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戦評 '08シーズン

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’10シーズン展望  なんか理由はさっぱり分からないのだが、このページのデータが全部消えちゃいました。コルツとNFLの’10シーズンの展望を書いていたのですが、全部なくなっちゃいました。バックアップもありません。内容はなんとなく覚えているので、ヒマを見て書きたいと思います。トホホ。パソコンって恐い。

 と思っていたら、コルツ編だけキャッシュを発見。リーグ全体編はいずこ。
                                                      2010/9/30

  ’10シーズン開幕もおよそ10日後に控え、ここらで’10シーズン展望としゃれこんでみたい。今回はコルツ編、次回はリーグ全体編です。

 ではコルツ編である。

 まずは、いまやコルツファンが顔を合わせれば必ずこの話題になるといってよい問題のオフェンシブ・ラインメン、OL問題からである。これがオフェス・レディの問題であったら、どれだけ良かった事か。

 そんな戯言はともかく、このOLは’09シーズン終盤から課題となっていたユニットで、今オフには何らかの補強、できれば大型補強必須とみられていたポジションであった。

 ところが、である。何故か、オフシーズン突入早々、実力的にはともかく、年齢的にはキャリアの絶頂を迎えているといってよいライアン・リリージャをいきなりカット。コルツファンは度肝を抜かれた。

 どんな理由があったのかは皆目分からないが、カットである。せめてトレード要員にしろっつの。実際、KCがリリージャとカット直後に速攻契約している事を考えても、最低でも、ドラフト4巡、上手くいけば3巡の価値はあった筈である。また、トレードアップの駒としても使えた筈である。トレント・ウィリアムズ(全体4位)やラッセル・オクーン(同6位)、ブランドン・グラハム(13位)は無理でも、デズ・ブライアント(24位)あたりには届いた筈である。それを何の見返りも無く、普通にカット。それも課題のOLのプレイヤーなのに。そもそも、2年前、このリリージャと大型契約を結ぶために、似たようなキャラのOGジェイク・スコットをリリースしたのである。それが、いまや両者共にいない。

 また、そのリリージャのカットの理由も今以って謎である。年齢的にもプレイ内容からいっても、単純にフットボールのパフォーマンスの問題とはとても思えない。それどころか、’09コルツのオフェンシブ・ラインメンの中では唯一合格点を与えられるといっても良いプレイヤーが、このリリージャである。それが何故かカット。理由はオフフィールドの問題があったからとしか、もはや考えられない。それが契約問題なのか、薬物や拳銃といった何らかの犯罪絡みなのか、それともホモ(すみません、差別発言しちゃいました。)だからなのかは、皆目分からないが、そうとでも考えない限り理解できない謎のリリージャ・カットである。私がコルツファンになって、もう7年ほど経つが、その間では最大の、というか唯一の謎なロスーター・ムーブである。

 今ここで冗談半分で「ホモだから」とか書いたけれど、もしかしたら意外にその辺が真相なのかもしれない。ユーゴーやポラックに手を出して、彼等の成長を阻害したとか、十分ありえるシナリオである。ホモでなくても、単純に若手イジメとかはしていたのかもしれない。何の根拠も無い、隅から隅まで私の完全な憶測だけれども。

 とまあ、理由は皆目分からないが、オフシーズン早々、リリージャがカットされてコルツファンは喫驚したのであるが、一方で「これはもしかしたら大物ラインマン獲得の序章かも知れぬ。」と妙な期待もした。しかし代わりに入ってきたのは、アンディ・オールマンにアダム・テリーという、あまりにも微妙すぎる二人。そして、ドラフト上位指名もなかったので、結局新加入はこの二人に4巡指名のマククレンデンのみ、という寂しすぎる補強劇(そのほかルーキーFAとかストリートFAとかも勿論いるけど、未知数なので割愛。)。アダム・テリーあたりは「あのマイケル・オアーに押し出された」みたいな肩書きも無くはないが、逆に言えば、このアダム・テリーが情けないから、ジャレッド・ギャイザーがいるのにオアーをボルチモアは指名したとも言えなくは無い。実際、オジー・ニューサムの目は、次回のリーグ全体編でも触れるが、恐ろしいほど正確なので、ボルチモアを出されたプレイヤーには、私は個人的には大いに不安である。

 かような情けない補強劇を受けてかどうだか知らぬが、キャンプ、プレシーズンマッチを通して、OLの評価は散々なようである。ケガで療養中のサタディ待望論やチャーリー待望論まで出てくる始末である。サタディはともかく、チャーリーですよ、奥さん、あのチャーリーですよ。また、サタディにしたって、ここ数年のパフォーマンスを見る限り、明らかに下り坂である。寄る年波は隠せない。

