト・アービングよりオッサンだったりする。

 まあ、年齢というのがこのポジションにどのような影響を与えるのかはよく分からんが、とりあえず先の無いユニットである事だけは間違い。
 この加齢臭を気にしてか知らずか、開幕直前にシオ・ムーア25歳をレイダースからトレード。頑張って欲しい。

 という訳で、唯一の若手ジョナサン・ニューサム頑張れ。ワーナーは、今季でサヨウナラかなあ。あと、アドンゴは姿を見せろ。

 〈CB〉

 ボンタとバトラーに不満はないが、正直トーラーはやや不安。という訳で、ジュワン・スミスについつい期待してしまう。全体的に見れば、可もなく不可もなくみたいなユニットであろう。


 〈S〉

 謎のユニット。何やかんやで、結局、マイク・アダムス34歳がスターターという期待のしようがないユニット。んで、もう一枠をドワイト・ローリーとクレイトン・ギャザーズで争うという。
 まあ、私もどちらかと云えば、セイフティ軽視派であるが、にしてもである。結局、解決しないまま、シーズン終了するような予感はする。


 〈スペシャルチーマー〉

 キッカーとパンターは曲がりなりにもオールプロ・コンビなので不安はない。つかまあ、今季のチーム構成上、彼等の出来がシーズンを左右するという展開はまず考えられないので、プレイオフに入ったらともかく、レギュラーシーズン中はどーでも良いユニットだったりする。マカフィーは小ネタの作成に夢中らしいし、ヴィナティエリは就職活動に専念らしい。

 あとまあ、リターナーに関しては、パントリターンはともかくキックリターンは昨今のルール改正でほとんど無力になりつつあるし、そもそも、上記したように、今季のチーム構成上、彼等の出来がシーズンを左右するという展開はまず考えられないので、プレイオフに入ったらともかく、レギュラーシーズン中はどーでも良いユニットだったりする。

 LSは、論じるまでもなかろう。


 〈総括〉

 とまあ、ここまでつらつらポジション別に見てきて、ひとつ思ったのは、今季のコルツは、オフェンスは若手中心、デフェンスがオッサン中心という構成になっているという事である。これがたまたまなのか、それとも戦略的なものなのかはよく分からない。一般的には、オフェンスはオッサン、ディフェンスはベテランと言われているが、実際のところはどうなのだろう。

 この年齢構成はともかくとして、とりあえずはっきりしているのは、今季のコルツも昨季同様、オフェンス、それもパッシングオフェンスがチーム戦略のベースになるという点である。とりあえず、4000ヤードはノルマであろう。
 もっとも、後述するが、今季はスケジュールが楽なので、4000ヤードに達する前に、下手すれば、13週とか14週あたりにプレイオフほぼ当確になっている可能性は高い。そうなると、最終的な数字は伸びないかもしれない。

 さて、そのスケジュールであるが、ユルイ、近年になく緩い。パッと見、負けそうなのは、パッツ、ブロンコス、スティーラーズの3戦くらいである。しかも、その3戦のうち、パッツとブロンコスはホームなので、@ピットのみが敗色濃厚のゲームである。そのピットも、力の安定しないチームなので、意外な大勝も十分あり得る。

 つう訳で、ひとつ間違えたら全勝も十分有り得るスケジュールなのである。もちろん、NFC西との4戦は他カンファレンスだけに展開は読みにくく、4戦4敗も有り得るかもしれないが、逆に4戦4勝であっても全然おかしくはない。

 もっとも、この温い皮算用もAFC南に6戦6勝するというのが大前提なので、この3チームが大きく様変わり、正確に表現すれば、3QB(マレットあるいはホイヤー、マリオッタ、ボートルズ)が覚醒したら、全勝も有り得るなんて呑気な事は言っていられない。ひとつ間違えればプレイオフ脱落である。ただ、こればかりはシーズンが始まってみないと何とも言えないので、予想はこのへんで止めにする。

