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戦評 '11シーズン

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2011年
8月
FA概観  う〜む、2週間ぶりの書き込みか。この2週間、暑くて何も出来んかった。寒いのは割りに平気なのであるが、暑いのは苦手。家で、ずっと、くた〜としてた。クーラーを効かしていても尚である。夏が熔けるように暑い。

 で、ここ数日、その暑さもいくらか和らいできたので、ちょっちFA戦線の悪口でも書いてみたい。

 今オフは例の労使交渉の影響で、およそ10日間の濃縮オフシーズンとなってしまった。例年なら4ヶ月ほどかけて行う新人やFAプレイヤーとの契約交渉を、ほんの10日ほどで強行するのだから、仕事量は同じでも、お祭りムードは高まる。そのお祭りムードに乗ってか否かは分らぬが、今オフのコルツは珍しく、実力的にはともかく、とりあえずネームバリューはあるFA選手と契約した。アーニー・シムズ、ジャマール・アンダーソン、トミー・ハリスの3名である。

 FAでネームバリューのある選手を獲得すると、普通、胸がキヤキヤするものであるが、この3名に限っては私の胸に高鳴りは無い。ひとりづつ説明する。

 まずアーニー・シムズ。この選手はドラフト時、カバー2LB、特にカバー2WLBとしてはベストの評価を受けていた選手で、私も狙っていた。ドラフト3巡とは云わぬが、2巡で獲れたらオイシイなあぐらいには思っていた。
 で、いざ、ドラフトが始まると、ライオンズ、つうかマット・ミレンが、1巡9位というカバー2LBを指名するにはあまりにも馬鹿げた順位で、まさかの、つうか当然のように指名。私はずっこけた。全体9位なんていうのは、カバー2LBどころか、ただのLBを指名するにしたって、あまりに高順位である。
 
 で、その高順位での指名が祟ってか、それなりに活躍はするものの全体9位としては物足りないという事で、ライオンズを追われ、イーグルスを追われ、カバー2の老舗であるコルツに拾われた格好になる。

 まあカバー2とはいっても、今のコルツは、ダンジー時代のようなガチガチのカバー2ではなく、謂わば「なんちゃってカバー2」(表現古いな。)なので、スキーム的にぴったり合うという訳でもないだろうが、まるで合わないということも無いと思うので、上記2チーム時代よりは、もしかしたら活躍するかもしれない。

 ちなみに、今のコルツLB陣に最も欠けていると、私が思うのはピック能力である。シムズにそれがあれば、もしかした大活躍、チームに欠かせぬ選手になるかもしれない。と思って、彼の現役5年間でのインターセプト数を調べてみたのであるが、5年間74試合出場(ほとんど先発)で、まさかのたったの1Int。これが彼の能力によるものなのか、それともチームスキームによるものかは、全く以って不明である。とりあえず、アンゲラーぐらいは抜け。

 次はジャマール・アンダーソン。この選手も、ドラフト時から、私がマークというか、名前ぐらいは知っていた選手である。DEとはいっても、フリーニーやマシスのような純正パスラッシャーではなく、ラン・パスともにいける、ペッパーズやマリオ・ウィリアムズのような万能タイプのDEとして、ゲイネス・アダムスやジャービス・モス等とともに上位指名が予想されていた選手である。さすがにこのクラスの選手が下位まで残っているとは考えにくいので、私も名前ぐらいは知っている程度であった。

 で、それから5年後、コルツ入りしたという事は、全体8位の期待に応えられなかったという事になるのであるが、まあDEの場合は、チームが代わると数字が変わる場合も多々あるので、まさかのブレイクを期待しています。

 という訳で、このジャマール・アンダーソンという選手自体に不満は無いのであるが、ここで私が言いたいのは、ジェリー・ヒューズはどうすんだという事である。
 ヒューズの競争相手、当て馬として獲得したのか。つか、それ以前にマシスに勝てなければ何の意味も無いのであるが。1巡で指名しておいて、ローテーション要員にもしないまま、単なる補欠として、ドナルド・ブラウン同様、干すつもりなのか。貴重な1巡をそんな贅沢な使い方して、どーする。上位指名はゲームに出さんかい。