 とまあ、ニッチもサッチもいかない状態のOL陣であるが(表現が古いな、おい。)、実を言うと、私はそんなに心配はしていない。なぜなら、QBがマニングだからである。これが全盛期のデビッド・カーなら、シーズン100被サック必至のメンツであろうが、QBがマニングである以上、被サックはおそらくシーズンを通じて20被サック以下に納まると思う。最悪でも25被サック程度であろう。
 実際、昨シーズンのコルツの被サックは驚異の13で、勿論リーグ最小である。マニング個人に至っては、なんと10である。1試合1サック受けていない計算である。LGのリリージャ一人抜けたからといって、この数字が大きく変化するとは、ちょっと思えない。

 被サック数というと、一般的にはOL、特にLTの責任のように考えられているが、実際は、そのほとんどの責任はQBにある。なぜなら、QBはサックを受けそうになったら投げ捨てちゃえばよいのであるし、それより何より、スナップ前のリードで全てが決まるといってさえ良いくらいだからである。スナップ前のリードで、どこからパスラッシュが来るのか、ブリッツはあるのか、あるとすれば何処からか、そのパスラッシュに自軍のOLはどのくらい持つのか、ブリッツピックを入れた方が良いのか等々を完全に読みきれば、理論上、サックは喰らわない。
 実際、昨シーズンの被サック数を並べると、1位はコルツの13、以下、TENの15、NEの18、NOの20、HOUの25、SD・AZの26、ATLの27、CINの29と、如何にも優秀な、というか如何にも賢そうなQBの順に並ぶ。ちなみに、若手LT3羽ガラスを擁するCLE、DEN、MIAは、順に30、34、34であり、悪くも無いが良くも無い数字が並ぶ。
 被サック数はOLやLTのスタッツというよりは、むしろQBのスタッツ、QBのおつむの出来具合いを示すスタッツと云うべきだろう。

 話は少し逸れるが、このチームごとの被サック数で特筆すべきはTENの15だろう。ケリー・コリンズにしろヴィンス・ヤングにしろ、決して優秀な、少なくとも賢そうなQBではない。ヴィンス・ヤングが逃げまくって被サック数が減ったという説はあるかもしれないが、にしても15は少ない、少なすぎる。また、クリス・ジョンソンがいるからパス・プレイ自体が少ないという説もあるかもしれないが、これは476回で、少ない事は少ないが、ダントツに少ない訳ではない。近い数字を挙げるとOAKの485という数字がある。しかもQBはジャマーカス・ラッセルでヤングに近いタイプである。しかし被サック数は49である。15というのはやはり尋常な数字ではない。これはやはり、上に被サック数はQBのスタッツと書いたけれども、このTENに限っては、真のリーグNo.1LTとも評されるマイケル・ルースの力と見るべきだろう。フリーニー&マシスのはぐれ悪魔コンビに(はぐれてないけど。)マリオ・ウィリアムズのいる地区でシーズン15被サックというのは尋常な数字ではない。

 ちなみに、またまた話は逸れるが、このパス・アテンプト数、コルツの数字はいくつかと言うと、SEAの609に続く601、実に601回もパス・プレイをして、たったの13回しかサックされていないのである。次点はNEの592の18である。マニングとブレイディ、特にマニングが、このパスラッシュ対応能力において、如何に飛び抜けているかが良く分かる数字である。しかもLTは、それぞれチャーリーにマット・ロスである。断じて、トップクラスのLTではない。しかし、チャーリーで13回って、ありえねーだろ。

 この話をもうちょっと続けると、パス・アテンプト数が最も少ないのは393のNYJである。300台はこの1チームのみである。で、NYJのランの数は607で当然ダントツである。600台は他になく、500台もCARの525とMIAの509の2チームのみである。クリス・ジョンソン擁するTENですら499である。このラン・パス比率、607:393はちょっと異常な数字である(ちなみに、コルツのラン・パス比率は、このちょうど裏返しで366:601、これはこれで異常な数字である。この両極端なチームが昨シーズンのAFC決勝を争ったという訳である。)。その極端に少ないパス・アテンプトの中、被サック数はいくつかと言うと、30で、決して少ない数字ではない。次回のリーグ全体編で、私はジェッツを腐す予定なのであるが、その前振りと言うわけでもないが、サンチェスの不安要素として、この数字を挙げておきたい。
 また、この被サック数が昨シーズン最も多かったのはGBの51である。パッカーズファン希望の星、アーロン・ロジャースは非常に評判の良いQBであるが、こういう数字を見ると、一抹の不安を感じない訳にはいかない。パス・アテンプト数は553回なので、パスプレイ10回のうち1回はサックされている計算である。さすがに多すぎ。もっとも、BUF、OAK、PITはもっと悪いのだけど。ちなみにマニング、つうか正確にはINDは601回で13回であるから、およそ60回に1回の割合である。これはさすがに少なすぎ。