 というか、今季のコルツの課題は、プレイオフ進出どうこうではなく、スーパーボウルに行けるか否かが課題のチームである。ぶっちゃけ、スーパーボウルを逃したら、パガーノは解任だろう。スーパーボウルがノルマというのも、ちと酷な気もするが、そういうチームを預かってしまったのだから仕方がない。覚悟を決めてやるしかないであろう。

 今、スーパーボウル出場がノルマと書いたけれども、本音を言えば(別に隠す必要なないが、)、今季か来季あたりでスーパーボウル制覇をしてほしい。というのも、どのタイミングで契約更改、またどのような内容になるかはともかく、スターターQBの二度目の契約期間というのは、どうしてもキャップヒットが苦しく、優勝には届かなくなるからだ。キャリア的に言えば、公開直後の5,6年目あたりはともかく、7年目以降、とりわけ8,9,10年目あたりを尋常じゃなくなる。10年目を過ぎると、ちょっとづつ楽になっていく。
 マニング、ブレイディは勿論の事、リバースやイーライ、ロスリスバーガー等々、皆苦しんできた。彼等は抜けきった、あるいはようやく抜けられそうであるが、今その渦中にあるのが、ロジャースやフラッコー、マット・ライアンあたりである。
 この8,9,10年目で優勝するのほぼ不可能に近いであろう。コルツを始め皆苦しんでいる。もっとも、上手くやったのはベリチックであろうが、やっぱり優勝には届かなかった。

 という訳で、ラックにはここらで優勝してもらいたいというのが、結構切実な問題というか、切迫した問題だったりするのである。若いからと、余裕ぶっこいている場合ではないのである。

 コルツに関しては、こんな感じであるが、リーグ全体としては、やはりシアトルが本命じゃないかなあ。昨年は、得点力不足で取りこぼし、もしかしたらプレイオフを逃すかもしれないと予想したけれども、ジミー・グラハムの加入でその問題は解消されるであろう。で、もともとディフェンスは良い訳だし、カンファレンス3連覇、そうしてスーパーボウル制覇の大本命であろう。あとは、カージナルスがどこまで抵抗するかか。ラムズはガーリー次第か。

 あとまあ、これはシアトルどうこうというよりは、純粋にフットボール的な関心であるが、件の「the Legion of Boom」をどこがぶち破るかには大いに興味がある。上述したように、コルツとの対戦の無いのは返す返すも残念至極である。無理矢理スケジューリングしちぇえ。ダメか。

 ただ「the Legion of Boom」はともかく、シアトルディフェンスに関しては、まったく攻略の糸口が無いという状況からは脱したと思う。昨季、ダラスの見せたアサイメントブロック中心のランアタックと、スーパーボウルでベリチックの提示したRACであろう。RACに関しては、これまで不可能と見られてきたが、ルート取りやブロッキングを工夫すれば十分出る事が十分証明されたので、これらを取り入れるチーム、特にNFCのチームは多いと思う。

 ただ肝心の「the Legion of Boom」についてはいまだ攻略法は発見されず。やはりコルツが、う〜む。

 シーズン展望はこれくらいで終了なのであるが、最後にどーでも良い話題を二つばかし。

 楽天の三木谷オーナーが現場介入がちょっとした話題になっているが、事の是非はともかくとして、私が思ったのは、「楽天グループの会長って、意外にヒマなんだな。」って事である。事の真相は不明であるが、日本シリーズとかそれに準ずる重要なゲームならともかく、毎試合ごとのスタメンへの口出しなんて、よほど時間的余裕がないとやれんと思うが。コルツのアーセイみたいにオーナーが本業というのならともかく、どう考えても副業だし。上場企業の会長って、意外にヒマなのか。まあ、企業経営よりはスタメン決める方がはるかに楽しいだろうけど。

 もうひとつは、元ヤクルト(今もヤクルトでコーチしてるけど、)の伊藤智仁がなんとブラウンズファンだった事が判明。当時(今もかな、)、インディアンスとヤクルトが提携していた関係で、クリーブランドでリハビリしていた際に、何となくファンになってしまったらしい。ご愁傷さま、チーン。「レッドソックスと提携していれば、」と何度も思ったとか思わないとか。