 最後にトミー・ハリス。この御方は、上の2名と違って、実績十分であるが、問題は怪我だけである。ケガさえなければ、同じカバー2であるし、十分活躍してくれるだろうといいたい所であるが、しかし、私はそうは思わない。はっきり云って、今のコルツには、このトミー・ハリスのような典型的なUTタイプ、ワンギャッパー、ペネトレイターはいらないと思う。マシスやフリーニーの隣に彼を置くのは、ガチガチのパスシチュエーションならともかく、それ以外では恐い、非常に恐い。オフガードがら空きという懐かしい光景がデジャブってしまう。右から、フリーニー、ハリス、ドレイク・ネービス、マシスなんて並びは恐い、超恐い。まあ、ガチガチのパスシチュエーション以外では、こんな並びは無いだろうけど。

 これは、コルツとハリスの関係のみならず一般論になるのであるが、これからのNFLは、あくまで私見だけど、ハリスのようなUTタイプはあまり仕事場がなくなってくると思う。彼のようなペネトレイターが、どんなに強烈にペネトレイトしても、逆にそこにギャップが出来てしまって、かえってランやRACを許す事が昨今は多いからである。カイル・ウィリアムズやジェイ・ラトリフのプレイを見ていると、それを強く感じる。彼らがどんなに強烈なペネトレイトをしても、却ってそこが穴になってしまっていることが非常に多い。ダラスが昨季勝てなかった理由は、いろいろあるだろうが、ひとつにはこの理由があると思う。

 また、これは3−4のみならず4−3でも同様だと思う。これからのDTの主な仕事はツーギャップでギャップコントロールするNT的な仕事がメインになると思う。UTタイプがフルタイムで仕事をするには、4−3ならDL4人全員、3−4ならOLBまで含めた5人全員が、オールプロどころか殿堂入りクラスというような強烈なメンツをそろえない限り、かなり難しいと思う。UTひとりペネトレイトしても、かえってそこが穴になってしまう。

 もっとも、今回のトミー・ハリスの場合は、一年契約という契約内容から考えてみても、ハリス的には、完全にリハビリ目的の腰掛入団という感じも無くは無い。つーか、多分ビンゴ。このオフは、先にも触れたとおり、オフ期間が非常に短かった為に、チームサイド的にもプレイヤーサイド的にも細かい商談をする時間が無かったと思う。
 これも超大物や小物なら商談の時間など契約内容とほとんど関係ないだろうが、このトミー・ハリスのようなケガ持ち・三十路(正確にはアラサー)・実力者みたいな選手は、商談次第で契約内容が大きく変わってしまうと思う。特にハリスなどは、大金を獲得する生涯最後のチャンスになる筈だから、契約には慎重になるだろう。かといって、1年浪人してしまえば、当然商品価値は大きく落ちるので、それも出来ない。そこで今回のような1年契約になったのだと思う。そして、来オフ、腰を落ち着けて、じっくり各チームとFA交渉をする腹積もりなのだろう。

 とすると、今季のハリスの目標は、ケガのリハビリをしつつ、そこそこの成績を維持するという事になる。そういった意味ではコルツはベストの選択になるだろう。マニングがいるのでディフェンスの時間は短い。なおかつ、パスシチュエーション限定での出場、しかも両サイドはフリーニー&マシス。これならドサクサに紛れて、ひとつふたつサックも奪えそうである。結果的には、少ない出場期間ながらサックを奪う効率的なベテラン選手という評価になる。これは美味い。しかもプレイオフにはかなり高い確率で出場できるだろうし。ここで獅子奮迅の活躍をすれば来季年俸5割増決定である。

 なんか温めの活躍に終始しそうだな。気分は完全にパートタイマー。

 という訳で、私は上記3名のFA選手の獲得にはあまり賛成しない。彼らが活躍しないというよりは、その獲得にあまりメリットが無いと思うからである。なんというか、戦術的戦略的な意味はあまり無く、獲れそうだから獲ったという感じである。お祭りムードに乗せられたとでも云うべきか。DLやLBなんて、コルツ・ロースター的には、実力的にはともかく頭数的には足りている訳で、ほとんど補強無用のポジションだし。

 戦術的戦略的FA獲得という意味なら、どう考えたってエースレシーバーの獲得を狙うべきだった筈である。しかも、オチョシンコやランディ・モスといった人材はいたのにである。そのオチョシンコはNEに掻っ攫われてしまうし。穴と思っていないのか。つーか、モスなんか今からでも遅くないから獲りに行けっつの。さすがにティーオーは厳しいと思うが。