 閑話休題。以上のような理由から、ことパスプレイに関する限り、コルツOLのしょぼさについてはあまり心配をしていない。例年通りやってくれるだろうと思う。あくまで、マニングが、だけど。マニングのケガの蓋然性は増すだろうが、ケガに関しては、蓋然性が増そうが減ろうが、やっちまうときはやっちまうので、あまり関係ないだろう。
 ただし、ラン・プレイは、話は別である。ここは例年にも増して、走れなくなると思う。アダイには、御愁傷様としかいいようがない。コルツに入ってしまったばっかりに、年がら年中パスプロをやらされ、たまにボールを待たされれば走路が無いという、まさに「踏まれたり蹴られたり」状態である。愚痴の一つも言わないのが不思議なくらいである。このへんは、元々の性格に由るものか、ニック・セイバンの教育の賜物かは、よく分からないが、誠に立派である。あんたは、えらい。

 しかし、被サック数が少なく、RBの平均ヤーデージが3ヤード台となると、一般的にはRBの走力が無いように映るだろう。特に、コルツのゲームを見慣れていない人が見ると、「アダイは平凡なランナーですねえ。」なんて言われてしまうだろう。後藤完夫あたりは、いかにも言いそうだ。もっとも、見る人が見ても、「one of the league's best pass-blocking backs」とか言われちゃってんだけど。RBがパスプロ褒められてもなあ。
 実際、アダイがハドルにいると、TVで見ている私ですら、「ああパスなんだなあ。」と思ってしまうものなあ。現場では、もっと強く思うだろう。

 とまあ、アダイの評価はともかく、パス・オフェンスに関しては、私はあまり心配していない。それなりにプレッシャーは増すだろうが、例年に近い数字は叩き出すと思う。勿論、例えば昨年のスーパーボウルのような、決定的な場面で自由に得点できるかというと、それは大いに疑問であるが、それはどちらかというと、OLの責務というよりは、第1レシーバー不在に原因があるので、ここでは不問に付す。

 しかし、ほんの数年前までは、コルツといえば、オフェンス自慢と決まっていたのであるが、いまや単なるマニング自慢のチームでしかない。プロボウラー級のプレイヤーも、一昔前まではオフェンスの各ポジションにゴロゴロしていたのに、いまやマニングとダラス・クラークぐらいしかいないもんなあ。あとはギリギリ、アダイとウェインぐらいか。サタディはぎりぎり落ちるだろうし。いやはや時間の経つのは早いものである。って、単に補強に失敗しているだけか。

 オフェンスの話はこれくらいにして、ディフェンスに目を転じよう。

 ディフェンスは去年並みか、去年以上にはやるんじゃないでしょうか。特にDL陣はDTを中心にかなり底上げされているし、LB陣も、パット・アンゲラーが評判どおりだとすると、ブラケットの復帰後にはWLBに入れるという手もあるし、ジェリー・ヒューズをSLBに入れるという手もあるし、このフロント7は、状況に応じて様々な組み合わせが可能で、なかなかの布陣になると思う。年齢的にもバランスが良いし。インディの影のストロング・ポイントかもしれない。個人的には、フリーニー&マシス&ヒューズ同時投入のパトラッシュ、もとい鬼ラッシュが是非見てみたいッス。

 で、問題はSである。つうかCBまで含めたDB陣である。確かにデプスの一番手が額面どおり、つうか健康に一シーズン過ごせれば、なかなかのユニットかもしれないが、そりゃ無理だって。どー考えても無理。レーシーまで含めた、5人が5人とも、五体満足ならぬ、5人満足でシーズン終了するとはとても思えない。ボブ・サンダース様なんて、全盛期のグラント・ヒル並みの欠席率ですよ。しかも、ケビン・トーマスとジャミエ・シルバは、もう既にIR入りしちゃっているし。デプスが深いとか浅いとか言う以前に、頭数が足りてない状態である。
 だから、ドラフトでSを指名しておけっつたのに。その後のFAでも派手な補強は無く、唯一の補強はタウンゼントのおっさんのみ。13年目のベテランCBに何を期待せえちゅうねん。これがベテランSならまだしも、絶対的に運動能力が要求されるCBに、13年目のベテランは無理でしょう。おっさんCBが活躍したなんて話は聞いたことがない。相当派手なキャリアの持ち主でも、若手に負けちゃうのがCBというポジションである。それとも、Sをやらせるつもりなのだろうか。

