インディアナポリス研究会

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戦評 '08シーズン

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 2009年  シーズン展望  シーズン開幕を、今日、というか明日というか、兎に角、目前に控えて、シーズン展望をしてみたいと思います。

 とりあえず、コルツに関しては、新HC就任からこの開幕直前までの動きで、私なりに思うところをまとめてみたいと思います。

 ひと口に言ってしまえば、要するに、普通のチームになろうとしているという事でしょうか。ダンテ・ヒューズやマーカス・ハワードのカット、アーロン・フランシスコの加入、こうしたロースタームーブから見えてくるのは、コルツの普通化だと思う。プレ・シーズンでは I・フォーメーションなんつうやりなれない事もしていたみたいだし。

 典型的なカバー2CBであるダンテ・ヒューズのカット、純正パスラッシャーであるマーカス・ハワードのカットはカバー2から距離をとることを明らかに意味しているし、アーロン・フランシスコの獲得は、彼自身はエイドリアン・ウィルソンがいなければスターターといわれるほどのプレイヤーであるから実力に疑問の余地は無いものの、ではカバー2向きかと問われれば、やはり疑問符がつく。あくまでオーソドックスなディフェンスを敷くチームで力を発揮するプレイヤーだと思う。ボブ・サンダースの代わりという感じでもない。このへんは良く分からないが。

 一方、オフェンスに目を転じても、大物エース級レシーバーを獲得しなかった事、パスプロに難のあるチャーリー・ジョンソンのスターター登用などを考え合わせると、ハイパーオフェンス・ノーハドルオフェンスは縮小して、ランの比率を上げ、パスはスラント中心のWCOっぽい感じにしたいという事なのではないだろうか。

 ここ数年のコルツのスコアの基本の数字は35−25だったと思うが、それを25−15にしたいという事なのだろう。

 ま、要するに、カバー2&ハイパーオフェンスという特徴を薄めたいという意向は間違いないと思う。普通化ということである。
 そうして、サラリーキャップ下にあるNFLで普通路線を敷くという事は、すなわち、大概の場合、弱体化を意味する。

 サラリーキャップ以前に強豪・古豪・名門といわれていたチームが、ここ10年ぐらい思うように勝てない要因はいろいろあると思うが、そのひとつにこの普通化があると思う。人気チームであるが故に外野の声もうるさいのであろうが、総花的に、全ポジションでスター選手をそろえよう、全カテゴリーのスタッツを良くしようとすると、サラリーキャップ下にあるNFLでは必ず失敗する。オフェンスならオフェンス、ディフェンスならディフェンス、更にはそのオフェンスの中でもパス攻撃、ディフェンスの中でもラン守備など、それはどこでもよいのであるが、どこかに偏った、どこかに集中した戦術なり補強なりをしないと必ず失敗する。総花は負ける。
 ワシントン、マイアミ、バッファロー、ダラス、サンフランシスコ、オークランド等々、かつてサラリーキャップ制度以前に栄華を誇ったチームが、ここ10年くらい軒並み苦しんでいるのは、いろいろな要因もあるだろうが、ひとつにはこの総花的な補強・戦術があると思う。なら、ピッツバーグはどうなると問われる方もあるだろうが、あそこは勿論申す迄もなく、昔から元々偏ったチーム作りをしてきたのである。ハードノーズという偏った、偏屈なチーム作りである。それが、ここにきて功を奏したのであろう。

 さて、コルツに話を戻すが、このコルツの普通化は何に由来するのかと考えると、たまたま成り行きでそうなってしまったというのも要因のひとつであろうが、別の要因としては新HCコールドウェルの個性、というか無個性に由来するものだと思う。戦術上のバックボーンを何も持たないコールドウェルが指揮すれば、どうしても普通な、オーソドックスはチーム作りをせざる得ないということなのだろう。

 なんだか悲観的なことばかり書いてしまったが、今年のコルツがプレイオフが厳しいかと問われれば、そんなことはないと答える。以前にも同じ事を書いたと思うが、やはりAFC南の他の3チームと比べると、QBのポジションにあまりにも差がある。コルツはこのアドバンテージだけでプレイオフには何とかたどり着くと思う。
 ちなみに、QB抜きで考えれば、コルツは余裕の最下位だろう。ジャグワーーズ(徳大寺有恒風に、)もけっこう厳しいかな。逆にヒューストンなどは、QB抜きなら余裕の優勝、スーパー進出間違いなしだろう。実際、今現在のヒューストンのメンバーは結構エグい。1.5流、準1流のQBでも、スーパー進出間違いなしだと思う。シャウブが、一皮、二皮向けてさえくれれば。