 あと、もうひとつ、コルツ・ロースターの穴と言えるのはセイフティだろうが、ドラフトでもFAでも補強しなかった事を考えると、コルツ首脳陣的には穴ではないらしい。メルビン・ブリットでオッケーと考えているのだろうか。ブリットなんて、私的には単なる控えセイフティという位置付けでしかないんだけど。ケン・ハムリンやアーロン・フランシスコあたりも、あっさりリリースしちゃっているし。これでイケルと思っているのだろうか。キップ・ボーンとかに期待してんのか。それとも、なんか隠し玉でもいんのか。まあ、セイフティなんて、どうにでもなるちゃあどうにでもなるポジションなので、これでいいというのならこれでいいのだけれど。

 今回のFAのみならず、先のドラフトでも、コルツは「獲れそうだから獲れた」的な獲得を多くしているが、これはどういう事だろう。これはダンジー時代には見られなかった現象である。ダンジー時代は良くも悪くもダンジー色コルツ色、あるいはマニング色の強い選手ばかり獲得してきて、心強さ半面、ある種のつまらなさも感じてきた私であったが、ここ最近のコルツの補強策には、面白さ半面、ある種の不安も感じている。「獲れそうだから獲れた」というのは、すなわち何の方針も無いという事だからである。オシャレな言葉を使えば、フットボール・フィロソフィーに欠けるという事である。流行りの言葉を使えば、ブレている。
 例えば、ダンジーの去った直後はカバー2色の薄い選手を集め、それはそれで一定の成功(スーパーボウル進出)を収めながら、ここ最近は、まさかのカバー2回帰、どうしたいのかいまいちよく分らぬ。まあ、しばらく様子を見るか。

 FA話のついでに、今オフFA、つうかトレードの目玉だったケビン・コーブについても、ちょいと感想。

 結果的には、アリゾナとの間で、「コーブ⇔ロジャース=クロマティ+2巡」という形でトレードが成立した訳であるが、しかし、近年、これほど実績の無い選手が、これだけ高値で売れたというのは、ちょっと珍しいのではないだろうか。同じくヴィックのの控えだったシャウブが、それに近いといえば、それに近いが、まあ何にせよイーグルスはうまく売り抜けたものである。タダ同然で拾ったヴィックが、結果的には、ドラフト2巡に化けてしまったのだから、すなわち、ドラフト2巡を拾ったと同じ事である。大物FAは、ロスター無視で、とりあえず獲得しておいてドラフト権とトレードしてしまうというのは、所謂MADDEN必勝法のひとつだけど(あんまりやると、興冷めだが、)、マネせえよ、ポリアン親子。って、もしかして、トミー・ハリスは、それ目的。

 しかし、シャウブといいコーブといい、ヴィックの控えは値が上がるな、お前はアゲマンか。

 さて、このトレード自体の感想であるが、まあ賛否両論いろいろあるようだが、これはこれでアリだったのではないだろうか。クロマティを付けたのは、アリゾナやり過ぎという批判もあるようであるが、プロボウルCBとスターターQBとの比較では、勿論スターターQBの方が価値が高いので、私はこれはこれでアリだったと思う。QBというポジションに関しては、それだけの対価が必要なのである。タダ同然で獲得しようなんていうのはムシの良い話なのである。あとは、コーブがしっかりスターターを務めてくれるのを、アリゾナは願うだけだろう。

 一方で、イーグルスはこのクロマティに限らず派手な、そうしてある意味ケチな補強策を行って、今オフの主役になっていたが、この手の補強策は大概批判されるものだけれど、私はこの手の派手な補強策を批判する気はあまり無い。むしろプロとしては当然だと思う。MLBやヨーロッパのサッカーリーグ、あるいは日本のプロ野球のようにサラリーキャップが無ければ、興行的な問題はあるかも知れぬが、純然たるスポーツ的な見地からは、むしろ推奨すべき行為だと思う。

 もっとも、今のイーグルスが所謂”ドリームチーム”かと云えば、そうではないだろうが。

                                                       2011/8/26

 追記という訳でもないが、上に書いたFA三人衆のうち、ダントツの実力者、トミー・ハリスが開幕前にカットされちゃいました。まあ、実力的にカットされたという訳でもないと思うので、チーム事情等々様々な理由からカットされたのだと思う。腰掛け気分が強すぎたか。
 まあ、私個人的にも、上にも書いたとおり、UTタイプが増えるのは歓迎しないので、ネービスとハリスのどちらかを残すとなれば、そりゃ当然ネービスだろう。ビックネームがいなくなるのは、ちと寂しい気もするが、致し方あるまい。