                                      2015/9/9(水)
2015年
10月
序盤感慨  シーズンもWeek5に来ているのに今季最初の記事とは何事かという説もあるが、仕事が猛烈に忙しかったのが大きな理由である。しかい、小さな理由として、今季のコルツのTV放送の間が悪すぎるというものもある。

 まず今季最初のコルツのTV放送はマンデーナイトのジェッツ戦、しかし日本での放送はNHKBSの土曜日午前1時。で、翌週のタイタンズ戦は月曜午前1時45分からのG+での生放送。その翌週のジャガーズ戦はTV放送が無いので、ここらで書こうかと余裕ぶっこいていたら、翌週のテキサンズ戦は金曜日午前9時15分からGAORAでのサーズデーゲーム生放送。完全に書くタイミングを失って、気が付けば第5週である。

 と、自分のぐーたらの理由を軽くTV各局に擦り付けて、コルツおよびNFLの序盤戦の感想を軽く書いてみたい。

 開幕前の記事で、「ひとつ間違えたら、全勝してしまう。」などと余裕ぶっこいていたら、まさかの開幕2連敗。

 とはいうものの、私の気持ちは存外軽かった。むしろ、この連敗を歓迎していた。開幕前、チーム内外で今季のコルツは優勝候補筆頭だのなんのと、まだ何の結果も出していないのに、私も含めて完全に浮かれ切っていたので、チームに緊張感を与えるという意味でも、このビルズ戦ジェッツ戦の2戦は落とした方が良いぐらいに思っていた。
 開幕13連勝で12月にダレてプレイオフ突入というマニングお得意のシナリオよりは、スーパーボウルに近いと思う。

 それでも、構造的な欠陥が露呈しての敗北なら深刻であろうが、ジェッツ戦を見た限りでは、新プレイが裏目に出たり、不運なターンオーバーがあったりといった理由での敗戦だったので、私はそんなに心配していなかった。むしろ、前述したようにチームに緊張感が出て、ちょうど良いぐらいに思っていた。次戦のタイタンズ戦は昨季のジェッツ戦同様、ラック大爆発の結果になるだろうと予想していた。

 と、余裕ぶっこいて生放送を観戦していたら、第3クォーター終了時で14−27。正直、今季は終わったなと思った。で、言い訳や八つ当たりを色々考えていたら、そこからまさかのというか、やっぱりというかラック得意の逆転劇。まあ、そりゃあ、「In 12 we trust」になるわな。
 ちなみに、毎度思うけれども、このtrustとかbelieveとかの前置詞つうか後置詞はinなのだろう。普通に考えたら、onとかatの方が適当であるように思うのであるが。inの由来が分からない。「〜の中で生きる」とか「〜の中にいる」というようなニュアンスなのだろうけど。

 それは、ともかくとして、昨季にはほとんど見られなかったラックの逆転術が、この絶体絶命の場面で炸裂。チームは何とか開幕3連敗を免れる。それはそれで、誠に目出度い事であるのだけれど、その一方でこの逆転能力がチームの弱点や欠点を隠蔽しているような気もしないではない。まあ、勝ちゃあ何でもよいか。
 仮にここから優勝まで突っ走ってしまったのならば、まさしく正真正銘チームのターニングポイントであるし、その先鞭をつけたラックのタックルはまさに値千金のプレイという事になる。

 そのタックルの代償でラックはここ2試合欠場に追い込まれるのであるが、代役のハッセルベックが2戦2勝。優勝チームにありがちなストーリーラインではある。さて、どうなります事やら。

 チーム評はこれでひとまず措くとして、個人評をいくつか。

 まずは、この序盤5ゲームのMVPといってよいハッセルベック。まあ、これくらいできる事は最初から分かっていた事だけれども、1勝2敗からの2戦2勝、それも同地区であっただけに非常に価値ある2戦2勝である。あれなら、うちのエースQBより上と思った各チームのファンも多いであろう。契約延長しておいてホント良かった。

