インディアナポリス研究会コルツ部

歴史

2013シーズン

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2013年
9月
開幕を前に、  あのな、ここ数年の日本のプロ野球を見ていて思うのであるが、各チームとも自分のユニフォームの色、すなわちイメージカラーをもっと大事にしろっつの。楽天の緑とか、オリックスの紫とか、訳分からんわ。巨人のオレンジも、まあイメージカラーちゃあイメージカラーであるが、あくまでブラック&オレンジが巨人のイメージカラーだから、オレンジ一色じゃないから。中日と横浜も同じような色&デザインで区別つかんから。そういう事も、コミッショナーを中心にして12球団で話し合って調整しないといけないから。スポーツ興行なんていうのは、一種のイメージ産業、幻想を見せてナンボの商売なんだから、そういうこと大事だから。

 あとな、ホームチームは白を基調にしたユニフォームだから。ビジターが色付きだから。最近は、これも混乱しとる。ホームチームは白を基調にしたユニフォームで胸には愛称、ビジターチームは色付き(もちろんイメージカラー)を基調にしたユニフォームで胸には地名、これが原則だから。白同士のユニフォーム、色付き同士のユニフォームだと、イメージ産業以前に、単純にスポーツのゲームとしても、見ていて混乱するから。学生野球みたいに貧しくてユニフォームが一着しか作れないというのなら致し方ないが、プロチームはこれが原則だから。

 まあ、いろんなユニフォームを作って金儲けをしたいという心持ちは分からんでもないし、支持もするが、スポーツ興行の原則ちゅうのは守ってもらわなきゃ困る。日本人はこの手のイメージ戦略というのが非常に苦手であるし、また理解できない民族であるけれど、イメージ戦略って、現代経済に於いては物凄く大事だから、全てといってもいいくらいだから。

 とまあ、久し振りの書き込みで、得意の悪口を爆発させてみたが、それはともかく、書き込みが久し振りだったのは、書きたい事が無かったからでは全然無く、今年の4月以降、私の労働環境が激変したからである。書く意欲ちゅうか、それ以前に純然たる体力が無い。パソコンのスイッチを押すのも辛いくらいである。さすがに、それは大袈裟か。

 ちゅう訳で、これまで週一書き込みを原則にしてきたけれども、今季に限っては月一にしたいと思う。まあ、正直言って、ゲーム評を書くのも大概飽きてきたので、今季からは選手名鑑やコラムの方を充実させていきたいと思う。あとまあ、NFLやNBA以外のことを書きたい欲求もある。といっても、面白いゲームがあったら、書いちゃうけど。

 とは言っても、毎年恒例のシーズン展望ぐらいは書いておきたいので、書いておきます。

 つっても、たいして予習している訳でもないのでちょいとばかし。

 昨季のシーズン展望では、「コルツの勝ち星予想が低すぎるわ、上手くいけばプレーオフだってあるわ、このバカ。」と世間に噛み付いた訳であるが、今季の予想は、むしろちょっと逆である。
 毎年の事であるが、各プレビュー誌を見ると、よほどの変化のないかぎり、昨季に準じたシーズン予想が為されている。コルツならば、昨季11勝だったので、今季は10勝前後、地区内ではヒューストンに続いて2位というのがほとんどである。
 まあ確かに、ロースター表だけ眺めれば、攻守ともに上積み、どう考えたって、下振れは無い。今季こそはHCが病気で倒れる事も無い、多分。唯一のマイナス要素はアリゾナに栄転したOCのエイリアンズであろうが、そこはラック様ご機嫌伺い人事で、前スタンフォードのペップ・ハミルトンを連れてきている。大きなマイナス要素になるとは考えにくい。となれば、昨季以上、少なくとも昨季同様の成績を予想するのは当然至極である。

 ただここで私は、例年のように、ちょいとヘソを曲げて、その予想に異を唱えたい。その唯一の根拠はスケジュールである。
 今季のコルツのスケジュールをつらつら眺めてみると、ストレングス的は平均的だろうが、その特徴として、前半に強豪チーム、後半に弱小チーム(弱小と名指しされたチームのファンの皆様、ごめんなさい。)の対戦が多いという点が挙げられると思う。これはどういう事かというと、前半の強豪チーム相手に苦戦し、更にはそこで主力に怪我が重なると、後半の弱小相手にも思うように勝てなくなり、結果5勝前後でシーズン終了という事も十分有り得るだろうという事である。実際、スケジューリングというのは、コルツに限らず、各チームとも、意外に大きな影響を受ける。同じチームとでも前半に当たるか後半に当たるか、また、どんな順序で当たるのか、は結構大きなゲームの要素になっている。