 そのほか開幕前カット組の注目点としては、デバンやマッククレンデン、タウドゥーゼといった、そこそこ実績(たいした実績じゃないけど、)のあるOL勢がカットされた事であろう。カスタンゾとアイジャラーナにそこそこ目処が立ったという事か。チャーリー・ジョンソンが抜けた事も考え合わせると、今季のコルツは昨季とは随分メンツの異なるOL陣で戦う事になる。戦力アップと見るべきなのかは、よく分らんが。

 他には特筆すべき所はないのであるが、このロースター表を改めて見てみると、何とも弱そうだのう。マニングとその他大勢感が益々強まっておる。なんか、ロートルと非実力派若手しかいないような気がする。実力派若手はコリーとパワーズくらいしかおらん。
 下のシーズン予想の記事で南地区優勝は勝手に向こうから転がってくるみたいな事を私は書いたが、段々不安になってきた。お下劣な話になるが、他の3チームの更なる戦力低下を願うしかない様な気がしてきた。あとは、コリーに寿命を30年捨てる覚悟で頑張ってもらうしかない。

 んで、コルツ唯一の武器といっていい我等がマニング様であるが、こちらも開幕戦は微妙な様子。つか、5試合アウトという説もあるし。マニングが5試合欠場したら、こりゃアンドリュー・ラック様一直線だな。まあ、それもいいか。長い目で見れば、それがベストかも。ラック様獲得して、1,2年サイドラインでマニングを勉強、それでもマニングが現役続行を望むならトレードして大物WR獲得、うむ、これがベストのシナリオかも、そんな気がしてきた。これなら、向こう10年またコルツの勝利が楽しめる。

 なんか、今いろいろマニングの記事を見ていたら、マニングって高校時代から公式戦全試合先発出場らしい。スゴイつうか、ここまでいくとバカだな。20年近く無遅刻無欠席なのか。そりゃ、バカ決定。ズル休みのひとつもせんかい。

                                                        2011/9/5

 まさかの2日連続投稿。開幕をおよそ1週間後に控えて気分が盛り上がっているという訳ではなく、ここ数日というか、ここ数年のコルツのロースター・ムーブに関して、腹に据えかねるといったら大袈裟だけど、腹に一物はあるので、ちょいと放出してみたい。

 ここ数日、NFL界隈とまでは言わぬが、コルツ界隈を騒がしているのは専らマニングの首の話柄であるが、その影でクリス・グランコウスキーというFBがひっそりコルツ入り。ちなみに、このグランコウスキーというのは、その珍しい苗字から推察できる通り、NEのTEロブ・グランコウスキーの兄であり、DENのTEダン・グランコウスキーの弟である。ちなみに父親のゴードンもシラキュースでフットボールをしていたらしく、所謂フットボール・ペテグリーである。ちなみに、まだ弟が2人いて、それぞれ大学生と高校生らしい。しかし、男ばっか5人兄弟ってキモイな。家には入りたくない感じ。

 まあ、グランコウスキーの家の状態はともかく、FBって何。コルツのプレイブックにFBなんて無いよ。ドナルド・ブラウンのリードブロッカーにでもする心算なのか。それとも2人の兄弟みたいにTEに転向させて、H・バック的な使い方をして、ダラス・クラークの後釜にでも据えようと思っているのか。まあ確かにTEのデプスは薄く感じるので、その公算は高いが、にしても何故このタイミング。そんなに、クリス・グランコウスキーを買っていたのか。確かにコルツ色は強そうな感じはするけれども。

 で、私がここで言いたいのは、このグランコウスキー獲得はともかくとしても、ここ数年のコルツのロースター・ムーブに行き当たりばったり感が強すぎるという事である。ここ数年のドラフトといい、トミー・ハリス等の件といい、獲れそうだから獲った感が強すぎる。全然意図が感じられない。