 ここで、一応、リーグ全体の展望もしておきますか。っつても、あんまり調べていないので、よく分からないんだけど。それはいつもの事か。

 とりあえず注目は、なんつってもミネソタでしょう。スーパー進出は悲願というか、もはや義務と言ってすらよい。任務である。ミッションである。先ほど、私はヒューストンのQB以外のメンバーは結構えぐいと書いたが、もちろんそれ以上にエグい、最強にエグいのがミネソタである。そこに、腐っても鯛、つうか腐っていない鯛であるQBを手に入れたのだから、これで主力にケガ人が出ないで、スーパー進出を逃したら、ミネソタの町、というか州全体の恥である。オオワライである。もちろん私は笑いたい。ファーブが怪我して出られない、つうパターンも、それはそれでオオワライだけど。慌てて、フィラデルフィアからヴィックを最高値で購入したりしてね。

 一方、AFCは横一線かな。半分くらいのチームにはチャンスがあると思う。それでも、ロスリスバーガーが普通に働いたら、最後にはピッツか。それも悔しいなあ。

 ま、いずれにしても、今年も楽しい季節が始まりますね。なんちゅう締め方だ。

 最後に、ロースタームーブでちょっと面白かったところをいくつか書いて終わりにします。

 コルツQB3人体制。戦略的には何の意味もないが、コルツとしては久方振りのQB3人体制。ペインターが思ったより良かった、PSでタダ取りされるのが悔しかったので、こんな事になってしまったのであるが、じきに2人体制になると思う。はてさて、どちらが残るのか。コルツの二人目のQBはマニングとのトークの相性によって決まるので、どれだけマニングを気持ちよく笑わせたかで勝敗が決する。ペインター、マニングへのお中元、忘れんなよ。って時期は過ぎたか。

 パッツ、シーモアをドラ1とトレード。しかもオークランドのドラ1と。上手い、絶妙、というか、これルール違反じゃないんですか。これ明らかにMADDENのトレードじゃないですか。僕、ゲームでこんな卑怯なトレード、よくやってましたよ。MADDENの必勝法でしたよ。これが許されるんですか。3−4のNT、ではなくDEでドラフト1巡って。それも30近いおっさんの3−4のDEでドラフト1巡って。しかも全体1位の可能性まで有るじゃないですかあ。
 3−4のDEなんて、それこそ、どうにでもなるポジションなのに、それでドラフト1巡とは。くう〜〜。ブレイディ、またケガしねえかなあ。それでようやく公平なトレードと云える。意味不明だが。
 私は先ほど、AFCは横一線と書いたが、それは無論ブレイディの回復具合を考慮しての事であり、ブレイディが普通にやれるなら、勿論パッツが頭ひとつ抜けている。

 ドミニク・ローズ、意気揚々とバファッローに乗り込んだが、あえなくカット。また戻ってくる気じゃないだろうな。この出戻り一代が。

 とりあへず、今季のコルツの私の最大の楽しみはマカフィー大佐(意味不明。)のパントか。伝え聞くところに由ると、相当飛ばすらしいし。コントロールはともかく。パントマニアの私には、たまらん。でも開幕戦のTV放送はないのね。う〜ん、いけず。

                                                    2009/9/10
 
 2009年
Week1
 9月13日
JAX@IND
12−14
 いや〜〜〜始まりましたねえ〜〜、たのしいいですねええ〜〜、NFL。

 得意の訳の分からない書き出しで始まりましたが、とりあえずコルツの試合の軽い軽い感想をば。といっても映像は見ていないんだけど、例によって例の如く。 

 いろいろお間抜けなプレイコールもあったようだが、それはとりあえず許す。初試合だし。いや許さない。最後の4th and ギャンブルはねーだろ、さすがに。初試合とか関係ねえだろ。マカフィーもいいパントを蹴っていた訳だし。

 まあ勝ててよかった。しかし14得点とは。主力にケガ人が続出しいる訳でもなく、フィールドコンディションが悪い訳でもないのに、14得点とは。久方振りに見たよ、こんな低得点。現地の掲示板に「ハリソンと契約せんかいコラァ。」(ちょー意訳)みたいなコメントも出ていたけど、それもむべなるかな、である。ハリソン獲得の噂もあるらしいが、それについてはポリアン翁が「だったらハリソンより若い選手と契約する。」と即否定したみたい。まあ、確かにハリソンを獲得したくらいで、全盛期のハリソンならともかく、今のハリソンではオフェンス力の抜本的な改善にはつながらないだろうが、しかしハリソンより若い選手って。ほぼ全員じゃね。