 つう訳で、今季のコルツは油断してっと、5勝前後でプレイオフ逃しという結果も十分有り得るのではないかと私は予想している。また、AFC南も、ヒューストンはともかく、残りの2チームもQB次第、あるいはRB次第で、結構侮れないチームになっていると思うので、ほんと油断してっとブチッギリ最下位も十分有ると思う。

 ただ、長い目で見ると、それで私は良いと思っている。ここまで負けた事の無い人生を歩んでいるラックには、この苦い結果が良い薬になると思うし、何よりドラフトでプレイメイカーに手が届くというのが良い。そこで、愛しのマーキス・リー様(エントリーせんかもしれんけど、)をゲットし、ラックと無敵のコンビを組ませ、他チームのファンに「あれ、反則でしょ。」と言わすのが、今の私のささやかな夢である。よし、負けろ、ラック。そして、コルツ。なんじゃ、そりゃ。今年は負けてよし。つうか負けろ。まあ、でもこれがホントにコルツのラックの今季のベストのシナリオの様な気がする。

 という訳で、バレンティンしかない。

                                            2013/9/3(火)
Week1 9月5日
BAL@DEN
27−49
 今季は、体力不足の為、あまり観戦記事は書かないと上の記事に書いておきながら、早速それを反故にしちゃう。なんとなく、NFLオープナーを見ていたら、いろいろ思うところがあったので。一応、縁起物だし。

 ゲームそのものは、開幕戦らしい手探りの試合、対相手チームという意味でも、対チームメイトという意味でも、更には対自分という意味でも手探りのゲームだったので、ゲームの質自体を評価する心算は無いし、その必要も無いと思う。

 ただ、ゲームを見終わっての率直な感想は、一コルツファンとして、というかデンバーファンも同様であろうが、「あいかわらず、どーでもよいゲームは強いのを〜。」というものであろう。メンツもテンションも違うので比較自体、無意味であろうが、やっぱり、「何故、それを昨季のプレイオフで見せなかったのだ、マニングよ。」といった感想、ちゅうか愚痴がデンバーファンからは出ると思う。7TDsはまことに立派であるが、何故に昨プレイオフの第4クォーター中盤からオーバータイムにかけて1点も取れんと愚痴りたくもなりうだろう。

 こんなことを書くと、それでなくても多くのマニングファンを敵に回している当サイトは、またまたマニングファンの多く敵に回す事になるのであるが、それが私のこのゲームを見た嘘偽らざる第一印象である。

 とはいえ、マニングのパフォーマンスが非の打ち所の無い出来だったのは申す迄もない。7TDsなんだから当たり前だ。スーパーボウル覇者のフラッコーと比べてみても、コントロール、フィールドビジョン、フットワーク等々、どれをとってもマニングの方が一枚も二枚も上手である。まだまだナンバー1QBの座はマニングのものであろう。先にマニングを腐した私であるが、そのクォーターバッキングを堪能した。とりわけ、サックを受けた、あるいは受ける際のボールセキュリティーは何度見ても素晴らしい。ほとんど芸術品の域である。つか、首の怪我ってなんだったの。

 でも、ポストシーズンの勝ち星はフラッコーはもう9勝、ちなみにマニングも9勝、フラッコーはキャリア5年、マニングはキャリア15年。まあ、ボルチモアとインディアナのチーム状況はまったく違うので比較自体ナンセンスであろうが、つまりそういう事である。と、マニングを貶めてから引き上げて、また落とす、みたいなオチ。

 マニング以外のこのゲームの注目点はというと、やはり大きく変わったBALのメンツかな。

 まあ、レイ・ルイスは、正直言って、指摘されるまで、その不在に気付かなかった。マニングが、このゲームではあんまりランをコールしなかったというのもその一因だろうが、正直言って、昨シーズンもそのパフォーマンスの低下は明らかだったので、その不在に気付かなかったのだと思う。
 チーム内的、あるいはボルチモアファン的にはともかく、外野のコルツファンには、その引退は正直いって気付きにくかった。つか、ホワッチュアタイムは誰がやってんの。誰もやってなかったら面白いけど。