 CBはともかく、Sは、開幕前後に、そこそこの実力者でもチーム事情等でカットされがちなポジションであるので、もしかしたら、それなりのプレイヤーが獲得できるかもしれないが、にしても不安なポジションである。まあ、Sというのは、ディフェンスの力を大きく左右するようなポジション、大きなキズになるようなポジションではないけれども、頭数が足りないというのは、やばいでしょ、さすがに。

 であと、スペシャルチーム、特にリターナーについて一言。チャド・シンプソンに逃げられたのは、地味に痛いんじゃないの。昨シーズンは、そこそこのリターンを見せていたし。一昔前と違って、今のコルツには絶対的なオフェンス力が無いだけに、リターンというのは結構重要な位置を占めていると思われるのだが。それとも、エッヂさんの従兄弟じゃない方のジェームズが獅子奮迅の活躍を見せるのか。
 あと、直線大王パット・マカフィーはパントに角度を付けられる様になったのか。これはシーズン中に確かめてみたい。

 こんな感じかなあ。で、まあ、今季のコルツの成績予想であるが、スケジュールをつらつら眺めてみると、ポイントは開幕戦とBYEウィーク明けの両ヒューストン戦になると思う。ここを2戦2勝出来れば、11勝前後でプレイオフ進出になるだろうし、ここを2戦2敗だとプレイオフは厳しくなるだろう。1勝1敗なら運命の第17週かな。プレイオフを勝ち抜けるかどうかは、その時になってみないと、さすがに分かりません。

 この開幕戦とBYEウィーク明けのヒューストン戦というのは、インディにとっても今季を占う重要な2試合になるだろうが、それ以上にヒューストン側にとっては重要な2戦になるだろう。今季を占うどころか、この10年間で最も重要な2試合になると思う。何が何でも2戦2勝したいところである。特に開幕戦は必勝、それも、出来れば大勝ちしたい所であろう。私がヒューストンのGMなりHCだったら、人生の全てを懸けて、獲りにいくゲームである。それだけの価値がある。

 で、2戦2敗しちゃったら、チーム解体でしょうな、さすがに。私がアンドレ・ジョンソンだったら、確実に拗ねる。そしてウェイン先輩に電話して、インディ入りを画策する。

 次回はリーグ全体編でーす。

                                                  2010/9/2
 リーグ全体編のキャッシュをマメに探しているが、一向に見つからないので、メンドクセーけど、約一ヶ月半前に書いた事を、無理矢理思い出しつつ書いてみる。一ヶ月半前に書いたことを、単に書いても面白くないので、一月半経過して、どんな風になったか、感想も交えてみたい。この段落のような青文字が一月経過後の感想です。

 という訳で、リーグ全体編であるが、その前に、ちょっと前回の記事の付け足し、というか補足をしてみたいと思う。

 前回の記事で、GBのアーロン・ロジャースが被サック数が飛び抜けて多いのが非常に心配、みたいな事を書いたが、その被サック数の詳細のデータが手に入ったので、というか元々持っているのであるが、それをここで紹介してみたい。

 GBのシーズン被サック51は当然変わらないのであるが、その内訳はというと、その51被サック中37被サックが前半の8ゲームに集中している。一試合当たりおよそ4.6サックである。後半は14被サックなので、一試合当たりおよそ1.7被サックである。この数字の変化はロジャースの成長や戦術の変更、あるいはGBファンではないので詳細は不明であるが、OLのメンツの変更などもあったのかもしれないが、一番の要因はおそらく「お前、このままサック受け続けていたら、死んじゃうよ。ヤバイと思ったら投げ捨てろ」的なアドバイスがあったのだろう。

 また、このGBの被サック数の詳細を調べていて面白いのは、その51被サック中、、実に14被サックをミネソタ戦2試合で計上しているという点である。これが逆に、GBがファーブに「この恨み、晴らさでおくべきか〜。」とばかりに、14サック浴びせたというのなら、まだ分かる。しかし、何故かロジャースが14サック喰らっている。しかも、ファーブは2試合でなんと、まさかの0サック。まあ、これはミネソタの研究やゲームプランも勿論その要因に挙げられるだろうが、なによりファーブがGBディフェンスを知悉していた、皮膚感覚で理解していたという事が、何より大きな要因だろう。そのチームのディフェンスを最もよく知るのは、そのチームのQBである。コルツディフェンスを最も簡単に攻略するのは、なんといってもペイトン・マニングその人である。