 やはりオチョシンコ。

 この調子だと今年は結構つらいかなあと思って、何気なく今年のコルツのスケジュールを見たら、超ゆるっ。そういえばすっかり忘れていたが、昨年の激鬼(もはや日本語ではない。雰囲気で理解してください、お願いします。)のスケジュールの反動で、今年のコルツのスケジュールは激ユルなのであった。不気味な感じがするのはアリゾナとニュー・イングランドぐらいで、あとは何とかなっちゃいそうな相手ばかりである。しかも昨年は地区2位だったおかげで、スティーラーズとかサイファーズ(勿論SDのことである。)とかいうような面倒くさそうなチームとの対戦もない。そして当面のライバルであるテネシーはその両チームとの対決がある。そして早速負けている。今シーズン、早くも貰ったか。

 とりあえず来週はMNFなので、当然TV放送があるので、それを楽しみにしたいッス。

 そのほかのWeek1の試合では何といっても、DEN@CINだろう。残り41秒で0−6からの逆転タッチダウン、そしてその13秒後に更に逆転の87ヤード一発タッチダウンって。これは見たい。このTV放送は見たい。そして永久保存版にする。最初の47分間は永すぎる前戯として我慢する。そして人間辛抱だと云う教訓を手に入れる。

 しかしストークリーなあ。私はこのサイトで何度このフレーズを打った事だろう。今では手が勝手に動くくらいである。コピー&ペーストいらずである。しかしストークリーなあ。
 私はポリアンのチーム編成についてはほぼ完璧だと思っているが、その数少ない、もしかしたら唯一の失敗が、このストークリー放出だったと思う。この2年間、ストークリーがいればなあと何度思った事か。そして3年目の今年も、またどうやら同じことを思うようである。

 そのほか、これは試合ではないのであるが、どのゲームかは忘れてしまったが、我等がダンジーさんがスタジオ解説をしていた。それそれで何の問題もないのであるが、そのダンジーの隣で同じくスタジオ解説をしていたのが、マービン、ではなくロドニー・ハリソンなのであった。「ダンジー、コラお前、誰と一体仕事しとるんじゃあああ。」と私は思わず口走ってしまったのであった。しかし、どんだけ人格者なんだ、ダンジーは。私なら、向こう5年はロドニーハリソンの顔は見たくないが。

 しかしTV局もTV局でエグイ画面を考えるなあ。5年ほど前の巨人戦のTV中継で元ヤクルトの西村と元巨人の村田がバックネット裏で並んで解説している姿を、私はゆかりなくも思い出してしまった。どこの国でもTV局の考える事は同じだなあ。

                                    アンディ・リードがまた太った。2009/9/17
MNF
 9月14日
BUF@NE
24−25
 件の試合を、後半だけだけど、見る機会があったので、感想をば。 

 まずは注目のブレイディから。
 抜き身の早さは相変わらず。ケガからの復帰具合はというと、動き自体は問題なかったと思う。ただまあ、パスラッシュに過敏なっているようには見えた。ただ、これも、3試合も経過すれば、消えると思う。もともと、パスラッシュの処理は、そんなに上手い方でもないし。

 一方悲惨な負け方をしたビルズ。これで対ペイトリオッツ12連敗。でもなんか、一方が一方的に負け続けているカードは他にもあるみたいで、ビルズだけが恥ずかしい訳ではないみたい。良かったな、ビルズ。いや、全然良くねーよ。

 ビルズに関しては、去年も似たような事を書いたような気もするけど、カバー2&ハイパーオフェンスという戦略は難しい様な気がする。QBのエドワーズがそもそもWCO向きっぽいし、OLもどちらかというとランブロック向きの布陣である。で、しかも、今年獲ったのが典型的なWCOWRであるTO(知らん人が見たら、何がなんだか分からんな、このアルファベットの連続は。)。でもノーハドル&オーディブルやってんだよなあ。良く分からん。
 サラリーキャップ制度下では戦力・戦術の偏重が非常に重要になってくるだけに、いまのビルズはどこか散漫である。