 トミー・ハリスの一件などは、昨晩いろいろ考えてみたのであるが、多分おそらく、昨シーズン終了段階でコルツ首脳陣はUTの獲得を目論んでいたのだと思う。そこで、ドラフトでドレイク・ネービスを指名したのであるが、ルーキーという事でやや不安。そうしたら、トミー・ハリスが売り込んできたので、ネービスの保険として獲得、プレシーズン後、ネービスに目処が立ったのでカットという事なのだろうが、そもそも今のコルツにUTってそんなに重要か。保険を掛けるまで重要か、QBじゃあるまいし。その辺が良く分からぬ。でも、そうとでも考えなければ、この一連のトミー・ハリス獲得&解雇劇は理解できぬ。

 しかも、そのトミー・ハリスも、あっさりカットしちゃっているし。トミー・ハリスなんてネームバリューがあるのだから無理九里キープしてトレードの駒に使わんかい。DTなんて、シーズン中に絶対ケガの出るポジションなのだから、何処かしら欲しがるだろう。そしたら、4巡・5巡くらいは獲得できたんじゃねえの。

 このハリスの一件に限らず、なあんかここ数年のコルツのロースター・ムーブを見ていると、MADDEN初心者みたいな事ばかりしている。ロースター・ムーブで一番肝心なのは明白な意図だと思うが、それがここ最近のコルツには全く感じられない。いつかも書いたが、それがダンジー時代との決定的な違いである。獲れるから獲ったなんて、今時女流棋士でもやらないっつの。

 この辺の人事は、おそらく、ここ最近実権を握りつつあると噂されるポリアン・ジュニアが主導しているのであろうが、あんまり才覚を感じられない仕事振りである。子供に職を譲るというのは、親にとって抜き差しならない本能、ほとんど動物的に近い本能であろうが、これはその職にとっても業界全体にとっても、そうしてその子にとっても不幸な事だと思う。日本の江戸時代がその悪しき典型であろうが、古今東西を通じて、その成功例を私は知らない。ショッテンハイマーの息子は、実際のところ、どんなもんなのか。

 話をコルツに戻すと、マニング不出場に備えて、コルツはケリー・コリンズと契約しているが、これも私は賛成しない。コリンズのQBとしての力云々はともかくとして、ここで40近いコリンズのおっさんを先発させる事に何の意味があるのだろう。カーティス・ペインターを素直に使えば良いと思う。曲がりなりにも1年間、マニングのサイドラインを務めてきた訳であるし、彼にチャンスを与えれば良いと思う。それで、シーズン全敗してしまっても、その時はその時である。ドラフト上位の指名権が獲得できる。また、仮に7,8勝挙げる事が出来たのなら、そのままマニングの後継者にするも良し、他チームに高く売りつけるも良しである。
 しかし、コリンズで7,8勝挙げる事には何の意味も無いと思う。高値が付く事も、マニングの後継者になることも有り得ないのだから。ただ、今シーズンの勝ち星を7つ8つ拾うという事だけのことである。仮に13勝ぐらい挙げてスーパーボウルを制覇したって、コリンズ的には意味があろうが、コルツ的には何の意味も無いだろう。今シーズン勝ったというだけの話である。それで十分かもしれんけど。

 コリンズのような実績のあるベテランQBの補充というのは、例えばシーズン終盤でプレイオフなりスーパーボウルなりが見えてきた時にスターターQBを失った際には、緊急避難的な獲得として意味はあるかもしれないが、シーズン序盤、というか開幕前にやるような事ではないと思う。

 数年前、トム・ブレイディがシーズン序盤でシーズン・アウトになった際、周囲の喧騒をよそに、ベテランQBを全く補強せず、当時まるで実績に無い、つうか大学時代も実績の無いマット・キャッセルを、そのまま悠然とQBに据え、そのままシーズンを押し切ったベリチック&ニュー・イングランドとは、その懐の深さにおいて、大違いである。フットボール・フィロソフィーの質の違いといっても良いくらいである。まあ、コールドウェルやポリアン息子にフットボール・フィロソフィーがあればの話であるが。

 あともうひとつ、コルツ人事絡みでいうと、前オハイオ・ステイトのHCジム・トレッセルを相談役的なポジションでコーチング・スタッフに加えとる。このトレッセルが、どのようなフットボールをするのか、私は全く分らないのであるが、オハイオ・ステイト時代の成績は、人も知るように、申し分ない。立派な成績である。しかし、例のテレル・プライヤー等々のリクルート絡みの問題で辞任に追い込まれて、そこをここ最近のコルツがお得意の「獲れそうだから獲った」的に獲得した訳である。まあ、はっきり言って、実績的にはコールドウェルより遥かに上の人間をこういう形で押し付けられれば、コールドウェルはやりづらい事この上ないであろう。心中穏やかでないだろうし。