 また、久々にコテコテのWCOを堪能した訳であるが、改めて見るとやっぱり優れたシステムだなと思う。何よりQBに多くの能力、あるいは特殊な能力を要求しない点が素晴らしい。一定以上の力を持ったQBにきちんとした教育を施せば、十分にシーズン勝ち越し、さらにはスーパー制覇まで見通せるシステムである。

 ただ一方で、ハッセルベックのクォーターバッキングを見ていて、WCOにある種の限界を感じたのもまた事実ではある。このスキームだと、レシーバー陣によほど強力なRACの無い限り、どうしても大量得点は見込めない。20点台が限界であろう。となると、自軍のディフェンスがよほど強力でないかぎり、スーパーは見通せない。それが、このかつて一世を風靡したWCOの廃れた一因であろう。とはいえ、久々のWCOはやっぱり楽しかった。

 まあ、しかし、分かっていたとはいえ、ハッセルベックがこれだけ出来るのだったら、プレイオフのパッツ戦に奇襲的にぶつけてみるのも一案だと思う。スカウティングがパーになって、意外に慌てるのではないだろうか。もっとも、ベリチックなら、ハッセルベック用のスカウティングも準備しているだろうが。

 オフェンスのMVPがハッセルベックであるならば、ディフェンスのMVPはディビッド・パリーである。目立ったスタッツを叩き出している訳では無いけれど、目立つ。ルーキーという点を差っ引いても目立つ。
 ドラフト時、「あの体でツーギャップって、ホンマかいな。」みたいな記事を私は書いたけれども、なるほどその噂は本当だった。押す推す。まさしく電車道、典型的な突き押し相撲である。 たまに、押し過ぎちゃって、縦にギャップが出来てしまうのはご愛敬。コルツファンになって10ン年経つけれど、こういうタイプのNTは初めてのように思う。近いのは、スカウト時にも言われていたように、カイル・ウィリアムズだろうが、より小さいという印象である。NFL全体でも希少価値であろう。
 ここまで、さんざんぶち破られてきたパッツとのインサイド対決が今から大いに楽しみである。

 一方、その相方のヘンリー・アンダーソンであるが、こちらも期待に違わぬ活躍ぶり。パリーと違って一点突破型ではないけれども、ドラフト時のスカウティング通り、体格とテクニックで勝負するタイプのようである。まさしくジャレッド・アレン・タイプと見た。3年後ぐらいに素晴らしいスタッツを残すのではないだろうか。

 縦の動きのパリーと横の動きのアンダーソン、コンビを組むと威力倍増といった二人である。ほんと、この両名は、グリグソンあるいはパガーノのスマッシュヒットだったと思う。

 そのほか、新加入組では、ドワイト・ロウリーかな。件のタイタンズ戦では、これも結果的には値千金のインターセプトを決めた訳であるが、私の評価はいまいち低い。それは、やっぱりタックルが甘いからである。また、パシュートアングルも悪い。これは、このロウリーに限った事では無く、パガーノ以降のSに皆共通する。セルジオ然り、ランドリー然り、アダムス然り、皆タックルが甘かった。

 これは、グリグソンの意向なのか、パガーノの意向なのか、それとも偶然なのかは、よく分からない。もっとも、最近は若手有望株セイフティが少ないので、致し方ない面があるのかもしれない。
 セイフティは、タイトエンド同様、ここ10年で最も進歩した、あるいは複雑化したポジションなので、なかなかプレイヤーが対応しきれていないという側面もあるのかもしれない。

 さて、一方、開幕2連敗の戦犯とされてしまったOL陣であるが、何度も繰り返すが、これはもうとにかくメンバーを固定しろの一語に尽きる。RTに予定していたメーホートをLGに戻すのは、まさしくその象徴である。キャンプ、プレシーズンは何だったのかつう話である。
 また、OLでは、ある意味、LT異常に重要であろうCは、ラックの一年目はサテーレ、同じく2年目シップリー、3年目ハリソン、そして4年目の今季がホームズと、毎年コロコロ変わっとる。サタデーでがっつり固定していたマニング時代とは大違いである。まあ、ホームズで固定したかったのが、ケガや何やらで遅れたという事なんだろうけど。