 カバー2に関しては、この試合は良く機能していたと思う。カバー2殺しのQBとしては現役ナンバー2(ナンバー1は、もちマニング。)であるブレイディ相手に良くやったと思う。
 ただまあ、どうしてもこういう展開になるとカバー2はきついんだよなあ。3andアウトが取れないだけに、終盤で接線になると、どうしてもきつい。ジリ貧になる。為す術が無い。
 前半終了時、最悪でも第3クオーター終了時で2TDs以上の差をつけておくということが、カバー2の必須条件だと思う。

 そもそもビルズのディフェンス陣のメンツを見ると、カバー2をやるには勿体無いようなメンバーだと思う。3−4&ブリッツハッピーで行くべきメンツだと思う。
 また、カバー2というのは、上述したように、どうしても派手なパス攻撃が必要になるディフェンスであるから、バッファローのような寒冷地には不向きのスキームだと思う。温暖地、あるいはドーム球場向きのスキームだと思う。実際、カバー2で成功したチームはタンパにインディと、この条件に一致している。例外としては、シカゴがあるが、このチームがスーパーに進出した時は、カバー2の問題を、デビン・へスターという凶悪リターナーがすべて解決していた。リターンTDほど時間の掛からないTDはない。
 ちなみに、いま最もカバー2を採用すべきチームはニュー・オーリンズだと思う。ロン・ミークス、ここに行けば良かったに。ジェイソン・ディビットも生きるだろう。まだ、いるのか。

 閑話休題。ペイトリオッツの最後のふたつのタッチダウンであるが、あれは、うちのMLB、ゲーリー・ブラケットならば、どちらかは止めていたと思う。上手く行けばインターセプトしていただろう。しかし、これは選手の能力の問題というよりは、経験・学習の問題なので、時間と共に解決していくと思う。ただまあ、解決した頃にはビルズはカバー2を採用していないかもしれないが。

 で、問題のレオディス・マッケルビンのリターン&ファンブルであるが、いろいろと賛否両論もあるようであるが、さすがにあれはねーだろ。ニーダウンでしょ。タッチバックでしゅ。
 このへんが勝ち慣れていないチームという事なのかもしれないが、優勢と勝ちのあいだには懸河の絶壁が広がっている。「エンドゾーンはタッチバックだぞ。いや、それ以外でもフェアキャッチだぞ。」の一言の駄目が押せない。

 しかしニュー・イングランドには、いつの間にかショーン・スプリングスとか、いるのね。反対側には、レイ・ボッデンとかいるし。フレッド・テイラーなんかも合わせて、ホントにいやらしい補強をするなあ。エロいといってもいいぐらい。
 シーモアの一件といい、勝っても勝っても、チームが弱くならないなあ。ほんとに、これは、NFLに限らず、世界中のプロスポーツチーム、いや全てのスポーツチームとっての、チーム編成のお手本だと思う。ほんと、テレビゲームみたいなチーム編成だもの。その手際の良さは現実とは思えない。いやマジで。

                                                    2009/9/20
 
 2009年
Week2
MNF
9月21日
IND@MIA
27−23
 今季初めてのTV観戦、いや〜、何とか勝ちましたな。なんか昨季の中盤から、こんな事ばかり書いている様な気がするが、これでコルツは大丈夫なんだろうか。なんか展開に恵まれて勝っている様なゲームばかりが気がする。まあ、今季はスケジュールに恵まれているので、なんとなくプレイオフには行けそうな気がするが、でも、そこから先は厳しい様な気がするなあ〜。
 なんとなく勝てるのは、それはそれで強い証拠なのだけれど。

 この試合最大のトピックスは、なんといっても、そのタイム・オブ・ポッゼッション。コルツの14:53に対しドルフィンズは45:07、実に3倍近くの開きがある。でも勝ったのはコルツ。勝ったチームのタイム・オブ・ポッゼッションとしては、ちょっとした記録らしい。調べてないけど。

 典型的なポリアン対パーセルズのゲームになった訳で、メディアもそこそこ騒いでいる。しかしこの点に関しては、私はポリアンの信奉者で、どこかでも書いたと思うが、タイム・オブ・ポッゼッションというのはほとんど意味のない数字だと思う。タイム・オブ・ポッゼッションよりはフィールド・ポジションの方が重要だと思う。