 このトレッセル自体は、その立派な成績から推察できる通り、優秀なコーチなのだろうが、個人的にはオハイオ・ステイトには、あんまり良い印象は無い。つうか、むしろ悪い。験クソ悪い。インケツと言ってもよいくらいである。その最大の要因は2007年コルツ・ドラフト三人衆(ゴンザレス、ピーコック、ロイ・ホール)に酷い目に遭わされたからなのであるが、そのほかコルツ以外のオハイオ・ステイト卒業生を見ても、あまり良い印象は無い。バストとまではいわないが、イマイチ感の強い選手が非常に多い。文句無しの成功例はニック・マンゴールドとサントニオ・ホームズ(私生活は除く)くらいか。ちなみに、元コルツでは、上記の3名の他に、マイク・ドスとベン・ハートソックがいるが、う〜ん、やはりコルツとは相性が悪そうだ。

 そんなに才能の無いプレイヤーを上手く使ってチームに勝利をもたらし、選手達に実力以上のドラフト順位を与えたと意味では、むしろ、これは逆に、トレッセルの優れた手腕と言ってよいのかもしれない。

 ただまあ、トレッセル加入の一報の後、いきなりマニングの首が悪化したんだよなあ、完全にコジツケだけど。やはり、オハイオ・ステイトはインケツな気がする。あとまあ、これはフットボールとは直接の関係はないが、オデンとコンリーJrを奪われた恨みもあるし。

                                                  2011/9/6
シーズン展望  開幕をおよそ2週間後に控えて、恒例という訳でもないけど、シーズン展望でも書いてみたいと思います。深く考えての文章ではないので、各チームのファンは厳しく突っ込まないよーに。
 でも、今年は例年なら入手出来るPFWのプレビュー誌を、例の労使交渉の余波で、入手できていないの、いまいち盛り上がってないんだよなあ〜、これが。

 さて、我等がコルツからであるが、まあ何のかんの云って、結局はプレイオフには滑り込むのじゃないでしょーか。数年前のようにシーズン12勝を楽々あげて、シーズン終盤を前に楽々プレイオフ決定という訳にはいかないだろうが、10勝前後あげて、第16週か最終週でプレイオフ決定という形になりそうな気がする。

 その根拠はというと、コルツ自体の力というよりは、AFC南地区の力関係からである。
 実力的に最有力チームは、おそらくヒューストンかと思われるが、とりあえず今年も駄目だろうと思っている。このチーム、つうかキュービアック−シャウブ体制には、私は完全に見切りをつけている。これから向こう5年間くらいで、なんかの拍子で一度くらいプレイオフ進出はあるかもしれないけれど(それが今季かもしれないが、)、00年代のコルツのように南地区の覇者には、少なくともキュービアック−シャウブ体制では不可能だと思っている。つうか、なれるならもう既になっとるっつの。チームの力的には一昨年あたりで既にピークだったと思う。そこで出れないのならば、これからも出れないだろう。昨季なんかも、何気に6勝10敗だし。同じく何気に三十路のアンドレ・ジョンソンの年齢を考慮しても、キュービアック−シャウブ体制は終わっていると思う。チームの旬を逃すというのは恐ろしい事である。
 テキサンズ・ファンではないので、技術的に何が悪いのかは分らないが、外から見る限り、キュービアック−シャウブ体制は終わっとる。

 さて、テキサンズが無いとすると、残りはジャガーズとタイタンズであるが、この両チームの方がテキサンズよりは遥かに不気味ではある。ひとつ間違えると、南地区優勝をかっさわれるかもしれない。じゃあ、具体的に何をどう間違うのかと問われても返答に窮するのではあるが。

 以上のような考察から(ろくな考察してないけど、)、ハッセルベックまさかの大爆発みたいな間違いが起こらない限り、南地区のタイトルは向こうからコルツの方に転がってくると思う。一昔前は地獄の南地区と恐れられたものであるが、昨今は、最弱とまではいわないものの、ヒョロヒョロディビジョンに成り下がってしまっている高橋みなみ地区である。浅倉南地区くらいにはなって貰いたいものである。しょーもないギャグ入れちゃった。高橋みなみは矢口真里の後釜を狙っていると思う。