 ずいぶん昔、なんかの番組でやっていたが、ボルチモアに限らず、あの手の闘魂注入ハドルは、選手にとっては意外にウザイものらしい。もちろん、ここ一番の重要なゲームでは自然に気合も入るけど、シーズン中のほとんど消化試合みたいなゲームであれをやると、「けっこー、かったりーなー。」みたいになるらしい。しかも、チームによっては、チーム全体で1回、オフェンス・ディフェンスに分かれて1回、そうして更にポジションごとに分かれてもう1回、と計3回やるチームもあるらしいので、「正直、3度目はウザイ。」と嘆いていた選手がいた。

 また、レイ・ルイスの盟友エド・リードもチームを去ったが、こちらもレイ・ルイス同様、一コルツファンの目からは、あまりその不在は感じられなかった。まあ、代わりがマイケル・ハフだしな。むしろ、エド・リードが若返ったといっても良いくらいだ。ほんのちょっとだけど。マット・イーラムも控えているし。

 メンツの変貌っぷりという意味では、ボルチモアの看板のディフェンスよりもオフェンスの方が大きく変わった印象を私は受けた。
 センターのマット・バークの引退などは、地味ながら結構痛い、とこのゲームでは見えた。コルツも苦戦しているが、意外に、良いセンターは少ないものである。
 また、LTのマッキニーなども、この試合では無難にこなしていたが、さすがに年齢的に厳しくなっていると思う。

 そうして何と云っても、その不在が最も痛い、そうしてそれがこのゲームでも顕著だったのは、何と云ってもボルディンだと思う。何と云っても、昨プレイオフ、あるいはここ3年のレイブンズを救ってきたのは、ボルディンのレシーブ力、すなわちボルディンの体格、つまりボルディンの尻だったと思うので、その尻、もといボルディンの不在は本当に痛いと思う。このゲームでも敗因のひとつになっていた。

 それこそ、多種多様はいろんな事情があるので一概に批判は出来ないけれども、ボルディンに関しては、いかなる犠牲を払っても引き留めておくべきだったと思う。もちろん、いろんな事情はあろうが。

 現有のボルチモアのメンツで、そのボルディンの代わりとなると、開幕直前、コールドウェル人脈で引っ張ってきたストークリー、じゃなくてMr.ノーグローブ、ダラス・クラークになると思う。実際このゲームでも、先発でもないのに、やたらターゲットになっていたし。それでなくても、特定の選手にボールの集中する傾向のあるフラッコーだけに、今季のクラークは、怪我さえなければ、コルツ時代に近い数字を叩き出すかもしれない。まあ、それがレイブンズにとって、良い事か悪い事かは微妙であろうが。

 そのバーターだか何だか分からんが、同じくコールドウェル人脈でボルチモアにやってきた(マニングが押し付けたという説もなくはない。)ストークリーであるが、このゲームでも出て来た。正直言って、プレイヤーコーチ的な位置付けなのかなあと思っていたが、結構試合に出てた。普通にセットしていた。
 で、その出来はというと、さすがに厳しい。コルツ時代、すなわち全盛期に比べ、あまりに身体にキレが無い、つか無さ過ぎる。仕方ないよね。オッサンだもの。つか、おじいちゃんだもの。NFLのWRの37歳って、ヒトの年齢に換算したら72歳くらいだもの。そりゃ無理だわ。期待する方が間違っとる。40過ぎてスターターやっとったジェリー・ライスみたいなのもいるけど、あれは92歳でフルマラソン完走しているみたいなもんだから。93歳で百人一首世界大会(んなもん、ない。)で優勝しちゃうようなもんだから。

 BAL@DENはこれくらいにして、コルツ戦についても感想を少々。こちらのラックはマニングとは対照的に得意の第4クォーター逆転勝ち。ボックス・スコアとハイライト映像しか見ていないので、何とも言えんが、正直、強いのか弱いのか、よー分からん。得意の形ちゃあ得意の形であるが、たまには、それこそマニング時代のように、サクっと楽勝して欲しい。ファンってワガママだね。

                                            2013/9/10(火)
 
Week3 9月22日
IND@SF
27−7
 さて、今季初めてのコルツ戦のTV観戦と相成った訳であるが、その前に何と云っても、ビックトレード、それもコルツ史に残る、つうか残ってもらわなければならないビックトレードについての感想から述べねばなるまい。コルツ史的には、それこそマーシャル・フォーク以来の大型トレードだと思う。あの時は、コルツがRBを差し出す側であったのに対し、今回は受け取る側である。