 カスタンゾが契約延長した訳でもあるし、少なくとも左側は、カスタンゾ、メーホート、ホームズでがっつり固定して欲しい。切に願う。

 私が、OLの固定にこだわるのは、もちろん横の連携が第一の理由であるけれども、第2の理由として、縦の連携、すなわちQBやRB、FBといったバックス陣との連携も重視しているからである。
 どんなに、OL陣の個々の能力が低くとも、その力量が把握できてさえいれば、QBやRBはいくらでも対応出来るものなのである。クイックヒットやスクリーンもあろうし、FBやTEにヘルプさせたってよい。チャーリー・ジョンソンがマニングのLTをこなせたのは、結局のところは、マニングがチャーリーの力量を完全に把握していたからである。

 まあ、賢いラックの事なので、この問題はシーズンが深まるにつれて改善されるだろうけど。

 さて、コルツ話はひとまず措いといて、NFL全体についていくつか感想をば。

 シーズン開幕のPIT@NEを見ていたけれど、ブレイディはまだスニークやらされているのな。しかも開幕戦前半のゴール前でもない割にどーでも良い場面。
 ブレイディのキャリアの初期はしょっちょうスニークをしていたが、キャリアの中期、モスとかウェルカーのいた頃は割に減って、それがここ数年とみに増えてきたという印象である。
 まあ、統計を取ったわけではないけれど、スニーク企画数成功数ともに、ブレイディは歴代QB中最高、それもダントツだと思う。私はかつてスニークこそブレイディを象徴するプレイと書いた事があるけれども、その象徴性はますます盤石といった感である。ブレイディというよりはベリチックを象徴するプレイなんだろうけど。まあ1ヤードはともかく、半ヤードくらいで最も確率の高いプレイはスニークなんだろうが、コールされる側はどんな気持ちなのかなあ。

 ちなみに、ゴール前半ヤードで、余裕ノーバックショットガンをかますのは、言わずと知れた我らがマニングさんである。

 さて、話は変わって、そのマニングさんも同様であるが、これも同じく統計を取ったわけでもないが、今シーズンはここまでリーグ全体でインターセプトが増えている印象である。それも、ごっつあんインターセプトというよりは完全にカバー網の勝利といったインターセプトが増えている印象である。シアトルの「the Legion of Boom」が、ペイトリオッツのみならず、リーグ全体に浸透してきたのかもしれない。

 また、話は変わるが、その開幕戦のスコービーについて。その試合、FG2/4でゲーム終了後、あえなく解雇と相成った訳であるけれども、ジャガーズ時代の雄姿を知るだけに、何とも相悲しい。コルツとのスーパーボウルで大活躍したハートリーも同様だけど、このポジションはつくづくメンタルだと思う。同じキックが仕事のパンターは技術と体力だろうが、プレスキッカーは完全にメンタルである。PATのルール変更も、想像以上に、ゲームに乱反射を与えているようであるし。心って難しいのお。

                                     パッツ戦ももう近い。2015/10/18(日)
Week6

Week7
10月18日
NE@IND
34−27

10月25日
NO@IND
27−21
 さて、まさかのというか、やっぱりというか、兎に角2連敗。まあカード的には2連敗しても全然おかしくないカードなので、そういう意味の悔しさは無いが、やはり2連敗。結果、ここまで3勝4敗。これほど思うように勝てないのは、ここ10年で初めてであろうので、心の置き場に困っているコルツファンも多かろう。私もその一人である。

 しかし、試合内容的には、それほど酷い、あるいは致命的な構造的欠陥を抱えているものではないので、私はそんなに心配はしていない。手痛いところでのターンオーバーが敗因になっているだけだと思う。上手く回転し出せば、プレイオフ、あるいはスーパーボウルも十二分にあると思っている。

 件のNE戦も過去4試合のNE戦の中では、最も試合らしくなったと思っているくらいである。懸案の中央のランもパリー&アンダーソン・コンビが止めてくれたし、プレイオフに向けて、むしろ手応えを感じたくらいである。スペシャルチームでの失敗も、プレイオフで上手く利用して欲しい。