 たかだか5年程度のフットボール観戦暦しかない私が、フットボールに人生のほとんどを懸けてきたパーセルズに、こう言うのも何であるが、パーセルズの考え方は古いと思う。ベリチックがパーセルズと袂を分かったのは、いろいろな理由があるだろうが、ひとつにはこのタイム・オブ・ポッゼッション観もあると思う。ベリチックは、私の見たところ、タイム・オブ・ポッゼッションよりタイム・コントロールの方を重視している。タイム・コントロールというのは、この場合、最終的に自軍が勝ち越している状態になるように時間をコントロールする事を意味する。ボール・コントロールとは違って、自軍がボールを保持する事はさほど重視しない。

 また、更に言うと、パーセルズのフィロソフィーの支柱のひとつであろう『ランを出せ。ランを止めろ。』という考え方も解釈の仕方はいろいろとあろうが、結局のところ間違っていると私は思っている。このテーマに関しては、今年の8月に、コラムで言及しようと思っていたのである、ズルズルとシーズンまで先送りされてしまった。そのうち書きます、多分。

 とりあえず、ここではこの『ランを出せ。ランを止めろ。』という考え方が間違っているという理由の骨子だけ書いておこうと思う。

 手っ取り早く言うと、ランは止めようと思えば必ず止まるのに対し、パスは止めようと思っても必ず止まるとは限らないからである。パーフェクトなラン・ディフェンスはパーフェクトなラン・オフェンスを凌ぎ、パーフェクトなパス・オフェンスはパーフェクトなパス・ディフェンスを凌ぐ。
 その理由に関しては、経験的にも理論的にも、いろいろとあるのであるが、永くなるので今回はパスします。いずれコラムで、多分。←しつこい。

 また、今回、TVの実況だったかなんだか忘れたが、「ディフェンスの時間が長くなるとディフェンスが疲弊するから、コルツに不利だ」みたいな批評があったが、これはナンセンスだと思う。ディフェンスが疲弊するなら、同じ程度にオフェンスも疲弊するだろう。確かに、ディフェンスはリアクションであるから、その分だけオフェンスよりは疲弊するだろうが、勝敗を左右するほどの差ではないと思う。

 ちなみに、ここでもうひとつばかり、『ランを出せ。ランを止めろ。』式のチームの弱点を書いておきたいと思う。
 フットボールというのは一回の攻撃機会で8点以上は絶対入らない。そうしてタイム・オブ・ポッゼッション重視のチームはどうしても攻撃回数自体が減る。その結果、点差が開きにくく、接戦になりやすい。そうして接戦になると、どうしても偶然に左右されがちになる。結果的に安定して勝てなくなる。
 一般にタイム・オブ・ポッゼッション重視のチームがシーズンごとに勝ち負けの差が激しくなるのは、ひとつにはこの理由があると思う。まあ、NFLの場合、派手に負け越すシーズンがたまに会ったほうが有利な点も多々あるのではあるが。

 一般論ばかり書いてしまったので、ここらでこの試合についてひとつふたつ気づいた事を書いてみたいと思う。

 まずはポラック。その評価を私は保留してきたが、結論は出たと思う。あいつはなかなかやる。やっぱりいるといないでは違う。パスプロもなかなかだし、最後の決勝TDのブロックも見事だった。ディームのブロックも見事だったし、ここ数年ああいう(NEっぽい)スクリーンからのビックゲインはなかなかお目にかかれなかったので、決勝TDということを抜きにして、結構爽快だった。
 で、それを決めたピエール・ギャルソン。ついに来たね、ピエールの時代が。ピエール・ギャルソンの時代が。←もちろんウソ。でもこの名前、やっぱりすげーよ。ジャージの名前のところを見ると、やっぱりCはセディーユ付きのCだったし。

 んで、ディフェンスですが、やっぱカバー2色はだいぶ薄まりましたな。ああいう守り方をするのだったら、LBをもう少し大型化しないと駄目じゃないかとも思った。来年のドラ1は、ついにLBか。ロブ・モリス以来の。

 あと、不満だったのは、メルビン・ブリット。ほとんど何もしていないように私の目には映った。あれだったらアーロン・フランシスコを出した方が良いのではなかろうか。まだ戦術理解中なのか。

 恒例の他の試合の感想。

 まずはデトロイト対ミネソタ。
 結構いい試合はしているのだけど、結局負けてしまうのだよね、去年からずっと。なんとなく勝ってしまうのがコルツで、なんとなく負けてしまうのがライオンズ、という感じである。ここが結局つまるところ、強いチームと弱いチームの決定的な違いなのだろうけれども。でも現時点ではブラウンズよりは強いと思う、さすがに。あそこは酷すぎる。光明がない。