 ブラウンズのトレント・リチャードソンを2014ドラフト1巡とトレードしちゃいました。私はかねがねラックの相棒となるWRが欲しいと主張していたが、WRではなくRBを獲っちゃいました。

 リチャードソンに関しては、昨年のブラウンズ戦の記事でも触れているが、今現在現役ナンバー1のRBだと思っている。エイドリアン・ピーターソンが思いのほか強烈に復活してしまったので、ナンバー2かもしれないが、まあいずれにせよ現役トップクラスのRBであることは間違いないと思う。年齢面などを考慮すれば、最も高価のつくRBであると思う。2014年のコルツの1巡にいかなる価値があるか現時点では不明であるが、1巡を費やしても獲得する価値のある数少ないRBであることは間違いない。

 とはいえ、懸念材料は2つある。怪我のリスクはともかくとして、まずはその完全性の高さである。スピードがあり、パワーがあり、ブリッツピックが出来、レシーブが出来、デイライト能力もある。およそランニングバックに必要なものは全て持ち合わせているといっても良い。ブリッツピックやレシーブにやや不安がある(つかしない。つか要求されていない。)ピーターソンとはその点に於いて優位に立っている。

 ただまあ、それゆえ、それが弱点にもなっている。いわゆる器用貧乏という奴である。何でもできるが故に、どう使うのが最も効果的であるのか、よく分からないという事である。どんな使い方をしても、損をしている気がするのである。そういった意味ではワンカット一本やりのアリアン・フォスターや、オープン一本やりのクリス・ジョンソンや、パスプロ一本やりのアダイさん等の方が、最後の人は兎も角として、生産性は上がる、少なくとも見かけの数字は上がる。

 どう使って良いか、いまいちよく分からぬ十徳ナイフが放っとかれて、いつのまにかカッターナイフで何でも用を足してしまうのと事情は似ている。それが、ブラウンズでイマイチ数字が伸びきらなかった理由のひとつであろう。

 ただまあ、これはリチャードソン当人というよりは、コーチ陣、特にOCの課題だと思われるので、むしろペップ・ハミルトンの奮起を促したい。

 そうしてもうひとつ、こちらの方が、もしかしたら大きな理由にあろうが、リチャードソンがニック・セイバン上がりのプレイヤーだという点である。私は前々から思っているのであるが、ニック・セイバン上がりのプレイヤーというのは使い方が難しい、あるいは扱い方が難しいと思う。非常に洗練された教育が施されているので、大学時代の数字がそのままプロでは出にくいように思う。かつて古葉監督が元南海、すなわち野村監督指揮下、特にピッチャーは数字を3割引で捉えないと実力を見誤るといっていたのに似ている。

 また、選手サイドからしても、「自分は世界一のHCの元でやってきた」という自負が見え隠れして、どこか現チームのコーチやプレイヤーを見下すようなところがある。実際、ブラウンズを放出されたのも、それが理由のひとつになっていたと思う。優れた知識やテクニックを持っているが故の扱いづらさがあると思う。今のリチャードソンを巧みに操れるのはベリチックやマニングぐらいしか思いつかぬ。その器量がグリグソンとラックにあるか。あって欲しい。

 とまあ、いきなり懸念材料を書いてしまったが、この2点が払拭されれば、ラックと驚異のコンビを組める逸材である事は間違いないと思うので、頑張って欲しい。マニング&エジャリン、更にはエイクマン&エミット・スミスの高みを目指して欲しい。

 でもまあ、これでリチャードソンがRBとして定着するのなら、アダイに続いて、コルツの正RBは2代続けてセイバン上がりとなる。「だから、どうした。」っつう話だけど。

 しかし、ラック&リッチって、名前がゴージャス過ぎないか。幸せ独り占めみたいな名前だど〜。名前負けしなきゃ良いが。
 
 しかしまあ、2011年のスタンフォードのQBとアラバマのRBが同じチームにいるつうのは、プロだから当然だけど、カレッジファンから見たら、なかなか壮観だろうな。

 コルツサイドからはそれくらいにして、放出したブラウンズ側から見ると、なかなか複雑ではある。謎のトレードアップまでして獲得した全体3位のプレイヤーを1年で放出なんて尋常な話ではない。このリチャードソンに限らず、ブラウンズはこの10年間、ドラフト1巡上位指名選手の早期放出が多い。リチャードソンのたった1年での放出は例外的とはいえ、思いつくままに上げれば、ブレイロン・エドワーズ、ケレン・ウィンスローJr、カメリオン・ウィンブリー、1巡上位ではないがQBとしてブレイディ・クインやコルト・マッコイ、皆ルーキー契約を延長する事も無いままにチームを去っている。契約延長したのは、ジョー・トーマスくらいしか思いつかぬ。