 以上生温い予想終わりであるが、これは勿論、言う迄も無い事であるが、マニングが全試合乃至ほとんどの試合出場が前提の話である。巷間言われているように、マニングコケたら皆コケるのが今のコルツである。マニングがコケた時は、そん時はしゃーない、ポップコーンでも喰いながら観戦して、アンドリュー・ラック様獲得でも願うとするか。しかし、もしマニングがシーズン全休してラック獲得という事になったら、他チームのファンはマジでキレルな。死人が出ると思う。ダンカン獲得したスパーズみたいなもんだもの。

 マニング全休なんていうのは、コルツファンにとっては縁起でもない事態であろうが、個人的には、今のコルツがマニング抜きで何処まで出来るのかは、ちょっと見てみたい気もする。そこそこやるのか、はたまたシーズン全敗か。かなり気になる。
 一方で、マニングがルーキーイヤー以来続けてきた全試合先発出場という、冷静に考えると、とんでもない記録は意地でも、多少チームを犠牲にしても続けて貰いたいと思う。そうして、このまま全試合先発出場のまま引退してもらいたい。

 さて、そのマニングの首の怪我であるが、勿論その怪我の状態については私は皆目わからないのであるが、しかしマニングほどの、おそらくNFL史上最も安全なクォーターバッキングをしているマニングですら、手術しなければならないような怪我をしちゃうのね。かつて、ジョー・モンタナが引退後、確か同じく首の手術を7,8回ぐらいして、それをNFLが金銭的医療的に何の援助もしなかったので、爾来モンタナはNFLに非協力的になったという記事を何処かで読み、当時の私は7,8回も手術しなければいけない首の怪我ってどんなものなのか不思議がったのであるが、マニングのような安全第一のクォーターバッキングですら怪我しちゃうのだから、被サックの多かった(あくまで印象だけど、)モンタナなら7,8回の手術も当然だろう。フットボールというのが非常に危険なスポーツだということを再認識した。

 で、そこで私の私案というか、完全な素人考えを披露するが、フットボールのヘルメットを少々改良してみたらどうだろう。フットボールのヘルメットというのは、外側に合成樹脂のような堅い素材、内側に衝突緩衝材のような柔らかい素材で出来ているが、その外側に堅い素材を使うのではなく、衝撃吸収剤のような柔らかい素材を使ってみたらどうなのだろう。外側に堅い素材だと、確かに頭蓋骨そのものは守れるかもしれないが、衝撃はそのまま受けてしまい、結果的に頭全体が揺れるため、脳震盪や、頭を支える首を痛める原因になっているのではないだろうか。一番外側に衝撃吸収剤を使う事で、それが和らぐようになると思うのであるが、どうだろう。
 一番外側に衝撃吸収剤、その中に堅い合成樹脂、その下に衝突緩衝材というような、3重構造にしてみたら、どうであろう。先にも書いたように、あくまで完全な素人考えなので、科学的知識のある人は厳しく突っ込まないよーに。

 さて、シーズン展望に話を戻すが、AFC優勝となると、何処かはさっぱり分らんが、プレイオフ進出チームは例年どおりのメンツになりそうな気がする。PIT、BAL、NYJ、NE、SD、そしてコルツである。6番目のチームはシンデレラチームという事になるだろう。KC、DEN、CIN、OAKあたりかなあ。いずれにしても、先に挙げた5チームとそれ以外では、ちょっと力の差がある様な気がする。

 ちなみに、ここに挙げたPIT、BAL、NYJ、NE、それに昨年のスーパーボウル覇者のGB、これらの共通点は、フロント7が複雑に動き、多種多様なブリッツを仕掛ける、謂わばハイブリット・フロント7というディフェンス仕様になっている点である。NEはちょっと違うかな。それはともかく、このバディ・ライアンの46ディフェンスの進化形とでも謂うべきディフェンス・スキームが、これからの、というか現時点で既にディフェンスのトレンドになっていると思う。これからのDLにはLB的な動きが求められ、LBにはDL的な動きが求められる事になるだろう。フロント7のポジション的な区分けは、もしかしたら無くなるかもしれない。すでに、3−4とか4−3とかいうような概念は無くなりつつあるし。

 一方で、コルツは、人も知るようにガチガチの4−3、全く融通の利かない構成である。コルツディフェンスに未来はあるのか。って、過去も無かったけど。なんか去年の予想でも、似たような事を書いた気がするな。