 とはいうものの、最大の誤算は何といっても、今季コルツっていうか、リーグ最大の目玉だと思って自惚れていたパスオフェンスである。ここまで機能しないとは、さすがに予想出来なかった。とりあえず、4000ヤード突破ペースではあるけれど、機能しているとは、およそ言い難い状態である。

 という訳で、今回は、この停滞中のコルツオフェンス、とりわけパッシングオフェンスについて私見を述べてみたい。

 私の見たところ、今シーズンのコルツオフェンスの最大の問題点は、リーグ髄一とも云われる(言われてない)ワイドレシーバー陣の役割分担が分明でない点にあると思う。各選手の特徴を考慮して、役割分担させれば、ざっとこのようになると思う。

 ヒルトン…ディープスレッド1号
 ドーセット…ディープスレッド2号
 モンクリーフ…ミドル&クラッチ要員
 ジョンソン…RAC要員

 ところが、この4名、専門家に徹するにはあまりに万能過ぎるのである。ジョンソンは言わずもがな、ヒルトン、モンクリーフも何でもこなせる。
 また、ドラフト時、典型的なディープスレッド要員あるいはスピード馬鹿という評価だったドーセットも、意外にルートラン、ハンドともに堅実で、いかにもマイアミ大学上がりらしい基礎のしっかりしたプレイヤーだったりする。むしろ、看板のスピード馬鹿っぷりの方が、ここまで炸裂していない。少なくとも、私の見た限りでは、ビックリするほど速いといった印象はない。CBをぶっちぎったシーンを私は見ていない。

 このドーセットを始め、WR陣の万能性がかえってオフェンスを散漫にしていると私は見ている。
 かてて加えて、今季は昨季と違って、ゴアのランが出る。したがって、ランにも色目を使って、さらに混乱が増している。
 
 この混乱のとばっちりを最も受けているのがTE勢、とりわけドウェイン・アレンであろう。チームは勝てず、スタッツは伸びずで、かなりフラストレーションは溜まっていると思う。このままの状態だと、今オフFAなので、リリース以前に逃げられてしまう可能性も高い。んで、最悪のNE入り。しかも格安で。

 まっ、アレンの去就はともかくとして、今季のコルツオフェンスの特徴は、船頭多くして何とやらでは無いけれど、武器が多過ぎて、却って息詰まっているような状態である。バズーカ砲を抱えて虎徹を帯刀している空手八段が、キングタイガーの装填手をしているみたいな状態である。

 むしろ、昨年までのヒルトン一本槍の方が数字が良かったというのが勝負事の面白いところであろう。将棋の世界で、色々良さそうな手が見える時は、かえって危険で、逆に「仕方ない仕方ない」の連続の方が勝ちやすいというのと事情は似ている。
 10+10+10が30にならず、5になったり8になったり、逆に1+3+5が30になったり50になったりする、単純な四則演算が通用しないのが、チームスポーツ、とりわけフットボールの醍醐味の一つであろう。

 とまあ、チームスポーツの面白さを堪能してても埒は明かないので、解決策を考えてみたいと思う。そうして、これは、どう考えても、選手個々の仕事ではなく、コーチ陣、ずばりOC、ペップ・ハミルトンの仕事であろう。ハミルトンの力量あるいは器量、度量が問われているシーズンなのである。
 それも、個々のプレイコールというよりは、プレイデザイン、ゲームデザインまで含めたコーディネートする能力、まさしくオフェンスをコーディネートするハミルトンの能力が問われているのである。もっとも、この計算はかなり難解だろうけど。少なくとも、バンチ増やして解決する問題ではない。つかまあ、シーズン前に終わらしとけ。

 まあ、こういうチームのデザインは、どっちかつうとWCO系統のコーチの方が上手いと思う。それこそ、シーズン前に私が挙げたマイク・マーツとか、先頃ドルフィンズを解雇されたフィルビンあたりの得意分野であると思われる。実際、今のチーム構成に最も適したスキームはWCOであろうが、ラック使ってWCOやってもなあ。難しいところではある。