 1巡上位、そうしてQBというのは、謂わばスターターを確約された形のプレイヤーなのだから、NFLに限らず他のプロスポーツも同様であろうが、がっつりチームの命運を握っている。ドラフト下位指名がスターターに並ぶと育成上手みたいな言い方をする人もいるが、そんなのは完全に間違っていて、強いチームというのは、どのプロスポーツ(ドラフト制度のあるものだけだけど、)においても、ドラフト上位指名選手がスターターの大半を占めているチームである。上位指名選手というのは下位指名選手に比べ、様々な例外はあるけれども、平均すればやっぱり実力者であるからだ。上位指名選手をこうした形でポンポン放出してしまうブラウンズはやはり異常と言わざる得ない。10年以上負け続けていいるのも宜なるかな、である。同時期に新チームとして誕生したテキサンズともいつの間にか差が付いてしまったし。

 では、どうして毎年のようにドラフト上位選手をポンポン放出してしまうのかというと、理由は簡単、毎年のようにチーム体制、すなわちGMやHCがコロコロ変わるからである。そうして全体制のプレイヤーを負の遺産として放出、その繰り返しなのである。その才能に結論の出ているGM(DETのマット・ミレン)やHCをいつまでも雇い続けるのも、これはこれで問題であるが、1,2年結果が出ないからといって、あっさりGMやHCを変えてしまうのも、これはこれで問題である。一体、何の為に面接をしてるんだっていう話である。「HCの仕事」(やべっ、まだ完結していない。近日中に最終回を書きます。)というコラムで、GMやHCも重要だが、それ以上に大事なのはオーナーであり、しかもオーナーというのは辞任しない限り変わらないという独特の性質の悪さがあるというような事を私は書いたが、この10年のブラウンズの悲劇はそれが最大の要因であろう。コルツにしたって、今のジム・アーセイがオーナーになるまでは、今のブラウンズに負けす劣らずグッダグダだった訳である。プロスポーツチームにとって、最終的に最も重要なのはオーナーの見識、あるいはヤル気なのである。身も蓋も無いけれど。

 そのブラウンズも、今季からオーナーが変わった。良い方向に向かってもらいたいと思う。

 で、そのリッチ管見という訳でもないが、今季初のコルツ戦の観戦と相成った訳である。ただまあ、正直にいうと、この49ers戦よりは、その前のドルフィンズ戦を見たかった。今のドルフィンズは、戦力的・チーム状況的にコルツに酷似している為、今のコルツの力を測る格好の対戦相手であるからだ。同カンファレンス他地区というのも手頃である。同地区だと、どうしても互いを殺すようなゲームになりがちであるし、他カンファレンスだと、今度は逆にお互い手探りのままゲームが終わってしまい、いまいちチーム力が分からないからだ。

 で、そのドルフィンズ戦は20−24で惜敗、ラック得意の逆転劇も不発という結果に終わった。まあ、ゲームを見ていないのでなんとも論評しかねるが、それを受けての49ers戦である。
 勿論、この49ers戦の方が、マスコミ的には、つうかそれだけの理由でTV放送に相応しいだろう。まあ、つっても、因縁はハーボー対ラックの師弟対決というだけで、はっきり言ってNFL的には良くある光景である。当人達にさほどの意識は無いだろう。むしろ、同窓会に近い感じでテンション的には下がるぐらいじゃないだろうか。
 あとまあ、ハーボーが元コルツつうのも無くはないが、そんなのを気にしていたら、それこそNFLでは生きていけない。そのハーボーも生涯コルツで、追われる様にコルツを去ったというのなら兎も角、キャリアの一時期をコルツで過ごした(全盛期ではあったろうけど、)というだけで特別な感情は無いであろう。あるかもしれんけど。

 で、そのゲーム内容はというと、先にも書いたように、他カンファレンスのゲームというのは、どうしてもお互い手探りのまま終わってしまう事が多く、結果的には、どちらかの良いところが一方的に出てゲーム終了というパターンが非常に多い。このゲームも典型的なそれで、コルツの良い所が一方的に出て終了というゲームであった。正直、このゲームで今のコルツの力を測るのは危険であろう。