 スタッフォードはまずまずじゃないでしょうか。でも、サンチェスの方が上だと思う。現時点という意味ではなく、将来的にも。でもブレディ・クインほど悪くはない。クインは厳しいんじゃないかなあ。その理由についてはマット・ライアンの項で書こうと思う。って、そればっか。

 QBつながりで話を続けると、ケビン・コーブは大分良くなっていた。さすがアンディ・リードである。さすが太っているだけの事はある。

 で、問題のジャマーカス・ラッセル。パス成績7/24て何。セブン・イレブン。こんな数字初めて見たぞ。しかも最後の決勝ドライブはパス3本決めて完遂してるんだよなあ。コルツの14:53以上に記録的な数字だと思う。勝ったチームの数字としては。しかもランも出てねーし。訳が分からん。もっとも、このOAK@KCといいSTL@WASといい、こういうスットコドッコイな試合は私は大好きなのであるが。

 あとトム・ブレイディであるが、やっぱりケガの精神的な後遺症がまだ残っていると思う。ほんの少しパスのタイミングが早い。パスラッシュを、その分だけ恐れているのだと思う。数試合で解決するだろうが。

 話をデトロイト対ミネソタに戻すが、ミネソタは、先週のブラウンズ戦といい、第3クオーター以外は真面目にやっていないと思う。つーか、ファーブとチェスター・テイラーのコンビでも結構いいとこまで行くと思う。エイドリアン・ピータソン抜きでも結構いいとこまで行くと思う。シーズン全休でいいんじゃねえの。ボブ・サンダース方式で。

 ちなみにこのミネソタの試合の冒頭で、チルドレスを紹介した日本の解説者は、「チルドレスはどんなヘッドコーチですか」という問い掛けに、「禿しいフットボールを好むコーチです。」と答えていた。そゆことゆーなよ。週間MVPは彼に決定。

                                                              2009/9/26

 タイム・オブ・ポッゼッションのつづき。

 昨季のタイム・オブ・ポッゼッションを調べてみた。

 当然ちゃあ当然であるが、30分前後の数字が並んでいる。リーグ1位はBALで33:10、最下位はデトロイト、ではなくSEAの26:30。1位と最下位の間に7分近い差がある。この7分は一体何を意味するのだろう。ロング・ドライブ1本分ぐらいの時間である。正直、よく分からない。

 ちなみにDETは26:59で31位である。でも0勝。SEAは4勝している。この29秒の差は何を意味するのだろう。

 我がインディは、ポリアン教を信仰しているので、当然28:39の26位。でも12勝している。ちなみに同じ28分台のチームはというと、CINが28:40で4勝、DENが28:44で8勝、OAKが28:09で5勝、SDが28:53で8勝、CHIが28:07で9勝である。負け越しているチームが多いようにも感じるが、絶対ではない。

 去年リーグ最多の13勝を挙げたテネシーは強力ディフェンスを武器にしているイメージ、というか事実、数字的にもリーグ2位の失点など、ディフェンスのカテゴリーではよい成績が並ぶが、タイム・オブ・ポッゼッションは意外にも29:09、30分を割っている。守っている時間の方が長いのである。でも13勝。STLのタイム・オブ・ポッゼッションは、テネシーに近い29:32なのであるが、2勝。

 面白いところでは、GBが31:20で6勝、MINは31:19で10勝。僅か1秒の差であるが、勝ち星では4つも違う。

 優勝したPITは31:29.さすがに良い成績である。試みに同じ31分台のチームを挙げると、31:57がHOUで8勝、31:22がJAXで5勝、パーセルズのMIAが31:03で11勝、TBが31:23で9勝、WASが31:31で8勝、それに先に挙げたGBとMIAである。なんとなく勝ち越しているチームが多いようにも感じるが、絶対ではない。

 また、パーセルズ直系のチームといってよいNYGとNEは、それぞれ32:56と32:09。で、それぞれ11勝。これはタイム・オブ・ポッゼッションの効用といえるかもしれない。

 しかし昨季NFC最多の12勝を挙げたCARは29:19、30分を割っている。

 こうした数字を見た限りに於いても、このタイム・オブ・ポッゼッションとチームの勝敗やディフェンス力・オフェンス力、更にはチーム力に、何らかの関係があるとは、私にはとても思えない。
 それとも私は何か重大な見落としをしているのであろうか。

                                                     2009/6/26
 

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