 こういう面ムゴイ数字が出てくるから、スポーツ観戦は止められない。

 Week5終了時点でロジャースは9被サック、劇的に改善とまではいかない様である。期待の新人OTブラガもまだ先発奪取とまではいかない様である。彼の成長待ちか。

 さて、いよいよリーグ全体編のシーズン展望であるが、まずはNYJを腐す事から始めたいと思う。というのも、ジェッツの評判が妙に高いからである。このシーズン開幕直前の土壇場に来て、さすがに評価は下り気味であるが、私の持っている各プレビュー誌では、オフシーズンの派手な補強劇が効いたか、軒並み評価が高い。ほとんどがプレイオフ確定、中にはスーパー制覇なんて、大風呂敷を広げているものまである。

 確かに、私も昨季のプレイオフNYJ@SDのレポートで「サンチェスの成長次第で、ジェッツはエリートチームになる可能性がある、その条件は揃っている。」と書いた。
 ちなみに、私の考えるエリートチームの条件とは、優秀なGM、ないしはHC、オールプロ級のQB、プロボウル級のLT、特徴的な戦術とそれを象徴するプレイヤー、の四つである。良い頃のコルツで云えば、ポリアン、マニング、タリク・グレン、カバー2とフリーニーである。今のコルツは、この3つ目のプロボウル級のLTがいなくて困っている。エリートチームになりきれていない。また、NEで云えば、ベリチック、もしくはピオーリ、ブレイディ、マット・ライト、ビデオゲートと言ってしまえば身も蓋もないが、誰もがそれと分かるNE独特の精巧な研究に裏打ちされた変幻自在の戦術と、それを象徴する選手としてのトロイ・ブラウン、もしくはロドニー・ハリソンである。

 これを今のジェッツに当てはめると、レックス・ライアン、マーク・サンチェス、ドブリカショー・ファーガソン、バディ・ライアン直系の複雑怪奇なブリッツスキームとダレル・リーヴィスである。もちろん現時点でマーク・サンチェスはオールプロ級では全然無いので、彼の成長次第と断りを入れた訳である。

 で、今季のジェッツであるが、将来的にはともかく、今季のジェッツに限っては、スーパー制覇は無いと思い切り断言してしまう。下手したら、プレイオフも逃がすと思う。

 なぜなら、サンチェスが遊んじゃうからである。USC出身で、ニューヨークのチームに入団、そして1年目から大活躍のQBで、しかも名前がサンチェス、これで遊ばない訳がないでしょう。遊んじゃう界の王道を歩んでいるといってさえ良い。もはや既に、ジョー・ネイマス2世を襲名していると云ってさえ良い。あれ、じゃあスーパー制覇するじゃねえか、しかもコルツを破って。

 まあ、サンチェスが遊んじゃうか否かはともかく、オフシーズンの派手な補強劇の陰でひっそりと行われた、ファネカとトーマス・ジョーンズの離脱が何気に痛いと私は思っている。

 まあ、トーマス・ジョーンズの代わりはショーン・グリーンで務まると見ているから、リリースしたのであろうが、私の見たところ(キャリー3回ぐらいしか見ていないけど。)、ショーン・グリーンはあくまでオープンに走ってナンボのRBの様に思われる。両タックル間を衝くトーマス・ジョーンズとはタイプが異なるように思う。

 そうして、私の思うに「オープンに出てナンボ」のランナーというのは若手QBの助けにはならない。というのも、ディフェンスサイドから見て、オープンのランを守るのもパスを警戒するのも、細部はともかく、本質的には異ならないからである。基本的に遅いプレイであるオープンのランには、パスを警戒しながらも十分に対応できる。、バンチをマンツーマンで守っていて、反対サイドにランを繰り出されると、まあ、さすがに、苦しいかもしれないが、そういう特殊なプレイを除いては、パスを警戒しつつオープンのランには十分対応できる。

 しかし、両タックル間のラン、インサイドのランには、そういう訳にはいかない。パスを警戒しながら、インサイドのランを衝かれた場合、マンツーマンで守っていようとゾーンで守っていようと、レイ・ルイス級のMLBがいない限り、その時点で5ヤード確定である。また、ブリッツを懸けて、擦れ違えば、その時点で、20ヤード級のロングゲイン確定である。オープンラッシュでのオフタックルなどは、コルツファンには説明不要だろう。逆に、インサイドのランを警戒しつつ、パスを守るということは、非常に困難である。どうしても、アンダーニースが空いてしまう。