 とはいうものの、今のコルツの特長、ないしコーチ陣の指向は明白に出たゲームであったので、それをあれこれ指摘してみたい。コーチ陣の指向がはっきり出たという意味では、コーチ的には理想のゲームだったと思う。このゲームがコーチ陣のひとつの基準になろう。

 さて、そのゲームの感想はというと、まずは何と云っても、そのランの多用っぷりであろう。これだけランを多用するコルツというのは、私はファンになって、なんだかんだで10年くらいであるが、初めて見た。
 特に、このゲームの事実上の決勝点となった第4クォーター中盤のタッチダウン、ランランランときて、ブーツレッグからのQBキープなんていうプレイはその象徴であろう。マニング時代なら絶対無かったプレイコールである。マニングなら、あの場面、余裕のショットガンであろう。ゴール前6ヤードからのQBキープなんてプレイブックにすら無かったかもしれぬ。いや、あるかさすがに。

 マニングのプレイブックは兎も角として、このラン主体のオフェンス、スタンフォード流のランアタックこそグリグソンなりパガーノなりの目指しているものなのかもしれない。
 そう考えると、昨オフの一連の動き、ペップ・ハミルトンの招聘、OLの乱獲、ヘイワード=ベイの獲得等々の全てに、説明が付く。だったら、ドラフトでRBを獲得せええよといいたい所であるが、もしかしたらこの時点で、ブラウンズがリチャードソンを放出したがっているという情報をコルツ首脳陣は得ていたのかしれぬ。あるいは、水面下で交渉していながらも、条件面で折り合いが付かず、このWeek3直前という中途半端な時期でのトレード成立になったのかもしれない。もちろん、あくまで邪推だけれども。

 とすれば、ヴォンタ・リーチあたりにちょっかいを出しても良さそうであるが、年齢・給与等を総合的に判断して、本気にならなかったのかもしれぬ。

 いずれにせよ、このスタンフォード流、あるいはナイナーズ流のランアタックこそがラック・コルツの主武器なのかもしれない。前2試合は未見であるが、そんなゲームだったのだろうか。
 でも、そう考えると、この手のオフェンスの主役であろうドェイン・アレンのシーズン・アウトは本当に痛い。なかなか代わりがいないだけに、本当に痛い。来季からの本格始動でも、私的には全然オッケーだけど。

 更なる主役のリチャードソンであるが、さすがにこのゲームは肉体的にはともかく、精神的には最悪のコンディションだと思われるので、判断は保留である。
 ただ、このゲームを見ていて思ったのは、ドナルド・ブラウンのチェンジ・オブ・ペースっぷりがハンパないって事である。リッチやブラッドショーにこれでもかこれでもかとインサイドを突かれて、それからおもむろにピッチなりスィープなりされたら、そりゃディフェンスは着いていけんわ。
 このリッチ、ブラッドショー、ブラウンつうRBユニットつうかRBトリオは何気に強力である。まさしく三者三様なので、これらを上手く生かすプレイブックを作れたら、リーグ有数つうかリーグ・ナンバー1のRBトリオを形成できるのではないだろう。まあ、獲得手段ちゅうかステータスちゅうか、その費用も、1巡とのトレード・FA・ドラフト1巡なので、それくらいはやってもらわなければ困るというのもあるが。
 コルツのRBユニットというと、ドラフト1巡(下位)・ドラ5・ドラ外みたいなのばっかりだったので、そういった意味では隔世の感(大袈裟)がある。

 一方、ディフェンスであるが、これはもう完全にインチキ・ボルチモアである。インチキはさすがに言い過ぎであろうが、十分にナンチャッテ・ボルチモアといってよいディフェンス陣だと思う。スクリメージに7人並ばせ複雑なパスラッシュやカバーを見せるなんていうのは、まさしく今流行りのハイブリッド・ディフェンスといってよいであろう。マシスがラインナップに加わっているのが不思議なくらいである。ちょっと前までカバー2をやっていたとは思えないくらいの変貌振りである。これは完全にパガーノの功績といって良いと思う。2年という短期間で為せば成るものである。なんだかんだで5年くらい掛かっていたダンジーのカバー2とはえらい違いである。