 さて、次はNFCであるが、こっちは皆目以って予想が付かない。私がAFCのコルツのファンだからという理由もあろうが、実際、NFCは戦国時代だと思う。どのチームにもNFCチャンピオン、スーパーボウル制覇の可能性があると思う。そういった意味では、上位チームの固定されているAFCとは好対照である。しかも、AFC上位チームがどのチームも、ジェッツ以外は、既に功成り名を遂げた、言い換えれば終わっているチームであるのに対し、NFCのチームは皆若い。近い将来NFCの時代が来るだろう。つーか昨年一昨年とNFCがスーパーボウルを制覇している事を考えれば、既にNFCの時代なのかも知れぬ。何処が覇者となるのかは皆目分からぬが。

 さて、そのNFCの主役のひとり、少なくともオフの主役であったイーグルスであるが、私の個人的予想では、ココはこける。ヴィックコケたら皆コケたの状態になるだろう。最終戦は、ヤングどころか、訳の分からないのが先発QBを務めている事だろう。予想つうか、完全に希望的観測だけど。

 ちなみにイーグルス絡みでひとつ。ニッケルにまでプロボウル級CBを使うのはナンセンスだ、つうか贅沢だという批判があるが、私はそうは思わない。3人目のLBや2人目のSよりニッケルの方が重要だと思う。両者の間であからさまなタックル力の差があるわけでも無いし。金銭をいくらかけるかはともかく、ニッケルに実力者を置くのはこれからの常識になっていくと思う。

 先に挙げたフロント7のハイブリット化ということに加え、この事情も考え合わせると、3人目のLBや2人目のSとニッケルのハイブリッド化も進むと思う。それはTE対策にもなるだろう。いずれにしても、ディフェンスのポジションは、かつてより能力的な区分けは無くなっていくと思う。今オフ、いきなりトレードされてしまったテイラー・メイズなどは、指導者に恵まれれば、そういったプレイヤーの魁になるかもしれない。LBとSとCBの混合体みたいなプレイヤーである。ニック・セイバンなどは、そういったプレイヤーを数多く作っている感じがする。

 最後に、もうひとつイーグルス話、というかヴィック話をひとつ。最近、ヴィックが6年100ミリオンという契約をイーグルスと交わしたが、それをビックリと見るか当然と見るかは評者によって意見の分かれるところであろう。私は、どちらかというとビックリ派かなあ。まあ、詳細は不明であるが、6年100ミリオンといっても、ヴィックの31歳という年齢を考慮すれば、実質的には2,3年契約で、6年というのは、イーグルスお得意の何らかのキャップ対策であろう。しかしヴィックに100ミリオンねえ。ここ10年、実力的にはともかく、給料的には我等がマニング様と張り合ってきたヴィック様であるが、そのヴィックに、実力的にはともかく、金銭的にマニングと同等の価値があるかというと、私には、少々、つうかかなり疑問ではある。首を傾げざる得ない。これは、フットボール不毛の地に育った人間の感覚なのかなあ。フットボールの国の人間には常識的な感覚なのかなあ。

 あと、そうそう、キックオフの位置が昨シーズンより前になったそうであるが、プレシーズン・ゲームをまるで見ていない私は何ともいえないが、いずれにしてもリターンは激減するであろう。それが狙いな訳だし。
 昨今のプレイスキッカーの能力向上から、以前私はキックオフの位置は下がると予想していたのであるが、まさか逆に前に進む事になるとは。まあ、ケガを減らすという目的なので私も賛成するが、これで一部の特殊な球場(シカゴやピッツバーグなど)以外では、意図的にリターンさせる事を狙わない限り、ほとんどキックオフ・リターンは見られなくなるだろう。

 つうか、怪我を減らすという意味ならば、いっそキックオフ自体を無くして、20ヤード時点からの開始でいいんじゃねーの。少なくとも、キックオフと20ヤード地点からの開始のどちらかを選択するという形にすれば良いと思う。両チームともに20ヤード地点からの開始に同意すれば20ヤードからのスタート、どちらかが同意しなかったら普通にキックオフにすれば良いと思う。実際、両チームともにキックオフ無用のシーンはよくある訳だし。ケガは完全に防げるし、わざわざタッチバックを蹴る労も省けるだろう。キッカーの股間に優しいルールになるだろう。いや、エロい意味じゃ無く。

                                                       2011/8/30
 

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