 したがって、若いQBにパスを投げやすくするのに、最も有効な手段はインサイドタイプのRBを備えるという事になる。ここ最近の例を見ても、このサンチェスとジョーンズのコンビのほかに、マット・ライアンとマイケル・ターナー、フラッコーとマッククレインなどがいる。派手に散ったジャマーカス・ラッセルなどは、勿論その失敗のほとんどの理由は当人にあるのだろうが、その内のいくらかは、インサイドタイプのRBを用意できなかったチーム側にも責任があると思われる。
 また、ロスリスバーガーとベティスはちょっと違うように思う。ベティスは、一見すると、インサイドタイプのランナーの様に思われるが、私の見たところ、本質的にはオープンタイプのランナーの様に思われる。このコンビは特殊な例外といってよいと思う。
 また、レックス・グロスマンが唯一活躍していた時期に、トーマス・ジョーンズがいたのは決して偶然ではないと思う。
 また、かつてポリアンがマーシャル・フォークを放出してエッヂさんをドラフトしたのを、これはポリアンの好みではないかと私は書いた事があるけれども、もちろん、それは好みもあるだろうが、もうひとつの理由としては、フォークではインサイドを衝く事ができず、若きマニングの助けにはならないというのもあったかもしれない。両タックル間のランならば、エッヂさんだろう。

 ちなみに話はちょっと逸れるが、NFL中継の解説で、板井征人が、プレイブックに忠実に走るという理由で、このトーマス・ジョーンズを絶賛していた。確かに、考え無しに、と言っては悪いが、躊躇無くホールに突っ込んでいくトーマス・ジョーンズのようなRBは、爆発的なスピードや派手はダンスは無いので、ファン受けは悪いだろうが、現場のコーチ陣には滅茶苦茶好かれるタイプであろう。今季は、KCと契約したようであるが、確かに、元NEの好みそうなタイプである。トーマス・ジョーンズが、その高齢にもかかわらず、まだ現役でいられる最大の要因は、勿論何といってもそのプレイスタイル故である。

 ちなみに、話はまたまた逸れるが、いま上に書いた板井征人は現在のNFL解説者の中ではナンバーワンのように思われる。その理由については、時宜を得て、書きたいと思うが、彼の率いる関西大学が優勝したのは、その解説を聞く限り、決してフロックではないと思う。

 話をジェッツに戻すと、プレイブックに忠実に両タックル間に突っ込んで行くトーマス・ジョーンズ、そして勿論説明するまでも無く、そのインサイド・ランの主役、アラン・ファネカの両名の離脱は、何のかんの言って大きいと思う。前回の記事にも書いたジェッツの607回にものぼるランアテンプトを支えたのは、どう考えたって、この両雄である。
 もしかしたら、ショーン・グリーンはインサイドをガンガン衝けるのかもしれない。なにしろ、3回ぐらいしか彼のキャリーは見ていないし。また、ジョーンズの代わりという訳でもないだろうが、新加入のトムリンソンが、ランにレシーブに大活躍してサンチェスを助けるのかもしれない。でも、その目はなかなか出ないと思うなあ。その強力ディフェンスは今季も健在、あるいは、より強化されるだろうが、オフェンス的にジェッツは沈むと思う。

 さて、そのジェッツ、第1週は、私の予想通り、グリーンもトムリンソンもインサイドを衝けず、オフェンス的に沈んだのであるが、第2週から、サンチェスがまさかの大爆発、第6週までで5連勝、もはやスーパー制覇最有力候補である。サンチェス、全然遊んでなかったのね、遊びは大学で卒業してたのね。遊んでいたか否かはともかく、そのサンチェス、2年目にして完全に覚醒である。ここ5年くらいの若手QBの中では、もはやマット・ライアンを抜いて、ナンバーワンと言って良いと思う。若手QBという枠を外しても、まあさすがにマニングやブレイディには劣るが、ロモやカーソン・パーマーとは、もはや同格のように思う。
 ちなみに、私の現役QBランキングでは、マニングが筆頭、ブレイディやリバース、ブリース、イーライがそれに続く謂わば第2グループ、ロモやパーマー、シャウブなどがそれに続く第3グループである。サンチェスはこの第3グループに、若手では唯一属している。ちなみに、ロスリスバーガーとファーブはランク不能である。

 そして、そのサンチェスに引っ張られるようにして、トムリンソンがまさかの大活躍。全盛期に匹敵するという声まであがっている。全盛期に匹敵というのは、さすがに大袈裟であろうが、少なくとも契約時の世間の期待や予想をはるかに大きく上回る活躍である事は間違いない。