 一見スキーム重視に見えながら実はタレント頼みのカバー2と、一見タレント頼みに見えながら実はスキーム重視のボルチモア・ディフェンスの、そこは大きな違い、対照的な一面である。フリーニーが抜けたら、けんもほろろなコルツのカバー2であるが、レイ・ルイスが抜けてもエド・リードが抜けても変わらないのがボルチモア・ディフェンスなのである。それをタレント重視と勘違いして、元レイブンズを獲得して痛い目に遭ったチームはエイドリアス・トーマスのペイトリオッツを始め、数多い。

 この「ナンチャッテ・ボルチモア・ディフェンス」に「スタンフォード流のランアタック」、そうして「ラックの勝負強さ」がおそらく今季のコルツの3本柱、長嶋茂雄流に云えば勝利の方程式なのだろうが、その是非はともかくとして、なんつうかポリアン・マニング・ダンジー時代とはえらく変わったなというのが、何よりの率直な感想である。たった2年で変われば変わるものである。第3クォーター終了時点で2タッチダウン以上差を付けて、あとは逃げまくる、という鷹揚な呑気なフットボールが懐かしい。

 チーム全体の評価はこれくらいにして、選手個人についての感想をちらほら。

 まずはラック。こちらは去年と全然変わっていない。そりゃそうだ、去年の段階で完全に完成しているのだから、付け加えるものは何も無い。何か付け加えたら、むしろ悪くなってしまう。強いて挙げれば、OLとのコンビネーションの向上だが、これはどっちかというとOLの問題、つうかOLの体調の問題か。

 あとまあ、これは注文というよりは、完全なる随想であるが、ラックの大学時代から感じていた事であるが、ドロップバックの際のステップワークをもう少しなめらかにして欲しいというのがある。やっぱり、どうしてもドタドタっという印象がある。骨格的な問題であるし、クォーターバッキングの本質とはあまり関係がないのだから、このままで良いというか、変えようが無いのだけれど、QBのフットワークを重視する私は、どうしても気になる。マニングを見て育った憾みか。

 次はヘイワード=ベイ、長嶋茂雄風にこの稿ではベイと呼ぶ事にするが、正直厳しいなという印象である。ハンドとルートランが悪すぎる。ウェインとは本当に月とスッポン、雲泥の差がある。ポリアンなら絶対獲らないタイプのレシーバーである。今となっては、ドラフト当時、何故に1巡評価だったのか不思議なくらいである。1巡評価で胸キャッチとか、無い。

 ベイを見ていて連想するのは何と云ってもマイク・ウィリアムズ(DET)である。ちっこいマイク・ウィリアムズ(名前的な意味ではなく、)というのが本当に正確無比な表現であると思う。マイク・ウィリアムズは常にTE転向が噂されていたけれども、ベイもレシービングの動きがまさしくTEのそれ、しかも旧式のTEのそれである。グレシャムあたりには到底遠く及ばぬ。ジミー・グレハムと比べても負けるかもしれぬ。WRだったら、もっとシャープに、そうしてしなやかにレシービングして欲しい。

 ただブロックは良い。初戦のラックの決勝スクランブル時も良いブロックを見せていた。もしかして、そこを買っての獲得だったのかも知れぬ。ブロッキングWRつうのは、もしかしたらスタンフォード流のランアタックには必須なのかもしれない。よー分からんが。それが、ベイの獲得をオフの一連の動きの要点に挙げた理由である。

 最後にベシア、こちらは完全に復活した。ここ数年は一人セイフティ状態であったが、ラロン・ランドリーという相棒(このゲームではお休みだったけど、)を得て、完全に復活した。ボブ・サンダース以来だもんな、頼りになる相棒は。ウェインやマシスに次ぐ古株であるし、キャリアも晩年に近づいているので、ここは一丁最後の狂い咲きを見せて欲しい。

 最後にもう一度、チーム全体の感想。それはやっぱり、先にも書いたとおり、ポリアン・マニング時代とは完全に変わってしまったという事である。チーム戦略、そうしてそれに伴うプレイヤーの特長、それらはポリアン・マニング時代とは完全に変わってしまった。豪華なRBユニットや、ベイの獲得に見られるように、ポリアン・マニング時代とは真逆の面すらある。解説の板井さんが「20点台の接戦に持ち込み、ラックで勝つのが、今のコルツの基本的なゲームプランだ。」というような事を語っていたが、まったくその通りであるし、第3クォーター終了時に2TDs以上の差を付けて逃げ切るというポリアン・マニング時代のゲームプランとは正反対である。
 その変化、つうか激変ぷりっについて各コルツファン、色々な感想があろう。マニングファンの板井さんは一抹の寂しさみたいなのを言外に匂わせていたが、私にもそれはある。馬鹿げたパスオリエンテッドにカバー2という時代に逆行した、というか時代を超越した、それもかなり悪い意味で超越した、孤高というよりは孤低みたいなポリアン・マニング時代のゲームプランに私も強い愛着はある。さすがに誇りは無いけど。