 ちょっと話は逸れるが、今になってエイリアンズを残しておけばとしみじみ思う。エイリアンズなら今のコルツオフェンスを自由自在に運転したであろう。まあ、あの状況でパガーノをカットするつうのは、フットボール的にはともかく人倫的にどうかちゅう問題があったので、グリグソンは責められないけれど、返す返すも惜しかったと思う。

 で、最近ちょっと、その件のアリゾナのゲームを見たのであるが、ちょっと見ないうちに、ディフェンスはともかくオフェンスのメンバーがえらい事になってんな。開幕前、コルツのパスユニットはリーグ最強みたいな事を書いていた自分がちょっと恥ずかしくなってきた。

 まあ、スキルポジションに関しては、年齢やデプス等を考慮すれば、若干、あくまで若干であるがコルツの方が上のように自惚れられるが、それら以外まで加味すると断然アリゾナの方が上であろう。年齢的には高めであるけれど、ドラフト1巡がゴロゴロしとる。それも単なるドラフト1巡ではなく、ドラフト時そのポジションでトップ評価受けているような選手ばっかである。しかも、それが看板倒れに終わらず、その看板に偽りなしのプレイヤーばかりである。いわば花も実もあるプレイヤーである。んで、実質上のOCがエイリアンズ。そりゃ強いわ。むしろ、この時点(Week7)で2敗しているのが不思議なくらいだわ。

 しかも、クリス・ジョンソンの右肩(左だったかな。)にはまだ弾丸(比喩的な意味では全然なく、まさしく弾丸。すなわち実弾。)が入っているそーでーす。いや、フットボールやってる場合じゃないだろ。優先順位が分からんわ。

 さて、コルツオフェンスの混乱について話を戻すと、「じゃあ、お前なら具体的にどうするのだ。」と問われれば、「とりあえず、WRのアラインメントを固定したら。」と提案する。

 今のコルツは1プレイごとにアラインメントを変えているので、それがかえって混乱を深めていると思う。いっそ、マニング時代のようにガチ固定させた方がシンプルになって良いと思う。左右はどっちでも良いが、ワイドアウトにヒルトンとモンクリーフ、スロットにジョンソン固定の方が面白いと思う。ケガの状況がどんなもんかは分からんが、ドーセット(あるいはカーター)は第4レシーバーのXファクターに固定した方が良いと思う。

 あと、先にちょろっと触れたが、今季妙に多いバンチはなるべく避けた方が良いと思う。多彩なレシーバー陣をより多彩にすべく取り入れているのだろうけれど、かえって自分たちが混乱しちゃっているんだもの。意味がない。

 あと、もうひとつ、ノーハドル・オーディブルをもっと増やした方が良いと思う。頑なに使おうとしないのは意味が分からん。ラックが嫌っているとも思えないし。不思議である。

 とまあ、いろいろ素人考えを開陳してみたが、現時点でも私は割に楽観している。この問題をハミルトンが解決できそうにはないけれど、ラックお得意のアジャストメントで何とかしちゃうんだろう。今季はプレイオフからが勝負なので、レギュラーシーズンはプレイオフに向けての調整期間だと思って頑張って欲しい。

 さすがに、プレイオフを逃したら、GMはともかく、コーチ陣は全とっかえになるだろうが。もっとも、その結果、ドラフトの10位前後の指名権を得て、ディフェンスのプレイメーカーを獲得できれば、それこそ王朝への第一歩(ラックが一歩目か。)になるかもしれないので、長い目で見たら、むしろそちらのシナリオを個人的には希望かな。

 最後に、NOのブリーズについてお感想をば。ここ数年苦戦が続いているが、それはやっぱり、シアトル的ディフェンス「the Legion of Boom」のリーグ全体への波及と無関係でないように思われる。ブリーズのようなミドルからディープ専門、すなわちショートパスあるいはクイックヒットのパスの投げられないQBには「the Legion of Boom」はまさしく鬼門、つか拷問であろう。同じようなタイプのラッセル・ウィルソンと違って、超強力なRBもいないし。「the Legion of Boom」の浸透で、ブリーズは引退が早まるかもなあ。

                                             2015/11/1(日)

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