 しかし、このトムリンソンといい、クロマティといい、ジェイソン・テイラーといい、契約時には、皆何らかの疑問符の付いた選手ばかりである。それが軒並み大活躍である。あとはサスペンデッドの明けたサントニオ・ホームズ待ちである。そもそも、マーク・サンチェスにしたって、トレードアップしてまでドラフトした段階では「リーチ気味じゃね。」といわれていた選手である。今季のカイル・ウィルソンも当たりっぽいし。GMのマイク・タンネンバウムは、もしかしたら下に書くオジー・ニューサム級の炯眼の持ち主なのかもしれん。他に担当者がいるのかもしれんけど。しかし、マーク・ブリュネル、まさかの2連覇じゃないだろうなあ。


 また、インサイド・ランナーと若手QBという関係では、ジャマール・ルイスとデレク・アンダーソンのコンビも追加できるかもしれない。デレクが唯一活躍したシーズンはルイス健在の時代だった。ルイスの凋落に歩調を合わせるかのようにして、デレクも凋んでいった。ARIに必要なのはルイスのようなインサイド・タイプのランナーなのかもしれない。っても、デレクもいい年なんだけど。とても若手QBではないのだけれど。

 さて、そのほかのチームというと、やはりボルチモアの戦力充実に目が行かざるを得ない。

 攻守ほとんど全てのポジションに、オールプロ級といったら大袈裟だろうが、プロボウルクラスをぞろぞろ揃え、唯一の課題といわれたWRも、今季のオフにボルディン、そして開幕直前に、まさかのハッシュ獲得と、まさに万全の布陣でシーズンに臨む事になる。
 しかし、SEAつうか、ピート・キャロルはハッシュ出しちゃあいかんだろう。ハッシュを出してマイク・ウィリアムズを残すって、これは贔屓というものじゃないの。

 話をBALに戻すと、このチームのロースター表の恐ろしいところは、スターターにプロボウルクラスをぞろぞろ揃えていることのみならず、デプスの2番手当たりにも、スターターとしてはイマイチであるもののサイドラインに置いておくには格好のプレイヤーがぞろぞろしている事である。ダンテ・ストールワースやクリス・チェスター、トレバー・プライス、ケン・ハムリンあたりである。ここに、セルジオ・キンドルやテレンス・コーディといった、将来的にスターターを奪取して欲しいプレイヤーを絡ませるのだから、まさに磐石である。つか、ケン・ハムリン、くれ。

 そして、何より恐ろしいのは、2番手QBの項目に、何故かマーク・バルジャーの名が見えることである。って、これおかしいだろ。バルジャーだったら、ちょっとQBに困っているチームに行けば、即スターターだと思われるのだが。諦めちゃったの。ブリュネル・パターンを狙っているの。そこまで、諦める年齢でもないと思うのだが。

 バルジャーの件はともかく、今季の、というか今季もBALは優勝候補ひとつであることに変わりは無い。つーか、まあ、ここ数年で、あと1,2回優勝していてもおかしくない戦力であるのだけれど、それがスーパーにも出れない最大の要因は、インディファンの私が言うのも何だが、毎年のように、痛い所でコルツに訳の分からぬ負け方をしているからである。昨季などは、OLのメンツだけ比べたら、何故コルツが勝てたのか、未だに理由が分からないもの。

 コルツに勝てないのはともかく、ここ10年間で最高のGMが、ピオーリでもポリアンでもA・J・スミスでもなく、オジー・ニューサムであるという事に誰も異論の余地は無いと思う。オジー・ニューサム唯一の失敗といわれるカイル・ボーラーを除けば、それ以外のFAやドラフトは悉く成功である。
 しかもニューサムの恐ろしいところは、獲得した選手が成功するのみならず、手放した選手が1,2年は活躍するものの、その後はさっぱりになるという点である。ジャマール・ルイスやエイドリアス・トーマスがその例である。手放した直後ではなく、手放した1,2年後にさっぱりになるというのが、この恐ろしさのミソである。これはすなわち、ニューサムは選手に値が付くぎりぎりのタイミングで手放しているという事になる。獲得したチームの方はたまったものではないが、選手やレイブンズにとっては最高の放出方法であろう。そういえば、我等がストークリーも、その一例かもしれない。アダム・テリーは全然だったが。まさか開幕ロースターにも残れないとは。とほほ。

 一方で、レイ・ルイスなどは、数年前「力が落ちた、力が落ちた。」と周囲に言われながらも、契約を続行している。そうして、それは正解だった。ここにおいても、やはりオジー・ニューサムの目が正しかったのである。