 勿論、だからといって、今のラック・グリグソン体制のフットボールに反感がある訳では無い。スタンフォード流のランアタックにボルチモア流のハイブリッド・ディフェンスというのは今流行、あるいはちょっと時代を先んじた(ナイナーズに先行されているけれども、)ゲームプランであると思うし、私も肯定する。ただへそ曲がりの私は、このゲームを見ていて、ポリアン・マニング時代のあのアフォなフットボールがちょっと懐かしくなっただけの事である。

 あとまあ、接戦で勝つスタイルのフットボールというのは、かつて書いた事があるけれども、私には少々疑問もある。例えば、これが野球だったら、優れたリリーフピッチャーが一人いれば終盤1点のリードを90%近い確率で逃げ切れるけれども、フットボールの場合、第4クォーター残り10分、あるいは残り5分、90%近い確率で逃げ切れるかというと、これはなかなか難しい。思わぬインターセプトやレフリーの笛、ボールの転がり具合といった思わぬ理由、ターンオーバーはともかくとして、自分達の力ではどうにもならぬ理由で逆転される事も多いからである。
 プレイオフのような一発勝負、そうして力の接近したチーム同士の戦いでは、接戦で勝つスタイルも有効かもしれないが、レギュラーシーズンのようなリーグ戦形式では、一定以上のリードを保って逃げ切る、謂わばマニングスタイルの方が有効かと思われる。

 あともうひとつの感想というか感嘆は、よくぞ2年でチームをこんなに丸ごと変えてしまったなという事である。はっきり云って。3年前のコルツと今のコルツは完全に別のチームである。
 ポリアンからグリグソンに変わった時、チームが変わるのにはなんだかんだで5年ぐらい掛かるだろうと考え、2〜3年はプレイオフも我慢かなと考え、そんな事を書いた気もするが、グリグソンは、そんな私の呑気の気持ちは完全に無視して、2年でチームを完全に変えてしまった。出来れば出来るものである。お見逸れしましたとしか言いようが無い。アメリカ人って、やっぱ恐いのを〜。

 一方、対戦相手のナイナーズについての感想を少々。

 このゲームはまるで良い所が無くコルツに敗れ去ってしまった訳であるが、しみじみ思うのは、これは昨シーズンからであるが、何でハーボーは持っている武器をほとんど使おうとしないのだろうかという事である。持っている武器が100ぐらいあるのに(100はかなりの誇張を含んでいるけど、)、それを3つしか使わないで戦っている印象である。初期装備でRPGをクリアしようとしているような感じである。
 それが象徴的に現れたのが、先のスーパーボウルの最後シーンであろうが、折角持っている武器を使おうとしないという傾向というか作戦というかハーボーの性格というか、その理由が今以って私には皆目分からない。強いて挙げれば、ケイパーニックを育てたいぐらいであるが、それにしてもである。

 先のスーパーボウルはもちろんの事、このコルツ戦にしたって、その主武器、そうしておそらく最強の武器、それもナイナーズにとってではなくNFL全体でも最強のオフェンス・ウェポン(次点はマニングのパッシング・アタックであろう。)であろうランアタックをほとんど使わないのは理解に苦しむ。勝敗はともかく、違った展開にはなっていた筈だ。

 ゲーム後、ゴアが不満を漏らしたそうであるが、そりゃ当然であろう。そうして、木曜日の行われたWeek4のラムズ戦ではランアタックを解禁し完勝。コルツ戦はともかくとしても、地区内、あるいはカンファレンス内最大のライバルであろうシアトル戦までランアタックを封印するというのは理解に苦しむ。深慮遠謀があるとしか思えない。

 その深慮遠謀はそのうち解禁されるであろうが(されないまま終わるかもしれんけど、)、コルツに話を戻すと、次週はJAX戦。さすがに勝つだろう。セルジオが張り切らない限り。これが言いたかっただけ。でも張り切んだな、これが。

                               梨ウォーターがやめられない。 2013/9/29(日)

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