 さて、そのレイベンズであるが、第7週までで5−2、絶好調とまではいえないものの、まずは順調な滑り出しである。ただし、ボルディン、ハッシュの新WRコンビはここまで、悪くは無いものの大爆発もしていない。フラッコーが、相変わらずデリック・メイソンのおっさんに投げ続けているからである。その割を食う形になって、特にハッシュの成績が伸びていない。昨季、プレイオフでの記事で「フラッコーは来年あたり一皮向けそうだ。」と私は書いたが、どうも皮被りのまま終わりそうである。

 ちなみに、SEAでそのハッシュを押し出したマイク・ウィリアムズは、ここまで32レシーブ1TDの活躍、チームも4勝2敗である。どうもダメなのはライオンズだったようである。
 更にちなみに、そのハッシュに押し出された格好でBALを出たマーク・クレイトンは、開幕直前STLと契約、新人QBサム・ブラッドフォードのメインターゲットとなるべく期待されているが、どうも苦戦模様である。STLの来ドラフトの1巡指名はWRになりそうである。


 という訳で、今季の優勝候補はどこになるかというと、全然分かりません、じぃぇんじぃぇん分かりません。こんだけ長々書いてきて、そりゃねえだろ、と言われそうだが、ホントに全然分からないのだから仕方あるまい。ただ、その代わりと言っては何だが、ひとつ予想させてもらうと、これから10年間、所謂’10年代はNFCの時代になるのではないだろうかと言う事である。’90年代はNFCの時代、’00年代はAFCの時代だったと思うが、’10年代は、これは再びNFCの時代になると思う。QBがフットボールの全てという訳ではないけれど、マット・ライアンやマシュー・スタッフォード、サム・ブラッドフォードといった有力若手QBも軒並みNFCである。その間のAFCの若手QBはブレディ・クインにジャマーカス・ラッセルという、トホホな状態である。有力若手WRに目をやっても、カルビン・ジョンソンやマイケル・クラブツリー、デズ・ブライアント等々、軒並みNFCである。今季いきなり勢力図が塗り換わるということはないだろうけど、少しづつNFC優勢の時代になっていくのではないだろうか。

 NFCの時代になるかはともかく、NFLがNE・IND時代から戦国時代に入った事だけは確かなようである。第7週までで、意外な結果に終わるカードも少なくなく、なりより第5週で全勝チームがなくなってしまっている。コルツとしては、ささやかな抵抗をしつつ、表舞台から消える時期に入ったのだろう。

 選手個人に目を移すと、やはり注目はエリック・ベリーである。全体5位のセイフティが如何なるものかには、私は個人的に大いに関心がある。コルツ戦もあるので楽しみにしたい。いや、嫌味ではなく。ほんとに私のセイフティ観を覆すような活躍をしてもらいたいと願っている。いや、やはり「願っている。」はウソだわ。

 前半戦のエリック・ベリーは苦戦模様である。今季で全ての結果が出る訳では、もちろん無いけれど。

 そのほかには、ジミークラウセンにも興味がある。プレイヤーとして何処までやるかにも、もちろん興味があるが、なにより世間があの顔を何処まで許容するのかにも興味がある。大いにある。ちなみに私は無理。あんな凶悪な顔の新入社員が入ってきたら、泣く。課長を辞める。課長じゃないけど。

 エースQBマット・ムーアの負傷により、開幕第3戦目にして早くも先発の座が回ってきたが、そのチャンスを生かしきれなかったようである。3試合で、ケガから復帰のムーアにより先発の座は剥奪された。それかあらぬか、その自慢の顔付きもいくらか柔和になった。それが良い事か悪い事かは分からぬけれども。

 つう訳で、今シーズンの展望を一口で表すと「ジャマーカス・ラッセルは何処へ行った。」です。ちゃんちゃん。

 ホントに何処へ行った。

 てな感じです。自由に思いつくままに書くのと違って、一ヵ月半前に自分が何を考え何を主張していたか、思い出し思い出し書くのは非常にしんどい。大きな足枷を付けられているようで、テンションがヒッジョーに下がる。これが所謂、筆が伸びないという奴か。
 おおよその内容や主張、論理などは一ヵ月半前とそんなに変わっていないと思われるが、細かな措辞や語調などには違いや疎漏などがあるかもしれません。ごめんなさい。
 とはいうものの、一ヵ月半前の自分の主張や意見にコメントを付ける作業は、これはこれでなかなか楽しかった。だからまた機会があったら是非、ってバカ、こんなメンドーな事、二度とやるか。バカバカバカバカバカバカ、パソコンのバカ。


            2010/9/9に書いたことになっていますが、実際書き終えたのは2010/10/28 ご苦労様。

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